夏なんてもういらない (中公文庫 ぬ2-1)

  • 中央公論新社 (2019年7月23日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (384ページ) / ISBN・EAN: 9784122067592

作品紹介・あらすじ

「私はあなたが好きです」


日本語の例文みたいな告白だった。彼に告白する言葉は、もっと別のものにするつもりだった。




十二年に一度の秘祭「潮祭」が開かれる夏。高校生の深冬は片想い相手の優弥とともに、彼の故郷・潮見島へ向かう。普通の大学生だと思っていた優弥は、皆から慕われる祭司という深冬の知らない顔を持っていた。そして島には、絶対にかなわない恋敵がいた。子供と大人、自由と伝統、恋と友情。見えない呪縛に囚われる少女がとった、すべてをぶち壊す選択とは?


この夏、最も心を揺さぶる青春小説。

『潮風エスケープ』を改題。

みんなの感想まとめ

主人公の深冬が片想いの相手・優弥と共に潮見島を訪れ、彼の知られざる一面や、恋敵との出会いを通じて成長していく姿が描かれています。物語は恋愛だけでなく、友情や伝統、個々の葛藤を交えた群像劇としても楽しめ...

感想・レビュー・書評

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  • 単行本の「潮風エスケープ」を改題して文庫化した作品。
    額賀澪さんの「拝啓、本が売れません」で本作品のプロットが紹介されていたことに興味を持ち、読みました。
    文庫本の帯は恋愛小説であるかのように作られていますが、主人公の深冬の成長物語でありながら、関係する人たちの群像小説のような趣もある作品でした。
    時折主人公以外の視点から書かれている部分もありますが、他の登場人物を主人公にしても小説ができそうな、奥行きのある作品でした。
    恋愛小説とか、青春小説とか、そういうカテゴリーにそのまま当てはまらない作品で、何と言うべきか形容しがたい作品ですが、とても良い作品でした。

  • 読み終わって、とってもさわやかな気分になった。
    後味最高です。


    大農家の一人娘、いずれは家業を継ぐように言い聞かせられて育ち、そんな親の考えに反発する深冬。
    島の伝統のお祭りで神女になる権利を得るため、島を一歩も出ては行けないという決まりを頑なに守り続ける柑奈。

    ある意味似たような環境だけど考え方が全然違う2人は、ケンカばっかり。

    島で育った優弥、渚、憲兄ちゃん、どの人物も好感が持てて、その関係性も微笑ましい。

    深冬は失恋したけど、素敵な島で素敵な仲間たちと出会い、忘れられない夏になっただろうな。
    こんなに色んな意味で強烈な夏を経験したら、『夏なんてもういらない』って思えるのかもなぁ。

    キレイな潮見島の風景が目の前に広がるよう。
    12年に一度、3日間かけて行われるお祭りも、準備の段階ではあまり興味が持てなかったけど、最後には、ぜひ行って見てみたいと思えた。

  • いま理解できなくても考え続けること、想い続けること、いつか分かり合える日が来る。
    柑奈がライバルなのかと思いきや、後半では悪態つきながらも友達になっていて微笑ましかった。

  • 春、フェリーで旅をしたときに読み始めた。だらだらと読み進め、夏、読み終わったわけだけど、よかった。。。最初はラノベ(あまり読んだことはないけど)っぽい感じ?となんとなく思っていたけれど、どんどん深みが増して主人公の複雑な心情や先の読めない展開に心が揺さぶられた。夏のにおいを感じながら読めてよかった。

  • 2024/07/17
    潮見島という小さな島での伝統的なお祭りを舞台にしたその島に住む中高生などをメインとしたお話。
    離島の伝統行事が舞台の青春小説って感じだと思うのですが、ジャンルがピンポイントで尚且つ、このジャンルで青春小説として成立しているのが凄すぎるなと思いました。
    農家の娘の深冬は附属高校がある大学のゼミに高校生ながら通う人で、その目的はゼミにいる優弥先輩に会うためだった。
    ゼミの研究の一環で優弥の故郷でもある潮見島への調査ということで3週間島で暮らして調べることになるのだが、そこで出会う島の人々やその伝統に対する想いに、最初は深冬は嫌悪感で一杯だった。
    その様子が徐々に解きほぐされていく過程でさまざまな出会いや葛藤があるのですが、その部分こそがこの本の核心でもあり読み応えのある部分なのではないかと思います。

  • 多和田深冬
    紫峰大学附属高校二年。

    潮田優弥
    紫峰大学人文学部哲学科二年生。潮見島出身。

    三河真澄
    深冬の同級生。柔道一筋。

    江原秀夫
    紫峰大学人文学部哲学科の教授。五十歳。

    神尾将大
    哲学科ゼミ生。二年生。

    長岡玲子
    哲学科ゼミ生。一年生。年齢は優弥より年上。

    内間憲
    東京の大学を卒業後、テレビ番組を作る会社に入った。現在は漁港の手伝いをしながら祖父母の面倒を見ている。離島留学センターを始める。

    浜崎貴樹
    中学三年。留学生。

    柳川輝美
    中学三年。ふくよかなショートカットの子。留学生。

    富永美夏
    中学三年。三つ編みの子。留学生。

    花城慧
    潮見島だただ一人の高校生。

    汐谷柑奈
    中三。潮祭の主役。

    潮田八重
    七十二歳。優弥の祖母。潮見島に唯一存在する神司。

    潮田泰利
    優弥の父。祭司。

    渚優美
    身長百七十四センチ。体重四十八キロ。二十五歳。女性向けファッション誌の専属モデル。潮見島出身。本名は汐谷渚。柑奈の姉。深冬が髪型を真似た。

    ノリちゃん
    渚優美の友達。

  • どこの世界に行ったって
    人との付き合いはいつだって不条理で、人々が自分にとってはくだらないことにこだわっていて、
    良い意味でも悪い意味でも、大事にしている価値観が
    それぞれにある。それを理解し合い、時には擦り合わせていかなければならない。
    目に見えない信仰というものは
    どこに行っても付き纏うものなんだな、と。

