ファウスト 悲劇第一部 (中公文庫 ケ1-4)

  • 中央公論新社 (2019年5月23日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (432ページ) / ISBN・EAN: 9784122067417

作品紹介・あらすじ

あらゆる知的探究も内心の欲求を満たさないことに絶望したファウストは、悪魔メフィストフェレスと魂をかけた契約を結ぶ。不朽の大作を格調高い名訳で贈る。

みんなの感想まとめ

人間の内面的な葛藤と欲望を深く掘り下げた作品は、知識を追求することが無意味であることを痛感させます。ファウストは、肉体の限界を超えて精神の自由を求め、様々な挫折を経験しながらも、希望と恐怖の間で揺れ動...

感想・レビュー・書評

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  • 生涯を通して人智の宝庫を掴み取っても結局は何も知らないということが分かっただけ
    肉体の翼は閉じていることが多く精神の翼だけは羽ばたこうとバタつく

    無邪気さと無垢なるものは時の渦に飲み込まれてひとつひとつ挫折に変わり
    太陽に背を向けて冷たい霜を胸であたためたくなると復讐の女神メゲラが囁く声に耳を傾けてしまう

    人間は努力する限り迷うもの

    人を欺く仮面の群に繋がれ怯える心
    恐怖と希望は最大の敵
    寂寥という虚無のなかで一切を見つける
    救いや慰めはいらない 困難な危険を恐れないファウストの勇気がその鎖を断つ

    詩のこころは美の調和をもたらす
    子供のころに聞き慣れた歌が地獄の淵から引き戻す
    胸から溢れ出て全世界を再び心の中に入れる

    非精神的である無感動の意識は浅く留まり
    揺すぶられる感動を必要としている戦慄する魂だけが前進していく

  • 自由と生活のための絶えざる努力、純潔なる魂
    世界の奥の奥を統べるもの

  • 欲望を謳歌する者の背後にある悲しみに注目しながら読み進めた。錬金術師の夢をもとに,当時の知識を濃縮した文学作品である。

  • 向上心は欲望の裏返しである

  • 悲劇的な人物、心情、情景描写などを哲学、神学、神話、劇、詩、社会、宗教、天使、悪魔などなどありとあらゆる視点から描かれた悲劇の最高傑作。これ以上の悲劇を描ける人は今後生まれてくるのだろうか。

  • 戯曲なので読み進めることはできたし、情景はイメージしやすいが、全ての意味を理解できたかというと別である。
    今響く言葉も幾つかあるが、年を取ればまた違った感想を持つのだろう。

  • 高潔にして世界の真理を追い求めた末、自分のちっぽけさに絶望した主人公ファウストが、悪魔メフィストフェレスに魂を売って人間的快楽を知るといった内容だった。設定としては結構面白かったが、内容が面白いかと言われれば個人的にはそうでもなかった。
    所々に出てくるポエムはちょっとよくわからなかった。また、登場人物たちの何気ない発言は含蓄に富んでいるが、少々唐突で無理やりであり、著者がこの作品を通じて自分の人生哲学、思想を詰め込もうとしているように感じた。
    ただ、この手の古典的名作の良さというのは、そのつまらなさの故に、読後に現代の流行りの小説を読むといつもの数倍面白く感じることができるといったところにあると思っている笑

  • こんなに好き勝手やって、最終的に救済されるのは納得いかない
    信仰心があればもっと理解できるのかもしれない

    グレートヒェンに関しては悲劇っていうかもはやファウストの罪でしょ
    親殺させて兄殺して行方をくらませてる場合か?捕まってから助けに行くのはあまりにも遅いのでは?

    一部と二部だとまだ一部の方がおもしろい
    二部はキリスト教知識に加えてギリシャ神話とか歴史に詳しくなくて読むのが大変だった

  • 古典で戯曲というと近頃シェイクスピアを数編読んだという程度のニワカだが、古典で名作といわれる作品らに感じることがないわけではない。必ずしも面白いものではないこと、週刊少年ジャンプ掲載作品のようだということ。前者については戯曲に限らぬこと。後者については、作者が第一に気にすべきは人気であっただろうということである。客が席を立たぬようにすることが第一で、叶うならばリピーターを生産したかっただろうということである。それを由来として、いろいろと雑なところがあるように見える。

