風に吹かれてII-スタジオジブリの現在 (中公文庫 す 30-2)

著者 :
制作 : 渋谷 陽一 
  • 中央公論新社
3.44
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本棚登録 : 57
感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (229ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122067127

作品紹介・あらすじ

Ⅱは宮崎駿、高畑勲らとの苦闘の日々と制作秘話を収める。巻末に高畑勲亡きあとに語り下ろしたインタビューを収め、今後のジブリを考察する。

感想・レビュー・書評

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  • 特撮博物館のときに庵野秀明について語ったインタビューは面白い。
    あとはいつものガハハ。

    ■スタジオジブリへの道、そして三十年(後編)(2013、語り下ろし)
    ■いつも今!――スタジオジブリの現在Ⅱ(「CUT」)
    ・僕に与えられた課題 宮崎駿が試写会で泣く(2011)
    ・庵野秀明を語る 「誰も知らない」庵野秀明(2012)
    ・宮崎駿、高畑勲、切磋琢磨の四十八年 『風立ちぬ』と『かぐや姫の物語』(2013)
    ■文庫版のためのインタビュー(2018、語り下ろし)
    ・あとがき
    ・文庫版のためのあとがき

  • ジブリのプロデューサーである鈴木敏夫へのインタビュー。
    インタビュアーがしっかりと方向性を持ってインタビューしているので、分かりやすいというか、逆に見方を変えれば、インタビュアーが自分の思っている方向へ強引に持っていこうとする感じがしないではない。
    ただ鈴木敏夫が他の本で、自分で書いたものと内容が重複している部分が多く、少し興味が削がれた。

    鈴木敏夫はジブリの生みの親でもあり、社長でもあったが、基本的にはプロデューサーである。この裏方のプロデューサーが何故にこれほど脚光を浴びるのか???とつい思ってしまう。
    恐らく、ジブリの主である宮崎駿にしても高畑勲にしても天才と呼んで良いと思うが、社会性や経済観念が全くないというか、どこかで人間としてのバランスを亡くした大変人で、鈴木敏夫が居なかったら、我々が今日目にするジブリの作品は無かったような気がする。
    もちろんプロデューサーが作品を作るわけではないので、宮崎駿も高畑勲も偉大な天才であるのは間違いないと思うのであるが・・・やはりジブリは変人狂人の集団のような気がする。

  • インタビュー集第二弾。
    庵野秀明さん、高畑勲さんについて語られたインタビューは読む価値ありです。そうか、エヴァは巨神兵か…。
    インタビュアーが相変わらず癖が強いです。今回は「アニメの神様」「宮崎さんの中にも鈴木さんの中にも高畑さんが生きている」です。
    あとがきで、「いつだって独断と偏見に満ちている」と鈴木さんが語っていて、それですっきりしました。

  • そして,ジブリがジブリとして機能していく様が赤裸々に語られていく.結局のところ,それは自己の存在肯定のための自己実現であり,どのようにしてそのような人になったかが,大学時代の様相から納得できるあたり,聞き手の舵取りのうまさが如実に表れる.遠くない将来のジブリという存在が,読者の頭に明確に予想される.

  • ーーこれは『アリエッティ』の成功の法則を多少応用したんですか?
    「まあ二人ともやり方違いますけどね。吾郎くんに感心したのは『ゲド戦記』のときなんですよ。最初から完成度の高い絵コンテを描いたのは、吾郎くんの方だったね。どこでこんなもの学んだんだろうって。自分の父親が偉大だったわけでしょう。そうするとなかなか面と向かって話す機会がない。そうしたら、親父と交わす代わりにね、映画と対話していたーーそして宮さんのつくった映画のカット、内容を全部覚えていた。それですよね。それを当てはめていったのが『ゲド戦記』であり、そして今回の作品。映画ってそういうものですよね。それは黒澤だっていっていますよ。映画は記憶力で、どれだけ名作のカットを覚えているかだと。そういうことでいえば、映画って引用の組み合わせですよね。吾郎くんの場合、一つ問題なのは、その対象が全てお父さんの作品だということですよね。だって、黒澤なんかいろんなとこから引っ張ってきている。その記憶力のいい人間が映画を作る。
    ーー僕は『コクリコ坂から』を見て、ああ、よかったなと。
    「うん、よかったと思います。普通、映画監督ってね、若いときに習作としていろんなものを記憶していて、それを当てはめていってやる。小説だってみんなそうです。三島由紀夫の初期の作品、『仮面の告白』なんて全部太宰治じゃないですか。そのまま。句読点の打ち方まで同じ。吾郎くんの場合、問題がるとしたらそのスタートが遅いってことですね」

    ーー延々やりながらも、これだってハードル越えができていない中、企画をスタートさせなくちゃいけない。これ、暗澹たる気持ちにならないんですか?
    「僕ね、暗澹たる気持ちってならない人なんですよ(笑)。だからといって燃えるわけでもないですよね。だからまあ、『床下の小人たち』(『アリエッティ』の原作)が企画決定する、麻呂ちょっと来てっていって、やってもらうことにした。それだけですよ。
    ーー麻呂さんに決めた、これは映画『借りぐらしのアリエッティ』の時にもうかがったんですけれども、それがまずすごいですよね。
    「いや、僕が考えてたことはね、ちょっとやらせてみてだめだったらまた次に替えよう、そんなことを思っているわけですよ(笑)」
    ーー(笑)。
    「そういうもんでしょう?(笑)」
    ーーいや、でも結果としては大成功だったわけで。あらためて、なぜ麻呂さんを選んだんですか?
    「うまかったからですよ、アニメーションが。正確にいうとね、『床下の小人たち』でしょ、これ小人の話でしょ。そうするとアニメーションがうまくないと始まらないんですよ。そういうところ、僕は現実的、実際的なんですよね。要するに、お話をシンプルに、表現を豊かな作品にするってことをスパッと考えるんですよね。だから、シナリオを作るときに僕が考えてたのはね、長くなっちゃおしまい(笑)。要するにお話で見せる映画じゃないから。なんていうのかな。小人が小人に見えなきゃいけないわけでしょ。そこで監督はアニメーターの方がいいと思ったんですよね。となったときに、麻呂が一番うまかった。とはいえ、絵コンテって描いたことないわけでしょ? どうしよう? って。まいっか、いろいろアニメやってきたんだからとにかく描いてみなってやつですよ(笑)」

  • ?はジブリ作品の制作秘話を多数収める。巻末に語り下ろしインタビューを収め、高畑勲の死、そして引退宣言を撤回した宮崎駿の新作について語る。

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著者プロフィール

スタジオジブリ代表取締役プロデューサー。1948年、愛知県名古屋市生まれ。
徳間書店で「アニメージュ」の編集に携わるかたわら、1985年にスタジオジブリの設立に参加、1989年からスタジオジブリ専従。以後、ほぼすべての劇場作品をプロデュースする。宮﨑駿監督による最新作『君たちはどう生きるか』(23)が、米・ゴールデン・グローブ賞のアニメーション映画賞を受賞した。「仕事道楽 新版──スタジオジブリの現場」「歳月」(ともに岩波書店)、「スタジオジブリ物語」(集英社)など、著書多数。2021年、ウィンザー・マッケイ賞を受賞。

「2024年 『鈴木敏夫×押井守 対談集 されどわれらが日々』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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