- Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
- / ISBN・EAN: 9784122061842
作品紹介・あらすじ
早稲田大学在学中から堺利彦が率いる売文社に出入りをし、社会主義運動に関わりながら、様々な弊害を乗り越え活発な創作活動を続ける。文壇登場までの青春の日々、宇野千代との出逢いと別れ、代表作『人生劇場』にまつわるエピソードや戦時下での従軍体験、日本文学報国会での苦悩を回顧する。絶筆となった自伝的随筆を初文庫化。
感想・レビュー・書評
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「風蕭々」を読んで気になっている。
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古い文豪たちの交遊を筆者尾崎士郎を中心にして描いた随筆。
時代背景を考えながら読むとなかなかに興味深い。
「人生劇場」を読んでみたくなった。 -
死なば死ね生きれば生かせ死ぬものを生かすというは殺すなりけり
尾崎士郎
自伝的小説「人生劇場」で知られる作者。その大作の「青春編」は、もとは新聞に連載されたものだったが、単行本化された昭和初期には数百部しか売れなかったという。ところが、川端康成が激賞したことで一変。ベストセラーとなり、映画化も何度もされ、今日では代表作となっている。
まさに劇的な「人生」を送った尾崎士郎は、1898年(明治31年)、愛知県生まれ。「四十六年」の作家人生を回顧したエッセーが、つい先日、文庫本になった。単行本は、没年である1964年刊であり、まさに「絶筆」でもある。
文学論争に明け暮れた大正・昭和期の、東京での交友関係が詳述されているが、作家宇野千代との結婚と離婚については、ほんの数ページの記述にとどまっている。
けれども、「私に文学眼をひらいてくれたものは宇野千代女史であった(略)それだけは、この機会にハッキリ断言しておきたい」という一文からは、感情以上に、文学者同士の深い敬愛も読み取れる。
その後、時代は長い戦争へ。中央公論社の特派員として中国大陸に渡り、さらに内閣情報部等の要請で従軍作家にもなった。
惜しむらくは、総力戦下の「日本文学報国会」の記述途中で筆が断たれていることだが、軍人と民間人との距離感が率直に書かれており、読みどころと思う。
掲出歌は巻末にある「病臥日記」より。投げやりな歌ではなく、50歳にしてさずかった長男への愛惜が込められており、長男の名前を付けたもう一つの終章「俵士」【ひょうじ】も、胸を打つ小文だ。
(2015年11月15日掲載) -
文壇登場までの奮闘、宇野千代との出逢い、代表作『人生劇場』に纏わるエピソード、戦時下の従軍体験などが満載。絶筆となった自伝的随筆を初文庫化。