    どんなに地獄でも、嫌いでも
    帰る場所であるのだから
    大事にしていかなければならない。
    最後には
    故郷に顔を出そう。と、
    向き合おうとする深冬がカッコよかった。

    深冬のような芯が強く、頑固な性格の人ほど
    周りにいる大事な人との絆は一生ものであって、
    これからの深冬を成長させてくれるような存在だろうなと思う。
    友達なんて多くなくていい。

    あれだけ嫌いだと言っていても
    あの島にまた足を運んで土産を持ってカンナに会いに行くなんて素敵。

    前半は深冬の性格がが苦手で入り込み辛さがあったが
    大失恋や家族、信仰、友情、
    沢山の問題が一気に付き纏ったこの夏を命懸けで
    乗り越えた深冬を
    気付けば応援し、大好きになっていました。


  • 大学の図書館で初めて借りた本。高校生の女の子が大学生たちと一緒に12年に一度行われる祭りを見に行く話。適当に選んだけど面白かった。

    慧くんかわいいね

  • 序盤は軽い恋愛小説かな〜という感じだった
    徐々に恋愛以外の、昔からの伝統を守るのも愛だし、自分の好きな事をするのも愛だし、というテーマが見えてきて面白かった

    帰る場所があるって良いなと思った

  • 人間関係含め青春ストーリー

  • キラキラしてた!ライトに読めるけど程よく恋愛以外のテーマも存在感があって読み応えも十分。

  • 思ってたより軽く読める青春物語でした
    ユウヤがイケメン

  • 積読してた本を片っ端から読もうシリーズ34冊目。

    久しぶりの額賀澪さんの作品。
    テーマが良かった!
    とある小さな島で受け継がれていく伝統や文化。
    伝統を大事にし古い考え方に囚われがちな世代と、
    伝統のこれからの在り方や意味に疑問を持ちながらも
    しっかりと向き合い自分たちなりの答えを出そうとする若い世代。

    世代間の価値観の違いや
    親と子の間で交わされるやり取りは、
    きっと本書のテーマになったような特殊な伝統だけではなく
    深冬の家業の農家のように様々なところで起きていることだと思う。
    けれど、ありきたりなテーマでそれを語られたら
    多分印象には残らない話になっていた。
    この独特な世界観が良かった。
    イメージとして、映画「君の名は」で
    三葉の家が代々引き継いでいた神社の家業みたいなカンジだろうか。

    エピローグがちょっとだけ長かったけど、
    ラストは爽やかな読後感でした。

  • 高校生の深冬は片想い相手の優弥とともに彼の故郷・潮見島へと向かう。だが島には、絶対にかなわない恋敵がいた。『潮風エスケープ』を改題。

  • こんなにも美しくあたたかな失恋があるのか。壊れるからこそ再び生まれるものがある。確かに、もう、いらない。
    また、この物語でもあったように、地域でも会社でも、先にいた人がつくったつまらないルールやしきたりに無理矢理従わされるのが非常に辛いのは強く共感する。縛られれば縛られるほど自由がほしくなる。
    人は変化を恐れる。しかし、変化を受け入れていく寛容さがほしい。歴史や伝統と自由をうまく折り合いをつけて生きたい。

  • もういらないというタイトルと帯に一生に一度の大失恋なんて書いてあるから、ネガティブな話なのかと思ったが、素晴らしい夏だったという話にわたしは感じた。

    ただの恋愛小説ではない。

    神、伝統、変えられないもどかしさ、逃げ出したい気持ち、変わらない人々、変わる人、人間関係。
    正直恋愛は脇役だと思った。昔から受け継がれる伝統を通して、自分はどう受け止め変わっていくのか。はたまた変わらないのか。

    深冬の、親への感情や好きな人への気持ち、好きな人が第一で祭りとかどうでもいい、好きな人と一緒にいたい知りたいって思いはめちゃくちゃ理解できました。
    恋愛としては成就しなかったけど、みんな一歩前に進めたのでスッキリとした読後でした。
    幸せになってほしいな。

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著者プロフィール

1990年、茨城県生まれ。日本大学芸術学部卒業。2015年、「ウインドノーツ」(刊行時に『屋上のウインドノーツ』と改題)で第22回松本清張賞、同年、『ヒトリコ』で第16回小学館文庫小説賞を受賞する。著書に、『ラベンダーとソプラノ』『モノクロの夏に帰る』『弊社は買収されました!』『世界の美しさを思い知れ』『風は山から吹いている』『沖晴くんの涙を殺して』、「タスキメシ」シリーズなど。

「2023年 『転職の魔王様』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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