ファウスト-悲劇第一部 (中公文庫プレミアム)

  • 中央公論新社
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本棚登録 : 50
レビュー : 3
  • Amazon.co.jp ・本 (465ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122067417

作品紹介・あらすじ

あらゆる知的探究も内心の欲求を満たさないことに絶望したファウストは、悪魔メフィストフェレスと魂をかけた契約を結ぶ。不朽の大作を格調高い名訳で贈る。

感想・レビュー・書評

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  • 老学者ファウストは悪魔メフィストフェレスと「とまれ、おまえはじつに美しいから」と言った時、自分の魂を渡す契約を結ぶ。その代償として若返り、
    「さっぱりと知識欲を投げすててしまったこの胸は、
    これからどんな苦痛もこばみはせぬ。
    そして全人類が受けるべきものを、
    おれは内なる自我によって味わいつくしたい。
    おれの精神で、人類の達した最高最深のものをつかみ、
    人間の幸福と嘆きのすべてをこの胸に受けとめ、
    こうしておれの自我を人類の自我にまで拡大し、
    そして人類そのものと運命をともにして、ついにはおれも砕けよう。」(第一部PP142~143)
    と人生をやり直すことを決意する。しかし、一幕一幕場面が変わり、主人公のファウストは相変わらず、女性の後を追いかけ回し続ける。最後は寄せて返る波の非生産性に腹を立て、海の埋め立てを実行する。そして、立ち退かない老夫婦を焼死させることになりながらも、自身は
    『自由な土地に自由な民とともに生きたい。
    そのとき、おれは瞬間にむかってこう言っていい、
    「とまれ、おまえはじつに美しいから」と』(第二部P568)
    と思いを馳せ、亡くなる。しかし最後は、メフィストフェレスとの契約履行のとき、天使たちが突然降り立って、約束を反故にしてしまう。
    天使たちは
    「どんな人にせよ、絶えず努力して励むものを、
    わたしたちは救うことができます。」(第二部P598)
    といって、主の救いを歌う。
    傍から見て身勝手な物語だと思う。しかし、これは憂いを克服する物語なのだ。老学者の頃のファウストに自殺を考えさしたこの憂いを、悪魔の力を借りながら最後は退ける。ゲーテにとって、この、憂いがどれだけ生命に反するものだったかを察しなければならない。解説文で中村光夫が『ファウスト』のセリフは「作者の体得した人生の真実」と書いていた。それを汲み取る努力が、この読書には必要だ。

  • あらゆる知的探究も内心の欲求を満たさないと絶望したファウストは、悪魔メフィストフェレスと魂をかけた契約を結ぶ。〈巻末エッセイ〉河盛好蔵・福田宏年

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著者プロフィール

ゲーテ

Johann Wolfgang Goethe 一七四九―一八三二年。ドイツのフランクフルト・アム・マインに生まれる。ドイツを代表する詩人、劇作家、小説家。また、色彩論、動植物形態学、鉱物学などの自然研究にも従事、さらにワイマール公国の宮廷と政治、行政に深く関わる。小説の代表作に『若きウェルテルの悩み』『ヴィルヘルム・マイスターの修業時代』など。

「2019年 『ファウスト 悲劇第二部』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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