怒り(上) (中公文庫)

著者 :
  • 中央公論新社
3.84
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本棚登録 : 3278
レビュー : 283
  • Amazon.co.jp ・本 (310ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122062139

作品紹介・あらすじ

若い夫婦が自宅で惨殺され、現場には「怒」という血文字が残されていた。犯人は山神一也、二十七歳と判明するが、その行方は杳として知れず捜査は難航していた。そして事件から一年後の夏-。房総の港町で働く槇洋平・愛子親子、大手企業に勤めるゲイの藤田優馬、沖縄の離島で母と暮らす小宮山泉の前に、身元不詳の三人の男が現れた。

感想・レビュー・書評

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  • ミステリーなのか、ヒューマンドラマなのか…上巻を読んだ限りでは全くストーリーの全貌が見えて来ない。冒頭に描かれる惨殺事件と全く無関係に描かれる順風満帆とは言えない人びとの暮らし。この先、どう事件と絡んで行くのだろう。

    若い夫婦の惨殺事件。事件現場には『怒』の血文字が残され、犯人は27歳の山神一也と判明したが、山神の行方は分からず、警察の捜査は難航する。1年後、槙洋平と愛子の親娘、ゲイの藤田優馬、沖縄の離島に母親と暮らす小宮山泉の近辺に素性不明の3人の男が現れる。

    山神一也は3人の男のいずれかなのか、はたまた、全く違う人物なのか…

  • 人の思い込みは怖い。

    表面上の付き合いだけでは、本当の姿は見えていない。ただし、それを疑って、自分の見えていないところを信じてしまうこともリスクがある。やっぱり自分が見えているものを強く信じるしかないんだな、そうじゃないと大切なものを失ってしまうと感じた。

    四つほどの話が並行して進んでいき、殺人犯を軸にして繋がりそうで繋がらない。こういう話は重なり合っていく瞬間が楽しかったのだが、別個に物語が進んでいっても繋がりを感じるような話でのめりこめた。

  • 怒りは犯人を追いかけることより3組の暮らしぶりを楽しむものだったと思う。

    人間関係においての信頼について深く考えさせられる作品だった。自分はなにげなく友人と付き合ってきて面倒なことから目をつぶってきたのかもしれないと思ってしまった。人と関わっていくにつれて知られたくないことと知りたいことは必ずあるわけでそれを知らないでおいてもいいかと思える自分は薄情なのかもしれない。

    全体をみて、ぞくっとさせられる部分があった。
    他人がなにを考えているかわかっているつもりでもすべてを理解することはできないし、ほとんど理解することも不可能なのかもしれない。
    面白い作品だった。

    • れもんさん
      フォローありがとうございますm(_ _)m
      フォローありがとうございますm(_ _)m
      2018/10/10
    • ヒサハラチアキさん
      いきなりフォローしてしまってすみません
      いきなりフォローしてしまってすみません
      2018/10/11
  • 「信じる」ことの困難さを改めて思う。信じることは、信じる自分そのものを信じねば成り立たないことなのだ。この作品が示すものは、人間の弱さ故の、信じることの無力さ、貴さだろう。
    そして怒りはまた、どこかで信じるものと密接に連動していく。無力さへの怒りもあれば、信じるものゆえの怒りもある。得体の知れない怒りもまた、信と何処かで内的に繋がっているのかもしれない、と思わせる作品だった。

  • 人を信じる気持ちってとても難しいと思わされた作品。身近に居る人が連続殺人犯かもしれないと疑ってしまった自分の気持ちって本当に辛いだろうなと読んでて切なかった。
    洋平が愛子を、優馬が直人を信じられなかった気持ち、辰哉の泉を守れなかった気持ち、それぞれの心理描写が胸をしめつけた。
    映画のキャストをはめ込んで読んでみたけど、どの人もピッタリハマってると思う。愛子と泉がどう演じられてるのか観たいなと思った。
    吉田さんは文章も読みやすくてこういう人の悪の描き方が悪すぎなくて少し光もある感じが好きな感じ。

  • 読み始めてすぐに「あの事件?」と気づきました。三人の身元不明の男のうち誰が犯人なのか、事件を知っている人なら予想できるので、ミステリーの要素は少ないのですが、それでも十分楽しめます。特に愛子の父親の娘を思う複雑な気持ちには非常に共感しました。個人的にはゲイカップルの話はピンと来なかったです。

