警視庁捜査一課・碓氷弘一3 - パラレル - 新装版 (中公文庫 こ 40-26 警視庁捜査一課・碓氷弘一 3)

著者 :
  • 中央公論新社
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感想 : 22
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  • Amazon.co.jp ・本 (427ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122062566

感想・レビュー・書評

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  •  警視庁捜査一課、碓氷弘一。 46 歳。まだ巡査部長で出世は遅い。腹の出た体型をくたびれた背広に包み、薄くなってきた頭髪を気にするサエない中年男だ。

     そんなベテラン刑事が泥臭く事件解決に奔走する警察サスペンス。
     シリーズ3作目。
             ◇
     横浜市緑区。車で通りかかった会社員の男が路上でうずくまる女性を発見。女性は全裸に近い姿で放心したように宙を見つめている。

     男は車から降り、女性に近寄ると上着を脱いで女性の肩にかけてやろうとした。すると男に気づいた女性は我に返ったように悲鳴を上げ、近くに停められた白いワンボックスカーを指さした。
     そこには若い男3人が、まるで壊れた人形のような状態で倒れていた。
              (第1話) 全23話。

         * * * * *

     今回の作品の特徴は2つあります。

     1つめは、警察サスペンスというよりオカルトとバイオレンスにウエイトを置いた展開になっているということです。
     つまり、もはや碓氷弘一の手には負えない事件であると言えるでしょう。

     だからか、碓氷の立ち位置がこれまでの作品と違っていました。これが2つめの特徴です。
     碓氷が1步引いて動くのは同じなのですが、これまでのような人使いのうまさを発揮してのことではなく、常識論に囚われるあまり核心に迫ろうとする相棒の捜査を邪魔してしまう存在になっています。

     なぜそうなったか。その理由は登場人物にありました。

     碓氷の手に負えないオカルト分野においては鬼道衆のお祓い師、鬼龍光一が相棒の奥州勢お祓い師の安倍孝景を伴い登場。
     さらに役行者が憑依した賀茂晶が赤岩猛雄と水越陽子を左右に従え登場。
     もちろん彼らと警察を繋ぐ役割で、鬼龍には警視庁生活安全部の富野輝彦が、賀茂には神奈川県警生活安全部の高尾と丸木の2人が、それぞれついています。

     また、バイオレンス分野においては武道家で整体師の美崎照人が赤城竜次巡査部長の依頼を受けて活躍します。( ちなみに赤城とコンビを組むのが碓氷で、どちらかと言えば赤城の邪魔をするような行動を取りがちです。)

     鬼龍、賀茂、美崎と、他シリーズの主人公たちがゲスト出演していて、彼らの信頼篤い警察官も登場するのですから、碓氷の出る幕はないのも当然でした。

     本来は主役であるはずの碓氷にとって気の毒な役回りでしたが、今回はホストに徹したということで脇役に甘んじてもらいましょう。
     そして碓氷の名誉挽回は、シリーズ続編でしてくれることを期待しています。
    (『任侠』シリーズではしていましたね。)

     ともあれ、エンタメとしてはこれ以上ないほどの出来でとても楽しめました。
    (内容については触れません。実際にお読みになってくださいね。)
     それにしても今野敏さんの発想力、すごいですね。

  • 記念すべき今野敏さん100冊目はこの作品でした

    2004年の作品
    当時人気の四作品の主人公が一堂に会してます
    リアルタイムで読んでいたらもっとワクワクできたかも

    そして今野敏さんの技が光る作品でした
    四作品は警察小説、格闘小説、伝奇小説と微妙に趣が異なるんですが、それぞれの主人公を均等に活躍させていました
    これってそれぞれの主人公の得意分野がうまく織り混ざった事件を用意しなきゃならないわけで、それがまずすごいんです
    そしてそれぞれにちゃんと見せ場があって
    うーん、やるなぁ、さすがっす

