新装版 七つの証言 刑事・鳴沢了外伝 (中公文庫 と25-56)

  • 中央公論新社 (2020年11月25日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (344ページ) / ISBN・EAN: 9784122069916

作品紹介・あらすじ

海、今、藤田、そして高城――鳴沢了は彼らと再び事件に挑む!


堂場瞬一史上売上NO.1警察小説、シリーズ唯一の連作短篇。




警察を辞め私立探偵となった小野寺冴。閑古鳥が鳴く事務所に鳴沢了から、俳優の息子・勇樹のボディガードをしてほしいという依頼がくる。破格の報酬につられ引き受けるが……(「不変」より)。藤田、海、今、そして高城――仲間たちが見た「刑事と生まれた男」の真実とは?

みんなの感想まとめ

多様な視点から描かれる仲間たちの物語が魅力の作品で、主人公・鳴沢了の新たな一面や成長を深く掘り下げています。シリーズの過去を振り返りながら、彼の周囲の人物たちもそれぞれに影響を受け、変化していく様子が...

感想・レビュー・書評

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  • 紐解き始めると、本当に頁を繰る手が停められなかった。短い篇が集まった本で、1篇を一気に読み、一呼吸置いて次の1篇を一気に読むというようなことを繰り返すと、既に収められた7篇を読了してしまっていた。
    10作品在る、刑事の鳴沢了が主要視点人物となるシリーズの「外伝」とされている作品だ。シリーズの各作品は鳴沢了の第一人称という体裁で綴られている。対して本作は、鳴沢了の傍らに在るというような状況の誰かの視点、第三人称的に鳴沢了という人物が綴られる。そういう様を「証言」と呼んで題名に冠したのであろう。
    鳴沢了の傍らに在るというような状況の誰かというのは、偶々出くわしたという人達や、シリーズ各作品に登場している人達ということになる。そういう形で7篇が綴られている。
    『瞬断』は「鳴沢了」のシリーズの後に登場した「失踪課」のシリーズに登場する高城賢吾や、行動を共にする場面が多い女性刑事の明神愛美が鳴沢と出くわすという顛末だ。
    『分岐』は鳴沢と組んで事件に取組んだ経過が在った後に何度か登場していて、刑事を辞めて、実家である静岡県の寺で僧侶として活動している今敬一郎が自身の活動に関連することで鳴沢に協力を依頼するという顛末だ。
    『上下』は新潟県警に在った鳴沢が行動を共にした、当時は新米刑事だった大西海が登場する。大西海は幾つかの作品に登場する。東京の事件の被疑者が新潟に現れるという経過が在って、大西海は鳴沢と接することになる。
    『強靭』は幾つかの作品に登場した、新聞記者から小説家になった長瀬龍一郎が、新作の作中人物の造形の参考にしようと、鳴沢を知る人達にインタビューを試みる。インタビューに応じるのは、横浜地検の城戸南検事と大沢直人事務官で、或る事件現場で出くわした鳴沢に関して語る。
    『脱出』はシリーズ第8作以降で連続して鳴沢の相方を務めていた藤田心が登場する。事件捜査の現場で鳴沢と共に活動中、思い掛けない窮地に陥ったという時の顛末だ。
    『不変』は東京で警視庁に職を得た鳴沢が、東京で初めて配置された多摩署で行動を共にした小野寺冴が登場する。警察を去って探偵となった小野寺冴だが、幾つもの作品で登場する。鳴沢が小野寺冴に協力を依頼するという顛末が描かれる。
    『信頼』は鳴沢の家族となった内藤勇樹の目線での物語となる。鳴沢は交際していた内藤優美との間に娘が生まれたことを契機に結婚している。内藤勇樹は義理の息子となったので「鳴沢勇樹」である。米国で俳優活動をしていて、その活動で映画撮影をしているハワイに鳴沢がやって来ての出来事が描かれる。
    各篇は何れも「その後の鳴沢了」という感、シリーズ10作品の後の時期ということになる。
    『上下』の大西海は、第10作に「昇任試験に一発合格」で東京に研修に出ていたということで登場していたが、この篇で上司達に更に昇進する昇任試験の受験を強く薦められているという様子が在る。ということは、昇任試験を受験可能となるような期間を経ていることになる訳で、少なくとも「数年経っている」と判る。
    この辺りに関しては、『信頼』が判り易い。第10作で11歳であった勇樹が16歳と判るのだ。ということは5年を経ていることになる。
    シリーズ10作品を通じて、鳴沢了は色々な経験を重ね、少しずつ変わる。その結果に出来上がった「鳴沢了」という人間を「他の人達」の目線で提示しようというのがこの「外伝」ということになるのかもしれない。
    自身はこの「外伝」の各篇を、シリーズ10作品の後に読んでいる。が、逆にシリーズを読む前に導入として読んでみるのも好いかもしれない。
    例えば『瞬断』、『強靭』というような篇は、ストイックな私生活をする強靭な肉体の持主で、原理原則に照らして強い意志で自身の判断を信じ、迷わずに突き進む凄い男という「鳴沢了」というイメージがよく判ると思う。
    更に『上下』、『信頼』は鳴沢自身よりも若い人達を導く、背中を押すという側面が感じられ、『分岐』、『脱出』、『不変』は強い絆が在ると感じられる仲間を真摯に思いやるような側面が感じられる。
    各篇各々に面白く、甲乙点け難い。各篇を読みながら「鳴沢了」に出逢って善かったという想いを新たにした。広く御薦めしたい作品だ。

