本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
Amazon.co.jp ・本 (544ページ) / ISBN・EAN: 9784122062108
みんなの感想まとめ
歴史の激動期における建築と文化の交差点を描いた作品は、作者の独自の視点が光る日記形式で綴られています。特に、ヒトラーのナチスが台頭するベルリンでの体験は、当時の緊迫した社会情勢を鮮明に伝え、読者を引き...
感想・レビュー・書評
-
谷口吉郎は東工大水力実験棟や東博東洋館の設計者で、現代建築家の谷口吉生の父親でもある。研究室でちょっと関わってたこともあり本書の存在は知っていたが、文庫になってて初めて読んだ。
本書は主にベルリンを中心とした訪欧中の日記なのだが、驚いたのがそのタイミング。ヒトラーのナチスが台頭するベルリンに到着した夜に、「水晶の夜」として知られる大規模な反ユダヤ暴動が発生。滞在一年後には、ドイツは突如として独ソ不可侵条約を発表しポーランドに電撃的に侵攻を開始する。谷口は、戦局に追われるように、最後の避難船に飛び乗ってやっとのことで帰国する。その間、チェコからのヒトラー凱旋を見たり、アルベルト・シュペーア(ほぼ同い年)に会ったり、稀有な体験をしている。
雪あかり日記が公開されたのは昭和19年から20年の敗戦の直前と言うことを考えると、よく検閲を通ったと思う。いろんな意味で貴重な書で、もっと早く読んでもよかった。
建築的には、シンケルの影響や、ファシズム国家間での芸術統制の違いなどを考察している。ナチス・ドイツは伝統主義に回帰し、モダニズムや表現主義などの前衛芸術は排撃されたが、ドゥーチェのイタリアでは未来派以来の伝統か、むしろ前衛的な表現が政治的にも積極的に利用されている。谷口はイタリアに好意的だが、その鋭い審美眼は、イタリア・モダンに粗雑さや雑駁さといった粗野な性格も見てとっている。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
滋味豊かな文体で500ページを超える一冊だが、いつまでも読み続けていたいと思わせる。
文末の解説は作家の堀江敏幸が書いているのだが、その解説の通り、同時代の日記でありながらヒトラーの行く末を予言した様な筆致は著者の冷静かつ優れた視点を雄弁に物語る。
又、雪あかり日記は1944年から翌年にかけて雑誌に連載されていたのだが、戦時下でよくドイツ迷走の可能性を示唆する言葉が検閲を通過して活字になったものだ。
同盟国に関する言論統制は自国並みに行うのがいい悪いとは別に当然だと思うのだが。連携の欠如が戦争の行く末を暗示するようだ。
LVDB BOOKSにて購入。 -
2019.11.16
-
数多くの名建築を残した谷口吉郎氏が、第二次世界大戦前夜のドイツという特殊な環境下で、ドイツやヨーロッパ各地の建築を巡礼していく様子が描かれた二作品。美しい作品の描写と、その時代の緊迫感が共存していて、夢中になって読んだ。建築のみならず文章構成の明快さも見事。
-
一九三八年、ベルリンに赴任した若き日の建築家。建設総監シュペールとの面会、開戦前夜の市民生活などが透徹な筆致で語られる。〈解説・堀江敏幸〉
この本が好きな人におすすめの本
著者プロフィール
谷口吉郎の作品
本棚登録 :
感想 :
