ポースケ (中公文庫)

  • 中央公論新社 (2018年1月23日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (352ページ) / ISBN・EAN: 9784122065161

作品紹介・あらすじ

この作品には、小学校5年生から50代半ばまで、幅広い年齢層の女性たちが登場します。
読んでいくうちに、ご自分と近い「誰か」が見つかるのではないでしょうか。 彼女たちはそれぞれ、職場の人間関係や、睡眠障害、元彼のストーカー、娘の就活、子供ができない……などの問題に直面しています。ここで「あの人がいたから救われた!」「力を合わせて皆で解決!」という都合のいい展開にならないのが、著者の世界観。 
では登場人物の葛藤が続くだけかというと、意外な人から思いもよらぬ「手」が差し延べられるのです。カフェという場でゆるやかに関わり合うだけでも人は変わっていける――読後、小さな、しかし確かな希望が胸に灯る小説です。

【登場人物】○のぞみ(27歳) お客。肌トラブルと職場の人間関係に悩む。○恵奈(小学校5年生) 店主・ヨシカの同級生、りつ子の娘。飼育栽培委員。○竹井さん(28歳) ランチのパート。睡眠障害気味。電車に乗れない。○ゆきえ(31歳) お客。仕事が忙しくて家事が出来ない。○とき子さん(50代半ば) 午後のパート。趣味は海外ドラマ鑑賞。○冬美先生(38歳) お客。ピアノ講師。子供が好きだが子供はいない。○ヨシカ(34歳) 店主。「ポースケ」を企画し、参加者を募る。

みんなの感想まとめ

幅広い年齢層の女性たちが直面する日常の悩みや葛藤を描いたこの作品は、登場人物たちの心の動きが丁寧に描かれています。小学校5年生から50代半ばまで、それぞれの生活の中での問題に向き合う姿は、読者に共感を...

感想・レビュー・書評

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  • 「ポトスライムの舟」の5年後のお話

    津村さんの話は、大きな出来事は起きない。
    これは何の話で、何を読まされているんだろう的な話から始まる。話によってはそれがしばらく続く。
    だれかれの日常が延々と続いて、あ、もう辞めようかな、ちょっと合わないやつだったかな?とか思いはじめる短編もある。
    でも気になって読んでいると、この人は淡々と過ごしている順調な人だと、勝手に思っていたのは自分だけで、奥や裏にはその人の悩みや葛藤がいろいろあったのか、ってことに気づく。

    気づいてからは、ぐんと読める。

    でも、やはり津村さん。
    ものすごいハッピーエンドとか、ものすごく物語が動くわけではなく、ちょっとした積み重ねを周りからもらって、じんわり再生する。
    まさに現実。
    そしてやはりこれが「ポトスライムの舟」の5年後の世界で、「ポトスライムの舟」の二話目最後ナガセが ”できなかった” と、悔やんだことの証の世界になっていることにじんわり嬉しくなる。

    「ポトスライムの舟」から読んでもいいし、もちろんこの本から読んでも大丈夫。

    〈歩いて二分〉と、〈コップと意志力〉のぼんちゃんがよかった。〈我が家の危機管理〉も。
    〈歩いて二分〉だけ簡単にご紹介。
    過去にパワハラで会社を辞め、その後は夜中3時に目覚め昼の14時を過ぎると猛烈に眠くなってしまう睡眠障害を患う佳枝の話。
    何が救いになるかはわからない。
    でも、希望を持てる物語

    そして本の最後の方にある〈ヨシカ〉
    ここでまた、ポトスライムの舟を思い出す。

    津村さんは、生きにくい世の中をなんとか生きている女性を描くのが本当に上手だ。

  • 『ポトスライムの舟』のナガセとヨシカの5年後。今回はヨシカが経営するカフェを舞台に最後にポースケというイベントを終える話。

    最初のうちは、ポトスライムとはちょっと感じが違うな、と思っていたものの、「苺の逃避行」あたりから一気に読み進め、ところどころ共感し、ところどころ泣いて読み終えました。もっと読んでいたかったなと思わせる素敵な話でした。

