デンジャラス (中公文庫 き41-2)

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  • 中央公論新社 (2020年6月24日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (336ページ) / ISBN・EAN: 9784122068964

作品紹介・あらすじ

美しい妻は絶対的な存在。楚々とした義妹は代表作の原点。そして義息の若い嫁は、新たな刺激を与えてくれる……。大作家をとりまく魅惑的な三人の女たち。嫉妬と葛藤が渦巻くなか、翻弄される男の目に映っているものは――。文豪「谷崎潤一郎」を題材に、桐野夏生が織りなす物語世界から炙り出される人間たちの「業」と「欲」。<解説>千葉俊二

みんなの感想まとめ

人間の欲望や嫉妬が渦巻く複雑な人間関係を描いた本作は、谷崎潤一郎の半フィクションバイオグラフィとして、彼を取り巻く三人の女性たちの視点から物語が展開されます。特に、彼の代表作『細雪』のキャラクターをモ...

感想・レビュー・書評

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  • 谷崎潤一郎と松子(妻)、重子(松子の妹)、千萬子(重子の義理の息子の妻)の怪しい関係が描かれています。谷崎潤一郎を頂点とした、恐るべき王国、ザワザワゾクゾクしながら、ほぼノンストップで読みきりました。いったい真実はどうなんだろう?想像力を掻き立てられます。

    重子が切々と語ります。その語り口がやんわり穏やかで『細雪』の雰囲気を引き継いでいると感じました。重子は『細雪』の登場人物、雪子です。桐野夏生さんの筆致に引き込まれました。ラストは唐突な感じもしましたが、桐野さん、よくぞやってくれた!と思いました。

    谷崎潤一郎の作品は、一部しか読んでいませんが、『細雪』も『春琴抄』も文章の美しさと、そこから醸し出される風合いに魅了されます。本当に芸術的。でも、芸術のためという大義名分?で怪しげな行動をする谷崎が、家庭の中でドーンと君臨しているところ、恐ろしすぎでした。

    『陰翳礼讃』では、建築物についてのこだわりが最たるもので、本書で女性へのこだわりもすごいということが分かりました。

    本書を読み終え怖いもの見たさ知りたさで、谷崎の他の作品も読みたくなってしまいました。ストーリーの中に谷崎作品が、ポツポツ出てくるので。天国の谷崎さん、桐野夏生さんの鋭い切り込みの小説、どう思うかな?

    「桐野さんの小説おもしろいでしょ?他の僕の作品にも興味がわくでしょ。ぜひ読んでね!」

    こんな感じかなあ。

    (2026.5.9読了)

    • koba-bookさん
      おお、それはまたデンジャラスの本家本元ですね!メール以前の手紙という通信手段って、ある意味生々しそうですね。そして、今考えると、直筆で書いて...
      おお、それはまたデンジャラスの本家本元ですね!メール以前の手紙という通信手段って、ある意味生々しそうですね。そして、今考えると、直筆で書いてた作家たちって、すごいことですよね…。
      2026/05/10
    • koba-bookさん
      おお、それはまたデンジャラスの本家本元ですね!メール以前の手紙という通信手段って、ある意味生々しそうですね。そして、今考えると、直筆で書いて...
      おお、それはまたデンジャラスの本家本元ですね!メール以前の手紙という通信手段って、ある意味生々しそうですね。そして、今考えると、直筆で書いてた作家たちって、すごいことですよね…。
      2026/05/10
    • くにちゃんさん
      巻紙の流麗な筆文字、丸っこい可愛らしい文字、手がきかなくなってきたときの文字、生々しいです。流し読みしただけですけど、千萬子さんは文学だけで...
      巻紙の流麗な筆文字、丸っこい可愛らしい文字、手がきかなくなってきたときの文字、生々しいです。流し読みしただけですけど、千萬子さんは文学だけでなく音楽の素養もあり、アドバイス的なものも見受けられて。2人の女性は可愛いそうだけれど、谷崎が惹かれるのは仕方ないかなあと。『細雪』以降?の作品、千萬子さんのエキスなんだなって(読んでないけど)思っちゃいました。書簡は最高に面白いですね。漱石、子規、芥川も。
      2026/05/10
  • ▼桐野夏生さんは、以前に「OUT」を読みました。血が沸るくらい面白かったのですが、あまりにエグ味が強くて、その後はなんとなく忌避しておりました。この度ご縁があって。
     この本は、つまりは「谷崎潤一郎(晩年)と女たちの物語」です。

