井上ひさしの読書眼鏡 (中公文庫)

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  • 中央公論新社 (2015年10月25日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (192ページ) / ISBN・EAN: 9784122061804

みんなの感想まとめ

多様な視点からの書評が楽しめる本であり、著者の独自の選書センスが光ります。井上ひさしが新聞で発表した書評や、同郷の作家藤沢周平、義姉の米原万里に関する文章が収められており、読者を魅了する内容が盛りだく...

感想・レビュー・書評

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  • 井上ひさしが、読売新聞に書いていた書評、および、米原万里と藤沢周平に関しての文章を1冊にまとめたもの。
    書評での本の選択が独特である。
    辞書・事典、大江健三郎の新刊。その他に紹介されているものは、新刊本はなく、発行からやや時間を経たものである。「情報天皇に達せず」「戦争・占領・講和」「第二幕(ニール・サイモン)」「冷泉家 時の絵巻」「医者 井戸を掘る」「日本現代演劇史昭和戦後編2」「プルートーンの火」「チラシで読む日本経済」「公共哲学」「伊能図」「憲兵だった父の遺したもの」「見たくない思想的現実を見る」「ウォーター 世界水戦争」「二十一世紀の遠景」「日本語の教室」「民主と愛国」「昭和天皇」「右派左派を超えて」「林芙美子の昭和」等といったもので、読んだことのあるものは、かろうじて1冊。その他も、ほとんど、聞いたこともない題名の本ばかりであるが、井上ひさしの紹介の仕方が、とても面白く、読んでみたくなってしまう。
    最近、書評を読んでは、面白そうなものを求め、しかし、読む時間がなく、「積読本」ばかりが増えてしまう。今回もまた「積読本」が増えそうで、困ったものだ。

  • 井上ひさしさんが亡くなって8年になります。
    「難しいことを易しく、易しいことを深く、深いことを面白く」を座右の銘に『ブンとフン』や『四十一番目の少年』『新釈遠野物語』『吉里吉里人』など、多くの作品で私たちを楽しませ、考えさせ、そしてちょっぴり泣かせてくれました。

    本書は、その基にある膨大な読書と勉強の一端の、さらに雫の一滴のおすそ分け。新聞の書評、同郷の藤沢周平さん、義姉の米原万里さんの作品の書評を収めています。

    弱い立場の人の側に立たれ、目線を低く実相を見極めようとされました。選書にその姿勢が表れています。
    『チラシで読む日本経済』(澤田求ほか)、『見たくない思想的現実を見る』(金子勝、大澤真幸)、『二十一世紀の遠景』(山崎正和)、『日本語の教室』(大野晋)、『〈民主〉と〈愛国〉』(小熊英二)、『メディア・コントロール』(ノーム・チョムスキー)いずれも魅力的ですが、そこに井上さんの考えがスパイスされ魅惑的な書評に仕上がりました。

    たとえば『ニュルンベルク軍事裁判』(ジョゼフ・パーシコ)のくだり。
    ▼ とりわけ精彩を放っているのは、ヘルマン・ゲーリング(航空相・国家元帥)で、例えばこんなことを云ってます。
    〈もちろん、国民は戦争を望みませんよ。運がよくてもせいぜい無傷で帰ってくるぐらいしかない戦争に、貧しい農民が命を懸けようなんて思うはずがありません。ソ連でも、イギリスでも、アメリカでも、そしてその点ではドイツでも同じことです。政策を決めるのはその国の指導者です。・・・そして国民はつねに指導者のいいなりになるように仕向けられます。国民にむかって、われわれは攻撃されかかっているのだと煽り、平和主義者に対しては愛国心が欠けていると非難すればよいのです。このやり方はどんな国でも有効です〉
     この名言(?)に接しただけでも、4600円払ったかいがありました。

    この一節に触れただけでも、読んでよかったなあと思えます。他にも魅力的なくだりがたくさんあって、楽しみながら考えさせられます。

  • 井上ひさしさんも、亡くなられてから10年。(佐野洋子さんと同じく)

