軍国日本の興亡-日清戦争から日中戦争へ (中公文庫 い 65-2)

著者 :
  • 中央公論新社
3.00
  • (0)
  • (0)
  • (2)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 42
感想 : 3
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (331ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122070134

作品紹介・あらすじ

明治維新後、日本は数十年にして近代民族国家としての自立に成功した。近代化とは軍国化にほかならず、日清・日露戦争に勝利すると、国際社会の一員として世界各国と協力し、互いに主権と独立を守という精神は次第に忘れられ、軍国主義化の色彩を強めていった。

軍部は立憲国家の枠を越えて独走、日本は国際的孤立化に陥った。

施政者と世論を巻き込み、国家の自爆ともいえる大東亜戦争あるいは太平洋戦争に至った経緯を詳説する。

巻末に『軍国日本に生きる』を文庫初収録。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 戦争について学びたいと思い、三鷹の「UNITE」さんで購入。
    なかなか読解力が必要というか、難しい漢字にもフリガナがなかったり苦労しました。なのでしっかり理解しようと思わず、興味のあるところは抑えようという視点で読みました。
    軍の人間が政治に介入しすぎ、完全に他国に遅れをとり、自爆戦争となった第二次世界大戦。
    軍国という言葉が頭に刻まれました。

  • 日清・日露戦争に勝利した日本は軍国主義化し、国際的に孤立した。軍部の独走を許し国家の自爆に至った経緯を詳説する。著者の回想「軍国日本に生きる」を併録。

  •  防衛大学校長も勤めた著者が、戦後日本の空想的平和主義 ー著者は、考え方が独善的で、国際的視野を欠いて一国主義的であることは、戦前・戦中の軍国主義と双生児のように似ている、と指摘するー を克服するためには、軍国主義へ至る歴史を振り返ることが必要と考えて、近代日本の歴史を概説したものである。 

     外交・軍事等の対外政策や、その時々の為政者や軍人の姿勢、態度に対する著者の見方や評価がかなりストレートに表されており、賛否はあるだろうが、非常に面白い。

     特に興味深かったところ
    ・P93〜96 日露戦争勝利後の満州問題について
     1906年5月の「満州問題に関する協議会」において、満州に地歩を築こうとする軍事当局者に対し、元老が文民統制を貫徹できたもの。ただ、この問題の根は深く、著者は、大日本帝国はこのため39年後に亡んだといっても過言ではないとする。

    ・P176 民政党内閣による金解禁について
     金解禁と緊縮財政との経済政策は、浜口首相や井上蔵相をテロの犠牲にしたばかりでなく、社会的危機を招いた。柳条湖事件に始まる陸軍の膨張政策が広く国民の応援を勝ち得た背景には、浜口・井上の財政・金融政策の失敗があった。
     
    ・P245 ニ・ニ六事件等に見られる軍の考え方
    動機さえ君国を思うに出たものであれば、「何をしても許される」という恐るべき動機主義の害毒が示されている。……陸軍主流に脈々と流れていたのは、法治主義や立憲主義とは両立しない天皇親政の神話思想であった。

     近代日本が、どうして無謀な太平洋戦争に突入することになってしまったのかを、軍国化、軍国主義化という観点から捉えたもので、視点が明確でコンパクトにまとまっており、大変参考になると思う。
     
      





     

     

全3件中 1 - 3件を表示

著者プロフィール

猪木正道

一九一四(大正三)年、京都市生まれ。東京大学経済学部卒、三菱信託株式会社、三菱経済研究所を経て戦後、成蹊大学教授、京都大学教授、防衛大学校長、青山学院大学教授を歴任。京都大学名誉教授、平和・安全保障研究所顧問などを務めた。主な著書に『ロシア革命史』『ドイツ共産党史』『政治変動論』『共産主義の系譜』『独裁の政治思想』『評伝 吉田茂』(全三巻)『私の二十世紀――猪木正道回顧録』『猪木正道著作集』(全五巻)などがある。

「2021年 『軍国日本の興亡 日清戦争から日中戦争へ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

猪木正道の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×