    ▼おそらく、関係者に相当な取材もして書かれたんだと思います。全て実名なので、その時点で確かにデンジャラスです(笑)。
     谷崎ファン、細雪ファンには、たまらない内容です。谷崎も細雪も知らない人にとって面白いかどうかは、ちょっと分かりませんが、それでも十分に小説としてヤバい魅力に溢れいてることは間違い無いかと。

    ▼要は、谷崎さんは実際に・・・

    「四姉妹の2番目である女性と結婚していて、

    その四姉妹の三女と長く同居していた。

    三女さんは細雪でいうと、雪子にあたる。

    そして、谷崎は、妻をヒント的に題材としていくつもの小説を書いた。

    その妹の雪子(役)にも同じように題材として細雪を書いた。

    その後晩年は、義理の姪(当然ながら世代的に若い)にシフトチェンジして、瘋癲老人日記を書いた」


    ということを題材にした、長い年月の物語。そして、何度も言及されていますが、谷崎さんは若くして大成功した作家で、教養人であり、文化人であり、お金持ちであり、十分な変態さんだったので、、、、、

    ここがすごいんですが、

    「自分の家族的な範疇には、女性だけを配置した。自分の王国では、男性は自分ひとりで、女性陣が自分を取り巻いている世界を作り、維持した」

    というあたりですね。これが、実際そうだったんだろうな、という納得性が高い。

    ▼その閉鎖された異常な世界の中で、この小説は、主人公の雪子(役)の心理にこれでもかと抉り迫る。その向こうに谷崎の世界。物語を、小説を書くというドロドロした華麗な絵巻物。それが曼荼羅のように、えぐく、濃厚に展開します。脱帽です。面白い。さすが桐野夏生さん。

    ▼実は関係する谷崎の作品群でいうと、「瘋癲老人日記」だけ未読。近いうちに読もうと思いました。

    • koba-bookさん
      この本は、「細雪」が好きなら、超オススメです。鼻血ものです(笑)
      この本は、「細雪」が好きなら、超オススメです。鼻血ものです(笑)
      2026/05/03
    • くにちゃんさん
      今年に入って、『細雪』を読んだところだったので『デンジェラス』読めて良かったです
      ありがとうございました!
      今年に入って、『細雪』を読んだところだったので『デンジェラス』読めて良かったです
      ありがとうございました!
      2026/05/10
    • koba-bookさん
      きっかけになれたなら光栄です!素敵なレビュー拝見しました!
      きっかけになれたなら光栄です!素敵なレビュー拝見しました!
      2026/05/10
  • 谷崎潤一郎に詳しくなくても楽しめました。
    谷崎の細雪は雅な姉妹愛のイメージが強いですが、対して桐野先生は『女の世界はそんなに美しいばかりじゃねえよ!』とアンチテーゼで書き上げたのかなと。
    寵愛争いで妬み嫉みがギャンギャンに詰め込まれていてもはや笑えます。まさにデンジャラス。

    INやナニカアルに続いて小説家モデルの作品で桐野先生らしい作品だと思います。
    一章の最序盤は家族構成や関係性等の状況説明が多めで苦行です。そこからは面白くて夢中で読みました。

  • 谷崎潤一郎の半フィクションバイオグラフィ、という宣伝が目に入ったので読んでみた。私も例にもれず、10代の頃に谷崎・三島の耽美沼にハマったので、それこそ作品はもちろんありとあらゆる書簡集やら論文やらを読み漁った。若かりし頃のあの滾るものを思い出した。本作、非常に真面目に史実と史実の間を”ええ感じ”に盛ってあり、読みやすくわかりやすい。ただ、わかりやすすぎて、すこし寂しさが募る。寂の文字が大谷崎にはよく似合うのでそれはそれでええかとも思う。自分の中で構築している谷崎及び家族像とは少々違うところも目立つが、ギャップも面白く感じた。
     視点人物はマスターピース『細雪』の雪子のモデルになった重子。細雪の雪子のキャラクターイメージから外れることなく、外れていないが故に、サプライズはないものの、ストレスもなく読めた。ヘビロテで時折再読し続けているが、大谷崎の描く女性にはシンパサイズしたことがないので、本作でもどうしても”兄さん”(谷崎)の方に気持ちが寄ってしまう。ラストシーンの重子と光源氏谷崎の一騎打ち(一騎打ちではないが)は圧巻。もうちょっと込み入った叙述が欲しいぐらいだが、さらっと描かれていながらも、画像が頭の中に強制投影されるような良いシーンだった。良いバランス。

