女が死ぬ (中公文庫, ま51-2)

著者 :
  • 中央公論新社
3.50
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本棚登録 : 1231
感想 : 79
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122070707

作品紹介・あらすじ

〝あなたの好きな少女〟には、死んでもならない。清楚、母性、包容力……身勝手な幻想から私たちの心身を取り戻す50篇。シャーリィ・ジャクスン賞候補作!

感想・レビュー・書評

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  • 著者初読み。以前読んだ『ほとんど記憶のない女』をもっと現代の日本的にポップにした感じ。面白かったのは「少年という名前のメカ」「ボンド」「この場を借りて」「男性ならではの感性」表題作「女が死ぬ」で映画ブログをやってるキミコが今のブクログしてる自分に似てるようで恥ずかしくなった。

  • 「週刊少年ジャンプの各漫画一話が山手線一駅分の量に設定されてる」みたいな、一つの話が短い掌編集(ショートショートよりも短い話を指すんですね)

    なので、ミントタブレットを口に入れるかの如く電車待ちの空き時間で一話ずつ読んでいく。

    掌編に馴染みがないので、瞬間芸みたいなのもあり戸惑いつつスラスラと読んでいく

    …そのうち、気軽に読むとなかなかそぐわない「言葉が先行して印象が固定されてしまうモノについて、ジェンダーのこと」などのテーマに触れてくる。(タイトルからしてそうなんですが)

    コレがなかなか頭の中に残り続ける。(お土産でもらった海外のミントタブレットでなんの味かはよくわからないけど残る…)

    表題作の「女が死ぬ」を読み、あぁコレは私も男で、このタイトルとあらすじに惹かれて買ってよんでしまったのは、もう「女性」についてのテーマの中にその時点で取り込まれているな…悪いことをしたような気分になる。

    「おじさんが死ぬ」「少女が死ぬ」「少年が死ぬ」「男が死ぬ」だったら読んでたかな…読んでたか

    そのうち出てくる登場人物の名前も、男なのか女なのか何を持って判断したらいいかわからなくなったりしてる。
    概念を逆さまにしたり、言葉の意味が変わるまで変化を加え続けたり

    巻末にある著者の「一言解説」に答えを求めてしまう自分が悲しい。でも解説が面白かったりする。新鮮な体験でした。

    「ワイルドフラワー」と「若い時代と悲しみ」が別の話なのに繋がっているように読めた。

    読んでから
    他の立場に立つことを考えてる。
    女の描く男、男の描く女、それも古くてLGBTも含めたり、白人の描く黒人、黒人の描く白人、地球人の描く宇宙人、宇宙人の…

    • 初音さん
      私も解説に答えを見にいきました。要らぬことを考えながら読んでしまう本でした。Ikezawaさんの感想を読んでいたらまた読みたくなったので読も...
      私も解説に答えを見にいきました。要らぬことを考えながら読んでしまう本でした。Ikezawaさんの感想を読んでいたらまた読みたくなったので読もうと思います。
      2021/11/09
    • ikezawaさん
      コメントありがとうございます。
      そうですよね。
      短いから気軽に読めるので、本棚ではなく机の上に置いてます。
      そう言っていただけて嬉しいです。...
      コメントありがとうございます。
      そうですよね。
      短いから気軽に読めるので、本棚ではなく机の上に置いてます。
      そう言っていただけて嬉しいです。
      よろしくお願いします。
      2021/11/09
  • 初松田青子
    短編というか、ベリーショートショートというか。

    思考回路が面白い。

    少年という名前のメカ  シニカル
    ボンド ボンドガールたちに笑笑
    女が死ぬ  何かが起こる動機として
    TOSHIBAメロウ20形18ワット わかるそれ

    そして何より、猫は最高なのだ!

  • 『女が死ぬ』読了。
    2、3ページで終わるような短編集でした。面白かった!!ユーモア溢れていて、思わず爆笑せずにはいられないものもあって、腹筋壊れた。笑。
    表題作が一番面白かったわ…。
    意味がわからない内容も多々あったけど、あとがきに親切にも作者の意図が書いてあって、それも面白かった。
    読んでいる途中、あとがきの作者に指示され、読書を中断してスマホの画像検索をするとは…為て遣られた感
    まー、そういうのも面白いと思うわ。斬新すぎる。めちゃくちゃ新感覚な短編集でした!

