新編-「終戦日記」を読む (中公文庫)

著者 :
  • 中央公論新社
3.00
  • (0)
  • (0)
  • (1)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 23
レビュー : 2
  • Amazon.co.jp ・本 (275ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122069107

作品紹介・あらすじ

空襲、原爆投下、玉音放送……当時、大人たちは何を考えていたのか。

終戦時十四歳だった〈焼跡闇市派〉作家が、高見順、永井荷風、中野重治、木戸幸一ら文人・政治家の日記をひもとき、自らの体験を振り返る。

「火垂るの墓」の原点である「プレイボーイの子守唄」ほか、空襲、焼跡、戦後を綴った随筆十三篇を増補した新版。〈解説〉村上玄一


【目次より】

Ⅰ 「終戦日記」を読む


第一章 八月五日、広島

第二章 原爆投下とソ連参戦

第三章 空襲のさなかで

第四章 終戦前夜

第五章 八月十五日正午の記憶

第六章 遅すぎた神風

第七章 混乱の時代のはじまり

第八章 もう一つの「八月十五日」

第九章 インフレと飢えの中で


Ⅱ 「終戦」を書く、語る

清沢洌著『暗黒日記』



負けるとは思わなかった――わが十二月八日

ぼくの家族は焼き殺された

空襲は天変地異ではない

六月一日に終わっていれば

五十歩の距離

焼跡に謳歌したわが青春

プレイボーイの子守唄



焼跡闇市派の弁

再び焼跡闇市派の弁

人間の知恵と悪知恵

返り見すれば二十八年

すべてうやむやのまま七十年が過ぎた

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  •  あの戦争をどう伝えていくのか、時の経過とともに、ますます伝えることの難しさを思いながらも、幼い妹を死なせてしまった原体験を一生抱えて生きてきた著者が、戦時下の日々を記した作家や市井の人々の日記に拠りつつ自身の体験を振り返った表題作に、戦争体験に触れた関連エッセイを収録した一冊。

     著者野坂昭如は"焼跡闇市派"を自称していたが、無差別空襲を直接経験し、家を失い、近親者が亡くなった自分が、何とか戦争体験を伝えて行かなければならないとの使命感を生涯持ち続けた作家だったのだなと、本書を通読して強く感じさせられた。 

     小さい妹に食事をあげなければならないのに、つい自分が多くを食べてしまう。骨と皮ばかりになってしまった小さな子を日々見ていなければならなかった辛さは、いかばかりだったかと思う。


     印象に残ったところ。
     『「終戦日記」を読む』では、最初に、広島で被爆死した高等女学校1年生の8月5日の日記、「明日からは、家屋疎開の整理だ。一生懸命がんばろうと思う」に、胸がつまったと著者は言う。13、14才の日記に使われる常套句であろう、がんばろうと思うが、日記の筆者の最後の一句で、その人生が翌日には断ち切られてしまった。平凡な一句だけになおのこと、様々な思いが去来する。

  • 空襲、原爆、玉音放送……あの夏の日、日本人は何を思ったか。文人・政治家の日記を渉猟し、自らの体験を綴る。戦争随筆十三篇を増補。〈解説〉村上玄一

全2件中 1 - 2件を表示

著者プロフィール

野坂昭如

一九三〇年(昭和五)神奈川県生まれ。親戚の養子となり神戸に育つ。四五年の空襲で養父を失い、のち、実家に引き取られる。旧制新潟高校から早稲田大学第一文学部仏文科に進むが、五七年中退。CMソング作詞家、放送作家などさまざまな職を経て、六三年「エロ事師たち」で作家デビュー。六八年「アメリカひじき」「火垂るの墓」で直木賞を、九七年『同心円』で吉川英治文学賞を、二〇〇二年『文壇』およびそれに至る文業で泉鏡花文学賞を受賞。そのほか『骨餓身峠死人葛』『戦争童話集』『一九四五・夏・神戸』など多くの著書がある。二〇一〇年(平成二十七)死去。

「2020年 『「終戦日記」を読む』 で使われていた紹介文から引用しています。」

野坂昭如の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
トマ・ピケティ
有効な右矢印 無効な右矢印
ツイートする
×