四捨五入殺人事件 (中公文庫)

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  • 中央公論新社 (2020年7月22日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (304ページ) / ISBN・EAN: 9784122069053

作品紹介・あらすじ

講演旅行の宿泊先はテレビもない山間の温泉宿。しかも折からの大雨で村に一つしかない橋が流された。孤立した二人の作家の前に起こる連続殺人。事件の背後に横たわるのは、何世代にもわたる村人の怨念か? 本格ミステリーさながらの「密室殺人」、農業問題の視点、演劇的な展開と仕掛け……井上作品の面白さと巧緻が満載。


解説・松田哲夫

みんなの感想まとめ

農業問題を背景にした本格ミステリーの要素が盛り込まれた作品で、作家たちが孤立した温泉宿で連続殺人事件に巻き込まれる様子が描かれています。時代を反映したユーモアや軽妙な語り口が魅力で、特に登場人物の個性...

感想・レビュー・書評

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  •  昭和五十九年刊行の新潮文庫で読んだ。安野光雅の表紙(可愛い)。元は昭和五十年ごろに『週刊新潮』で連載されていたそうだ。読み終わってから知ったが、今年(二〇二二年)三月にNHKラジオでオーディオドラマが放送されていたらしい。
     五十年近く前の現代劇というわけだが、農業を取り巻く状況についてとても勉強になった。今とどう違うのかはたまた違わないのか、それは私がさらに勉強しないといけないことだが、まずははじめの一歩。
     しかし、むしろ、ほんと臆面もなく下ネタぶっこんでくるよな、というところに時代を感じる。小説として「けしからん!」とは別に思わないが、「今うちの職場でこんなこと言う人いたら即消されるわ」とは思う。こんなおじさんたちが跋扈する世界で生きてきた先輩女性たちすごい(まあでもこの頃にはこの頃のバランスみたいなものがあったのかもしれないから、今の価値観で簡単にどうこう言うのもアレですけど)。隔世の感。
     さて、読みたい本は色々並んでいるけれど、『吉里吉里人』も読みたくなってしまった。

    • akikobbさん
      なおなおさん、コメントありがとうございます。

      ドラマをご覧になっていたんですね。
      wikipediaによると新人作家の藤川役(=探偵役)が...
      なおなおさん、コメントありがとうございます。

      ドラマをご覧になっていたんですね。
      wikipediaによると新人作家の藤川役(=探偵役)が中村雅俊さん、なるほど!
      ご家族で楽しんでおられた流れで原作の本を買ってもらっただなんて、素敵な思い出ですね♪
      なおなおさんの読書好きルーツをちょっとだけ垣間見れた思いです。
      2022/10/26
    • なおなおさん
      akikobbさん、こんばんは。
      お返事をありがとうございます。

      ドラマは演出が怖かったなーとしか覚えておりません。鬼のお面とか出てきたよ...
      akikobbさん、こんばんは。
      お返事をありがとうございます。

      ドラマは演出が怖かったなーとしか覚えておりません。鬼のお面とか出てきたような気がします。ゾッ:(꒪꒫꒪):
      本を買った経緯は、ただ先が知りたくて…という理由だったんですよ^^;
      私はドラマはネタバレOK派です。
      それにしてもアワツマ先生も使いそうな面白いタイトルですよね(o'▽')b
      2022/10/26
    • akikobbさん
      なおなおさん

      確かに鬼やら謎の尺八の音やら、怖がらせ要素はたくさんありました。映像向きかもです。
      そういえば私も池井戸潤とか、先が気になっ...
      なおなおさん

      確かに鬼やら謎の尺八の音やら、怖がらせ要素はたくさんありました。映像向きかもです。
      そういえば私も池井戸潤とか、先が気になって本読んだりしたものもありました!
      タイトル面白いですよね。安野光雅さんの表紙ともあいまって、とりあえず軽い気持ちで楽しめそうだなという第一印象でした笑。このかろみがアワツマさんとも共通かも?!でも、ヨギガンジー、亜愛一郎以外の作品はもっとしっとり系もありそうですよね…
      2022/10/27
  • 大作家先生である石上と、新人文学賞を取ったばかりの藤川。講演旅行で訪れた東北の村が嵐のため下界との通信を遮断されて陸の孤島となってしまう。やむを得ず泊まることになった温泉宿では女主人と奔放な妹が相次いで殺される。彼女たちはかつて村を治めていたお殿様の末裔で、お殿様は村人に対する過酷な仕打ちを行っていた。

