- 中央公論新社 (2020年6月24日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (296ページ) / ISBN・EAN: 9784122068926
作品紹介・あらすじ
各界の著名人が絶賛!
日本的組織の構造的欠陥に迫る、全国民必読の書
〈広く読まれるべき本。講演で何度もすすめている〉
小泉純一郎(元内閣総理大臣)
〈データを無視し「空気」で決める。
この日本的悪習を撤廃しないかぎり、企業の「敗戦」も免れない〉
冨山和彦(経営共創基盤代表取締役CEO)
〈これは過去の歴史ではない。いまだ日本で起きていることだ〉
堀江貴文
〈私は、本書をまずまっ先に読むように若い学生諸君に伝えたい〉
橋爪大三郎(社会学者、大学院大学至善館教授)
〈結論ありきで大勢に流される日本の弱点が活写され、時代を超えて私たちに問いかける。
あれからいったい何が変わったのか、と〉
三浦瑠麗(国際政治学者)
日米開戦前夜、四年後の敗戦は正確に予言されていた!
平均年齢33歳、「総力戦研究所」の若きエリート集団が出した結論は「日本必敗」。それでもなお開戦へと突き進んだのはなぜか。客観的な分析を無視し、無謀な戦争へと突入したプロセスを克明に描き、日本的組織の構造的欠陥を衝く。
〈巻末対談〉石破 茂×猪瀬直樹
みんなの感想まとめ
日本の組織文化と意思決定の構造的欠陥に迫る本書は、昭和16年の夏に設立された「総力戦研究所」の活動を通じて、日米開戦に至る過程を詳細に描写しています。驚くべきことに、若きエリートたちは国力比較に基づい...
感想・レビュー・書評
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なかなかショッキングなことだ、アメリカとの大戦を始めるよりも前にすでに、日本政府は日本必敗の結末を予想していたと知るのは。
アメリカとの開戦の狼煙になった真珠湾攻撃が昭和16年の12月なのだが、昭和16年の夏には、総力戦研究所という日本政府機関がすでに開戦の結末を予測していたらしい。軍事力ではなく、国力比較によるシミュレーションからかなり正確に日本がたどる道を予測し、政府に報告していた。にもかかわらず、日本は戦争に突き進んだ。
総力戦研究所のことを初めて知ったのは、小川哲の直木賞受賞作、地図と拳を読んだときだ。作品中に、満州に設立される架空の研究所があるのだが、それが総力戦研究所をモデルにした研究所だとあとから知った。その後、昨年の夏、NHKで本作が原作のドラマ兼ドキュメンタリーが放送され、それを見て俄然この本に興味を持った(ちなみに元都知事の猪瀬さん作)。
この研究所はなかなかユニークな手法でシミュレーションを行っていた。各省庁や民間から優秀な30代数十名をかき集め、模擬内閣を発足。様々な模擬大臣たちが、自らの出身機関の持つデータや情報や知見を集め合わせ、議論を進め、開戦した場合どのようなことが起こりどのような戦術をとるか、そのために国内はどう差配するか、物資は、輸送は、食料は、兵力は。模擬内閣はあらゆる角度から模擬戦争運営を実施。
そして出した答えは日本必敗。どうやってもアメリカには国力の差により敵わなかった。このシミュレーションの詳細や、その後の顛末、戦後の研究所員のその後を本書は追っている。
興味深いのは、この結果を受けてもなお戦争に突き進まざるを得なかった日本文化と意思決定機関のあり方だ。天皇は開戦を望まなかった。開戦派の東条は天皇に忠誠心が高い人間であったため、首相になったあとは逆に開戦を中止しようと頑張った。それでもなお日本が戦争に突き進むのを止められなかった。その様子が克明にかつ分かりやすく描かれていた。
翻って今の会社組織などの状況を考えてみると、データドリブン経営なんて言葉が飛び交う80年後のニッポンだが、その本質は昭和16年から何ら変わってない気もしてくるのが薄ら寒い… いやはや、なかなか興味深く一気に読んでしまった作品であった。
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総力戦研究所について知りたくて読み始めたのだが、周囲の空気感が何よりも優先してしまうだとか、何をするにも場当たり的な部分に対し「これって今の日本も同じではないか」と思い至り、とても怖くなった。過去の教訓を今こそ学ぶべき時なのかもしれない。
*読了(2024年08月11日) -
これまでの昭和歴史認識を覆すほど、インパクトのある一冊だ。