    最初から、最後の松山巌さんの〆の解説文「中継走者としての読書」まで面白かった。

    読んで良かった。

    多分これから何度も何度も読み返すことになるだろうな。

    それにしても、東日本大震災の前にお亡くなりになったとは思えないほど、“今”を言い当てていてコワイくらい。

    ❖今はもう中古でしか買えないようだけれど、“文化の厚み映すだ大辞典”の紙の辞典の完全版は、是非手に入れたい。

    ❖早速、購入した本:『見たくない思想的現実を見る』(中古だけど)

    ❖井上さんの義姉でもあった米原万里さんの本はどれも全部読んでみたい。

  • 井上ひさしが読売新聞に連載した書評集です。素晴らしいのは、その守備範囲で文芸書は言うに及ばず、社会科学から辞書事典類から白書まで、稀代の読書家だった井上ひさしの片鱗が窺えます。別稿として、義姉米原万里の全著作の短評も収録されています。

  • 2001年から04年にかけて新聞に連載された書評コラム。本の面白さをどれだけ魅力的に語ることか。井上の評を読むとその本が読みたくてたまらなくなること請け合い。30年ほど前に読んだ同著者の『ことばを読む』(朝日新聞連載の文芸批評,中公文庫)もよかったな。米原万里の全著作に対する寸評,藤沢周平への追悼文を併録。

  • 井上ひさしは 日本語が好きな日本人だなと読みながら思った。
    辞書が、睡眠薬という言葉から、活字中毒者の症状がでている。
    たぶん 辞書を読んだら イメージがわいてきて 眠れなかったのではないか。
    物知りの話には飽きてしまう。
    未来を見据え、英知をつくり出せる真の知者が思いのほかに少ないという指摘は強烈である。
    選定した本が、井上ひさしらしい。ちょっとやそっとでは、読めないものがある。
    それでも、読み砕いた上に、自分の進むべき方向を示している。
    戦争のもつ被害者、加害者 そして 戦犯裁判の意味を深くとらえようとする姿勢がすばらしい。
    乃木大将より、伊能忠敬が上だと言う辞書の活字数評価がおもしろい。
    林芙美子、松本清張、藤沢周平について、知らなかった側面をうまくえぐり出している。
    米原万里の全書評は、米原万里ファンである私にとっても、
    短い文章でこうやって書評するのかと感心することしきり。
    見つめている 歴史的な視点と未来のベクトルがかみ合っている。
    いい書評に巡り会えた。

  • いろいろな、エピソードを交えた読書案内。
    ことば、大江健三郎、原子力、作者の興味はいろんな方面に拡散してゆく。だからこそ、面白い読書案内になっているとも思える。

  • 10年以上前の文章だけれど、今の社会状況でもそのまま当てはめて読めてしまった。

  • 2015/11/2

  • 面白くて、恐ろしい本の数々。足かけ四年にわたり新聞連載された表題コラム34編。そして、藤沢周平、米原万里の本を論じる、最後の書評集。〈解説〉松山 巖

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著者プロフィール

(いのうえ・ひさし)
一九三四年山形県東置賜郡小松町(現・川西町)に生まれる。一九六四年、NHKの連続人形劇『ひょっこりひょうたん島』の台本を執筆(共作)。六九年、劇団テアトル・エコーに書き下ろした『日本人のへそ』で演劇界デビュー。翌七〇年、長編書き下ろし『ブンとフン』で小説家デビュー。以後、芝居と小説の両輪で数々の傑作を生み出した。小説に『手鎖心中』、『吉里吉里人』、主な戯曲に『藪原検校』、『化粧』、『頭痛肩こり樋口一葉』、『父と暮せば』、『ムサシ』、〈東京裁判三部作〉(『夢の裂け目』、『夢の泪』、『夢の痴』)など。二〇一〇年四月九日、七五歳で死去。

「2023年 『芝居の面白さ、教えます 日本編』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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