    横溝正史ばりの怨念の世界が繰り広げられるのか、と思いきや、村人たちの様子はどこか牧歌的である。そう、これはミステリ風小説であって、ミステリではない。作者は読者に本気で謎解きを提供しているわけではないのである。

    あとがきを読むと、大作「吉里吉里人」のパイロット版のようなものらしい。そのため多少の荒さは感じるが、コンパクトでスピーディな展開と井上ひさしらしいユーモアで楽しませてくれる。特に、わがまま放題で女にだらしない石上や立場の低い藤川の描写は真に迫っていて、どなたかモデルがいらっしゃるのかな、と思わずニヤニヤしてしまった。
    ただ、女性の描写や登場人物の態度が完全にセクハラで、時代に耐える作品ではないところが残念なポイントである。

  • 『吉里吉里人』読んで以来の井上ひさしさん。放送作家さんの作品だけに軽妙で、すぐさま像を結ぶことのできる舞台背景描写。大人の笑いも散りばめられ、豊かな語彙や漢字使いのこだわりに知性がうかがえる。日本の農業問題をあぶりだしており、社会派ミステリーともいえそう。

  • 読後感がいい。
    もともと1984年に出版されたミステリということで、古臭いのかな、なんて思ってたが、全然そんなことはなかった。ってか、こういう時代を舞台にした現代小説なんてたくさんあるし、そこまで気にはならなかった。セクハラ関係や、女性描写には時代を感じたが、それはそれで味があるように感じた。
    そして、トリック。
    こちらも正直、そこまで期待していなかった。もう40年近く前に出版されたミステリのトリックなんて、目新しいものなんてないだろう、と。
    ……全然そんなことなかった!
    もう楽しかった。
    殺伐としたサスペンスミステリ、感動もののヒューマンミステリとは違い、この時代だからこその空気感や雰囲気も相まった、上質なミステリを読んだ気持ちになった。
    2023年現在のミステリと比べても、なんら遜色ない小説だった。

  • 井上ひさしさんが書くミステリーが本格ミステリーなはずがないだろう、という予想はその通りで、四捨五入殺人事件の四捨五入の方が主題であった。
    作中一節にしか出てこないワードだと思うが、非常に印象的。
    国際分業論については知らなかったし、この当時どの程度国内で影響力があった論説なのかは分からないが、井上さんらしい東北の農村の描き方や考え方が、井上さんらしいすらりとした文章で読めるので楽しい

  • 劇作家らしいストーリー仕立て。
    ドラマの台本のように、さらっ
    と気持ちよく、読み進めることが
    できます。
    さらっと読むと大事なヒントを
    見落とすという、著者の狙いに
    引っ掛かりました(笑)

    東北地方や日本の農業問題が
    根底のテーマで、井上ひさし
    の想いが伝わります。
    四捨五入とは、そういうこと
    かと後半にわかります。
    代表作「吉里吉里人」を連想
    させられる内容でした。

    おまけとして解説の中に著者
    と自筆プロットが掲載されて
    います。

  • 井上ひさしさんの作品は読んだことがなかったのですが、タイトルに惹かれて読んでみました。文章の表現や漢字の使い方で少し古い作品感が出ていましたが、トリックはなかなか面白かったです。
    そういうどんでん返しねと納得させられました!