これまで散々日本がなぜ日米開戦に至ったのか? 当時の政府、軍、国民は何を感じ、何に向かっていたのか? について語られる機会、書籍はあった。
しかし、猪瀬直樹氏の分析力、調査力、表現力は我々の認識に向かって破壊力を持っていた。
まさにそこが本書の醍醐味である。
「日本は必ず敗ける」、「それは机上の空論でしかない」
そう言って我が国は米英との全面戦争に突入した。
昭和16年の夏にあらゆる分野から専門知識を持った30歳代の若者「総力戦研究所」という組織が政府直轄で招集されていた事実にまず驚く。
そしてもし米英と戦争に陥ったら? の仮設で「総力戦とは何であるか?」 それは武力戦、経済戦、思想戦を含めた全ての情報からシナリオを描き、昭和16年夏の時点で「日本必敗」の結論が既に出ていた。
「総力戦研究所」の詳細な分析に驚く。(猪瀬氏の調査も詳細だ)
それでも日本は米英との戦争に突入した(突入に誘導されたのを止められなかった)のである。
「あの戦争における犠牲は何だったのか?」と改めて考える機会になった。
巻末の「昭和16年夏の敗戦の教訓」だけでも読む価値がある
著者の猪瀬氏と自民党石破内閣総理大臣(当時防衛大臣)との対談である。
「なぜ失敗が起きるのか?」の本質がこの本から十分に読み解くことができる、貴重な本だと思う。 -
昭和16年、政府は総力戦研究所を立ち上げ、各省庁や軍から30代前半の精鋭を集めた。課題として模擬内閣を作り、日米開戦をシミュレーションした結果、「緒戦は優勢ながら、徐々に米国との産業力、物流力の差が顕在化し、やがてソ連が参戦して、開戦から3〜4年で日本が敗れる」という結論に至る。インドネシアの油田を手に入れても、輸送船が米国に撃沈され石油が手に入らなくなる、というシミュレーションは軍の側でも予測されており、この研究所のメンバーで出した結論が殊更優れていたとは思えない。当時機密とされていた各種数字を見れば、優秀な官僚なら辿り着ける結論である。それでも開戦を回避できなかったという時代が恐ろしい。開戦の4ヶ月前に総戦力研究所が東條内閣へ研究成果として、日本必敗を発表したが、開戦回避を模索していた東條英機でも抑えられる状況ではなかった。統帥を抑制できない憲法の欠陥が戦争を招いたとも言える。東京裁判の様子も描かれているが、改めて日米開戦の「戦犯」は誰(何)なのかを考えさせられた。
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毎年夏、終戦記念日が近くなると、日本国が主体的に関わった戦争に関する書籍を読むことにしています。今年は、本書を手に取りました。私の購入した文庫本には、現在の首相である石破茂氏と著者の猪瀬直樹氏の対談(2010年10月号「中央公論」)も掲載されており、日本の政治が戦後どう変容してきたのかも垣間見ることができます。
『昭和23年冬の暗号』も読みつもりです。 -
ドラマを見てから原作も読みました。
アメリカと戦争をするにあたり、どのような経緯や判断があったのか。総力戦研究所で模擬内閣の出した答えは日本必敗。
それでも無謀な開戦をしてしまう当時の日本。当時の組織構造の問題がよく理解できました。東條英機が開戦を阻止するべく動いていた事は知らなかった。 -
慣れない単語が多く読みづらい部分はあったが、それでも良かった。
総合戦研究所の報告には敗戦必須と出ているのに、どうして戦争に突入したのかよくわかった。
仮説を立てて物事を進めることと、結論ありきで物事を進めることには大きな隔たりがあるはずなのに、区別できていないように思える。しかも時の首相が。
そして、今の日本でもこれと同等のことが起きるんじゃないか不安に感じる。声が多ければ根拠がなくてもその主張が通ってしまいかねないのが現状。直近ではJICAの交流強化事業撤回がそうだ。いま一度歴史に真正面から向き合っていきたい。 -
日米開戦前夜。平均年齢三十三歳、全国各地から集められた若手エリート集団が出した結論は「日本必敗」。それでも日本が開戦へと突き進んだのはなぜか。客観的な分析を無視して無謀な戦争に突入したプロセスを描き、日本的組織の構造的欠陥を暴く。
石破茂氏との対談、新版あとがきを収録。 -
太平洋戦争直前に設立された「総力戦研究所」を描く本作。並行して大日本帝国が開戦に踏み切るまでの過程、東条英機元首相の立ち位置の変化、開戦直前の日本の石油備蓄量を巡る陸軍内、また政府内の緊迫したやり取りなどが紹介される。
