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Amazon.co.jp ・本 (384ページ) / ISBN・EAN: 9784122066878
作品紹介・あらすじ
ある晩、夫が急死。これで嫁を卒業できると思いきや、舅姑や謎の女が思惑を抱えて次々押し寄せる。〝愛人〟への送金、墓問題、介護の重圧……がんじがらめな夏葉子の日々を変えたのは、意外な人物と姻族関係終了届!? 婚姻の枷に苦しむすべての人に贈る、人生逆転小説。『嫁をやめる日』を改題。〈解説・角田龍平〉
感想・レビュー・書評
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久しぶりの垣谷美雨さん♪
垣谷さんお得意の「身近なんだけど結構深刻な人生のあれこれ」がテーマの本作。
今回の主人公は2歳年上の夫が急死して未亡人となった子なし妻 高瀬夏葉子44歳。
団信で住宅ローンからも解放され、
少額ながら生命保険金も入り、
やり甲斐を感じるパート仕事もあり、
晴れて自由の身になる筈だったのだが・・・
急死した夫には女の影が!
独身時代から愛人への送金が判明し、
更に旧家で封建的な考えの舅姑の思惑や、
引き篭もりの義姉の存在に
墓問題や介護の重圧とがんじがらめになる夏葉子。
あぁ〜このリアルで丁寧な心理描写がたまらん。
夏葉子目線で進む本作は、彼女の生い立ちからその人となりが手に取るように分かる。
しかも44歳ってまた絶妙な年齢設定だなぁ。
周りが何と言おうと再婚もまだまだ有りだろう。
同じ女性として共感ポイントが多いのもまた面白い。
物語の転機となるのが、
夏葉子を窮地から救った『姻族関係終了届』!
(えぇ〜っ!そんなのあるの!?これは初耳)
と東京の下町で自営業を営む実父の存在。
「相手を批判しない。非難もしない。
自分がどう感じたか、どんなに嫌な思いをしてきたか、何が悲しかったか、そういうのを淡々と正直に言えばいい。相手のテリトリーには入らずに、自分だけの世界の中で話す。」
この実父の教えは確かに大事だなぁ。
夏葉子と急死した夫も、これが出来ていたらもっと違った夫婦関係が築けただろうに・・・
そしたら結末もまた違ったのかも。
亡き夫の本音も聞いてみたかったなぁと思う。
『姻族関係終了届』は、その制度に驚いたと同時に、姻族関係終了の必要性について考えさせられた。
本作では子なし夫婦だったが、子ありだったら更に慎重に判断するべきだろう。必要な方には恩恵の大きな制度だが高齢化社会の余波のようで切なくなった。
誰しも訪れる、近親者の死、お墓やお仏壇、遺品や相続に介護問題など、普段考えないあれこれに思いを巡らせる良いきっかけになる作品だった。
夫婦関係に悩む人にもオススメの一冊。
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夫が急死した。これで自由な毎日がやってくる。好きな長崎の街で、好きな自宅で暮らすことが出来る未来を思い浮かべるが、、、
葬儀が終わると、舅姑が仏壇の話をもつてくる。合鍵を使い、まるで自宅のように姑の友達を呼んでいる。当たり前のように家に入り込んでいる姑。
自宅には、線香をあげたいと、全く知らない人間が押し寄せる。中には詐欺まがいの人間までもが。。。
都合よく嫁を使おうとする親族たち。
自由とはほど遠い生活が待っていた。
しかし意外な人間が彼女を救うために立ち上がる(笑)
この本には、結婚後の女の理不尽さ等、共感できる部分が随所に散りばめられていた。
全然自分とは違う状況だが、この場面はわかる!という描写がいくつも。
性格的にも、私はこの主人公にそっくりな気がした。何でも頼まれるとやってあげたくなるお人好し。そこにどっぷりと甘える周りの人間。
自分が相手を傷つけないように、しっかり話さないことには、相手にいいように利用されてしまう。全く自分のことじゃないかと(^_^;)
読んでいて色々反省する部分も多かった。
愛人の真相がわからず終いなのが、何となくモヤモヤしたが、ありそう、ありそうって読んでいると、あっという間に読み終わってしまった。
垣谷先生らしく、ほわっとした気持ちで本を閉じることができた(*^^*) -
垣谷美雨さん13冊目。本作は夫(46)が急死した妻夏葉子(44)が主人公。夏葉子の出身は東京だが、夫の転勤で実家のある長崎に暮らす。2人の間に子供はない。夫亡き後の義理の親族との付き合いを中心に話は展開する。夏葉子の父親の娘への思い遣りと行動力、夏葉子の他人に対するスタンス(嫌なことをしてきた人を即座に切り捨てず、余裕を持って付き合うようにしたこと)が素晴らしかった。個人的には亡くなった夫が家庭内でもう少し違うコミュニケーションは取れなかったのだろうかと少し残念に思ったが、夫亡き後も、自身には縁のない土地で、信頼できる友人なども作り、自立して暮らし続ける夏葉子の前向きな姿勢は良かった。
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ポプラさんこんにちは♪
この本、私も数年前ですが読みました。
ーー夫の家族が合鍵?自分の家に夫の家族がずかずかと。苛つきながら読んだのを覚え...ポプラさんこんにちは♪
この本、私も数年前ですが読みました。
ーー夫の家族が合鍵?自分の家に夫の家族がずかずかと。苛つきながら読んだのを覚えています。
倒産続きの彼女、あれは半分を過ぎると複雑で判らなかった事柄が解明されていきます。それには、痛みもいくつか伴います。
玉子の人生、過去は大変なものでした。最後は玉子の心情に寄り添ってしまいます。
なので★4つとなりました。
元彼の―と倒産続き、順番に読まずとも楽しめるかと思います!