    登場するみんなに共通する食べ物のエピソードもすごく良かった。

  • ブクログの作品紹介の通り!「これって私かも」と思うひとがいて「私だけじゃない」と安心するし慰められる。広い意味でのお仕事小説。


  • 最近は落ち込むことがとても多くて、人の成功も素直に喜べず、自己嫌悪してばかりだった。部屋の本棚をみて、こんなに本ばかり読んで何なんだ何してきたんだろうと思ってしまっていた。なのに半分読んだままにしていたポースケを読み終わると、どうしたって救われた気持ちになった。”一喜一憂するしかない”。本はいつでもそこにいて、裏切ることなくいつかの自分を待っている。それが今でなくても。津村さんの作品はいつも教えてくれる。ヨシカの店で開かれたポースケに、わたしもいたような気がしている。彼女たちをこれからもずっとみていたい。

  • 奈良の商店街にあるカフェ兼食堂を舞台に描かれる日常のお話。図書館で借りた時、何が起こるでもないストーリーだけど、手元においておきたい穏やかさや安心感を感じたので購入。それ以来毎日ちょっとづつ好きな個所を読んでいるだけでほっこりできる。

    ポースケ(ノルウェーの祝日というかイースターのお祝い)をカフェのイベントとして開催、お客がギター演奏したり、自作の冊子を披露したり、なにやかや出し物があるそのイベントの夕食メニューが、ステーキ、目玉焼き、ハッシュドブラウンポテト、バターとグレープのジャムを添えたトースト、オレンジジュース。このメニューが美味しそうで再現したくなる。

    実際にカフェでそんな内輪てきなイベントがあったとしたら、絶対自分は人見知りで参加できないけど、でも、そんなイベントあったらいいなあ、と夢想するだけで楽しい。

    ほんとにここの登場人物たちみたいな人っているんかな、津村さんが書くんだから、きっといるに違いない、だとしたら、世の中捨てたものじゃないというか、これから未知の人と知り合うのも楽しみだな、と思えてくるそんな小説です。

  • ポトスライムの舟の続編。
    登場する人の呼称を使い分けて、人と人との見えない距離感を表現している。
    前半では、断片的にひらがなと漢字で(とき子)呼称されるのに対して、当の人物の家族事情、内情に触れる章では全て漢字表記(十喜子)というように。
    日常的に接する人の名前の正確な漢字表記なんて深く意識していない。そして、表面上の関係性だけでば見えてこない個々の事情は本人たちにしかわかり得ない。
    そんな、人と人との見えない境界線を表現できてしまう言語的切取り方に驚く。

  • 津村さんの書く、なんてことのない一日とちょっと顔見知りの「私たち」の人生の一部をちょっとだけ覗くことができる作品。

    何か大きな出来事があるわけでもない。
    だけど、人生の中でちょっとしたイベントがあるとしたら、こういうことなのかもしれない。

    なんだか、私まで一緒に働いている気になってしまった。

  • ヨシカの営むカフェに集う友人、パートさん、お客さん。それぞれにスポットが当たりながらお話が少し進む。

    目だって大きな出来事が起こるわけじゃない。それでもなんやかやいろんなことが起きている。スポットが当たってないときも、日々いろんなことが当たり前に起きてる。

    という何気ないことを思いながら読んでいると、いつの間にかだーだー泣いている。

    津村記久子さんの、力強くスタートの掛け声を発するでもない、伴走しながらエールを送ってくれるでもない、散歩の途中たまたま通りかかったランナーに手を叩いて声をかけているような、ほどよい距離感が好きだ。