  • 映画版を観てあまりの完成度の高さに衝撃を受け、原作も読んでみることにした。人が人を信じるに足るだけの理由とは何だろう。なぜ、人は誰かを信じたいと願うのか。きわどいと捉えられるような性描写が作中でとりあげられているのも、人と人とが関わりながら生きていくことの難しさを強調しているように感じた。「信じていたから、許せなかった」という台詞が印象的だった。

  • 始めの殺人事件から、3人の身元不詳者が現れる展開はおもしろかった。けれど、目まぐるしく、3人について場面が切り替わり書かれているため、少し読みづらくなかなか読み終える事が出来なかった

  •  冒頭からいきなり「あれ」そっくりの事件が描かれたと思ったら、やがて「あれ」も、「あれ」も!……(゜o゜;
     10年後20年後の読者にはそこらへんがよく分からなくなってるかもしれないから、モデルになった実際の事件の記憶がまだ生々しい「いま」読むことに大きな意義のある作品かも( ´ ▽ ` )ノ

     しかし、息苦しい小説……(´ェ`)ン-…
     出てくるキャラ出てくるキャラ、みんな(手垢のついた表現ながら)生きることに不器用で、自ら不幸へ不幸へ転がっていってる感……(´ェ`)ン-…
     共依存というべきか、またそういう者同士が惹かれ合って、不幸を倍加倍加させていって……(´ェ`)ン-…

     視点があっちこっちして少々しんどいところはあるけれど、読み応えのある作品( ´ ▽ ` )ノ
     下巻がたのしみ( ´ ▽ ` )ノ

    2019/02/08



     これで我がブクログレビューも500本めか( ´ ▽ ` )ノ
     たしか400本めも修ちゃんだったから、なかば意図的に今回も彼の作品を選んだ( ´ ▽ ` )ノ
     どうせだから、600、700本めも修ちゃん本にしようか?( ´ ▽ ` )ノ

    • きーちゃんさん
      ブクログレビュー500件目、おめでとうございます!節目節目のレビューが吉田作品という事でつい、コメントしてしまいました(笑)私も怒り読みまし...
      ブクログレビュー500件目、おめでとうございます!節目節目のレビューが吉田作品という事でつい、コメントしてしまいました(笑)私も怒り読みましたが、本当に不器用なキャラクター多いですよね(*_*)なんでしょう、自分の気持ちを伝えることも生きることに関しても。そして、例の指名手配犯なんじゃないか?ってそれぞれのキャラクターが疑うところも、この作品の不気味さ?を引き立ててると感じましたし、目の前の人間を信じる事の難しさも痛感する作品ですね。吉田作品だと他に、横道世之介も好きです!あ、長々と失礼しました。
      2019/02/08
    • zerotester21さん
       ありがとうございます( ´ ▽ ` )ノ
       本書を読んでるとどうしても、「例の指名手配犯」の顔写真が頭にチラついちゃいますね( ´ ▽ ...
       ありがとうございます( ´ ▽ ` )ノ
       本書を読んでるとどうしても、「例の指名手配犯」の顔写真が頭にチラついちゃいますね( ´ ▽ ` )ノ

       いずれ読もうと思っていたし、600本目は「横道」にすべく努力します( ´ ▽ ` )ノ
       たぶん1年半くらい先の話になるだろうけど( ´ ▽ ` )ノ

      2019/02/10
      2019/02/10
  • 正直あまり楽しめなかった。伏線めいたものも回収されず、結末も納得感のあるものではなかった。

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著者プロフィール

吉田 修一(よしだ しゅういち)
1968年長崎県生まれ。法政大学経営学部卒業後、スイミングスクールのインストラクターのアルバイトなどを経験。1997年「最後の息子」で第84回文學界新人賞を受賞しデビュー。同作は第117回芥川龍之介賞候補にもなった。2002年『パレード』で第15回山本周五郎賞を同年「パーク・ライフ」で第127回芥川龍之介賞、2007年『悪人』で第61回毎日出版文化賞及び第34回大佛次郎賞、2010年『横道世之介』で第23回柴田錬三郎賞、2019年『国宝』で第14回中央公論文芸賞をそれぞれ受賞。2016年には芥川龍之介賞選考委員に就任している。その他の代表作に、2014年刊行、本屋大賞ノミネート作の『怒り』。2016年に映画化され、数々の映画賞を受賞。

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