  • 本のタイトルに惹かれて購入した。
    舞台は地方の田舎の温泉宿。大雨で村に足止めされた二人の前で次々起こる殺人事件。おどろおどろしい話の割に話の中に入って「それで?」と聞いている自分がいる。そして…
    何だか芝居を見ていたような読後感だ。

  • まさかのクローズドサークル⁉️

  • 12人の手紙が面白かったので。
    セクハラ発言がスゴすぎるのは時代なのか、、それでも引いてしまう。
    途中であれ?とは思ったものの事件の全容はわからずそれなりに楽しく読んだ。
    農業についての問題も勉強になった、、がこれはこの時代の事で今はまた違うのかな。

  •  殺人事件だからミステリだと思いこむと作者のワナにはまる。石上氏や藤川氏は狂言回しであって、作者が伝えたかったのは四捨五入の方だったのだ。なんという深いタイトル。山のふもとの小集落にある温泉宿、大雨で町とつながる橋が流されて孤立したところで起こる殺人事件。ベタで陳腐すぎる設定がそもそもおかしい。トリックも犯人も見え見えだし、井上ひさしほどの手練れがそんな三文小説を書くはずがない。そう思ってみると、脇役でしかない課長補佐がやけに存在感があるし、日本農業の現状についての背景説明が克明すぎやしないか。というわけでなあんだという仕かけだ。解説を読むと吉里吉里人につながる作品なのだとか。昔読んだけど全然覚えていないのが残念。

  • えっそういうオチ?!

  • 2025/03/18 読了。
    農業の勉強のための本。

  • 井上ひさしでもミステリが書けることに驚いてしまった作品。すごくユーモアもあるし何より最後まで井上ひさしらしい感じなのだが騙されたのには悔しかったなー
    やっぱりすごい人でした笑

  • ブラック下ネタジョークけっこうえぐい。
    が、実は真相につながってたりつながってなかったり。

  •  こんなに明るいサスペンスが他にあるだろうか。殺人事件が起こりながら誰ひとり死者がおらず、喜劇を見ていたような読後感です。
     すべてが鬼哭村の中での出来事で、まるで芝居を見ているようなテンポの良さで話が進んでゆきます。ところどころの日本の農業の解説に??と思いながら読み進めると、最後になるほどの結末を迎えました。井上ひさしさんのこの感じ、ワタシはとても好きです。

  • 20年以上前に読んで再読し、再度だまされた。
    古典的な手法なのかもしれないが、むしろ斬新。
    著者が問題にしていた食料自給率やコメ問題を交えて、ユーモアをふんだんに使いながら一気に読ませる。

  • これは、こことは違う別の時空の話として、ね。セクハラは、もう、書いちゃってるからね。ダメですって塗りつぶしちゃう方が問題だし。うわあって言いながら読んで。

  • 台詞回しやセクハラ発言に時代をかなり感じます。
    私は20代前半ですが、少し読みにくかったです。

    トリックに関しては、あ〜なるほどな、とはなりましたが、帯で書かれているような
    どんでん返し!っていう印象はなかったです。
    明かされた後、もう一個くらい、え?を期待してた自分がいました。

    トリック自体は難しくないので、推理しながら、読みたい人にはいいかもね
    ただ、表現や言葉が古いから好みかな

  • 井上ひさしの手になるクローズドサークルの連続殺人。事件の背後には暴政を続けた領主一家への積もり積もった農民の怒りが……という表層に騙される人はあまりいないかと。オチは途中で何となく分かる感じ。すごくチャチとはいえ密室トリックまで飛び出すのだが、本気でミステリを書く気は、作者にはなかっただろう。普通に楽しいが、少し説教臭いのが難。

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著者プロフィール

(いのうえ・ひさし)
一九三四年山形県東置賜郡小松町(現・川西町)に生まれる。一九六四年、NHKの連続人形劇『ひょっこりひょうたん島』の台本を執筆(共作)。六九年、劇団テアトル・エコーに書き下ろした『日本人のへそ』で演劇界デビュー。翌七〇年、長編書き下ろし『ブンとフン』で小説家デビュー。以後、芝居と小説の両輪で数々の傑作を生み出した。小説に『手鎖心中』、『吉里吉里人』、主な戯曲に『藪原検校』、『化粧』、『頭痛肩こり樋口一葉』、『父と暮せば』、『ムサシ』、〈東京裁判三部作〉(『夢の裂け目』、『夢の泪』、『夢の痴』)など。二〇一〇年四月九日、七五歳で死去。

「2023年 『芝居の面白さ、教えます 日本編』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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