- Amazon.co.jp ・本 (260ページ)
- / ISBN・EAN: 9784122070202
作品紹介・あらすじ
植草甚一、都筑道夫、清水俊二……。一九五〇年代から六〇年代にかけて、小説の翻訳を生業とする個性豊かな面々が現れた。直木賞受賞作「遠いアメリカ」と同時期を舞台に、出版界の片隅に生きる人々の姿を、憧れに満ちた青年のまなざしから描いた自伝的短篇集。巻末にエッセイ「二十代の終わりごろ」他一篇を付す。 〈解説〉青山 南
【目次】
翻訳の名人/若葉町の夕/線路ぎわの住人/四月の雨/初夏のババロワ/黒眼鏡の先生/喫茶店の老人/新しい友人/夜明けの道/引越し/夏の一日
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〔増補〕昔のアパート/二十代の終わりごろ
感想・レビュー・書評
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祝復刊!
片隅の人たち 常盤 新平(著/文)発行:中央公論新社
https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784122070202詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
アーウィン・ショーを訳していた人といった程度しか知らなかった常盤新平さんであるが、本書に登場してくる翻訳者の面々に関心があったことから手に取ってみた。
本書は小説であるから、実話そのままではないだろうが、登場する翻訳家も実名は出ていないが1960年前後の早川書房周辺の人たちだし、翻訳した作品の大体の記述もあるので、多分あの人がモデルかなあと推測するのは、とても楽しい。
翻訳家を目指してはいるが、まだまだ先の見えない若者だった作者の前に登場する師匠や先輩、同輩の人たちはほぼ変な人たちであるが、ほのぼのするものから不思議なもの、しんみりするものと、様々なエピソードが描かれる。
また、本当に翻訳家として一本立ちして、愛する家族と生活していけるか、揺れ動く真情には共感させられる。
アメリカ文化、文学が眩しかった時代。アメリカの小説に出てくるハンバーガーがいかなるものか話し合うエピソード、著者と恋人との借家に関する記述、翻訳料に関するやり取りなど読むと、当時がまだまだ貧しい時代だったこと、でも何とかなるさという希望が持てた時代でもあったことが伝わってくる。
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「片隅の人々」常盤新平。
●1950年代、東京。アメリカ語の翻訳家、それもミステリー、ハードボイルドの翻訳家を志す、狭い狭い、出版業界の「片隅の人々」の人間模様。連作短編。
●貫く主人公は「私」で、高度成長とともに少しづつステップアップ。
●文章がうまい。すごくうまい。地味にうまい。
●描写の向こうに気負わない自分史。それが小津安二郎風味の青春物語に、昭和30年代〜の戦後史にもなっています。
●不安、恍惚、コンプレックス、恋人との暮らし、生活と夢。。。
これはある年齢以上の男性読者のためのものなんだろうなあ。その割り切りが素晴らしい。 -
エッセイかと思ったらフィクションだった。
読んでいた違和感が消えた。
が、それにしても内容は登場人物にもう一歩踏み込んでほしかった。モデルがいるのだから。 -
直木賞受賞作『遠いアメリカ』に連なる自伝的連作集。出版界の片隅に生きる翻訳者たちを青年編集者の視点から描く。エッセイ二篇を増補。〈解説〉青山 南