石原慎太郎・大江健三郎 (中公文庫)

  • 中央公論新社 (2021年5月21日発売)
3.00
  • (0)
  • (0)
  • (2)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 36
感想 : 2
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Amazon.co.jp ・本 (296ページ) / ISBN・EAN: 9784122070639

作品紹介・あらすじ

一九五〇年代の鮮烈なデビューから〝怒れる若者たち〟の時期を経て、それぞれの一九六八年へ――。同世代を代表する批評家が、盟友・石原慎太郎と好敵手・大江健三郎と向き合い、その文学と人間を論じた批評・エッセイを一冊にした文庫オリジナル作品集。


〈解説〉平山周吉




■目次



【一九六八年】


知られざる石原慎太郎


私にとって「万延元年のフットボール」は必要でない




【石原慎太郎】


石原慎太郎論/「肉体」という思想/「言葉」という難問/『完全な遊戯』/『日本零年』


 *


顔/石原慎太郎と私/石原慎太郎のこと/『石原慎太郎文庫』によせて/偉大なアマチュア




【怒れる若者たち】


新しい作家達/政治と純粋


 *


シンポジウム「発言」序跋/文学・政治を超越した英雄たち/今はむかし・革新と伝統/生活の主人公になること





【大江健三郎】


大江健三郎の問題/自己回復と自己処罰/『死者の奢り・飼育』/『個人的な体験』/私の好敵手/大きな兎/谷崎賞の二作品/大江健三郎氏のノーベル文学賞受賞に際して

みんなの感想まとめ

この作品は、盟友である石原慎太郎と好敵手の大江健三郎を中心に、彼らの文学と人間性を深く掘り下げた批評とエッセイの集大成です。石原は昭和の若者たちのアイコンとして、敗戦後の新しい日本を求める大衆の心を捉...

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 石原慎太郎は、昭和の時代における若者のアイコンであった
    石原が何をやっても、世間はそれを支持した
    江藤淳はそんな石原を評して、「無意識過剰」と呼んだ
    にじみ出る石原の無意識が
    日本国民のそれと自然に呼応しているというほどの意味である
    敗戦後の、新しい日本を作り上げていこうとする若き大衆は
    石原のような存在を求めたのだった

    そう考えると、「万延元年のフットボール」を契機に
    江藤淳と大江健三郎が決裂したのも無理のない話だった
    三島由紀夫の死に先駆けて
    英雄の死と、その神格化を書いた大江は
    それによって
    石原の、真に健康な肉体を、冒涜したも同然であったから
    今では信じがたいことに
    石原、大江と江藤を加えた3人組は
    もともと政治的にも近いところにいる同志的存在だったのだ
    それが結局、時の流れによって引き裂かれたわけであるが
    いずれ避けられない衝突だったにせよ
    狂言回しを務めたのが江藤だったことは間違いない

    江藤の言うように
    「万延元年~」には、反近代的なところがあった
    大江健三郎は
    三島とは違った形で天皇にこだわり続けた作家である
    表現としては反天皇かもしれない
    だが、その存在の無力に、価値を見出すようなところもあった
    無力であっても生きる資格が人にはある
    だが一方、それはもちろん「個人」を否定する思想でもあった
    …「共生」とはそういうものである
    そう言われると、返す言葉もないんだが
    しかしそうであればなおのこと
    社会維持のために、強固なシステムが必要となるはずだ
    旧来的な意味でのシステムならば
    いずれ卵を壊す壁となろう
    今更それを認めることはできない
    江藤としては
    「個人」を突き詰めた先に、新たな共生のシステムが生まれると
    そう信じたいのだった
    現に、石原と日本国民は無意識で通じ合ってるじゃないか、と

    いずれにしてもロマンチックな話である
    戦後昭和だから成立した物語である
    未来を生きる我々としては
    江藤流と大江流、2つの匙加減で味見を繰り返していくしかあるまい
    それが泥のスープであったとしても

  • 盟友・石原慎太郎と好敵手・大江健三郎をめぐる全評論とエッセイを一冊にした文庫オリジナル論集。稀代の批評家による戦後作家論の白眉。〈解説〉平山周吉

全2件中 1 - 2件を表示

著者プロフィール

江藤 淳(えとう・じゅん):文芸評論家。昭和7年12月‐平成11年7月。昭和31年、「夏目漱石」で評論家デビュー。32年、慶應大学文学部卒。37年、ロックフェラー財団研究員と してプリンストン大学留学。東工大教授、慶大教授などを歴任した。新潮社文学賞、菊池寛賞、日本芸術院賞、野間文芸賞など受賞多数。

「2024年 『なつかしい本の話』 で使われていた紹介文から引用しています。」

江藤淳の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×