    2022.1.26(1回目)

  • 誰もが知らず知らずのうちに他人を型にはめ、異性を型にはめている。そんな自分の中にある無意識の偏りに気付かせてくれる1冊。男性に読んで欲しい。

  • 女性なら、フッと笑ってしまったり、スカっとしたり、よくぞ描いてくれた、と思うことが散りばめられている。けれど、これを男性が読んだとき、どんな風に思うのだろうか。
    反発するのだろうか。女の嫌な面を見てしまったと思うのだろうか。それとも、そもそも何が問題なのか分からないのあろうか・・・せめて女が何を言いたいのかには気づいて欲しい。反感を持ったとしても、きっといつもニコニコしているアナタのそばの女性たちもこんな風に思っている人が沢山いるのだと言うことには気づいて欲しい。
    以下おもいきり抜粋(ネタバレ)です。

    ーボンドー(これは男性にはお薦めできない苦笑)
    「ねえねえ、そんなにいいの、ボンドって?」
    「うーん」「まさか、そんなこと聞かれるとは」
    「・・・・・正直な話、なんだこんなもんかってわたしは思ったわ」
    「でも、まあ、悪くないふりをしたわよ、それはね、だって相手はボンドなんだから」
    「あの、やらなくてもいいんですよね?」
    「もちろん、そうだけど、でもどうして?」
    「いくら何でも、皆簡単にボンドと関係を持ちすぎではないかと思うんです。愛情からならまだしも、油断させる目的で関係を持つ時もあって、でもそういうやり方は古いんじゃないかと。愛情にしても、毎回毎回ボンドも軽くないですか。そろそろわたしたちの美しさを、もっと別の方法で打ち出していくべきじゃないかと思うんです」「わからないけど、一回やっとけって」「いいから、いいから、やっとけって」「そのほうがハクがつくでしょ?」「減るもんじゃないし、やっとけって」
    「真面目な話、それはやっぱりやっておいたほうがいいのよ。やらないとね、見てる側も肩透かしをくった気持ちになるし。」

    ーあなたの好きな少女が嫌いー(でもこれはお互い様な面もありますよね。女が好きな男像も男性は嫌いかもしれない)
    あなたの好きな少女が嫌いだ。あなたの好きな少女は細くて、可憐で、はかなげだ。間違っても、がははと笑ったりはしない。
    あなたの好きな少女が嫌いだ。あなたの好きな少女は弱くて、非力で、不器用だ。困ったやつだなあと、あなたはあなたの好きな少女を庇護してやらねばと言う気持ちにかられる。親でもないのに。
    あなたの好きな少女が嫌いだ。あなたの好きな少女は、我がままで、自由で、子猫のように移り気だ。また、あなたの好きな少女は、そのような特質を備えつつも、あなたの言うことだけは素直に聞き、あなたの思い通りになる。
    あなたの好きな少女が嫌いだ。あなたの好きな少女は、センスが良くて、前途有望で、いろいろ教えがいがある。教えてあげるのはもちろんあなただ。あなたは知識のすべてを総動員して、少女を教育したいと思う。学校の先生でもないのに。
    (まだまだ続きます、、、)

    ー女が死ぬー
    女が死ぬ。プロットを転換させるために死ぬ。話を展開させるために死ぬ。カタルシスを生むために死ぬ。・・
    女が死ぬ。彼が悲しむために死ぬ。彼が苦しむために死ぬ。彼が宿命を負うために死ぬ。彼がダークサイドに落ちるために死ぬ。・・・
    女が結婚する。話を一段落させるために結婚する。そのままなし崩しでエンディングに持っていくために結婚する。・・・
    女が妊娠する。新たなドラマをつくるために妊娠する。新たなキャラクターをつくるために妊娠する。・・・
    女が流産する。恋人たちに試練をあたえるために流産する。そう簡単に幸せになっては中だるみするので流産する。・・・
    女がレイプされる。彼を怒らせるためにレイプされる。彼の復讐心に火をつけるためにレイプされる。・・・
    女が死ぬ。ストーリーのために死ぬ。・・・
    我々はそれを見ながら大ききくなる。もう別に何も思わないし、感じない。そもそもたいして気にしたこともないかもしれない。大きくなった我々は、その日映画館を出る。

    ーWe Can't Do It!-
    わたしたちはできない!
    できないことはできない!
    向いていないことはできない!
    面白くない話に無理に話を合わせられない!
    面白くない話は面白くないから!
    自慢話に愛想笑いはできない!
    すごいですねと相槌を打てない!
    相手の自己顕示欲を満足させることができない!
    「男を立てる」ことができない!
    「三歩下がる」ことができない!
    面倒くさいから!
    馬鹿馬鹿しいから!

    ーこの国で一番清らかな女ー
    ある国に、この国で一番清らかな女と結婚したい王子がいました。処女であることは言うに及ばず、自分以外の男にはどこにも触れられたことがないぐらいの女でなければいけないと王子は思いました。/王子はとうとう思い付きました。科学技術に頼るのです。/王子が作ってもらったのは、一度でも性的に触れられた場所が発光して見える特別な眼鏡でした。/清らかそうに見える若い女たちも必ずどこか光っています。ほうら見たことか。王子は悦に入り、右手で去れと言う合図を出し続けました。/年齢と比例して体の光っている場所も増えましたが、十歳に満たない少女でさえ、どこか光っていることに王子は驚きました。この国の女たちは堕落している。王子は嘆きました。王子は、性的に触れられると言う行為に、強姦や痴漢、性的虐待など、いくつかのバリエーションがあることなど思いつきもしませんでした。仮に知っていたとしても、王子の結論は同じだったでしょう。その女は清らかではない。ただそれだけのことです。

