金曜日の本 (中公文庫 よ39-7)

  • 中央公論新社 (2020年12月23日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (160ページ) / ISBN・EAN: 9784122070097

作品紹介・あらすじ

いかにも面白そうな本よりも、誰も読みそうにない本に、

自分にとっての「面白い」が隠れている。

ぼくの思う「金曜日の本」は、いつでもそんな本だ。

心意気は、宝探しである。



本をめぐる断章と、

著者自身の少年時代を綴るエッセイ。



書き下ろし「九人のおじさん」を特別収録!

みんなの感想まとめ

日常の中での本との関わりを静かに描いた作品で、著者の少年時代の回想やエッセイが織り交ぜられています。言葉選びが心地よく、レトロな雰囲気の中で、時間がゆっくりと流れる感覚を楽しむことができます。登場する...

感想・レビュー・書評

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  •  『京都で考えた』に続く2017年刊行のエッセイ集で、文中に章題や見出しがなく、ひと続きの作品という印象も似ています。

     エッセイは自伝小説風で、少年時代を回想するように描かれています。吉田さんらしく淡々とした語り口なのですが、どの記憶も曖昧さがなく輪郭が明確に立ち上がり、それでいて幻想的な雰囲気をまとう筆致が、やはり心地よいです。

     そして、要所に登場する本との関わりが、妙に納得することが多く、金曜日への思い入れも含めて、自分のワクワク感と重ねて読んでいました。
     (土日が仕事の方にはお叱りを受けるかもですが)
    「仕事が終わった。今日は金曜日。午後6時である。明日あさっては休みで、特にこれといって用事もない。つまり、今夜から日曜の夜まで、心おきなく本が読める」 この感覚には全面賛同です!

     本作で唯一の短編「窮鼠、夜を往く」も不思議な印象でした。自らを追い詰められた鼠に例え、まだ見ぬ夜の向こう側の「到達点」まで往く旅のイメージは、本との関わりそのものなのでしょう。
     本を読む、選ぶ時間を大切にし、見つけた本を自分のものにする...こんな愉しみを「金曜日の本」という言葉に託したのとリンクしている気がしました。

     読書愛好家、金曜日愛好家は意外に多いんじゃないでしょうか?

    • NO Book & Coffee  NO LIFEさん
      ミユキさん、こんばんは♪
      コメントありがとうございます!
      めんどくさい名前でごめんなさいm(_ _)m
      略称「本とコ」で通してますので...
      ミユキさん、こんばんは♪
      コメントありがとうございます!
      めんどくさい名前でごめんなさいm(_ _)m
      略称「本とコ」で通してますので、よろしくです(^^)

      吉田篤弘さん、忘れた頃に読みたくなる作家さんで
      私は好きです
      今後ともよろしくお願いします(´∀`)
      2025/01/29
  • 読書に疲れた時に読む本。

    難しいことは書かれていなくて、日常の一コマが淡々と語られる。
    本を読むというより、活字を追いながら想いにふけるという感じだ。

    子供の頃はこんなだったと、自分の記憶と重なる。

    解説は、岸本佐知子さん。
    吉田篤弘さんと岸本佐知子さんは、2学年違いで同じ小学校に通っていた。
    当時の町の様子など共通体験している岸本さんはこの本の解説者に相応しい。

    タイトルにあるように、この本には「本」が所々に登場する。
    その「本」の感想や説明はない。

    吉田篤弘さんにとって本は読むことも大切だけど、その前に、一人で選ぶことが重要だと言う。
    選ぶとは見つけることで、見つけた本を自分のものにすることを楽しんでいる。

    ---
    仕事が終わった。
    今日は金曜日。
    午後六時である。
    明日あさっては休みで、特にこれといって用事もない。
    つまり、今夜から日曜の夜まで、心おきなく本が読める。
    ---

    それが「金曜日の本」らしい。

  • 久しぶりの大好きな吉田篤弘さんの本
    自身の幼い頃のお話 なのだけれどまるで小説のように楽しく読めた
    「窮鼠、夜を往く」も心にしみる
    おじさんたちの話しも、興味深い
    今ある吉田篤弘さんの元はおじさんにあるのかも

  • 出先で買って、出先で読み終わりました。短いが素敵な本でした。

  • 図書室で見付けたお気に入りの本、友達と遊んだ記憶、美味しい水が出る秘密の蛇口、壁新聞、初めてのピザ、スパイ手帳…。
    吉田さんの子供時代を語った回顧録、と捉えていいんだろうな。
    「あとがきのような話のつづき」で、吉田さんも「この本に書いたことは実際に起きたことばかり」とお話になっていたし。