    『ファウスト』も古典で戯曲だが、第一部を読んだ限りでは前述のようなことはない。雑だと感じないし、面白い。
    なぜか第一部の巻末に掲載されている、第二部まで含めた解説によればゲーテは半生をかけてこの物語を綴ったそうで、死の間際にも改稿を施している。重ねた推敲が悪く働かず、作品を昇華させたということか。
    巻末エッセイによれば、ファウストの翻訳は森鴎外をはじめ幾つも存在するが、必ずしも読みやすいものではなかったらしい。本書はそのあたりを強く意識して翻訳がなされたということで、そのためだろうか、読みやすいと感じるのは。

    さて、本作品にはノストラダムスの名が登場する。ただ一度だが、出生地たるフランスはおろか全世界的にはそうでなくとも、一時期日本人なら誰でも知ってるくらいの著名人たりえたのは、古典名作の権威があったからなのかなとか。
    石川賢が「虚無との戦いは空間の奪い合いだ」としたネタ元だったのかなとか。
    ワルプルギスの夜の描写は『ベルセルク』の蝕に着想を与えたのかなとか。
    ハロルドシェイの呪文はこの辺由来なのかなとか。
    思ったり思わなかったり。

  • 第二部も含めての感想です。

    初読。訳は手塚富雄ので。ファウストが思ったより大分ろくでもない奴で、その上内容も中々ぶっ飛んでるせいで、なんか途中からギャグ漫画みたいに感じながら読んでた。そのせいか登場人物の脳内イメージが漫☆画太郎の絵柄で再現されて困った。たぶん正しい読み方ではない。

    まあでも解説で「読み方は自由」と言ってたしこれも正解の一つなのかな?

  • ・老いてはがんぜない子供に返ると人は言うが、そうじゃなくて、老いてこそ神に近いほんとうの子供に育つのですよ。

    ・霊の世界が閉ざされているのではない。なんじの耳目がふさがり、なんじの心が死んでいるのだ。起て、学徒よ。誓って退転することなく、塵界の胸をあかつきの光をもって洗え。

    ・精神が一時どんな崇高なところへ舞い上がっても、たちまち物質の垢がこびりついて、それを下へ引き下ろす。いっぺん俗世の宝を手に入れると、より高い精神の宝が幻影に見えてくる。われわれに生命を授ける美しい感情も、地上の冷気にあって、凍てついてしまう。

    ・悪魔も何物かであらねばならぬ。さもなければ悪魔が存在するはずがないではないか。

    ・悪魔たちがいるからには、善い霊たちが存在することも、疑いようのないことだから。

    ・メフィストは、人生の意義の否定とか絶望とかという消極的な形においてではあるが人間に最も関心をもつものである。関心をもつというのは、いくら否定的な形においてであっても、実はその対象と深いつながりをもっていることである。われわれ自身に内在するわれわれへの否定の心理について考えられたい。これは人間を滅ぼしもするが、反語的に人間を促進もしよう。元来切っても切れない人間の内的伴侶である。彼がいなければおよそこの「ファウスト」劇は成り立たない。

    ・発展は外形にだけあるのではなく、その根源は意欲である。

  • 4.2/104
    内容(「BOOK」データベースより)
    『あらゆる知的探究も内心の欲求を満たさないことに絶望したファウストは、悪魔メフィストフェレスと魂をかけた契約を結ぶ。巨匠ゲーテが言葉の深長な象徴力を駆使しつつ自然と人生の深奥に迫った大作の第一部を、翻訳史上画期的な名訳で贈る。読売文学賞受賞作。訳者による解説「一つの読み方」を付す。』

    『あらゆる知的探究も内心の欲求を満たさないと絶望したファウストは、悪魔メフィストフェレスと魂をかけた契約を結ぶ。〈巻末エッセイ〉河盛好蔵・福田宏年』(「中央公論新社」サイトより▽)
    https://www.chuko.co.jp/bunko/2019/05/206741.html


    原書名:『Faust』(1808年)
    著者:ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ (Johann Wolfgang von Goethe)
    訳者:手塚 富雄
    出版社 ‏: ‎中央公論新社
    文庫 ‏: ‎472ページ(第一部)
    ISBN‏ : ‎9784122067417