    ー男性ならではの感性ー
    男性ライターが男性ならではの感性で提案した男性向けの商品は、世間に驚きをもって迎えられた。/
    この時流に目をつけた急進的な男流作家たちは、これからは男の時代であると、男性誌で連載しているエッセイで次々と取り上げた。/男性ならではの感性など信用できるかと渋い顔をしていた経営陣も、これには態度を軟化させるしかなく、男性ならではの感性も捨てたものではないというスタンスに徐々に移行していった。/男性ライターの成功は、社会に様々な変化をもたらした。「男性の感性的にはどう?」「男性ならではなの感性が我々には欠けているのでは?」「ちょっと待ってください。男性の意見も聞きましょう」/講演やトークショーの依頼も舞い込んだ。「男性が書くということ」「男性にとってキャリアとは何か」「男性の権利を考える」質疑応答では「男性が働き続けることのできる社会についてお考えをお聞かせください」「男性の理想の職場とは?」「男性の結婚と仕事の両立は可能だと思われますか?」/その後も、男性ライターと男流作家が何をつくり、何を書いても、それは男性性ならではの感性ということになった。男性ならではの感性にまとめられた。なんだかすべてが馬鹿みたい。別々の場所で、別々のタイミングで、男性ライターと男流作家は思った。

  • なにこれ死ぬほどおもしろい…!!
    ボンドガールの会合とかなにこれ(語彙力

    痒いところに手が届くというかなんというかモヤモヤイライラしてきたことをこんな小気味良い言葉で刺してくれるなんて神様かとおもった。

    図書館でみかけて借りたけれどこれは後で忘れずに買おう。(メモ


  • パンチ力強めの掌篇集。
    どの話も発想が奇抜!鋭い視点で語られているのが
    面白いし、ハッとさせられます。

    特に、私達に刷り込まれているジェンダーイメージをバッサバッサと斬っていくような話では、読んでいてよくぞ言ってくれた!とガッツポーズしたくなります。

    固定概念に対する多少の皮肉も込められていて、
    自由で挑戦的な話が詰まっています。

    掌篇集って初めて読みました。
    少し不思議で斬新で、楽しい。 

  • フェミニズム文学に対する、「大いに共感できるがそれ以上に苦しい」というイメージが『ピエタとトランジ』でかなり払拭されたので、以前から興味があった松田青子を読むことにした。
    短編集なのでものすごく気軽にさくさく読んでしまった。本屋で一つ目の『少年という名前のメカ』を読んで、お?この人のは思ってたより面白いんじゃないかと思ったのが的中だった。
    特にお気に入りの編は『21世紀のティンカーベル』、『ヴィクトリアの秘密』、『父と背中』。次点が『ベティ・ディヴィス』、『若い時代と苦しみ』、『リップバームの湖』。

    以下感想メモ
    『21世紀のティンカーベル』
    ピーターパンとティンカーベルの2人の関係性はまあまあお互いにお互いを振り回し合う凸凹コンビという感じで悪く思っていなかったが、確かに21世紀なら2人は一緒にいないかもしれない。ティンカーベルの感情が輝きで現れるところが好きなのでこの短編も好き。

    『ヴィクトリアの秘密』
    この本の中で一番好きかもしれない。著者が最後のメモで、青春三部作の第一部と書いていたが、他の二つとのつながりで読んでも、単体で読んでもいい。残りの二つの『拝啓 ドクター・スペンサー・リード様』、『フローラ』もとてもいい。中盤のプロムのくだりのテリッサとヴィクトリアの会話の展開が大好き。

    『父と背中』
    これもめちゃ良い。親子の関係というものへの漠然とした諦観を少し払拭してくれるように思う。

  • 予想外な展開が詰まった短編集。皮肉のきいたお話「少年という名前のメカ」「男性ならではの感性」や、見た瞬間真っ白さに驚いてしまうもの。ホラー展開にゾッとするもの。表題の短編も、性的偏見?への批判を描いていて衝撃的な一作。色んなテイストでかかれたお話に半ば振り回されるように読み終えた後、作者の軽い「物語説明」を読んで、もう一度本編を読み返すと、また違った味わいがある。二度美味しい短編かもしれない(*´-`)

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著者プロフィール

松田青子

一九七九年、兵庫県生まれ。同志社大学文学部英文学科卒業。二〇一三年、デビュー作『スタッキング可能』が三島由紀夫賞及び野間文芸新人賞候補に、一四年にTwitter 文学賞第一位となり、一九年には『ワイルドフラワーの見えない一年』収録の「女が死ぬ」(英訳:ポリー・バートン)がアメリカのシャーリィ・ジャクスン賞短編部門の候補となった。その他の著書に『英子の森』『持続可能な魂の利用』、翻訳書にカレン・ラッセル『狼少女たちの聖ルーシー寮』『レモン畑の吸血鬼』、アメリア・グレイ『AM/PM』、ジャッキー・フレミング『問題だらけの女性たち』、カルメン・マリア・マチャド『彼女の体とその他の断片』(共訳)、エッセイ集に『ロマンティックあげない』『じゃじゃ馬にさせといて』などがある。

「2021年 『女が死ぬ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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