―ーポプラさん、来年も
よろしくお願い致します2021/12/27 -
ゆうママさん、こんばんは。
気の合わない夫と結婚してしまった女性の不条理が切実でした。
新川帆立さんの元カレ、倒産、女性が感情移入できる...ゆうママさん、こんばんは。
気の合わない夫と結婚してしまった女性の不条理が切実でした。
新川帆立さんの元カレ、倒産、女性が感情移入できるような内容でしょうか?
人気すぎでなかなか順番が回ってきません。
ゆっくり待ちますね。
それでは、また来年もよろしくお願いします。2021/12/27
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単に夫が嫌いなのかと思ったら、残された嫁や周りの人達にはいろいろあるって気付かさせる。垣谷美雨さんは、読みやすくて知らない現実を教えてくれるので、お気に入りです。
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姻族関係終了届
思わず、呟いちゃった。
今、旦那が死んだら私も出すなぁ
って、声に出しては言えないけど
夫が出張って言って
実は行ってなくてホテルで死んでたら
浮気を疑うしかないよなぁ
都合のいい嫁にはなりたくない!
父親、すごく頼りになるなぁ。
普段は、そんなに話すこともないけど
いざと言う時、頼りになる。
父親が娘の事をすごく思っていてくれるのが泣ける。 -
読んでて痛々しさを感じた。自分には舅姑はいないから、本当の意味では分かっていないのだろうけど。
「夫の急死=自分の自由」ではなかった。死後自分の知らなかった夫の姿があらわになり、本当の意味で自由になるために奔走する夏葉子。姻族関係終了届を出してもご縁があった人だから。
嫌いにならないうちに距離を置くという考え方は嫌いではない。何より、敬遠していた実家の父が活躍していたのはよかった。 -
垣谷さんの共感できる人間描写にはいつも引き込まれていき、片づけます系の本のように軽くポップに読み進めていくことが出来る。
ただ、今回の本では本質を突く、学びもあった。
未亡人となり姑舅を始めとした旦那側の親戚に便利扱いされ、未来の介護の想い悩み息苦しさを感じている娘を救うために登場する父親だ。
自分の娘に、お前は潰されても良い人間だと思われている。そんなのは許せないと。怒りを露わにしながらも、娘には絶対に相手を批判してはダメだと説く。
相手は批判せず、自分の感情を訴える。相手のテリトリーには入らずに、自分だけの世界の中で話す。
これはコミュニケーションを行う上で最も必要なスキルだと思う。 -
「嫁」という字は「女」+「家」。この「家」は何を意味する?
夫婦の家?家庭?それとも、夫の実家?…
もちろん、夫婦によって事情が違うものの、結婚を境に相手との関係性が変わり、相手の家族が付いてくるんですもんね。
(字の成り立ちを調べてないので、私の妄想です)
主人公の夏葉子の場合、夫が亡くなったあとも義実家の両親がまとわり付いて来ます。プライベートの無い生活。息が詰まる!
悪意が無いだけに(ある?)私も苦しくなりました。
最終的には、関係性を切ることで、優しく思いやりのある本来の自分を思い出せたこと、そして、自分の実家を見つめ直すこととなり、良かったと思いました。
一回りも二回りも成長して希望が持てる終わり方だと思いました。
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40代の夫が急死。
子どももなく、冷え切った夫婦関係だったので悲しさや寂しさよりも開放感に包まれちゃう。
でも夫の死をきっかけに義両親との距離が縮まり、姑に執着されてるようで息苦しくなってきた。夫の秘密も明らかになり、その他にも仏壇・お墓・義両親の介護・引きこもりの義姉の老後と先の問題も見えてきて、、、。
主人公の夏葉子は真面目な長女で、全てを1人で背負い込んじゃう?背追い込まされちゃう。あーしなきゃ、こうでなきゃってがんじがらめになってたけど、きつきつに絡まった糸が解けるように考え方にも変化があらわれて。
垣谷美雨さんの小説は本物の悪人は出てこないし、波乱はあるけど誰かを懲らしめるわけでもなく、みんなにとってストレスのない良い着地点を探す感じが現実的で参考になるし胸も痛まない。
私自身まだ40代なので気楽にフィクションとして楽しめるけど、直面したら大変なんだろな。それに40代だからまだまだ先とも限らないし。 -
妻ではなく、夫に先立たれた“嫁”の苦悩をつづった小説。
リアルだからこそ、イライラしてしまうかも?!