  • 鳴沢の仲間達の視点からなのでいろんな角度から楽しめた。鳴沢のイメージが結構変わったかもしれない。新装版を読み直してみるのも良いかな。

  • 他者目線だから鳴沢がひたすらかっこいいし、サブキャラ視点だからこその深掘りもあってシリーズの解像度が上がる作品、、、ではあるが、鳴沢が悩みもがきながら意志を貫くところがシリーズの良さだから、終始活躍している鳴沢には物足りなさはあった

  • 過去にシリーズが終わった後のスピンオフ短編集を読んだ中で最も面白かった。
    鳴沢了に関わった主要メンバー視点による鳴沢了への想いが描かれていたが、時系列的にも最終作久遠の後の話ばかりで、久遠から続けて読んだ自分には余韻が残っている中での楽しい読書時間だった。
    特に鳴沢了が結婚したことも明らかになり、これまでずっと優美との間にやきもきしていた読者としてはスッキリした。
    また雪虫で29歳から始まった鳴沢了の人間的な成長には感慨深いものがあった。
    シリーズが終わってしまったことは重ね重ね残念であるが、今後読もうと思っている堂場瞬一さん作品にはたびたび登場してくるらしいので、見落とさないよう楽しみにしながら読みたい。
    次はどのシリーズを読もうか迷っているが、今のところアナザーフェイスを読みたいと思っている。

  • 鳴沢了のいいとこ取りな思い出に起因している感じが蔓延しており、本編のシリーズが薄っぺらく思えてしまったところもある

  • 刑事鳴沢了シリーズを総括し次のシリーズへと繋ぐ短編集
    鳴沢の変化と鳴沢を囲む登場人物も触発される様に変化する様がキモ

  • 鳴沢と交流のあった人達の視点によるエピソードの短編集

    大きな事件が起きるわけではなく鳴沢の人物像を外側から描く

  • 2023/12/20 113読了

  • 鳴沢了と関わったメンバー中心の短編集。

  • 鳴沢了に関わる人物から見た特別短編。けっこう面白い気がする。

  • 今まで関わってきた人物七人の視点から見た鳴沢了が語られる。24時間365日刑事であり、正に「刑事として生まれた男」だ。私個人の印象は、和製ジャック•バウアー?かな。
    久遠後、優美と結婚したんだー、娘も産まれたのかー、とその後が知れるのも嬉しい。日本とアメリカで暮らし、年二回会う愛娘との遠慮がちな触れ合い、想像できてニヤけてしまった。

  • 冴、海、勇樹、そして高城。了に関わる七人の目を通して描く「刑事として生まれた男」の真実とは。著者最大の人気シリーズ唯一の短編集。〈解説〉大矢博子

  • 鳴沢シリーズのスピンオフ作品。
    小野寺、今、高城、海君、ユウキなど鳴沢が関わってきた人たちの視点から鳴沢を描く。
    最終巻の久遠後。鳴沢も結婚していると思うと、雪虫から読んてきて感慨深いものがありますね。

    一番好きな作品は、高城と長瀬が顔を合わせる「強靭」
    奔放な高城が好きなキャラだったというのもありますが、刑事としての自分を貫く鳴沢が改めてカッコいいと思いました。自分もこう有りたいけど、難しいだろうなと。

  • 鳴沢了シリーズ唯一の短編集。
    小野寺、海、今、藤田、高城らと、再び事件に挑みます。
    仲間たちから見える、刑事鳴沢了の姿は?
    後日談のようなものもあり、楽しめます。

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著者プロフィール

堂場瞬一(どうば しゅんいち)
1963年茨城県生まれ。2000年、『8年』で第13回小説すばる新人賞受賞。警察小説、スポーツ小説など多彩なジャンルで意欲的に作品を発表し続けている。著書に「刑事・鳴沢了」「警視庁失踪課・高城賢吾」「警視庁追跡捜査係」「アナザーフェイス」「刑事の挑戦・一之瀬拓真」「捜査一課・澤村慶司」「ラストライン」「警視庁犯罪被害者支援課」などのシリーズ作品のほか、『八月からの手紙』『傷』『誤断』『黄金の時』『Killers』『社長室の冬』『バビロンの秘文字』(上・下)『犬の報酬』『絶望の歌を唄え』『砂の家』『ネタ元』『動乱の刑事』『宴の前』『帰還』『凍結捜査』『決断の刻』『チーム3』『空の声』『ダブル・トライ』など多数。

「2023年 『ラットトラップ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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