叡智の図書館と十の謎 (中公文庫 た 85-2)

著者 :
  • 中央公論新社
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本棚登録 : 633
感想 : 48
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122066984

作品紹介・あらすじ

どこまでも続く巨大な砂漠の果て、そこには古今東西の知識のすべてが収められ、至りし者は神に等しい力を手に入れる図書館があるという――長い旅路の末、たどり着いた旅人がひとり。鎖に縛められたその扉を開かんとする彼に守人が謎をかける。鎖は十本、謎も十問。旅人は万智の殿堂へたどり着けるのか!? 知の冒険へ誘う傑作長篇!文庫オリジナル

感想・レビュー・書評

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  • 叡智の図書館。知識、思想、記憶、歴史、思考。あらゆる全てが記録されているという伝説の図書館。
    そこに辿り着いた者は神に等しい力を得ることができるという。
    そこには十の問いと物語がありその謎を解かねば命を落とすことになり叡智を得ることもできない。
    それに挑む一人の男と魔法の石版が一つ。。
    短編なのにこんなに重厚で心を揺さぶる物語を落とし込んでいる所がすごいし、物語のジャンルも様々ですごく面白かったです。
    もっとこの先を読みたい〜と毎回思いながら読みました。
    素敵な読書体験をさせてもらったなぁ(っ ॑꒳ ॑c)✨

  • 『煌夜祭』が面白かったので、多崎礼さん二冊目です。
    (図らずも、“ファンタジーウィーク”になっていますww)

    広大な砂漠の果てにあるという、<叡智の図書館>。そこにたどり着いた旅人が、その扉を縛る“10本の鎖”を解く為、“守人の乙女”が投げかける“10の謎”に挑みますが・・。

    “謎”といってもミステリではなく、旅人の所有する<魔法の石板>に映される物語が、謎(というより“問”)への答えを示唆するというものです。
    その10話の物語は、まさに“古今東西”。中世モノから和モノ、さらには近未来SFモノまでバラエティーに富んでいて、それぞれ作中作なのにちゃんと読み応えがあるのは流石ですね。
    第二話(第二問)と第五話(第五問)のリンクは“おっ!”と思いましたが、他の話の関連性はほぼない感じでしたね(近未来パートはちょっとリンクしている感がありましたが)。
    個人的には第九話(第九問)「愛と平和(ラブ&ピース)」がお気に入りで、ロボット(?)とネコの交流に癒されました。
    と、いう訳で短編集的な感じで楽しませて頂きましたが、全体的なまとまりにはちょいと欠けるかな・・というのが正直な印象です。
    とはいえ、1つの話で10話分楽しめるので“お得な”1冊かと思います~。

  • 13:あーめちゃくちゃ面白かった……。趣味嗜好がどこからかだだ漏れてるのでは?ってくらいツボでした。
    これから書きたいモチーフがいくつか登場してンンッてなりつつも、幸せな気持ちで本を閉じることができました。知識は、情報は、人を幸福に導くだろうか。

  • ファンタジー好きには堪らない仕様ではないでしょうか。
    何しろ10編の異なるファンタジー(一部SFですが)が味わえて、それぞれの話が長編書けるというレベルで濃厚な内容になっていますから。
    ファンタジーと言っても、中世ヨーロッパ風のものから和風伝奇もの、未来が舞台のものまで実に多種多様。
    流石「図書館」収蔵作品の内容が半端ないと思わせる物語ばかりでした。
    それでいて、通して読むと一つの長編になるという摩訶不思議な作り。
    しかも、それぞれの物語が導き出した「答え」から、更なる「答え」が導き出されるというのも凄い。
    あの感動は是非本編を読んで感じて欲しいです。
    全ての答えから一つの答えに辿り着いた彼女の思い描いた未来は、もしかしたら既に自分たちがどこかで目にしているのかもしれないななんて思うと、読後も楽しめる……そんな余韻も素敵な作品でした。
    こんなに内容たっぷりな話が1冊で読めてしまうのって、本当に最高の贅沢ですよ。
    凄いや(語彙力が尽きた)

  • 人はなぜ物語を求めるのか。
    私はこう思う。
    幾多の喜びを、苦しみを、悲しみを、愛を、憎しみを、つまりは数多の人生を知る。
    知ることでそれは自分の一部になる。
    自分の一部になることで人は寛容になる。
    寛容でありたいと願うために人は物語を求めるのではないかと。
    誰にでも優しくある必要はない、ただ寛容であれ。

  • 読書が好きなひとなら、『図書館』とタイトルにあるだけでドキドキワクワクするでしょう❓
    そこに、十の謎に呼応した、十の多彩な短編。
    多崎礼さんならではの、SFとファンタジーのハイブリッドの美味しいこと‼️
    短編ひとつひとつも、しっかり面白い。
    その核心を、ひとつの言葉にしてしまうのも、すごい。

    これ以上は書くまい。
    と言いつつ、短編がそれぞれの時代や世界を描いているために、いつもの作品のような作品世界の手応えはやや薄かったかも。

    贅沢な読書でした。
    文庫版なのがもったいないほど。
    表紙のイラストもとても素敵だけれど、持った手応えというか…だって、『叡智の図書館』ですよ‼️
    ぜひ、もっとずっしりと美しい装丁で、手に取りたい。

  • 期待はずれ
    哲学的 なのか?
    私には理解できなかった。

  • どこまでも続く広大な砂漠の果て。そこには古今東西の知識のすべてが収められ、至りし者が神に等しい力を手にできる図書館があるという。長い旅路の末たどり着いた旅人が鎖に縛められたその扉を開かんとし、守人は彼に謎を問いかける。

    私にしては珍しい「新刊が出たら内容は関係なくとりあえず購入する」作家さんの一人。ファンタジーの書き手として、もっと売れてもおかしくないのにな~

    十の謎に対して様々な十の短編が入っていて、豪華だな~という印象。昨今、この一篇だけを薄く引き伸ばして一冊としている本もあるというのに…ただ、各話の登場人物の間に何か繋がりがあるのかな…?と少し期待してしまったので、それぞれを楽しんだという感じで終わりました。猫好きとしてはやはり第9問目の話が泣けましたが…どの話も好きだったなぁ…ただ、叡智の図書館やローグ、石板についてサクッと終わってしまったので良い短編集、の印象で終わってしまったのが残念…最後にもう少し掘り下げて欲しかったな…と思いました。

  • 十話の短編で構成されている本書。一つ一つの短編が綺麗だったためか、最後のまとまりよりもそれぞれの続きを読みたかったなという気持ちが強くなった。
    英語で会話が続くのも少々気になってしまった。

  • 「煌夜祭」に続いて読みました。
    こちらも短編集になっていますが、物語の本筋に辿り着くお話が10話。
    時代も国(?)もバラバラのお話。

    多崎さんの作品は、綺麗な書きぶりだなぁと感じます。そして、とても読みやすい。

    レーエンデ国物語も早く読もうと思いました。

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著者プロフィール

2006年、『煌夜祭』で第2回C・NOVELS大賞を受賞しデビュー。著書に「〈本の姫〉は謳う」、「血と霧」シリーズなど。

「2023年 『レーエンデ国物語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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