当時の日本、そして仮想敵国の国力比較から導き出された、研究員らによる「模擬内閣」の結論は日本必敗であった。この事実は本書によって広く世間に知られることとなる。真珠湾攻撃と原子爆弾投下以外はことごとく史実に沿った内容を研究所は予測し、その結果は当時の近衛内閣に報告されるも同内閣、引き続く東条内閣において一顧だにされることはなかった。
研究員は当時、各省庁、軍部から選抜された30代の少壮気鋭の若手官僚たちで、将来大日本帝国を背負う逸材と目された人々だった。そんな彼らが冷徹にデータとファクトをベースに日本必敗という結論を導き出し、一方で敗戦後には誰一人として国政に打って出る者はいなかった、という事実は非常に興味深い。猪瀬が言うように、研究員であった彼らはあくまで官僚(軍人もまた官僚機構の一員である)であり、国家のグランドデザインを描く政治家ではなかった、という指摘には唸るものがある。そして、それは東条英機にしても然りであった。
なお、東条英機が昭和天皇から受けた大命降下後、昭和天皇の意を受けて開戦回避に努めた経緯は、例えばTBSで過去に放映された「あの戦争は何だったのか 日米開戦と東條英機」にて分かりやすく映像化されている。対米戦回避に向けた戦略思想については以前私も読了した「武藤章 昭和陸軍最後の戦略家(川田稔著、文藝春秋)に詳しく、日本必敗と本当は誰もが薄々分かりながら戦争突入を回避出来なかった、日本という国家における組織の持つ本質的な脆弱性については「失敗の本質 日本軍の組織論的研究(中公文庫)」において喝破されている。
これらの映像作品、書籍と併せて本書を読むと、重層的に、昭和前期~中期の大日本帝国がどのような国家であったのか、概略的に知ることが出来ると思われる。 -
真珠湾攻撃により太平洋戦争に突入する8か月前に、官僚・民間ビジネスマンから幅広く選ばれた若手エリートたちで構成された「総力戦研究所」。研究テーマはただ一つ、「日本はアメリカに参戦すべきか?」という問いであった。
彼らは”シャドー・キャビネット”の如く模擬内閣を組成し、自らの知性と徹底的なデータを元に分析を行う。その結論は「日本は必ずアメリカに負ける」というものであったが、いかにして彼らがその結論を出すに至り、そしてその結論が不幸なことに実際に内閣に無視されたか。猪瀬直樹の徹底した歴史文書の分析や当時の研究所メンバーらへのインタビューによって解き明かす。
当時の分析対象として最も重要であった石油資源に関するデータだけを取っても少し分析を行えば、アメリカとの戦争によって島国である日本は海洋封鎖の憂き目に合い、軍艦や戦闘機を動かし続けるだけの石油を維持できないのは自明のことであった。本書はそうした自明が”空気”の元でなし崩しにさせられ、むしろデータの恣意的な操作・ごまかしによって戦争は遂行できるという真逆の結論に利用されていく様子が克明に描かれる。
なぜ我々は戦争に突入しなければならなかったのか。その大きな要因の一つとして、データよりも空気が重んじられた点は無視できない。そして、この点が現在に至る日本社会で未だに残る風土であるという点にも。 -
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猪瀬直樹の都知事でのイメージが悪く、なかなか読むにいたらなかった。それは気にせず読むことにした。
「総力戦研究所」こんな機関があったのか。 -
NHKスペシャル「シミュレーション」がとても面白かったので、原作も読んでみた。ドラマよりも模擬内閣に割かれた分量は少ないが、特に東条英機の苦悩は印象的だった。また、民衆はどうであったか。戦争を支持する声が大きかったからこそ、リーダーたちも負ける戦争をやめられなかったのではないか。本書から学ぶべきことは多い。
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総力戦研究所の存在を知らなかったので、国力を含めた対米戦を研究していたことに安堵した。ただ、日本の命運がかかった研究に手を付けたのが開戦のわずか数ヶ月前だったこと、国の総力を上げて然るべき研究を官民から選りすぐられたエリートとはいえ実務10年前後の若者たちに行わせていたことには驚かされた。そして残念なのは、研究成果が反映されなかったこと・・・。結果論になるけれど、首脳陣の誰かがこの研究成果を吸い上げていたら多くの命が救われただろうと思うと胸が痛む。未来は見えないものだけど読める未来もあっただろうに・・・。