  • 谷崎潤一郎を細雪の雪子の視点で書いたフィクション。
    細雪を読んでいないと何の話しかはわからない
    だろうと思う
    フィクションとは言っても概ね事実に近いのか
    実在する人物を描いているので
    なるほどデンジャラスなのだな
    不可触の領域に踏み込んでいる

  • 吉岡里帆、中村ゆり、オダギリジョーが共演 桐野夏生の小説「デンジャラス」NHKでドラマ化

    美しい妻は絶対的な存在。楚々とした義妹は代表作の原点。そして義息の若い嫁は、新たな刺激を与えてくれる……。大作家をとりまく魅惑的な三人の女たち。嫉妬と葛藤が渦巻くなか、翻弄される男の目に映っているものは――。文豪「谷崎潤一郎」を題材に、桐野夏生が織りなす物語世界から炙り出される人間たちの「業」と「欲」。<解説>千葉俊二

  • 桐野夏生的ドロドロがいつくるかと思って読んでたけど、いつのまにか沼にどっぷりハマってる感じで終盤怖くなった。日常をずっと書いてるけど面白い。

  • あっという間に読み終えました。
    谷崎潤一郎、こういう人だったのかも。倒錯しまくってて、これぞ文豪だと感動。

  • 谷崎潤一郎の私生活がよくわかった。
    作家に対する理解が進むことと、作品世界への憧れや没頭の深さは反比例するのだということもわかってしまった。

    著作から谷崎潤一郎は女性の感覚が分かる男性だと思っていたのだけれど、そうではないのだな、女を利用する根っからのワガママな男性なのだなと痛感した。さみしくなった。

  • 桐野さんが好きで、本屋に立ち寄ったら半ば無意識に一冊買う癖がついています。この本も何か月も積読した後ほぼ無意識に読み始めたら、大谷崎の話でした。

    私は桐野さんのグロさも好きですが、大谷崎の耽美沼も好きです。10代の頃細雪を読んでうっとりして、映画も舞台も美しく、大好きです。偉大なる谷崎潤一郎の晩年を、敬愛する桐野さんが描いているなんて、終始わくわくドキドキしながら読破しました。

    読みながら、大谷崎は女が働くこととか嫌っていたこととか、わかってはいたけど私は受け入れられない価値観だとつくづく感じました。姉の夫に喰わせてもらう重子だって、物語の語り手としておもしろく頼りにしながらも、ただの寄生虫だと軽蔑する気持ちさえあります。それでも、それはそれと思わせる小説の世界があるのです。クリエイティビティとかそういうことなのだけど、横文字で言ってしまうには惜しいその深い関心。谷崎作品をもっとちゃんと読みたいと思いました。

  • 谷崎潤一郎の生涯と女性について、谷崎潤一郎を殺した女性の一人称で描かれていた。
    主に4人の女性が登場したが、それぞれが彼を中心に生きていて、翻弄されていてでも結局誰を中心に回っていたのかわからないような不思議な気持ちになった

  • 谷崎潤一郎の「細雪」を久しぶりに読みたくなりました。雪子の結婚が決まったのに下痢が続く、という中途半端な終わりと言えなくもないラストでしたが、まるでその続きを読んでいるような気分になりました。ところどころに桐野調を感じさせながら、結構谷崎潤一郎に寄せている作品だなと思います。あくまでもフィクションという位置付けで読みましたが、実際彼とその周りが物語の通りなら、谷崎も含めみんな生きにくい人生だったんじゃないかなと思います。
    あと「細雪」の登場人物である貞之助兄さんがやたら良い人だったのはこういうことかと納得しました。自分がモデルだからなのね。基本的に小説はそこにある物語が全てで、筆者の背景とか人物のモデルとかに興味がないので、「細雪」がどういう経緯で書かれたものか知りませんでした。おかげで新鮮な気持ちで読めて楽しかったです。
    三章目のラストでばしっと谷崎に物申した重子さんかっこよかったですね。若い千萬子に溺れるのはまぁいいとして、そこに金をつぎ込んでいく様が本当に見苦しかったのですっきりしました。

  • 2020.12.05.読了
    桐野夏生氏のファンであるわたし。
    桐野氏は天才だと思っている。
    その先をどうしても読みたくなる衝動が抑えられない。作品への引き込み方は半端ではない。