    メモ:
    ・世界文学ベスト100冊(Norwegian Book Clubs)
    ・西洋文学この百冊

  • 翻訳が読みやすくて秀逸!こんなにおもしろいとは思わなかった、というか、こんなにおもしろいと思えるとは思わなかった。訳者の手塚富雄氏が冒頭の「訳者のことば」に以下のように記しているが、こう書いてくれたことで、名作だからちゃんと読まなくちゃ、みたいな引け目というか強迫観念を一度脇において読むことができてすごくありがたかった。

    「この世界的に有名な作品が読まずに尊敬されるのではなく、読んで親しみをもたれるようになることが、訳者が常に望んでいたことであり、それがこの発行形式でいちばんよく達成されるであろうことが、訳者にとっては何よりの喜びである。第一部、第二部を通じてこれほどおもしろく、魅力に富んだ作品は少なかろうが、読者としてはまず、虚心に素直にそのおもしろさを受けとってそれに身を任せていくのが最善の態度だと思う。」

    メフィストがめちゃくちゃかわいくて大好き。古典で萌えの感情を惹起されるとは思わなかった。第二部も早く読みたい。

  • 知的好奇の執着から悪魔メフィストフェレスと命をかけて契約し霊力を持って突き止めようとする。訳者の解説が嬉しい。2022.3.5

  • 聖書のヨブ記を彷彿とさせる厳かな出だし。失望の賢人ファウストに取り引きを持ち掛ける悪魔メフィストフェレスと彼に見初められた女性に降り掛かる悲劇。森鴎外訳を読んだ事があるのですが、それと比べると読みやすいです。

  • 老学者ファウストは悪魔メフィストフェレスと「とまれ、おまえはじつに美しいから」と言った時、自分の魂を渡す契約を結ぶ。その代償として若返り、
    「さっぱりと知識欲を投げすててしまったこの胸は、
    これからどんな苦痛もこばみはせぬ。
    そして全人類が受けるべきものを、
    おれは内なる自我によって味わいつくしたい。
    おれの精神で、人類の達した最高最深のものをつかみ、
    人間の幸福と嘆きのすべてをこの胸に受けとめ、
    こうしておれの自我を人類の自我にまで拡大し、
    そして人類そのものと運命をともにして、ついにはおれも砕けよう。」(第一部PP142~143)
    と人生をやり直すことを決意する。しかし、一幕一幕場面が変わり、主人公のファウストは相変わらず、女性の後を追いかけ回し続ける。最後は寄せて返る波の非生産性に腹を立て、海の埋め立てを実行する。そして、立ち退かない老夫婦を焼死させることになりながらも、自身は
    『自由な土地に自由な民とともに生きたい。
    そのとき、おれは瞬間にむかってこう言っていい、
    「とまれ、おまえはじつに美しいから」と』(第二部P568)
    と思いを馳せ、亡くなる。しかし最後は、メフィストフェレスとの契約履行のとき、天使たちが突然降り立って、約束を反故にしてしまう。
    天使たちは
    「どんな人にせよ、絶えず努力して励むものを、
    わたしたちは救うことができます。」(第二部P598)
    といって、主の救いを歌う。
    傍から見て身勝手な物語だと思う。しかし、これは憂いを克服する物語なのだ。老学者の頃のファウストに自殺を考えさしたこの憂いを、悪魔の力を借りながら最後は退ける。ゲーテにとって、この、憂いがどれだけ生命に反するものだったかを察しなければならない。解説文で中村光夫が『ファウスト』のセリフは「作者の体得した人生の真実」と書いていた。それを汲み取る努力が、この読書には必要だ。

  • あらゆる知的探究も内心の欲求を満たさないと絶望したファウストは、悪魔メフィストフェレスと魂をかけた契約を結ぶ。〈巻末エッセイ〉河盛好蔵・福田宏年

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著者プロフィール

手塚富雄

一九〇三(明治三六)年宇都宮市生まれ。東京帝国大学文学部独文科を卒業と同時に旧制松本高校教授となる。四三年から六四年まで東京大学文学部でドイツ近代抒情詩を講義する。東京大学名誉教授。文化功労者。八三(昭和五八)年没。著書に『手塚富雄著作集』(全八巻)ほか、訳書にゲーテ『ファウスト』(読売文学賞)、リルケ『ドゥイノの悲歌』ほか多数。

「2019年 『ファウスト 悲劇第二部』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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