  • 読むと心が温かくなる。

  • 「英語は現在完了から挫折した」「年を取ったら覚えが悪くなるけど忍耐力がついてる」など細かな共感ポイントがいっぱいあってうれしい反面、登場人物達の抱える物語は割とシリアスで彼らの行く末を「陰ながら応援しているよ」という気分で読み終えた

  • 色々抱えた女性たちが、ヨシカのカフェに集っている。繋がっているような、いないような。皆コツコツと真面目に生きている人たちばかりだけれど、人生はままならない。
    特にとき子さんが好きだったな。
    最終章は心が温かくなる光景が目に浮かぶ。

  • 働く理由は色々だなぁ。
    ほっこり温まるお話。

  • ピアノを習っているナガセが「ピアノ習ってるんですよね?どうですか?」と尋ねられたときの返答。

    「楽しいですよー。大人になったら覚えが悪くなるとかいうけど、なんていうか、忍耐力はついているから、できんくても簡単に投げ出さんようになりましたね」

    年をとって、色々な能力が衰えていく一方かと悲観していましたが、そういう考え方があるのかと光が見えてきました。

  • ああ、彼女たちと同じ世界に暮らしたい。直接話さなくても、知り合いにならなくてもいい。同じような気持ちを抱えて生きている人が近くにいると感じられたら、きっと、もっと毎日がしあわせ。

  • 好き。

  • その辺にいるどんな人もままならないことやしんどいことなんかを抱えてるんかもなあと思う本
    それぞれ登場人物が大なり小なり色々抱えてるけど結末に向けて割とみんな明るい方向へ向かっていて良かった
    登場人物たちが方言をしゃべってるのも何か自然な感じでいい
    津村先生の本は肩に力が入ってない日常がそこにあって穏やかでたまに不穏で面白い
    前作読んでても読んでなくても充分楽しめる
    私もこんなカフェにかよって常連になりたい
    それにしてもハタナカのポースケは楽しそうだな

  • 津村記久子者のポストライムの舟の5年後の物語です。私はポストライムの舟は、読んでいないのですが仕事で働く人達が睡眠障害を抱えていても、カフェで朝早く働いている事や、元彼のストカーがか描かれていて津村記久子者は、現代の若者の視点で書けれるのは、もしかしたら、津村記久子者しかいないと思いました。働いていても、様々な事を、抱えて、働く姿が誰でも共感すると思います。ポースケと言う意味は、この本でお確かめください。

  • 津村記久子さんの本を読むと、働いていてよかった〜って思うんだけど、専業主婦のそよ乃の辛さの描写を読んで、何となく働いている方が大変だし偉いと思っていた自分を反省した。
    それぞれの人が自分の辛さしんどさと向き合って毎日過ごしていて、ハタナカで交流してちょっと楽になる感じがホッとした。

    そして江南亜美子さんの解説がとても良かった。
    同じこと思っていたけど、自分ではうまく言語化できなかったことが言語化されている。

  • ダラダラと続く独り言のような日常。
    それがいい。

  • 日常の些細な場面が、細かく切り取られていて
    ちょっとずつの共感がたくさんある、良い。
    時間の流れ方がゆるくて、でも退屈しない感覚。
    歩いて二分、コップと意志力が
    ひじょーーーーに、好きでした。
    ポースケ私も参加したいです

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著者プロフィール

1978年大阪市生まれ。2005年「マンイーター」(のちに『君は永遠にそいつらより若い』に改題)で第21回太宰治賞。
2009年「ポトスライムの舟」で第140回芥川賞、2016年『この世にたやすい仕事はない』で芸術選奨新人賞、2023年『水車小屋のネネ』で谷崎潤一郎賞受賞、2024年「本屋大賞」第2位となった。
他著作に『ミュージック・ブレス・ユー!!』『ワーカーズ・ダイジェスト』『サキの忘れ物』『つまらない住宅地のすべての家』『現代生活独習ノート』『やりなおし世界文学』『ディス・イズ・ザ・デイ』などがある。

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