マレ・サカチのたったひとつの贈物 (中公文庫)

著者 :
  • 中央公論新社
3.79
  • (7)
  • (10)
  • (4)
  • (1)
  • (2)
本棚登録 : 84
レビュー : 13
  • Amazon.co.jp ・本 (301ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122065567

作品紹介・あらすじ

「読めばきっと、時間を無駄にできないな、と思える、うつくしい作品でした」(伊坂幸太郎さんによる帯コメントより)

世にも不思議な病「量子病」に冒され、世界中を跳躍し続ける坂知(さかち)稀(まれ)。大学の図書館から信州の老婆宅に跳んでしまう午後もあれば、中東で目覚める朝や、ウィーンでオペラに興じる夜もある。これは神のサイコロ選びなのか、一瞬後の居場所すら予測できず、行き先も滞在期間も不明。人生を“積み重ね”られない彼女が、世界に爪痕を残すためにとった行動とは――。これからの「幸せ」の意味を問う、感動のSF長篇!

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • ごめーん、付いて行けなかった。しっとりとした雰囲気の意外にもSF。青ってどの程度の青なんだろう?水色は?柄物は?ってな事ばかり考えてしまったm(__)m挫折。

  • テレパシー、念力、透視、そして瞬間移動も、初めは自らの超能力に振り回されていてもやがて手なづけていく話は多いし、うまくいかないまま破滅していくものもあるが、それを自分の病として受け止めて「私は出会うために生きている」。誰かを求めている人のところへ彼女は飛んでいく。観察される=出会うことで初めて世界に存在が固定されるから量子病なのだろうが、それは皆同じだ。ただ主人公が若い女性だからいいがオッサンだったら無様な話になりそう。紫と緑と青の境目ってどこなの?

  • うーん。天盆のインパクトがあまりにも強すぎて期待しすぎてしまった感。とはいえ読後感は非常に清々しい◎
    現代へのウィットの効いた風刺はハートに心地よく、マレとジャンの再会を願わずにはいられない。

    別れたって、何度でも出会えばいい。

    二人がもう一度、あの部屋で、出会えますように。

  • 瞬きしたら、君はもういない――世にも珍しい「量子病」に冒され、五秒後の居場所すらわからぬまま、世界を跳躍し続ける稀。そんな彼女の生きる意味とは?

  • 量子病、といういきなりどこかにワープしちゃう病気にかかった女の子を主軸に書かれてる。

    SFファンタジーなんだけど、どこか現実の現代の未来がこうなってもおかしくないなって思えるくらいには、いい意味で想像に易いファンタジーで入り込みやすかった。
    あと、細かく章が分けられてて、それが唐突なワープ感を上手いこと描写しててすげ〜って思った。

    SNSとか、カップルアプリとか、出会いを求める人間に比例してツールも増えて、その繋がりが切れないツールや仕組みも同時にたくさんあって、それって離れ難いから作られたものだ。
    おじいさんは「別れなど、なぜ、なくてはいけない。」って言った。
    同じ事を思った人が仕組みを作った。

    おかげで、別れて二度と会えなくなる事とかに対して重みが無くなっていってるかもなあって考えた。

    出会いも別れも同じくらい尊いはずなのに。

  • 量子病??? そもそも"量子"って何? よくわからないままに読み進めても、面白かった。稀が出会う人たちとの会話が、語られる言葉が一つ一つ心に残る。
    ポッ ポッ ポッ ポッ ポッ
    思い出したのは ………
    百億の昼と千億の夜
    スター・レッド
    銀の三角

  • 私たちは量子という波であり
    他の波に留められなければ
    粒子として存在できない。

    出会いのすべてが偶然だが
    それは必然でもある。

    誰かが必要とするから
    出会いたいと強く願うから
    その波に反応して
    私という波は粒子として顕在化する。

    この一冊の本を通じて とてつもなく
    大きなことを教えられたような気がする。

    爽快なエンディングに心からの喝采を。

    私は強く望む。マレ・サカチに出会うことを。
    そうすればいつか 彼女は私の前に現れるのだから。

    出会うことの本当の意味。教えてくれてありがとう。

  • 量子力学をテーマにしたSF仕立てですが、生きるっていうことを追求していくような話になってる。全世界的にテロと経済崩壊が連鎖していく未来像が、なんだかとてもリアルに感じる。いつどこに跳ぶかわからない主人公のごとく、物語もあちこちに跳ぶ。そして徐々に結末に向かって収束していく。なかなかスリリングで目が離せない小説でした。

  •  本作は、『天盆』に続く王城夕紀さんの第2作だという。読み始めてすぐ感じた。『天盆』とはタイプが大きく異なる作品だ。『天盆』が明快かつ連続的な物語ならば、本作は哲学的かつ断片的な物語だ。それには理由がある。

     主人公の坂知稀(まれ)は、「量子病」という奇妙な病に冒されていた。自らの意思と関係なく、世界中をワープし続ける。いつ跳ぶか、どこに跳ぶか、予測する術はない。稀のワープに伴い、物語も跳ぶから、断片的になるわけである。各節は短く、それほど長い作品ではないのに、実に148節から構成されている。

     跳ぶ先々での出会いが、一期一会のときもあり、何度も会うときもある。なぜか戦乱やテロの真っ只中に跳ぶことが多い。こんな過酷さに、自分なら耐えられまい。しかし、悲しむ間もなく、哲学的問いかけに答える間もなく、場面は次々とザッピングされていく。一気に読まないと、ついて行けなくなるだろう。

     時代が近未来であることは察せられるが、現代社会が似たような状況にあることに注目したい。ネットに溢れる虚偽や悪意が、現実に影響を与え、動かしていく。二度のワールドダウンと、人々の喧騒、暴動。これが資本主義の成れの果てか。断片的な物語における巨大な奔流を、絵空事と笑い流すことができるか。

     誰よりも世界中を旅した稀に突きつけられた、最後の問いとは。聡明な稀だけに、その提案は魅力的にも映る。人類に究極の選択を迫るという点では、早世した天才・伊藤計劃の作品群に通じるものを感じる。たとえ作り話でも、これが人類にとっての福音だと思いたくはないが、魅力に抗えない人もいるかもしれない。

     意思に反して跳び続けた人生から導いた、稀の答えとは。ここに至り、断片的だった物語が、一本の線で繋がれた。『天盆』のようにわかりやすくはないが、『天盆』と同じく、血が通った物語だった。

全13件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

一九七八年八月、神奈川県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。二〇一四年、第十回C★NOVELS大賞特別賞を受賞した『天盆』(「天の眷族」を改題)で鮮烈なデビューを飾る。著書に、奇病に冒され、世界中を跳躍し続ける少女の青春を描いた『マレ・サカチのたったひとつの贈物』(中央公論新社)、本の雑誌社『おすすめ文庫王国2017』でオリジナル文庫大賞に輝いた『青の数学』(新潮文庫nex)がある。

「2018年 『マレ・サカチのたったひとつの贈物』 で使われていた紹介文から引用しています。」

マレ・サカチのたったひとつの贈物 (中公文庫)のその他の作品

王城夕紀の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
ピエール ルメー...
米澤 穂信
米澤 穂信
ジェイムズ・P・...
王城 夕紀
有効な右矢印 無効な右矢印

マレ・サカチのたったひとつの贈物 (中公文庫)を本棚に登録しているひと

ツイートする