Red (中公文庫)

著者 :
  • 中央公論新社
3.58
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本棚登録 : 2145
レビュー : 196
  • Amazon.co.jp ・本 (503ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122064508

作品紹介・あらすじ

2020年2月、夏帆&妻夫木聡の共演で映画化決定!

夫の両親と同居する塔子は、イケメンの夫と可愛い娘がいて姑とも仲がよく、恵まれた環境にいるはずだった。だが、かつての恋人との偶然の再会が塔子を目覚めさせてしまう。胸を突くような彼の問いかけに、仕舞い込んでいた不満や疑問がひとつ、またひとつと姿を現し、快楽の世界へも引き寄せられていく。上手くいかないのは、セックスだけだったのに――。『ナラタージュ』の著者が官能に挑んだ! 著者最高傑作。

感想・レビュー・書評

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  • イケメンの夫。可愛い娘。
    夫の両親と同居しているが、姑ともうまくやっている。
    何不自由ない幸せな暮らしだったはずが、、、

    友人の結婚式でかつての恋人と偶然出会う。
    彼との再会で、胸に仕舞い込んでいたあらゆる気持ちが解放されてゆく。



    初めての島本先生の本。直木賞作家であることは知っていたが、私の好みのジャンルとは違っていたので手に取ったことはなかった。

    映画化が決まってか、書店に大々的に売り出されていた為、まんまと購入させられてしまった(笑)


    私も正社員でずっと働き続けながら、2人の子供を育ててきて、育児も家事も全く協力しない夫を持っているので、主人公の気持ちが痛い程分かる場面もあった。

    しかし、塔子は奔放過ぎないか!?とやや引き気味の自分もいた。

    田舎のおばさんにはびっくりな展開で、一体これで最後はどうなるの!?とハラハラドキドキしたが、消化不良を起こすような展開ではなく、見事にエピローグへ繋がっていった。

    読み始めは、何だ、少女漫画の延長か!?と思ったが、しっかり読ませてもらいました。

    島本先生の別の作品も読んでみたい(*^^*)

  • なかなか刺激的な内容だった。一般的に男の方が不倫をするものと言われるが、当たり前だが相手あっての事なので、不倫をする女性側の気持ちの揺れ動きについてなるほどなと思わされた。しかしながら、主人公のお酒を飲んでいい男に言い寄られると結構無防備な感じがハラハラしたし、ちょっとどうなの軽すぎだろう、と正直思ってしまった。

  • 塔子大嫌い!だけどやっぱり島本さんの恋愛の描写はさすがだなと思うし、鞍田さんとのドライブのシーンとか、失恋を思い返す描写とかは好きだった。あと女の人の書く濃密な性描写はなんだか勉強になるなと思った。女の人本人の快感や自分からする行為の細かさ、貴重だなと。

    わたしは塔子の気持ちが全然分からない。自分の幸福が何なのかよく分かるし自分がしたいように振る舞える。でも、一瞬だけでもとにかく好きという気持ちはよく分かる。孤独を溜め込むと歪んで弾けてしまうんだろうか。溜め込んでいくものがうまく抜けていったりしないんだろうか。翠ちゃんは大丈夫なのかなとか、こんな気持ちも勝手だなと思ってしまうけど。

    島本さんの書く、既婚者じゃない大人の恋愛を読みたいなあ。

  • 恋愛小説だった。母として、妻として、嫁として、女性として生きながら、今を迷う彼女を近くにも遠くにも感じながら、最後まで読んだ感想は、「あぁ、これは恋愛小説だったんだな。」ということだった。
    夫の両親と同居をしながら、2歳の子どもの育児と家事に追われている塔子。優等生である自分を必死に守りながら暮らしていたが、友人の結婚式で、昔の恋人、鞍田さんと再開した所から、沼にはまっていくように、ずぶずぶと、二人の関係は濃度を増していく。塔子が仕事をしてから出会っていく人たちとの中で、今まで守ってきたものや価値観が、本当に自分が望んでいる姿ではないことに気づいていく。この先に、何が見えるのか。
    最後の最後まで、どうなるんだろうと思いながら読み進めていましたが、終わりは少し青春を感じさせる爽やかさを感じて、なるほど、恋愛小説だったんだなと思えました。

  • フランス文学風にいえば
    「他者との関わりの関係性を思索的に体験することの合理性」
    となるのかな
    でも、紛れもなく日本社会の不合理性の中での自己確立の文学ですが

    平凡だけどハンサムな夫、舅姑と同居するも仲良く
    穏やかでしあわせな、いい条件の結婚
    しかし、可愛い娘が生まれたけれども、仕事復帰がうまくいかなかった
    それには夫の協力が少しもなかった、など
    壊すまいと自分だけが我慢しているかの漠然とした不安と不満

    そして、若いときの愛人に再会し、不倫に走ってしまう
    その彼は謎めいていて、再教育するような逢いかたに心も体も刺激される
    そのつきあいから次第に自己に目覚めるヒロイン

    なぜフランス文学を持ち出したかというと、
    性愛や快楽の圧倒される描写からヒロインの自覚が始まるからです
    恋愛大国のフランスならではの自己確立と自立に悩む姿
    昔読んだボーボワールの小説を思い出しましたので

    自分が何者か知らなければどのような関係もなりたない
    ヒロインは世間知らずというか、幼さから脱皮していなかったのです
    夫も姑も自己を持った他人であることをわからなかった

