• Amazon.co.jp ・本 (303ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122063532

感想・レビュー・書評

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  • *五本指ソックスのはき方からオヤジギャグを放つ方法まで、大人を悩ますマナーの難題に作家や芸人十二人がくりだす名(迷)回答集。座を温めたい、のどかに生きたい、美を匂わせたい…この一冊が、日々の小さなピンチを救う。笑いながら粋な暮らしのヒントが見つかる、新しいマナー考*

    それぞれの著者が、一つのマナーについて見開きの2頁で見解を述べているエッセイ集。ぱらぱらと気楽に読めるのに、ほほうと感心したり思わず噴き出したり、なんだかお得な気分になります。大好きな作家さんが多いので尚更。特に、町田康さん、三浦しおんさん、津村記久子さん、井上荒野さん、平松洋子さんのエッセイが一堂に会しているなんて、本当に夢のよう。私にとっては贅沢過ぎる1冊でした。

  •  人前で物事を発言する際のマナーというものがある。しかし、個人的な日記など、自分が自分に対してだけ発言することにまつわるマナーは特にない。マナーを守って共感を得るか、好き放題に立った一人で考えるか、どちらがいいとは言えないけれども、「誰にも言わない」ことの内実は、大半が降らないが、たまに豊かで、常に自由である。必ずコメントを付けてくれる先生は、もういないのだし。(p.39)

     相手に無用の緊張を与えないためにも、どんな語彙も平板に発音するよう心がけ、例えば、テポドン、といったような語彙も、普通に最初の音節を高く発音すると深刻で、嫌な気持ちになるので、これも平板に、牛丼というのと同じ調子で平板に発音するべきで、そうすることによって嫌な気持ちが薄らぎ、その結果、誰も責任を取らなくてよい、明るくリラックスした楽しい社会が実現したような気分になれるのである。(町田康p.47)

     当たり前ではあるが、ラジオは音のみで表現しなくてはならないので、「実家から、こんなに大きいジャガイモを送ってきた」と身振りで喋ったとしても伝わらないので「実家から木魚ほどの大きなジャガイモを送ってきた」など比喩を使ってリスナーにその大きさを想像してもらわなければならない。
     しかしながらゲストで来るミュージシャンなどはそんなことまで考えてくれるはずもないので「この前、このぐらいのカナブンがいて!」と興奮気味に話している、その横で即座に「ほう。500円玉くらいの」と比喩して、さらに「それが、ここに飛んできて!」と盛り上がるゲストの話を止めないようにして「ほう。鼻の下に!」と解説する必要がある。(劇団ひとりpp.214-215)

     面白い話などなくても、人は息をしているだけで笑える。馴れ合うのではなく、いつも初対面のつもりで息をのむ。二話目っこもそうだが、何もしない顔というのが一番面白い顔で、ただ見ているだけでも「ぷっ」とふき出せる。(高橋秀実p.239)

     もともと地上に道はない。歩く人が多くなれば、それが道になるのだ。—この魯迅の名言の中の「道」は、理屈など関係なく、幾分マナーに通じるのではないかと、そんな気がしてきた。(楊逸p.296)

  • 作家や芸人、哲学者等12人の著名人がマナーをテーマに書き綴るエッセイ集。

    マナーといってもシチュエーションは千差万別。
    買い物やお辞儀、SNSなど「マナー」がありそうなものを
    テーマとして取り上げることもあれば、
    「居留守のマナー」「最弱のマナー」など、それは最早マナーなのか、と思われるものがテーマとして取り上げられることも(というかそちらの方が多い)。

    はては「ルールのマナー」や「マナーのマナー」なんかもでてきてマナーがゲシュタルト崩壊。

    たまに佐藤優や楊逸(敬称略)あたりが深イイマナーの話をしてくるが、基本的にはクスッと笑える話がほとんど。
    肩肘張らずに読める系。

  • 作家それぞれの個性が出てて面白い。
    もはやエッセイなものもあるが、読ませるのはさすがで満足感あり。

  • サラサラと、読み流す。劇団ひとりや町田康、楊逸や津村記久子etc
    それぞれにクセがあるようで、実はみんなゴーストライタの筆のようにも見える。不思議やな。

