竹ノ御所鞠子 (中公文庫 す 3-31)

著者 :
  • 中央公論新社
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感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (261ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122071391

作品紹介・あらすじ

修善寺で討たれた鎌倉幕府二代将軍(鎌倉殿)の源頼家の子として生まれた姫・鞠子。人里離れた竹ノ御所で母とともに慎ましくも安らかに暮らし、人がみとれるほどに匂やかで、涼やかな声の持ち主へと、美しく成長していく。

異母兄弟は政争に巻き込まれ、儚い命を散らすなか、鞠子は女であるがゆえに難を逃れたと思われた。しかし、尼御台政子から書状が届き、北条氏らが繰り広げる非情な権力抗争の波に弄ばされる。

悲運の姫の数奇な運命を描く歴史長篇。

〈解説〉末國善己

感想・レビュー・書評

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  • 鞠子の母は若狭局(比企能員の娘)ではなく、木曾義仲の娘説をとっているのが興味深かった。義時と政子亡き後も繰り返される謀略と、家族4人の悲惨な最期には、やりきれない気持ちになったけれど…これが鎌倉時代、ということだろう。

  • 源頼家の遺児で摂家将軍と政略結婚する鞠子を描く歴史小説。NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』の復習になる。 源実朝は宋に行こうとして唐船を建造させる。この動機は大きな謎とされていた。本書では実朝が本気で宋に行くつもりはなかったとの推測を紹介する。「母御台所や執権義時、大江広元ら、哺育の臣僚たちを困らせてやりたい」。 唐船は浮かばなかった。これも本気で宋に行く気がない実朝があえて浮かばないように船を造らせたとの説も出てくる。

  • 鎌倉殿の13人みてて、これも再読、一気読み
    鎌倉2代将軍頼家の遺児たちの話。男子は殺され、女子は子を産めるがゆえに生かされて頼朝直系の子を得る道具として扱われる。(夫、子供を殺され、4代将軍の19歳年上の妻にさせられる)
    陰惨で怖すぎる。
    鎌倉時代って…。

  • 頼家の子供たち最後の生き残りの人生を描いた
    摂家将軍に嫁ぐ前に子を成していたという設定
    を活かして、壮絶な悲劇をさらに陰惨なモノに
    する人でなしでないと良い小説は書けないのだ
    三浦義村が常に裏切り者に描かれ草(*´▽`*)

  • 2代将軍頼家の娘にして4代将軍頼経の妻、毬子。
    夫よりも16歳も年上の女性は、花盛りの年頃をただ未来の夫の成長を待つだけだったのか。
    3代将軍実朝の御台所の猶子となっていたのだから、ここまで放置されていたとは思わないが、これだけ夫と年が離れているのだからその間に別の人生があったとしても不思議ではない。
    母の視点から語られる、歴史に埋もれたひとりの女性の物語。

  • 表題の竹ノ御所と呼ばれた姫君はほとんど知らなかったのですが、悲しいお話でした。鞠子の人生に重ねて語りでもあるその母の物語でもあります。この母は木曽義仲の娘であるというドラマチックさもあり、敗者の子女は男は殺され、女は生き延びても非業な末路になるというどちらが良いのかと考えさせられる。史実では4代将軍に嫁ぐという記録だけど、あまりに強引な年齢差もあって、その間は色々あったんだろうなと推測。なぜか竹御所だけ実母がはっきりしないけど、母によってはまた違ってくるのかも。このお話もひとつの仮定として納得しました。

  • 鎌倉幕府二代将軍源頼家の子であるがために、非情な権力抗争の波に弄ばされた美しい姫鞠子。その数奇な運命を描く歴史長篇。〈解説〉末國善己

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著者プロフィール

杉本苑子

大正十四(一九二五)年、東京に生まれる。昭和二十四年、文化学院文科を卒業。昭和二十七年より吉川英治に師事する。昭和三十八年、『孤愁の岸』で第四十八回直木賞を受賞。昭和五十三年『滝沢馬琴』で第十二回吉川英治文学賞、昭和六十一年『穢土荘厳』で第二十五回女流文学賞を受賞。平成十四年、菊池寛賞を受賞、文化勲章を受勲。そのほかの著書に『埋み火』『散華』『悲華水滸伝』などがある。平成二十九(二〇一七)年没。

「2021年 『竹ノ御所鞠子』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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