    先日読み終えた『針がとぶ』へと通じるお話もあったので、
    ああ、あのお話は実話を膨らませてお書きになったのだなぁと、このタイミングで読めたことを嬉しく思った。

    吉田篤弘さんの作品では“金曜日の本”という言葉を度々目にする。
    土日は休み!金曜の今夜はゆっくり本を読めるぞー!
    というワクワク感。
    または寝る前にちょこっと読むのに丁度よく。
    それらが込められているのだと思う。

  • 「無口」で「いつも本を読んでいた」吉田篤弘さんの小さい頃の随想。
    感性豊かに、本や音楽に関することも織り交ぜて、懐かしい記憶が綴られていた。
    吉田さんの描く小説そのものの世界がそこにあって、読み始めたら止まらなくなってしまった。

    仕事が終わった金曜日は、「放課後」のようで、心おきなく本が読める。
    本は読むことももちろん大事だけれど、その前に自分ひとりで選ぶことが重要だったそうです。誰も気づいていない「宝探し」をするように。

    父でも兄でもない、たくさんのおじさんやいとこたちは、子どもにとって憧れの存在だったのかもしれません。
    実話をこんなにまあるく優しく書けるなんて、やっぱり素晴らしいです。
    お話の達人なんだなぁと思う。

  • 読友さんのレビュー「吉田さんの描く小説そのものの世界がそこにあって」に惹かれて一気に読みました。ありがとうございます!
    吉田篤弘さん…本を読むのが好きなだけでなく、小学生の頃から壁新聞や小冊子を作っていたんですね〜。おじさん、おばさん、いとこ達とのエピソード、どれもが小さな宝物のよう。

  •  金曜日の本を金曜日の夜に読み、
    たくさん本が読みたくなり、そして今から寝る。

     すごく満たされた時間でした。

  • 流れるように読めるように、見出しは本文中にはない。アスタリスクがその代わり。読み終えたばかりの『京都で考えた』で知ったことが、この本にもあった。嬉しかった。

    まず吉田さんの記憶力に驚かされた。生まれて初めての記憶が1歳だなんて。その頃から本好きなのは、ほほえましかった。小学校の図書室の本が、ほとんど聞こえない静かな声で語り続けているようで、だから図書室や図書館は静かなんだと納得したなんて、すごい小学生。本がいつも同じ声で同じ話を同じように語ってくれることに安心を感じる気持ちもすごいな。およそ12歳くらいまでの吉田さんの両親やおじおば、友達とのことが書かれていた。壁新聞やピザや、他にも以前に読んだ本のなかにちりばめられていた言葉をみつけることもできて、楽しかった。

    私にとっての金曜日の本も、これからも見つけていきたい。

  • 金曜日の図書館が好きだから、この題名には、ビビッときた。

    本を買うというのは、「未来と約束すること」なんだ、
    という一文に部屋の片隅に積まれた積ん読たちが、
    なんだか「これでよし」と言う気持ちにさせてきた。
    吉田さん、魔法みたいだな。

  • 祝文庫化!
    『金曜日の本』 吉田篤弘著 : 書評 : 本よみうり堂 : エンタメ・文化 : ニュース : 読売新聞オンライン
    https://www.yomiuri.co.jp/culture/book/review/20180213-OYT8T50103/

    金曜日の本|単行本|中央公論新社
    http://www.chuko.co.jp/tanko/2017/11/005021.html

    金曜日の本 吉田 篤弘(著/文) - 中央公論新社 | 版元ドットコム
    https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784122070097

  • 淡々とした文章なのに、温かいのが不思議。
    吉田篤弘さんは、いつもそう。

    10歳以上年齢が違うのに、なぜか懐かしさに涙が出そうになった。

    たくさんの素敵なおじ様たち。
    子どもの頃に出会う大人って、自分が大人になっても影響されているな、と思うし、昔から好きなものはやはりずっと好きな気がする。

    昔を思い出して、幸せな気持ちになった1冊でした。

    余談
    そういえば私も金曜日生まれ。
    読み終えたのが木曜日なのが悔やまれる。

  • 彼の、本との付き合い方が好き。
    イメージ通り本が大好きな少年だったようで、
    「読むときと同じくらい選ぶときが楽しい」
    という言葉に深く共感。

    実際の出来事を書いたエッセイのはずなのに、
    すべてが幻想的で小説を読んでいるようだった。

  • 金曜日の退勤後に、この本を旅行先に向かう電車の中で読んだ。あの、図書室の感じ。ズラーっと並んだ本棚から自分の好きな本を見つける感覚。懐かしい^^

    吉田さんの少年時代のお話、共感できるところもあれば、1歳頃を覚えているなんて記憶力すごいと思ったり、最後のフレーズでグッときたり、すごく楽しみながら読めた。

  • 吉田篤弘さんの少年時代のエッセイ。
    夢の中のような穏やかで不思議な世界観で、読んでいて心地が良い。
    挿絵も可愛くて、なんだか童話を読んでいるような気持ちになる。