  • マナーの治外法権に達する 多くの日本人の体はアルコールを分解する酵素が一つ足りないらしい これを裏返せば「◯◯や僕たちがいて君がいない」の万能弔辞となる 枕詞 五本指ソックス水虫対策グッズ 水面下の脚の動きなどつゆほども感じさせずに湖面を滑っていく白鳥のように ひよりみ日和見で採用しているというのが正直なところ しゅきん手巾 端正な佇まい おためごかしな会話 平板なアクセント 世慣れた感じ 忌み嫌っている どうしたって脳裏にはドロップの缶を持った節子の顔を思い浮かべずにはいられない 鬱ぎ込み まぐわいの序 恐らくはこのレベルのディテールの間違いが108個くらい隠れているに違いない 物事は公平に捉えると優劣が浮かび上がる。不公平なら文句も言えるが、公平には容赦がなく、劣っている方が平伏すというのがマナーなのである。 「革命をしたいと思っていたが、僕は逃げた。佐藤君、人は誰でも逃げなくてはならないような時がある。その時重要なのは『逃げた』ということを正確に記憶することだ。逃げたのに闘っていると誤魔化すのが一番いけない」 他愛のない掛詞 思いついた端から垂れ流してしまう 同音異義語が次々に連想され 加齢と共に語彙が増え 卑近な 民俗学者の柳田國男 袖擦り合うも他生の縁 目礼をして親和の情を提示しておく 襖 お目出度い がんみん頑民 賜わり 選良 ぞうちょう増徴 慶賀すべき 呪縛 そこは世間の縮図または伏魔殿 うやうや恭しくも美しいこの日本の礼儀作法は 一念発起して 趣味 taste 味わい 体を使って探すことで探究心を鼓舞する 新宿も我がフリースの関所に非ず 薄暑の候はくしょのこう 誰に何を謙譲しているのだ その結果、早世するのも最低限のマナーで、できれば三十前には死んでおきたい。 なぜなら人間は自分が感動していることに感動できるからで 自分が自分であることに感動し と念願する自分の感動の嵐が丘にヒルクライム 悪口雑言 言霊の幸ふ我が国において ミジンコの性奴隷 いじめが恒常化 カネフスキー 放吟 拙宅 調子っぱずれの昭和歌謡とリズム感皆無のヒップホップのでドッキングみたいな、音感のまるでない僧侶の読経の如きものになっている。 寂しいと歌うんだ 思いがけず文学的な返答で驚く 宵っ張り こういう裏切り行為はとても醜悪で 小菅ヒルズ=東京拘置所 情報は力だ。事前に正確な情報を得ることが力の源泉になることは民間においても変わらない。実際には狡猾な根回しをしていても、外から見えないようにする知恵をつけることだ。 自分は無力だと知った人の眼差しは、無力だと知らない人の眼差しより、おそらくは柔和である。 自分の器の全容が少しずつ見えてくる。十分ほど湯船に漬けて、紅茶と甘いものを入れてやると、ぼちぼち機能しますよ。未知数のわくわく感はないが、比較的扱いやすい奴なのではないか。 元々地上に道はない。歩く人が多くなれば、それが道になるのだ。この魯迅の名言の中の「道」は、理屈など関係なく、幾分マナーに通じるのではないかと、そんな気がしてきた。 敢えて明文化しないで 汚染した猿股 まち町田康

  • マナーって相手への思いやりだけど、押しつけるものでもない塩梅。だから人によって様々。いろんなジャンルの人が考えるマナーを集めたちょっとサブカル的なエッセイ。 中でも鷲田清一さんの文章は入ってきました

  • それぞれの作家が思う様々なマナーについて、巧みな表現力と有り余るユーモアで綴られている。電車で読むには面白すぎる。家でひとり笑いをこらえることなく堪能したい、そんな一冊。

  • 高校の小論文の授業を思い出した。

    見開きで「○○のマナー」について書かれている。

    三浦しをんが読みたくて読みました。
    しかし、別の二人の語り口が気になって仕方なかった。(悪い意味で)

  • 好きな人たちがこうも名を連ねていては、読まずにはいられない。
    鷲田清一、町田康の文章が特に面白い。
    発音のマナーが秀逸!
    お風呂が必要とか紅茶と甘いもので仕事ができるとか、自分を取り扱うためにマナーが必要になってきたというのに共感。

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著者プロフィール

赤瀬川原平(あかせがわげんぺい)
1937年横浜市生まれ。本名・赤瀬川克彦。愛知県立旭丘高等学校美術科卒業、武蔵野美術学校油絵学科中退。画家・作家。60年代はネオ・ダダ、ハイ・レッド・センターに参加、前衛芸術家として活躍する。70年代は、『櫻画報』などでパロディー・漫画作品を発表。1979年作家・尾辻克彦として執筆した『肌ざわり』で中央公論新人賞、81年『父が消えた』で芥川賞受賞。86年路上観察学会創立に参加。その後ライカ同盟、日本美術応援団を結成。
主な著書に『オブジェを持った無産者』『超芸術トマソン』『カメラが欲しい』『赤瀬川原平の名画読本』『正体不明』『新解さんの謎』『老人力』『四角形の歴史』『東京随筆』など他多数。2014年10月「尾辻克彦×赤瀬川原平 文学と美術の多面体」展(町田市民文学館)「赤瀬川原平の芸術原論 1960年から現在まで」展(千葉市美術館)開催。同月26日逝去。

「2018年 『赤瀬川原平 カメライラスト原画コレクション』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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