- Amazon.co.jp ・本 (337ページ)
- / ISBN・EAN: 9784122061781
作品紹介・あらすじ
父が遺したアトリエ兼自宅で革製品の修理をして生計を立てている透子。十年前から止まっていた歯車が、婚約者だった男との再会によって動き出した。目を背けてきた過去と向き合う時、浮かび上がるのは「あの女」…彼女からすべてを奪った事件の真相を、アトリエに持ち込まれる品々にひそむ人間ドラマとともに描きだす。
感想・レビュー・書評
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紅雲町珈琲店シリーズのお草さんもそうですが、吉永さんの描く女性は、凛としていて美しい。お仕事小説、恋愛小説、サスペンス、自己再生、いろいろな要素が含まれていて面白かった。はっきりとしたハッピーエンドで終わらないところもいい。
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予想より読了まで時間がかかった。過去に何かあったということは前置きとして頭にあったけれどどういうこと?ということが常にありその疑問が少しづつ分かっていくということで最後までゆっくりと物語がすすんだ。語られる視点が急に変わったりしたのでどういうこと?っとまた戻ったり。読み終えて全て分かったような、分からないような…再読するとストンと理解できるかも。
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恋愛小説かと思いきや。
もっと別の話も読みたいな! -
三十三歳で長身の透子が革製品の修理をして暮らす、父が遺したアトリエの真ん前の対岸に、元婚約者の敬史が妻子を連れて越してくる。生々しさもどこかドライで、透子とお客の仕事模様や敬史の小二の息子の微笑ましい聡明さを楽しんだけれど、透子の母親の事件が絡んで来るサスペンス的な後半は特に上手く入り込めなかった。
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面白かった。
過去の事件のあらましが、ちょうどいいペースで読者に説明されている。
うまい具合に食いついてしまった。
事件を軸に元カレへの思いが断ち切れないのだが、イライラ感は少しもなかった。
事件解決後も、消臭剤のように事後エピソードが書かれているので読了感も悪くなかった。
ドロドロ展開が無くてホッとした。 -
癒し系の小説とおもいきや、ミステリーのような、犯罪小説のような少し変わったジャンルの小説。話の展開が少しわかりにくかったような気がする。
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10年という長い間、心を凍りつかせたまま、時を止めたように暮らしていた透子の、時間が動き出す物語。
恋や事件などが絡まって重厚な感じ。
時が動き始めて、淀んでいた空気が流れだすようなラストが良かったです。
ただ、10年が長いので、その間ほぼ変化がないのはどうかと思いました。 -
革製品のリペア(修理)で生計を立てている透子。持ち込まれる品物に隠れた生活を見つめながら、10年前の破談から現在に繋がる謎を解き明かして行く。逃げることの出来ない不器用さで解いていく。読みながら、そこまで自分を追い込まなくてもと思ってしまう。ゆったりとした心で微笑むことが出来る日が早く来ますように。