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夫が脳溢血で、突然この世を去った。
46歳の若さだった。
でも妻・夏葉子(かよこ)には何の感情も湧いてこない。
仕事人間の夫は、家にいることなどほとんどなかった。
独身の身となったはずの夏葉子だったが、夫の両親やその周囲からは“嫁”としての役割をじわじわと強要されはじめる…
そして現れる夫の同級生だったという謎のオンナ。
亡き夫への疑惑も高まっていき…
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嫁としてのグチだらけなのに、文章が自然で読みやすく、サラッと読み終えられました。
ただ、読むタイミングによっては、ストレス倍増の小説でもあるので、心に少し余裕がある時に読むことをオススメします。
どの立場で読むかによって、登場人物それぞれの印象が変わる小説でしたが、正直なところ主人公の夏葉子も含め、登場人物ほとんどのことをあまり好きになれませんでした。
唯一「いいこと言うじゃん」と思えたのは後半にバリバリ登場した夏葉子の実父でした。
夏葉子自身は二人姉妹の姉であり、小さい頃から物わかりのいい人として見られてきた故、「なんでも言うことを聞いてくれる便利な人」というレッテルを貼られてしまっています。
そういう生き方をしていると、“嫁”としてもいいように使われてしまうのかな、と思うと、ぞっとしました。
というかそもそも、“嫁”という漢字があることが、恐ろしいですね。
嫁として悩んでいる方にはヒントが得られ、嫁の気持ちがわからないと嘆く方には、嫁の気持ちがわかる小説ですので、お互いに悩みすぎる前に一例としてサラッと読まれてみるとよいかもしれません。 -
40代なかばで夫に急死された夏葉子。仕事人間だった夫とはまともな夫婦関係を築けていなかったため、亡くなっても悲しいというより自由になった、という感想をいだく。しかし現実は真逆。姑や親戚からの「嫁として夫の親族の世話をしてね。」という圧力がリアルで怖いっ!
夏葉子の感じる閉塞感にこちらまで息が詰まりそうで、一気読みしました。
お父さん、グッジョブ!
「姻族関係終了届」覚えました。 -
いろいろなことを旦那さんと話して、
分かりあってお別れしたかっただろうに…
言葉でちゃんと伝えないとわからない。
心にとめて、生活していこう… -
この前に『風と共に去りぬ』を林真理子さんがアレンジした『私はスカーレット』を読みました。
そちらも主人公が、夫が亡くなっても
全然淋しくない、悲しくない。
たった3-4日の間に似たような未亡人の話を読んでしまったのか?
でも、この本はそれだけでは終わりません。
笑いながら読んだし、最後に
「良かったなあ」と。 -
近くに居過ぎると嫌な所がたくさん見えるのに離れてみると良い所が見えてくるのが物凄く同意。ある一定の距離って必要なのだなと感じた。いざって時のお父さんが頼りになって格好良かった!
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51歳という若さで親族が亡くなったばかりで、ふと目にとまった本でした。
姻族関係終了届というものがあるのかと、勉強になりました。
夏葉子の父が素敵でした。
夏葉子の父の言葉と、姻族関係を切った後の夏葉子と姑のやり取りには泣けてしまいました。 -
つい先日友人達と、自分が死んだら墓に入りたいか?と言う話題で盛り上がったばかり。
私も含めほとんどの人が、墓以外を望んでいた。
海にまく、樹木葬がいい等。
そんなとき本書が目に留まり、当然夢中で読み進める。
ある晩、46歳の夫が急死してしまった夏葉子。
なのに何の感情も湧いてこない。悲しみの涙もこぼれない。
これで「嫁」ではなくなり、自由になれる!と思いきや、それからが大変。
大きな仏壇が家に届いたり、墓に夏葉子の名が刻まれたり。
田舎の嫁の恐ろしさを知る。
軽いタッチで描かれているが、内容はすごい。
でも登場人物達は皆、真の悪人ではない。
そして夏葉子の父が途中から大活躍するのだが、本当にカッコいい。
私自身、相談事はいつも母に持ちかけ、父を頼る事はあまりしてこなかった。
だがこの作品を読み終えた今、父と話がしたいなぁと思う。
最後は、未来にやわらかい光が差す感じ。
面白かったです。 -
終盤まではずっーとモヤモヤ、イライラ!
出てくる人みんなが何だかなぁ〜
結局、お父さんのラストの言葉通り、夫婦だって家族だって相手の考えていることなんてわかるはずない。自分の考えていることや感じた事を正確に伝えることもすごく難しい事、根っからの悪人じゃなければ許容範囲、そんなもんだよな〜 みんな色んな顔を持っているのかもしれない。
それにしても工藤はクズだな…
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