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第二次世界大戦および太平洋戦争は、日本の歴史上大きな転換期であった。この戦争の敗北で、これまでの価値観を根本的に覆す羽目になったのだ。その敗因として、日本はアメリカに関する情報や国内の補給線を十分に維持できなかったなど多々あげられる。そもそも、アメリカに宣戦布告をした時点で敗北が決定したのであろうか。そのようなことをあれこれ思い巡らす。このように、日本はこの戦争を依然として検討する余地があるのだが、実は、戦争直前の時点で日本が負けるとわかった組織が存在した。それが本書で取り上げる「総力戦研究所」である。この組織こそまさに、太平洋戦争で起こった出来事を見事に的中させたのだ。自分が観測したかぎりでは、教科書はおろか一般的な書籍にすら、その組織の存在を書いていなかったため、この本を読んで初めて知った。
「総力戦研究所」とは、陸海軍とは独立して、さまざまな官僚たちが集結した一大組織である。この組織は、数値データを駆使してある結論に至った。それが、物量的に見て、アメリカに勝てないということだ。この時代において、第二次世界戦は既に開始されており、ドイツ、イタリアを中心とした枢軸国が欧州を蹂躙した。そんななか、総力戦研究所は、あれこれと必死こいて先ほどのようにデータを提示してアメリカとの戦争を回避しようと努めた。それにもかかわらず、軍部、特に陸軍の上層部は耳を傾けなかったのである。本書以外にも、陸軍の組織の実態、たとえば『失敗の本質』や『組織の不条理』(いずれも中公文庫出版)が明らかであるが、本書においても組織の硬直化、根拠なき自信や非科学的な根性論を唱えるなど、組織の腐敗した側面が露呈している。
本書は主に組織間の派閥などを中心に目を向けられるが、なかでも太平洋戦争で宣戦布告を決定した時の首相東条英機の心情を事細かに当てたところも、この戦争の過程を知るうえで重要である。東条英機と聞くと、漠然とこの戦争を決断した張本人であるとか、独裁者というイメージなど、どちらかいうと印象の悪い人物だと捉えられる。たしかに、東条は、首相のみならず、陸軍大臣、軍需大臣、また参謀総長を兼任した事実がある。しかし、権力を集中させた背景を知ると意外な事実を思われるかもしれない。東条英機は首相となる直前に近衛内閣で陸相を担当していた。そのとき、陸軍の代表として、日本は戦争をするべきという発言が残っている。しかし、数々の証言を確かめると、実は昭和天皇に忠誠を誓って、そのような言動をしたことがわかる。ところが、一方で、昭和天皇の証言を確かめると、天皇本人は最初から戦争に反対の立場であったことが判明した。以上から、東条英機の行動は裏目となって、結果的に、A級戦犯として裁かれてしまい死刑という、色々と報われない結果となってしまった。このような事情を知ると、いかに国の舵取りが困難をきわめて、個人の力では抗えないほど、日本の組織の力が絶大であったのか理解できる。たとえ優秀な人物であったとしても、限度があることがこの本からうかがえる。
先ほどの話に戻るが、日本が資源の乏しさゆえに、戦争を持続するにしても、せいぜい短期決戦が限度であることが、数値から見て明確であった。本書でも言及されるは、第二次世界大戦とは石油の確保が、戦争を決定づけたといっても過言ではない。それゆえに、組織にとっては、日本で貯蔵する石油の容量を確かめたかった。ところが、本書によると、石油の容量を把握する者は組織の中でもほんの一握りで、極秘情報であったのだ。
しかし、聞く耳を持たなかった上層部にとって、ただの戯言と聞こえたのだろうか、「総力戦研究所」が邁進して、徒労になった。
さて、これらの歴史的背景を振り返って、現代人は何を学ぶべきであろうか。そのヒントは、この本の巻末にある筆者の猪瀬直樹と政治家石破茂の対談からいろいろと学べるであろう。なかでも石破氏の「国を変えるのは、最後は世論ですからね。政治家は、フォロワーではなく、あくまでもリーダーとして、その世論に訴えかけていく必要がある」というのは政治の本質をする者ならではの発言だ。太平洋戦争では、多くの国民が戦争への参加に賛成した。その事実をふまえると、戦後以降に根付いた民主主義において、国民の一人一人が政治に関与する自覚を持たなくてならないと警告されているような気がした。
それにしても、たとえ優秀な頭脳の持ち主を終結させたとしても、別の要因(今回でいうと軍部上層部の柔軟性の欠如)で阻まれてしまい、これは現代の組織間にも当てはまるだろう。ここから、個人で柔軟で寛容な気構えを抱くことがやはり重要ではないだろうか。
今後も人間の組織間の本を読み続けていくつもりであるが、いずれにしても人間とは他者に翻弄されるほど、はかない存在なのかもしれない。組織間とは究極的に人間関係であるので、上手く対処するのは苦難なのであろう。 -