    そしてこの作品読んで思ったのは、今これやったらすごいことなるで!ってこと

    読みたいような、読みたくないようなw

    • 1Q84O1さん
      ひまわり師匠、遂にやりましたね!
      100冊組み手おめでとうございま〜すヾ(*´∀`*)ノパチパチパチ~
      ひまわり師匠、遂にやりましたね!
      100冊組み手おめでとうございま〜すヾ(*´∀`*)ノパチパチパチ~
      2023/03/18
    • ひまわりめろんさん
      わー、ありがとう!
      一Qさんも目指せ1984冊!(ないわ!)
      わー、ありがとう!
      一Qさんも目指せ1984冊!(ないわ!)
      2023/03/20
    • 1Q84O1さん
      敏さん1984冊制覇まで、あと1921冊!
      長い道のりです(゜o゜;
      敏さん1984冊制覇まで、あと1921冊!
      長い道のりです(゜o゜;
      2023/03/20
  • 碓氷弘一シリーズ第三弾。繰り返される謎の少年殺人事件を、碓氷、赤城の二人とお祓い師二人、そして高尾、冨野、丸木と役小角が憑依した高校生という二つのグループがそれぞれの”能力”を駆使し犯人に迫るという構図です。

    一作目から順に読んでいますが、本作が今のところシリーズ中で一番面白かったです。

    お祓いとか憑依とか、警察ものでそんなストーリーになること自体、ちょっと受け入れがたい部分がないではありませんが、そこは劇中の刑事たちもどうやって上層部に説明するか、納得させるかを思案しながら、うまくオブラートに包み説明、なんとか理解を示した上官の姿は我々読者とも重なる部分があるのかなと感じました。

    事件のほうには謎解きを楽しむ要素はありませんが、ちょっと不思議な”力”を使うことができるキャラの登場、そして物語後半ではその二つの”力”を結集して事件解決に導くという展開。犯人側にも一種不思議な力が宿っており、これをお祓い師や憑依した役小角が暴いていくところなどは、文字通り憑き物が落ちたような非常にスッキリとした読み応えです。

    それにしてもこのシリーズにおける碓氷の存在は相変わらずちょっぴり脇役というか、影が薄い部分があります。それもそのはず、あとがきで知りましたが、本作の登場人物は著者の他の作品で登場した人物を集合させたものなのだそう。ただ、そんなシリーズだからこそ、毎回違ったキャラが登場して物語を盛り上げてくれている、ワンパターンに陥らずに済むというメリットもあるのかもしれません。

    また、本作については活字よりは映像向きでは、とも思います。お祓いとか憑依とか、どう考えても映像のほうが臨場感が出るでしょうし、事件そのものも複雑なものではないので、映画にすれば楽しんで鑑賞できる作品になるのではないかと。

  • 何でこんなおもろいん!!!

    美崎先生の闘うシーン、碓氷がやられるシーンがめちゃくちゃドキドキした。。

    各シリーズの主役級が登場していたらしい。それが分からないのが悔しいのと同時に、もっともっと今野敏シリーズ読まなきゃ!!と思った作品。

  • 2004年2月中央公論新社刊、2006年5月中公文庫刊のパラレルを新装して、2016年5月中公文庫から刊行。碓氷弘一シリーズ3作目。お祓い師が登場する「豹変」を先に読んでいたので、すんなりストーリー世界に入れ、堪能できました。どこがパラレルなんだろうと読んでいましたが、シリアル・キラーのシリアルに対応したものとは考えつきませんでした。なるほど。

  • 碓氷弘一シリーズ第3弾。順番に読んでるけど、ここまででこれが一番面白かった。
    今野作品は警察ものしか読んだことないのだけど、著者のほか作品の登場人物も出ていたようで。得意分野なんだな、この手の話。

  • 3月-1。3.0点。
    碓氷弘一シリーズ第三弾。
    女性を襲おうとした少年3人が、殺害される。同様に不良少年3人組が殺害され、連続事件に。加害者は武道の達人との見方が。

    今野敏のシリーズメンバーが出演。伝奇、武道と盛りだくさん。
    サラッと読める。

  • 多ジャンルの融合。主役は誰?と思いながら読んでいた。面白かったけど、刑事たちの存在感は薄かった。

  • 既読本。記録のため登録

  • 2013.10.28

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著者プロフィール

1955年北海道生まれ。上智大学在学中の78年に『怪物が街にやってくる』で問題小説新人賞を受賞。2006年、『隠蔽捜査』で吉川英治文学新人賞を、08年『果断 隠蔽捜査2』で山本周五郎賞、日本推理作家協会賞を受賞。

「2023年 『脈動』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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