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Amazon.co.jp ・本 (712ページ) / ISBN・EAN: 9784122066427
作品紹介・あらすじ
自殺の諸相を考察し、アノミー、生の意味喪失、疎外など、現代社会における個人の存在の危機をいち早く指摘した、社会学の古典的名著の完訳。
AIがまとめたこの本の要点
この本を表す言葉
みんなの感想まとめ
自殺のテーマを深く掘り下げ、社会構造と個人の関係性を明らかにする内容が特徴です。19世紀末に書かれた本書は、現代においても普遍的な問題を扱い、データに基づいた分析を通じて自殺のさまざまな側面を分類して...
感想・レビュー・書評
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19世紀末に書かれた社会学の教科書的存在。今ならこのレベルの統計分析を用いての論文は大学生でも書き上げられるような気もするが、その時代に手法として確立させ、実証に基づく今日の社会学の基礎を築いた功績は大きい。
本書は社会構造的に〝必ず一定の自殺者が存在する“という点に着目し、自殺の定義から、死に方、性別、年齢、時期、宗教、エリアや職業による違い、犯罪との相関や文化的背景など多様な分析を試みて、社会現象としての自殺を明らかにすると同時に、自殺を通して社会を明らかにした。
自殺をすれば、当然ながらその人は社会から消える。しかし、また違う個人が同じように自殺する事で、同じ社会の同じ属性であれば、ほぼ似たような人数が毎年自死していく事が分かる。8対2の役割が固定されるという、働きアリやパレートの法則みたいだ。日本では年間2万から3万人の自殺者。90年代末のアジア通貨危機やその影響も受けての証券会社や銀行の倒産、非正規雇用や失業率の増加が自殺を増やした。斯様に、自殺から、社会状況が覗き見える。
またデュルケームの論説からデータはある程度事実を示せるが、その要因は個人の主観を含む推論に頼らざるを得ない、という事も分かる。ミステリーの犯人でもなく古典ゆえネタバレとは言わないと思うが、ここでその結論を具に書くのは避ける。一例だけ挙げれば、女性の自殺率の低さを社会参加の低さと結び付けて解説しているが、今の日本の女性就業率との相関を見ればこれは当てはまらない。女性差別的な口ぶりも気になる所。
アノミー的とも言っているが、言わば、社会的紐帯から切り離された時に「死の決意」は強まる。離婚、破産、リストラ、希望の挫折、貧困などが主因となり、これらと同じ状況に直面した時、人はふつう同じようなことを考えるものである。今後、果たして、質感なきネットの紐帯やAIとの交流は自殺率にどう影響するだろうか。
ちなみに、離婚をすると男性の自殺は増えるが、女性は逆に減るらしい。これを見て『自殺論』を読みながらニヤける私は、既にアノミー状態なのかも知れない。一方、これを年末年始の集まりに持ち歩きニヤニヤするくらいの社会との繋がりもあり、案外たくましいのだ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
初版から40年も経過した書物に、これほど現代に通ずる普遍的な事実の気づきや共感が得られると思っていなかった。データという事実をベースに、起こりうる事象を満遍なく回収し思考することで、読者の疑問を払拭しながら、自殺を①自己本位的自殺②集団本位的自殺③アノミー的自殺の3種類に見事に分類していた。(背表紙では④宿命的自殺も含めていたが、本書からは読み取れず。)
正直、回りくどい言い回しや難しい表現も多く、読み解けていない部分も存在していると思う。しかし、個人と社会(家族、戦争、宗教、政治、同業組合などに絡めて)の関係性がもたらす自殺への結末を、宗教、哲学、道徳的な要素と一緒に考えることができたのは、興味深いところであった。
これからの社会や死に対する視点が2つも3つも変わると感じさせる学問であった。 -
半分くらい読んだ
鬱っぽくなってた時によくこれ読めたなという感じ
最後まで読めるかはわからん -
デュルケームは社会的基盤は氏族の結合→地域集団→固有の性格を残しながら、同盟関係にあった都市と拡大しながら、フランス革命を経た中央集権化と交通路の発達により、「国家」という最大の形を残して消え去ったと述べている。また、この結果国家はその能力に比して過大な機能を背負わされ、激しい努力を重ねながらも非難を浴び続けているという。これは、昨今のクマ問題をはじめとする種々の課題に対する人々の異常なまでの国家に対する期待と責任の押し付けを彷彿とさせる。どう考えても、家の庭にクマが出たことに対する責任を高市政権に求めるのは酷であるし、そしてその一方で、地域に蔓延するクマを一掃する能力は家族にも役場にもなく、「国家」だけがそれを成し得るのである。
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3.5
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何事も自明とせず、あらゆる観点から分析命題を立てて、統計を駆使して解明していく緻密さ、社会の集合的傾向を安易に個人の価値観や精神論に帰さず実在するモノと同等に捉えて科学的に追究する姿勢など、近代社会学の古典としての偉大さを感じる内容。
それに加えて、解説で言われている、
「近代社会における個人の存在条件とこれをめぐる道徳意識の変化にかんする透徹した認識」「統合的個人の存立の危機の諸相についての指摘」「危機にある近代社会の再組織化にむけての情熱をこめた訴え」、さらに加えて細かくは、宗教の個人にとっての意義・影響とその変遷、女性の社会進出や男女平等に関する先見性のある将来展望など、幅広い観点で著者の深い見識に触れることができ、非常に読み応えのある圧巻の内容。 -
2025年3月31日、高円寺・文禄堂にあった。
教養文庫コラボフェア2025の1冊。分厚い。書店の推薦コメント「何が自殺に向かわせるのか?」帯に「社会学的知性のみごとな実例を見よ!」とあり、知性というワードに惹かれた。 -
何をもって自殺の原因を定義するのか難しいと思った。
遺書に何の意味があるんだろうと思う。 -
自殺の諸相を考察し、アノミー、生の意味喪失、疎外など、現代社会における個人の存在の危機をいち早く指摘した、社会学の古典的名著。内田樹氏推薦。
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新版。
性別、年代、国籍、宗教、地域、気候……兎に角、ありとあらゆる統計情報が溢れている。社会学の古典ではあるが、寧ろ、ここまで執拗に集められた統計情報の方に圧倒される。生半可な覚悟じゃあ、これ調べてるうちに、首でも括りたくなるんじゃないのか……?
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