    島本理生さんの作品は初めてですが、見抜く力が鋭い作家さんですね
    自己確立は年齢に関係性はありません
    いつわかるのか?一生知らないままなのか?
    興味深いことです

  • 不倫は辛そうだ。子供がいたら尚更。
    終わる時が特に辛そうだ。

    私は結婚して7年経ちますが、夫以外に、本当に好きな人が出来てしまったらどうしよう。と何回も考えた事があります。
    好きになって関係を持つまでは躊躇なく進みそうですが、その後が本当に面倒くさそう。

    そして最近強く思うこと。
    うちの夫はめちゃくちゃいいヤツだ。
    本書を読みながら、主人公の旦那みたいな人だったら、私はもって5日くらいだろうなぁと、夫の有り難みを噛み締めました。

    でもやはり、本当に好きだと思える人と出会ってしまったら、私はアッサリとその人の所へ行ってしまう気がする。

  • 「ずっと自分のままでいるなんて、とてもそんな緊張感に耐えられない。私を、私に還さないで。」

    「愛とは見返りをもとめないこと。純粋に与える愛こそ美しい。そんな文句は、あくまで国の象徴のように生かしながら、その実、結局は『愛する』だけじゃだめで、『愛され』なきゃ意味がない、と堂々と主張している」

    「どんなに高尚な本を読んだり複雑なシステムについて学んでも、1番身近なコンビニの棚は、愛されだのモテだの婚活だの不妊治療だのの文字で埋め尽くされていて、仕事の悩み特集は大半が白黒ページで、外見も所作も内面もすべて美しくなってモテたり結婚したりするためのカラーページの影なのだ」


    これーーーーー!!!!
    よく言った、島本理生という感じだった。全女性が知らず知らずのうちにかけられている「女は愛嬌」ならぬ「女は愛されなければいけない、モテなければいけない」という呪い。

    それに、答えを出してくれたのは主人公の同僚だった。

    「そんなにずっと安定して好かれて安心できないと愛とか呼べないもん?セックスだって会話だって、長くいりゃあ、かならずいつか飽きるし。人生でほんの一瞬でも本気になれたら、十分じゃないの」

    「彼が私を愛していないということにこだわるのは、私自身が愛とはなにか分からないからだと」

    “一瞬でも本気になれたら十分なんじゃないの”って。気持ちが離れていくことに臆病になって、ずっと愛されていなければいけないような気がしてくるけど、それでいいんだよなぁって。

    不安になるのは愛を掴めていないからなんだよなぁって。

    この作品はパッと見、不倫小説に見えるけど、主人公が不確かに感じていた”愛”を定義しなおしていく物語なのだ。誰とくっつくとかそういうことが議題ではなく、それを見つけられたら十分。Redって「一瞬」だけ燃えて消えていく炎のことなのかもしれない。

  • 塔子さんの、家の中で息が詰まりそうな感じが、ヒリヒリと伝わってきた。家庭に、家族に、非のうちどころがなければないほど、追い詰められる。
    どうしても仕事をする子育て中の母親にはハンデがあるのが、どうにか変わっていかないものかと願わずにはいられない。
    映画の結末が気になる。

  • 映画公開に合わせてあわてて読んだ。はっきり言って官能小説であったが、主人公塔子が不倫相手と別れ結婚し子供ももうけたが、かつての不倫相手鞍田と再会し再び官能に溺れてしまう。さらに夫と両親との同居と女性の仕事への不理解にとうとう切れてしまう。しかし鞍田の不治の病のため再婚には至らず、子供と童貞のような夫と元の鞘に戻った感じ。愛というのは一瞬のことなのか女性の性と仕事と家庭の問題が提起されているが、仕事については自分が起業するか趣味を仕事にしているか以外はそれほど生きがいにするのにはちょっと疑問。映画は駄作だったので見ないほうがいいよ。

  • 島本さんの作品は初めて。
    主人公塔子の置かれている環境に共感しえる人は、のめり込みあっという間に読み終えてしまうだろう。
    ただ、この作品は読み手側の立場によって色々な受け取り方があると思う。

    女は結婚して子を持つと、妻 嫁 母 の顔を持つこととなり、いつしか自分が何者か分からなくなっていく。
    自分のために時間を使うことを忘れ、使い方すら忘れていく。
    そんな女を1人の女性として扱ってくれる場所、人、が必要
    男はそれを聞いて遊んでいるとか 勝手だと言う。

    男と女は分かり合えない生き物だ。
    そこを分かり合うために必要なのが会話だ。

    とても余韻のあるせつない作品だった。


    最後にネタバレになってしまうが
    塔子と鞍田が結ばれていたらどうなっただろうと
    結末の違うストーリーも読んでみたい。

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著者プロフィール

1983年、東京生まれ。2001年『シルエット』で第44回群像新人文学賞優秀作、03年『リトル・バイ・リトル』で第25回野間文芸新人賞、15年『Red』で第21回島清恋愛文学賞、18年『ファーストラヴ』で第159回直木賞を受賞。主な著書に『ナラタージュ』『大きな熊が来る前に、おやすみ』『あられもない祈り』『夏の裁断』『匿名者のためのスピカ』『イノセント』『あなたの愛人の名前は』『夜はおしまい』などがある。

「2020年 『2020年の恋人たち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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