漂流物・武蔵丸 (中公文庫 く29-1)

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  • 中央公論新社 (2021年8月20日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (288ページ) / ISBN・EAN: 9784122070943

作品紹介・あらすじ

「あのな、ええことおせちゃる。」――鬼気迫る母親の一人語り「抜髪」、平林たい子賞、川端康成賞受賞の表題作二篇ほか、私小説家の真髄を示す佳篇を精選。さらに講演「私の小説論」と随筆一篇を併録した直木賞作家の文庫オリジナル選集。〈巻末エッセイ〉高橋順子


〈解説〉井口時男




■目次


木枯らし/抜髪/漂流物/変/武蔵丸/狂/「鹽壺の匙」補遺/直木賞受賞修羅日乗(随筆)/私の小説論(講演)


〈巻末エッセイ〉けったいな連れ合い(高橋順子)


〈解説〉井口時男

みんなの感想まとめ

多様な人間ドラマを描く短編集で、特に母親の一人語りが印象的な作品が収められています。播州弁の独特な味わいが感じられる「抜髪」や、料理人時代の同僚の視点から語られる「漂流物」など、著者の幅広い表現力が楽...

感想・レビュー・書評

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  • [業深き人間ドラマ 私小説の極北]と記す帯、播州人には元々己を飾らない気質が強いが、車谷長吉はその最たる人物だろう。母親の一人語りの形をとった『抜髪』は、「ええことおしえちゃる」「あんた阿保(あほん)になっとんなえ。ぼけになっとんなえ」「じきに人のおだてに乗る。口車に乗せられる。阿保や」など播州弁の独特の味わいがある。『直木賞受賞修羅日乗』も面白い。妻・高橋順子の巻末エッセイ『けったいな連れ合い』からは長吉の生の姿が覗える。

  • 帯に「私小説の極北」とあるが、この短編集に収められているのは必ずしも私小説だけではない。母親の語りが続く「抜髪」、料理人時代の同僚が語る「漂流物」、直木賞受賞時の日記など、バラエティに富んだ構成で著者の作品の幅が楽しめる。
    「漂流物」として世捨て人を目指して生きてきた著者ではあるが、本書で語られる様々な文学賞(非)受賞の顛末などを知ると、あえて俗物性を全開に自身を戯画化していて、そうした所こそ自分の肉を切ってこその小説であるとの持論が徹底されている。まさに「最後の文士」とも呼ぶべき作家である。

  • 本書は著者の傑作集で、実際に体験したことを基に書かれた作品と小説論のエッセイが収録されている。なかでも『抜髪』は、母親が、息子に対して、テンポよく一方的に語り、諭すという奇妙な話で印象深い。また『私の小説論』で、私小説家である著者が小説に関する意見を述べ、小説を書くことは自分の血を流す行為だという。

  • 「粋やの。」

    『漂流物』もすさまじいエネルギーだけど、『武蔵丸』が一番好きかも

    2026/02/08
    『狂』、『変』
    先日行ったバーで、マスターから良い言葉を聞いた。
    「人生全て私事」
    公とはなんだと言われていた。「これで俺の人生は終わったと思った」感覚は、今俺も持っていて、公となる感覚。
    さてどうしよう。俺の中の配膳を。

  • 車谷長吉氏の著作を読むのは3作目。
    数奇な人生は、本作の作中の著述と夫人の巻末エッセイ「けったいな連れ合い」で
    知りました。
    また著者の最期についてはwebで知りましたがあり得ない最期、放浪の旅のさなかでは料理人としての仕事もしていた筈だったのに…。
    Punksを体現した生き様だったのか…。
    本編では「武蔵丸」「狂」が印象に残りました。

  • 平林たい子賞、川端康成賞受賞の表題作二篇ほか短篇小説と講演「私の小説論」、随筆を併録した直木賞作家の文庫オリジナル選集。〈巻末エッセイ〉高橋順子

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著者プロフィール

車谷長吉

一九四五(昭和二〇)年、兵庫県飾磨市(現・姫路市飾磨区)生まれ。作家。慶應義塾大学文学部卒業。七二年、「なんまんだあ絵」でデビュー。以後、私小説を書き継ぐ。九三年、初の単行本『鹽壺の匙』を上梓し、芸術選奨文部大臣新人賞、三島由紀夫賞を受賞。九八年、『赤目四十八瀧心中未遂』で直木賞、二〇〇〇年、「武蔵丸」で川端康成文学賞を受賞。主な作品に『漂流物』(平林たい子文学賞)、『贋世捨人』『女塚』『妖談』などのほか、『車谷長吉全集』(全三巻)がある。二〇一五(平成二七)年、死去。

「2021年 『漂流物・武蔵丸』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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