    これは、谷崎潤一郎とその周りを囲んだ女たちの物語。とりわけ大きな出来事があるわけではなく、戦前戦後を通しての谷崎の生き方に翻弄される女たちの話であるから、嫉妬や寵愛、裏切りといった日常的な細々とした感情を表現する内容でありながら、とても読ませる作品。
    1日で読んでしまった。もったいない(笑)

  • 割と淡々としてて、さらっと面白く読めたけども最後、怖かった。業。
    光源氏じゃん、谷崎とか思ってたんだけどいや怖い。
    ええ感じの隙間を埋めてて、どう考えても妻譲渡事件より松子との始まりの関係の方がスキャンダラスすぎる。そして、それを「なんもないでっしゃろ?小説家の妻やからなぁ」という感じで進むし、千萬子との割とスキャンダラスな関係も「ただの芸術家との戯れですけど?」って感じで、こちらも「そうでっか…」みたいな気持ちで読み進めてしまう。

  • 大学の授業で触れて以来、谷崎の作品はだいぶ読んだと思うが、私生活については妻譲渡事件くらいしか印象に残っていなかった。
    千萬子との関係のほうがよほどスキャンダラスなのに、これまで知らなかったとは。
    妻松子の妹、重子(細雪の四姉妹の三女、雪子のモデル)の視点から谷崎と彼が作り上げた家と、そこに棲まう女性たちを描く本作。
    彼女たちは文豪と呼ばれる作家とともに生きるということの覚悟を知りながらも、その作品世界に翻弄されながら時に恍惚となり時にいきり立ち、時に憔悴する。
    谷崎の作品とリンクするかのようなラスト近くで重子が谷崎と対峙するシーンにハッとさせられる。

  • いつもの桐野夏生の作風と違って、読み進めるのに時間がかかった。まあまあ面白い。谷崎潤一郎の本は読んだことがないので一度は読んでみようと思った。若い頃ちょっと仲の良い同期から「卍」を貰ったことを思い出した。

  • 以谷崎潤一郎第三度結婚松子的妹妹重子(據說是細雪中雪子的原型)的視角為主線來描寫中晚期的谷崎,以及他身邊的家人們。書中的谷崎喜歡被女生包圍促擁的感覺,然後被女性們觸發靈感,因此營造這樣的生活圈子。先是松子,接著是重子,最後是重子的養子清一(松子的兒子)的妻子千萬子。故事中,重子先是晚婚嫁給津山華族田邊家,丈夫過世之後總是寄居在谷崎的屋簷下協助姐姐,但後來晚年的谷崎如瘋癲老人日記一樣愛上年輕的女性即千萬子,重子最後就與谷崎正面對決。

    坦白說故事架構令我很有興趣,故事的起頭也相當吸引人。然而或許是寫真人,也直接用故人的名字,還是會有所顧忌,因此還是寫得很相對含蓄平淡,讓人覺得似乎要起波瀾(幫千萬子在法然院買房子事件),後來又淡淡地結束。灑出一些梗,最後也只變成一個紀錄的插曲而已(例如重子的酗酒行為),因此覺得好像是有雄心壯志,最後卻虎頭蛇尾的,讓人一開始充滿想像的惜作。很可惜,以這樣的故事架構,加上這位作家的向來出色的筆力而言,只寫到這個程度,讓我有點錯愕。

  • 歴史小説はやはり少し苦手、、
    難しかった〜

  • 君臨する男。寵愛される女たち。文豪・谷崎潤一郎が築き上げた理想の〈家族帝国〉と、そこで繰り広げられる妖しい四角関係-。桐野夏生が、燃えさかる作家の「業」を描く。

  • 色ボケ爺にはならないようにしたい

    8冊目

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著者プロフィール

1951年生まれ。1993年『顔に降りかかる雨』で江戸川乱歩賞、1998年『OUT』で日本推理作家協会賞、1999年『柔らかな頬』で直木賞、2003年『グロテスク』で泉鏡花文学賞、2004年『残虐記』で柴田錬三郎賞、2005年『魂萌え!』で婦人公論文芸賞、08年『東京島』で谷崎潤一郎賞、2009年『女神記』で紫式部文学賞、2010年『ナニカアル』で島清恋愛文学賞を受賞。

「2011年 『小説家の饒舌 12のトーク・セッション』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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