あの家に暮らす四人の女 (中公文庫)

著者 :
  • 中央公論新社
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本棚登録 : 1430
レビュー : 115
  • Amazon.co.jp ・本 (341ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122066014

作品紹介・あらすじ

ここは女たちの地上の楽園?! シングルだけど、〝一人〟じゃない。女たちの本音と夢があふれ出す、阿佐ヶ谷の古びた洋館・牧田家。家の平和を守る老人、「開かずの間」の秘密、ストーカー男の闖入など、今日も牧田家の暮らしは豊かでかしましい。

感想・レビュー・書評

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  • なかなか読書に取りかかれない中でどうにか手に取った一冊。読み始めればとても読みやすい。三浦しをん版平成細雪。
    しをんさんの描く登場人物は一見ごくごく普通の人でとても自然にそこで生活しているのにどこか可笑しみのあるところがある。
    元々住んでいた母娘の元に事情が重なり同居している4人の女性(プラス1人とアルファ)のお話。淡々とした日常がありながら、妙齢の女性の実感のこもった会話や気持ち、母娘のやりとりに共感を覚えたりする。
    そんな生活の中で小さなトラブルと大きな事件が起こる(それがちょっと笑える事態)ファンタジーの要素もある。浮世離れ感とファンタジー要素はありながら描かれている心情はリアルを感じた物語であった。

  • 谷崎潤一郎の『細雪』をベースに、谷崎の没後50年に当たる2015年の企画として委嘱され、書かれた小説だという。
    恥ずかしながら、細雪を読んだことがありません…

    杉並の古い洋館に暮らす、牧田母娘。
    昔はかなりの土地持ちだったらしく、敷地は広い。
    働いたことのないお嬢様で、庭の菜園と、たまに伊勢丹に行くことが趣味の牧田鶴代は70代らしい。
    その娘、刺繍作家の佐知はほぼ引きこもりで刺繍に集中し、次第に身なりに気を使わず、男の影もない37歳。
    彼女の名誉のために付け足せば、ちゃんと老後のためを考えて、必死で仕事をしているのである。
    刺繍を“女の手慰み”“趣味の延長”などと考える輩は許すまじ。
    鶴代の夫、つまり佐知の父は出て行ったということしか分からず、父の不在が佐知の心にそこはかとない頼りなさと影を落としている。
    佐知の友人・雪乃は同い年。アパートの水漏れで、佐知の提案で牧田家に避難し、そのまま住まう。
    多恵美は雪乃の会社の後輩で、10歳年下の27歳。
    ストーカーの元彼に悩まされ、雪乃の勧めで牧田家に住むようになる。

    こまごました事件を抱えながらも、いや、ミイラや強盗、思考するカラスの意志の集合体など、かなりエキセントリックなエピソードを抱えながらも、なぜか「日常」と言いきれてしまうようなゆるい日々が展開される。
    血のつながらない、「家族」の形態もさまざまあれど、寂しみを感じない関係は何だろう、と語られる。
    それを見守りながら、少しの寂しみを味わっているものが、距離を置いて「あの家」と言っているのだと、最後に分かる。

    なんだか退屈だなあ…と思いながら読み進んだが、急に心に染みてくる。
    どのあたりで界面活性剤が注入されたのかしら。
    たとえば桔梗なんかの閉じたつぼみの中で、先の見えない微かな、ほんの微かな不安が膨らんで膨らんで、ポンっとはじけて新しい空気の中にさらされた様な、新鮮さを感じるラスト。
    古い家にも新しい風が吹いている。


    ドラマ化のお話が進んでいるらしいけれど、とりあえず山田さんは小林稔侍さんがいいなあ…と思います。

  • 4人の女の視点であるのが基本だが、第三者の語り手が時々出てくるが毒気があって小気味好い。中盤以降に登場する新たな語り手が絶妙。タイトルがあの家、なのはそーゆーことか。と腹落ちするのも気持ちいい。

  • 文庫化を楽しみにしてた期待値ばかりが膨らんでハマらなかった……とは言ってもミイラが活躍のくだりは笑った。
    女性同士が集まると表面ではニコニコしてても裏では……てなことが当然あるものだけど、みんながみんな言いたい放題であり(もしかしたら誰かが我慢してる可能性もないことはない)この作品に関しては疲れるドロドロがさっぱりなかったので突然の語り手が現れようともファンタジーさが元からあるので気楽に読み進められました。
    色鮮やかで美しい刺繍が脳内に残るので、私も習いに行きたい! 作品を見に行きたくなりました。

  • 笑った笑った。声に出して笑ってすっきりした!さすが三浦しをん先生だわ。愉快でしっとりしてて泣きながら笑える。最高のエンタメ。わたしもここに住みたいわ。あと、山田さんには長生きしてほしい。

  • 4人姉妹とか 4人家族の話かと思って読み始めたら 親子とその友達2人の話だったのねー。
    ほっこり心和むストーリー。

  • やっぱり最終的には女友達よねぇ…と思いながらもグラグラするお年頃の女性たち。

  • しをんさんの本は、不意打ちでハッとさせられる言葉が出てくる。
    ついに発せられることのなかった言葉や、表明されなかった思いは、どこに行くのだろうなあ。とか。

  • 著者の作品、はエッセイの方が面白いなあ(合わせて数冊しか読んでいないけれど)と思ったが、ちゃんと驚かせる仕掛けを作っているのはさすがベテランのプロ。
    表紙とタイトル、これがあって物語が完成しているので、どれも欠かせない。

    物語は『細雪』を下敷きにしている。
    と言っても、『細雪』を知らなくても読解に問題はない。
    でも、読んでおくと、より楽しめるかもしれない。

    不思議な関係の4人の女たち。
    性格も皆違うし、共通点などないように見える。
    しかし彼女たちは、彼女たちなりに居心地の良いように気を配っている。
    そこに起きるトラブルは、ストーカー?!河童?!
    この脈絡のなさったら!
    恋愛要素もなくはないけれど、きっとこの物語は、付き合い始めました、めでたしめでたしという結末を望まない。
    それだけが幸せのかたちではないよ、と言っているかのようだ。

    「生きている」それは幸せなことだ。
    面白くないことだってあるし、うまくいかないことだらけだ。
    だが、人生は脈絡のなさから面白さが生まれたり、「開かずの間」に新しいきっかけが落ちているかもしれない。
    そう思えば、明日が少しだけ楽しみになる。

  • 私はこうありたいのかもしれない、と思わせる三浦節、恐るべし。これじゃ結婚したいと思ってても焦らないはずだい。

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著者プロフィール

三浦 しをん(みうら しをん)。
1976年、東京生まれの小説家。出版社の就職活動中、早川書房入社試験の作文を読んだ担当面接者の編集者・村上達朗が執筆の才を見出し、それが執筆活動のきっかけになった。小説家の専業になるまで、外資系出版社の事務、町田駅前の古書店高原書店でアルバイトを経験。
2006年『まほろ駅前多田便利軒』で直木賞受賞。2012年『舟を編む』が本屋大賞に選ばれ、翌年映画化された。2015年『あの家に暮らす四人の女』が織田作之助賞受賞。また、『風が強く吹いている』が第一回ブクログ大賞の文庫部門大賞を、2018年『ののはな通信』が第8回新井賞を受賞している。
Cobalt短編小説賞、太宰治賞、手塚治虫文化賞、R-18文学賞の選考委員を務める。最新刊に、『愛なき世界』。

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