トキワ荘の青春 (中公文庫)

  • 中央公論新社 (2018年10月23日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (256ページ) / ISBN・EAN: 9784122066472

作品紹介・あらすじ

高校在学中に『二級天使』でデビュー後、一貫して日本漫画界の第一人者として活躍した石ノ森章太郎。『仮面ライダー』『サイボーグ009』『ホテル』『マンガ日本経済入門』『マンガ日本の歴史』など数多くのヒット作を生み出した石ノ森氏が、トキワ荘修業時代の熱き日々を綴った自伝的名著。藤子不二雄、鈴木伸一、寺田ヒロオ、園山俊二、つのだじろう、赤塚不二雄、水野英子らにまつわる笑いと涙の交友録。『章説 トキワ荘の春』を改題。巻末に竹宮惠子氏の特別寄稿を収載。

感想・レビュー・書評

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  • 石ノ森章太郎視点で書かれたトキワ荘での青春物語。物語とゆうよりは思いつきのままにエッセイ風に描かれています。

    上京して2畳半の下宿から4畳半のトキワ荘に移り住んだようで赤塚不二夫が引越しの手伝いに駆けつけている。
    23歳迄の6年間をここで過ごしたようです。
    それは彼の若くして亡くなった姉の歳であり、「少女クラブ」の休刊と重なったこと等から3ヶ月間のさすらいの世界一周に旅立つきっかけになったようです。
    原稿代の前借りやいろいろと借金して旅費を作ったようですが旅行が自由化される前の時代なので集英社に頼みこんで取材記者の肩書きを貰い旅立ったとか。この時点で側から見ると社会的信用もかなりあった風に思われますが当人はそう思ってないような雰囲気。とにかく逃げ出したかったとあります。
    彼が漫画を描いたのは最初のファンである病弱な姉に喜んでもらうためだったような、そんな姉の歳を越えることが転換期を迎えたようで旅から帰ってしばらくして「サイボーグ009」を描いたとか。
    彼のいた頃のトキワ荘2階のイラストが載っており1956年5月頃の様子らしい。方位記号が入ってないので南北がわからないけど、玄関から階段を上がると正面に共同トイレと共同の炊事場があり、廊下を挟んで左右に1軒の押入れのある4畳半の個室が5部屋づつある様子。
    階段上がって左側から順に、安孫子素雄、藤本弘、赤塚不二夫、石森章太郎と住んでいたようで。反対側は寺田ヒロオ、一つおいて鈴木伸一と森安直哉が同居していたようです。
    夜中にこっそり共同炊事場の流しに水を張り風呂がわりに使ったとか貧しかった頃の生活をのぞきみしてしまいました。

    トキワ荘の住人は漫画のエリート集団だった事がわかりますが、仕事に穴が空いた場合とか何かと融通しあって
    締切間にあわせたりできたようでそんな点からも新人漫画家にとって重宝だった場のように感じました。

    時間系列を順序正しく追うことはできなかったのですが、そんな解釈とか必要としないんでしょうね。時空を超えた中にトキワ荘が存在してるってことを読者に伝えたかったんだと思いました。

  • 石ノ森章太郎先生視点のトキワ荘物語
    赤塚不二夫先生との熱い友情ストーリーや、初見のエピソードもあったりして独特の文体込みで堪能した。
    タイムリープしたらトキワ荘の住人になりたいなとずっと思っていたが、南京虫のエピソードを見てやっぱムリと思った。

  • いわゆるトキワ荘の歴史で語られることが少ない、石森先生の姉の死、から「章説」はスタート。
    石森の転居でトキワ荘物語は終わるが、その後のスタジオゼロの顛末まで描かれている。

    仕事で稼ぐそばから趣味に使いまくりの日々が描かれ、当時のトキワ荘の雰囲気を楽しんでいた様子がよく伝わってくる。

  • 後年スタジオゼロを起ち上げた動機として、もう一度トキワ荘で暮らしていた頃に戻りたかった、という回想が印象的。現実的には、当時はもう二度と戻らない、と続くところも含めて。困窮していたトキワ荘時代がなぜそれほど郷愁を誘うのか、同じ目標を抱いた仲間との共同生活がもたらした果実の本質は何なのか、著者なりの回答が本書に提示されている気がした。のちに巨匠となる才能豊かな面々が集っていたにも関わらず、他者への嫉妬や敵愾心がまるで伝わってこないのも心が和む。その点は梁山泊というより、当事者たちの肉親も含めてそこに家族があったからだろう。挿入のイラストも、どれもほのぼのした雰囲気があって好感。

  • 今から25年前に60歳で没したカリスマ漫画家による青春譚。
    手塚治虫や藤子不二雄、赤塚不二夫らも登場する「トキワ荘」物語は、ぼくらのような昭和のマンガファンならずとも広く知れ渡った伝説とも云える。そのまさしく「生き証人」の一人とも云える著者の手による実録エッセイ。かつては文学少年でもあっただけあって、文章はやや青臭く抒情的に過ぎる部分もあるにはあるが、総じて読み易く微笑ましい。喘息で若くして最愛の実姉を喪った悲しみや欠落感が、その後の人生や創作に深く関わっていたことが察せられて切ない。
    しかし実際、彼がトキワ荘に暮らしたのは、ちょうどぼく自身が生まれた昭和30年代半ばころ。彼自身を含む住人らの「梁山泊」にも似た結束ぶり、連帯ぶり、そして相互に支え合う友情は、小説やドラマではなく事実だったというのが本当にスバラシイ。しかもその「梁山泊」からは一人のみならず大勢の異能・才能が綺羅星のように育ち、巣立ち、それぞれが世界を股に大活躍するのだ。そんな彼らの苦労と活躍を経て、今やマンガは日本が世界に誇る芸術、文化の一つになるに至った。そう考えると、トキワ荘とはまるで、現在のマンガの隆盛の起源となる「ビッグバン」を引き起こした爆心地そのものだったのだ。

  • 「トキワ荘の数年は私にとって青春そのものであった……」。椎名町トキワ荘に集まった漫画家たちの熱き情熱の日々を、石ノ森氏の視点から描いた貴重な記録。

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著者プロフィール

石ノ森章太郎

一九三八年(昭和一三)、宮城県生まれ。高校在学中に『二級天使』でデビュー後、一貫して日本漫画界の第一人者として活躍。代表作に『サイボーグ009』(講談社児童まんが賞)、『佐武と市捕物控』(小学館漫画賞)、『マンガ日本経済入門』、『マンガ日本の歴史』全五五巻(アジア漫画大会漫画アカデミー賞大賞)、『マンガ日本の古典1 古事記』など多数。一九九八年(平成一○)一月死去。

「2022年 『文庫 新装版 マンガ日本の歴史 全27巻セット』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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