エッセイの書き方-読んでもらえる文章のコツ (中公文庫 き 30-15)

著者 :
  • 中央公論新社
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感想 : 15
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  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122066236

作品紹介・あらすじ

言葉の選び方、書き出しの心得、起承転結の「転」を利かし、書き手の「ええーっ」を読み手の「へえーっ」に換える極意とは? しなやかに感じて、したたかに描く、奥義を伝授。エッセイ道30年の岸本さんが文章術を明かします。単行本『エッセイ脳 800字から始まる文章読本』を改題し待望の文庫化。

感想・レビュー・書評

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  • エッセイとは何か。著者はつぎのように定義する。

    「自分の書きたいことを,他者が読みたくなるように書く」

    なるほど,と思った。

    「自分の書きたいことを,自分が書きたいように書く」のはブログであり,これがブログとエッセイの違いだと,著者は語る。

    エッセイストの著者の頭の中で起きていることを,著者自身が分析し,その文章にいたるまでの道筋を解説する。

    本書をあたまから読んだ後で,文庫版のあとがきを読むと,それまでの解説にあったすべてが詰まっていることに気づく。

    読み手に配慮した,やさしい文章をかけるようになりたいものです。

  •  当代きっての人気エッセイストによる、エッセイの書き方入門。2010年に刊行された『エッセイ脳――800字から始まる文章読本』を改題しての、待望の文庫化だ。

     京都造形芸術大学通信教育部での講座をベースにしたものだそうで、話し言葉で書かれており、すこぶるわかりやすい。

     仕事柄、文章読本やライター入門のたぐいをたくさん読んできたが、エッセイの書き方入門については本書がベストだと思う。一昔前なら木村治美の『エッセイを書きたいあなたに』がイチオシだったが、いまなら断然これだ。

     何が素晴らしいかといえば、本書で開陳される岸本流エッセイ術が、徹頭徹尾論理的であること。
     題材の選び方、うまい書き出しのコツ、タイトルのつけ方、「枠組みの文」「描写」「セリフ」のバランス配分など、エッセイを形作る要素一つひとつについて、岸本さんの中には明晰な論理に基づいたルールがあり、それに則って構築されているのだ。
     岸本さんはそのルールを、自作エッセイを随所で例に引いて解説していく。

     エッセイというと、筆の向くまま好き勝手なことを書きつらねていると思われがちだが、第一線のプロはこれほど緻密な計算のもとに書いているのだと、感動すら覚える。

     本多勝一の『日本語の作文技術』という、文章読本の名著がある。あれも、明晰な論理に基づいてよい文章の書き方を指南するものだった。
     明晰な論理に基づくからこそ、万人向けの入門書になり得る。その論理を適用していくことで、初心者にもよい文章・悪い文章の区別がつけられるからだ。本書はいわば、『日本語の作文技術』のエッセイ版である。

     とかくエッセイは、小説や評論に比べれば書くのがかんたんだと思われがちだ。
     「小説は物語を構築しないといけないし、評論は膨大な知識量とアタマのよさが求められるけど、エッセイなら自分の身の回りのことを書けばいいんだから、楽勝だ」と……。

     だが、商品価値のある(=原稿料のもらえる)エッセイを書くことは、シロウトが思うよりもずっと難しい。エッセイスト専業で生計を立てつづけることは、さらに難しい。岸本さんが30年以上人気エッセイストでありつづけているのは、じつはすごいことなのだ。

     本書には、その難事をなし遂げてきた原動力が明かされている。たんに東大出の癒し系美熟女だから売れているわけではないのだ(むろん、それも人気の要因ではあろうが)。

     エッセイストを目指す(それは、じつは小説家になるよりも狭き門なのだが)人は、とりあえず本書を熟読すべし。

  • 読みたいと思って借りた。パラパラ読んで良さそうだったけど忙しくて読めない。タイミング的に今ではないかも。

  • 摂南大学図書館OPACへ⇒
    https://opac2.lib.setsunan.ac.jp/webopac/BB50115646

  • エッセイの書き方を書いた本は、あまりないので、貴重な本だと感じました。説明がわかりやすく、書きやすい型も紹介されています。これを読めば誰もがエッセイを書けるようになると思います。

  • エッセイの起承転結を、「ある、ある」「へえーっ」「そうなんだ」と読み替える。
    何かを伝えようとすると、起承転結の「結」に力点を置きがちだけど、エッセイの場合は「そうなんだ」は軽く。むしろ「へえーっ」が大切。
    でも「へえーっ」と思わせるまでには、「ある、ある」と共感してもらえていることが不可欠なんですね。
    共感がなければ「へえーっ」は嫌味な自慢話になってしまうし、「そうなんだ」は「あっそう」で終わってしまう。

    文章で「自分が何を伝えるか」ばかりでなく、「読み手にどう受け容れてもらうか」を考える大切さを学びました。

  • 一つの技術として、エッセイの書き方を言語化してくれているのが嬉しい。
    エッセイ内容でほぼ決まるような印象がありましたが、その内容をどう見せるかという表現技術が分かりやすく書かれていました。実例があることと、岸本葉子さんという安心感のある作者であることも良かったです。

  • 限られた文字数で、いかにして「自分が書きたいこと」を「他者が読みたくなるように」書くか――エッセイに特化した技法書で、内容はかなり手堅い感じ。流し読みには向かない。
    著者のエッセイを例にして、「ここはこういう狙いで書いた」を非常に細かく解説している。
    こんなに手の内を明かしていいのか、と不安になるくらいだが、そのぶん著者がいかに心を砕いて文章を組み立てているのかがよくわかる。
    第四章「文を制御するマインド」は文章作法的な内容でありながら、よくある「一文は短く」的なアドバイスに留まらず、一歩踏み込んでいるのがよかった。

  • 文章を書く商売をしているので、幅を広げるために一読。

    エッセイという、分かりそうで分かりにくい文章の書き方を理論的に解説しているのでイメージしやすい。

    仕組みがわかればあとは練習あるのみ。

  • エッセイ道30年の人気作家が、スマホ時代の文章術を大公開。起承転結の転に機転を利かし自分の「えーっ」を読み手の「へえーっ」に換える極意とは? 

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著者プロフィール

岸本 葉子
1961年鎌倉市生まれ。東京大学教養学部卒業。エッセイスト。会社勤務を経て、中国北京に留学。著書に『エッセイの書き方』『捨てきらなくてもいいじゃない?』『50代からしたくなるコト、なくていいモノ』『楽しみ上手は老い上手』『50代、足していいもの、引いていいもの』(以上中公文庫)、『ふつうでない時をふつうに生きる』『モヤモヤするけどスッキリ暮らす』『60代、少しゆるめがいいみたい』(以上中央公論新社)、『ひとり老後、賢く楽しむ』『ひとり上手のがんばらない家事』(以上だいわ文庫)、『わたしの心を強くする「ひとり時間」のつくり方』(佼成出版社)、『60歳、ひとりを楽しむ準備』(講談社+α新書)、『90歳、老いてますます日々新た』(樋口恵子氏との共著、柏書房)、俳句に関する著書に『私の俳句入門』(角川ソフィア文庫)、『岸本葉子の「俳句の学び方」』(NHK出版)、初の句集『つちふる』(KADOKAWA)など多数。

「2024年 『毎日の暮らしが深くなる季語と俳句』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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