最後の猪瀬直樹と石破茂の対談が心に響いた
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独り歩きする軍部のまとめ役として、そして天皇への忠誠心の強さ故に戦争を阻止することを期待され、突如総理に任命された東条英機。ここら辺は全く知らないくだりだったので勉強になった。
結局、総力戦研究所の導き出した結論「日米戦びおける日本必敗」はあくまで仮説でありやってみなければ分からないと一蹴され、結局シナリオ通りに負けた日本。満州絡みで世界各国から非難され始めた辺りから既にこの運命が定まっていたように思えるので、必敗シナリオが出ていたところでどうにもならなかった気もする。では戦う前に満州を捨てて降伏していたらよりよい未来が訪れていたのか?は正直誰にも分からないし、微妙なラインだとも思う。
極東軍事裁判は知ってはいたが、話の噛み合わなさやアメリカ側の思惑が興味深かった。やはり見せしめ裁判だと思った。敗戦国に口無し。 -
立場が人を作ると言うが、その立場は現実をみる眼を曇らせるというのもまた正しいと思う。先に描きたい絵があると、どうしてもその絵を飾るような事実を集めたくなってくるものだ。
本書で取り扱われている総力戦研究所では、各方面のエリートが集められ模擬内閣でそれぞれの「立場」を与えられる。しかしその「立場」は期限が定められており、かつゲームの役職といった雰囲気の自由さがあったように推察される。立場ゆえのしがらみがなければ、事実に執着して結論を出せる。日米戦争に対して「必敗」という正しい結論を下せたのもその自由さゆえであろう。
総力戦研究所のことは本書を読むまで、その存在さえ知らなかった。日米戦争は軍部の暴走と片付けられることが多いが、一旦はデータ(事実)に基づいて検討をしてみようとした形跡があるのは、救いである。そして、そのことを記録に残してくれているおかげで、現代の私たちがその存在を知る事になった。まずは事実を正確に記録すること。それが歴史認識の土台を築く。
ここで全て書ききれないほど様々な事に気づかせてくれた本だった。続編もあるようなので是非みてみたいものだ。
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第一章から読み始めるも途中で挫折。なんか読みにくい。積読に。
改めて読んでみる。今度は第三章から。
石破と猪瀬の対談が一番わかりやすい。
石破国会議員大絶賛。国会での質問でも複数回取り上げたとはびっくり。
敗戦と分かっていても海軍のメンツが猪突猛進に走らせたということか。
欺かれていた国民、命を捧げた若者にとっては余りにも悲しい。 -
以下、メモ箇所
◆総力戦研究所の成り立ちと成果
世の中実質が悪くなると形式を重んじるのが通弊だから、総力戦研究所などというぎょうぎょうしいものを作ったんでしょう
「やる」という勢いが先行していたとしても、「やれる」という見通しがあったわけではなかった。そこで、みな数字にすがったが、その数字は、つじつま合わせの数字だった。
これならなんとか戦争をやれそうだ、ということをみなが納得し合うために数字を並べたようなものだった。赤字になって、これではとても無理という表をつくる雰囲気ではなかった
主観的な争いに対し、客観的な数字は最後の調停者として立ち現れてくる。
侃々諤々の議論を経て出た結論は、「緒戦は優勢ながら、徐々に米国との産業力、物量の差が顕在化し、やがてソ連が参戦して、開戦から三〜四年で日本が敗れる」
すべての命令権を持つ統監部(教官側)と研究生で組織する〈内閣〉の〝往復書簡〟は、真珠湾攻撃と原爆投下を除いては、その後起こる現実の戦況と酷似していた
開戦までの半年は、すでに出ていた結論を繰り返して反芻し、みなが納得するまでの必要な時間としてのみ消費された
◆戦時下の在り方
緊急事態における意思決定のプロセスは、刻々と変遷する情勢につねに対応できるよう、文書化され記録される必要がある。
政治的リーダーの役割は、数値目標を示しながら、みずからの言葉で国民に説明し協力を求めることなのだ。
軍部、特に海軍には、今さら「アメリカとは戦えない」とは言えない事情がありました。当時の国家予算のおよそ半分が軍事費、その半分以上が海軍に渡っていたのです。「戦争をしないなら」と、これが大幅に削られたら、軍隊には失業者があふれる。
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著者プロフィール
猪瀬直樹の作品