    ⚫「仕事が終わった。今日は金曜日。午後六時である。明日あさっては休み で、特にこれといって用事もない。つまり、今夜から日曜の夜まで、心お きなく本が読める。
    まずは食料と飲みものを確保し、ロッカーに預けて手ぶらで本屋に行く。 身も心も手ぶらになる。何の情報も要らない。誰かが推薦しているとか、 映画化されているとか、そんなことは知らない。
    知らない方がいい。子供のころ、学校の図書室で本を選んでいたときの気分に戻りたい。あ、これ を読みたい、と思った本を立ち読みし、面白そうだったら、迷わず手に入れる。そんなふうに、ただ自分の好きな本を読んで、それで本が好きになった。」

    ⚫本には「読む時間」の前に「選ぶ時間」がある。もしかすると、読んでいるときと同じくらい選ぶ時間を愉しんできたかもしれない。


    確かに、本は選ぶ時間も楽しいんだよなぁ!

  • 数年前に読了しましたが、また今回読みたくなって一気に読んでしまいました。
    読書をする時間、私は夜に読みましたが読み終わった後の気持ちがフワフワと温かい気持ちになりました☆
    この気持ちのまま寝ようかな。

    またふとした時に読みたいと思います。

  • 「忘れかけていたこと」

    吉田さんの本を読むと、不思議と昔のことを思い出す。

    彼のどの作品を読んでもそうなのだけれど、
    本作は特にそれが印象的に、私の心に残っている。

    金曜日の本。はて、なんのことやら。

    そう思いつつ読み始めて、
    気がついたら日付が変わっていて、
    そして、昔のことをぽろぽろと思い出して。

    なんだか不思議だなと。

    彼が回顧する物語はみんなどこか懐かしくて、
    私はその場にいないのに、まだ生まれてすらないのに、
    その様子がありありと、
    でもどこかおぼろげに浮かんでくる。

    それが頭の中で勝手に自分の思い出に変わっていて、
    あぁ、そういえばこんなことあったなーって。



    金曜日の本。

    さて、
    私にとってのその本は、いったい何だったのだろう。
    また読み返すときに一冊くらいは、思い浮かんでくれたらいいなぁ。

    じゃあまた、金曜日に。


  • 図書室で静かに語り続ける本たち、本を読むことは未来との約束、選ぶ時間の愉しさ。印象に残ったところはたくさんあるけれど、自分で書き出すとなぜか軽く感じるなあ。吉田さんの文章が心地よい理由が少しわかった。解説が岸本佐知子さんなのも個人的に嬉しかった〜

  • 自分にとっては親世代が懐かしむ世界だった。
    でも、読んでいくうちに自分もほっこり懐かしい気持ちになる。そんな可愛らしい短編集でした。

  • 前半は著者の自伝的エッセイのようなもの。いつもと同じ語り口のせいか、小説としても読めてしまう。幼いころの読書体験、好きだった本、レコード、そして両親、親戚のおじさんたちや近所の友達、昭和の東京の風景が浮かび上がってきます。

    短編小説「窮鼠、夜を往く」も収録。哲学的だけれど可愛い小品。金曜日の夜に、さあ今夜から土日は好きな本を読んですごすぞ、というわくわくする気持ち、読むことと、書くことへの愛情が詰まった1冊でした。


    ※収録
    路地裏の猿/架空バス/夕方の手品師/舞台袖/ポータブル・レコード・プレーヤー/蛇口とヘビイチゴ/ブレーキのない自転車/赤鉛筆/ピザを水平に持って帰ること/枕の下のラジオ/ファーストミット/夜中に観た映画/空中一回転/変電所と東京タワー/金曜日の本/窮鼠、夜を往く/九人のおじさん/あとがきのような話のつづき/解説:岸本佐知子

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著者プロフィール

1962年、東京生まれ。小説を執筆しつつ、「クラフト・エヴィング商會」名義による著作、装丁の仕事を続けている。2001年講談社出版文化賞・ブックデザイン賞受賞。『つむじ風食堂とぼく』『雲と鉛筆』 (いずれもちくまプリマー新書)、『つむじ風食堂の夜』(ちくま文庫)、『それからはスープのことばかり考えて暮らした』『レインコートを着た犬』『モナリザの背中』(中公文庫)など著書多数。

「2022年 『物語のあるところ 月舟町ダイアローグ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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