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Amazon.co.jp ・本 (384ページ) / ISBN・EAN: 9784122071193
作品紹介・あらすじ
1986年の冬、たしかにこの街にあったもの――。コーヒーと幻のレコード。行方不明のダブルベース。「冬の音楽」をテーマに演奏していたデュオ〈ソラシド〉。
それから26年後、ライターになった「兄」は「妹」とともに、ソラシドを探して、失われた町の風景やかつて演奏された音楽の断片を訪ね歩き、もつれあった記憶と感情をときほぐしていく。
失ったものを想い、残されたものの未来を紡ぐ物語。
巻末に「コーヒーを飲みながら書いたあとがき」を付す。
みんなの感想まとめ
失われた音楽と記憶を巡る旅が描かれる物語は、1986年の冬に始まります。主人公の兄と妹は、幻の女性デュオ「ソラシド」を探し、かつての生活や音楽を辿る過程で、様々な人々と出会いながら自らの未来を見つめ直...
感想・レビュー・書評
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『まずいコーヒーの話でよければ、
いくらでも話していられる』
こんな出だしから始まる
ヤマシタくんの物語
ダブルベースを拾って弾いていた頃
時は1986年
時を同じくして
当時ライブ活動していた女性ディオ
その音楽はライブを聴いたものを
強く惹きつけ心に焼き付けた
そのひとりはダブルベースを弾いていた
26年たって
ヤマシタは自らの日記から
その音楽を探してはじめる
その幻の音楽が気になって仕方がない
レコードにもなっていない
音源を求めて
母の違う年の離れた妹と
過去を辿りはじめる
兄と妹は
さまざまな人と関わり合い
自らのこれからを
考えるきっかけにもなっていく
この当時の洋楽にはうといので
わからないことだらけだけれど
吉田さんらしい
ほんわかとした物語に
引き込まれる
あとがきが一番大事な一冊
そしてコーヒー
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幻の女性デュオ「ソラシド」を探す兄(ヤマシタ君)と妹(オー)の物語。
それは1986年を軸に、かつてのヤマシタ君の生活と、かつてのヤマシタ君が聴いた音楽を巡る過去への旅のようだった。
(音楽についてはきっと、“かつての吉田さん”と言ってもいいのかもしれない)
『フィンガーボウルの話のつづき』『針がとぶ』『金曜日の本』とも、ところどころ響き合う。
女性デュオ、ピザの箱にレコード、ポークパイ・ハット、パスパルトゥ、ホワイト・アルバム…。
吉田さんにとって当時それらは、イメージの膨らませやすい、お気に入りのパーツだったのかもしれない。
作中には80年代の様々な曲名が並んでいる。
実際に聴きながら読み進めるのも楽しかった。
ノスタルジックな思いに駆られる、いいお話だった。
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1986年の冬に、思いを馳せる主人公。
当時書かれた日記をもとに、さまざまな記憶が蘇る。
もらった金を全部レコードにつぎ込み、「空中の長屋」と呼ばれたアパートで三年間暮らしていた。
1986年の雑誌を何となくめくっていると、〈ソラシド〉という名前の女性デュオの小さなコラムに出会い、自分よりずっと若い1986年生まれの妹と、ソラシドの音楽を探し始める。
懐かしさで埋め尽くされた物語だった。
「レコードの溝に針をおろす」なんて、もう長年やっていないことに気づく。
ジャケットの魅力だけでレコードを買うとか。
懐かしい人に出会い、記憶にある場所を訪ね、〈ソラシド〉にまつわる話がどんどん広がっていきます。
閉ざされた扉が開かれるような、けれど何もかもを掘り起こさず、記憶のまま留めておきたいような。
いろんな「思い」が詰め込まれた長編小説、とても良かったです。
ビートルズのホワイトアルバムが聴きたくなります。 -
表通りからひとつ入った所で静かに生きている人々の営み…そんな吉田さんワールド。ただこの作品は登場人物が多く途中でちょっと盛り沢山な感じが一瞬してしまった。でも、あとがきを読んであぁと納得。「無名のまま封印されたものに宿る「思い」の中にこそ、誰も知らない「本当のこと」が眠っているのかもしれません。」
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ソラシドという女性二人組のデュオをめぐるお話。
兄の空想や日記、現実が入り混じるお話は、不思議だった。
吉田篤弘さんのお話本編も好きだけど、あとがきも好きなんだな。 -
音をどう表現するのか、音ではなくその時代の色なのだろうか。
想い出なのかその時にあった音トイウナの在り方なのだろうか。
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今まで読んだ吉田さんの著作は、言ってしまえば何も起こらず、何気ない日常の愛おしさを教えてくれるように感じるものが多かったけど、
こちらは、少しずつ起こっていくことで変わっていくストーリーで、今までとは違う人の生の温もりみたいなのを感じた。
わたしは吉田さんのこういう感じもすごく好み。 -
吉田篤弘さんの小説は独特な表現や不思議な雰囲気を醸し出していて少し読みにくいと感じることもあるが、これは女性デュオのソラシドの真相を探るという一つのテーマが中心で、ストーリーとしては分かりやすかった。
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ゆるゆると過去を紐解いていく物語。あとがきに、読み上げたときにリズムや響きが音楽的に快いかどうかを優先しているとあって、吉田篤弘さんの作品に惹かれる理由はここにあるのかもと思った。
ハラハラドキドキの展開でなくても、なぜか作品の空気感に身を委ねて読んでしまいます。 -
「冬の音楽」で一冊の本を、それもお一人の出版社でという話、もしかして?とも思う。
カオルさんとトオル君もそれぞれのキャラクターが行っていた通りなのだろうし、どちらでもあるのだろうからどちらでもいいし。
空気のあり方なんて本当にそうだよな。音楽に限らず、いろんなものもそう、その時・その場所の空気が必要。 -
どうしてとか、なぜとかって、そういうのは、たいていでっちあげなんです。本当のことには理由なんてありません。
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主人公(アラフィフのフリーライター)と歳の離れた異母妹が幻の女性デュオ<ソラシド>の軌跡を辿る物語。あとがきによると一種の私小説的な作品らしい。キーワードは1986年、インターネットが存在しなかった時代の情報を探し歩きながら、彼らは過去と現在を照らし合わせていく。陽の当たらない裏通りに暮らす登場人物達やノスタルジックな雰囲気といい、著者ならではの空気感を楽しめる作品。昔はネットで試聴なんぞ出来なかったので、ジャケットと曲目、そして音楽雑誌だけを頼りに博打的にCDアルバムを買っていたあの頃が少し懐かしい。
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これは音楽を通して過去を訪ねる物語です。
1980年代、小さなライブハウスで演奏していた
ギターとダブル・ベースの女性デュオ〝ソラシド〟。
腕は一流だったようですが、
メジャーデビューはしていません。
なので、彼女らの活動を記した記録はわずかばかり。
ふとしたことで〝ソラシド〟に興味を持った主人公は、
親子ほど歳の離れた妹と一緒に、
幻の二人組の痕跡を追い求め始めます。
主人公の兄とその妹が、
どうして親子ほど歳が離れているかというと理由があって、
妹は主人公の父親と再婚相手の間に生まれた娘だからです。
そして娘の母、つまり主人公の義理の母は、
主人公と年齢がひとつしか違いません。
はっきりと書かれているわけではありませんが、
このような関係が兄と妹、娘と母、兄と義母の間に、
微妙な感情の揺れを生みだします。
言葉にならない思いというか、
言葉にしてはならない思いというか・・・。
時の流れは残酷です。
過去を振り返ると、
ほろ苦さや甘酸っぱさを感じることもあれば、
ときには悲痛をともなうようなことさえあります。
ライブで演奏される音楽は、
その時、その場だけのもの。
過去の出来事も同じです。
懐かしんでみたり、悔やんでみたりしたところで、
繰り返すことはできません。
でもときに過去は、
優しい笑みをたたえていたりします。
静かに沁みるお話でした。
べそかきアルルカンの詩的日常
http://blog.goo.ne.jp/b-arlequin/
べそかきアルルカンの“スケッチブックを小脇に抱え”
http://blog.goo.ne.jp/besokaki-a
べそかきアルルカンの“銀幕の向こうがわ”
http://booklog.jp/users/besokaki-arlequin2 -
幻のレコード、行方不明のダブルベース。「冬の音楽」を奏でるデュオ〈ソラシド〉。失われた音楽を探し、もつれあう記憶と心をときほぐす、兄と妹の物語。
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