- 中央公論新社 (2021年12月22日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (256ページ) / ISBN・EAN: 9784122071544
作品紹介・あらすじ
「私は今、六十五才の老人であるが、いきものに対しては子供と同じように興味を持っている」。〝小説の神様〟志賀直哉が生涯見つめ続けた子どもと生きもの。それらの短篇を集めた『日曜日』『蜻蛉』を合本とし、網野菊「先生と生きもの」を付す。〈解説〉阿部公彦
みんなの感想まとめ
生きものと子どもへの深い愛情が描かれた短篇集は、志賀直哉の独特な視点を通じて、日常の中に潜む感動や思索を呼び起こします。特に「小僧の神様」や「城の崎にて」といった有名作品が収められており、初めての読者...
感想・レビュー・書評
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子どもの頃の出来事を思い出す。
トカゲに向かって石を投げた場面で。
まさか命中するなんて思わなかった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「清兵衛とひょうたん」「小僧の神様」「城の崎にて」など、有名どころが入っているので、初めてという方にはオススメ。
自分の中では今も昔も、「小僧の神様」が好きで、最後の但し書き?に至るまで、いいなと思う。
善いことをする方の、なのに全然胸がスカッとしなくて、逆にしなければという思いも。
小僧の、ただ素直に、これは大変なことだ、神様の仕業と思い、またそれを慰めにするところも。
皆、良い思いでいることに、ホッとする。
「クマ」という犬の話が、二作ほど書かれているが、外に出て行って、迷子になってしまったクマを見つけ、見つけられたクマも疲れ果てながら、志賀直哉への忠誠を深くするところが可愛い。
生きものの勝手気ままさを、私なんかは、ともするとイラッとしたり、つい自分の思い通りにしたくなるのだけど。そうではなくて、むしろその気ままさを楽しむ所があって。
でも、それはまた「城の崎にて」「家守」みたいな、酷く静かな問答にも、どこかで通じているような気がして、怖くもある。 -
狭い世界でのことかもしれないが、この数年、中公文庫の文芸系文庫の編集が面白いと言われている。
小説+関連する作家論とか、特定の括りで一作家の作品を纏めるとか、ちょっと違った切り口のアンソロジーを出すとか。
志賀直哉と言えば、"小説の神様"。とは言え、実際今どのくらい読まれているのだろうか。自分にしても、主要な短編を高校時代に、『暗夜行路』を大学時代に読んで、ほぼそれっきり。
今回、生きものと子どもの小品集として、戦後間もなくに刊行された『日曜日』と『蜻蛉』に収められた短編を一冊にまとめて収録した。
「清兵衛とひょうたん」、「小僧の神様」、「城の崎にて」といった有名なものも収められているが、初めて読むものも多かった。
1ページ目から順に読んでいったのだが、志賀直哉の文章はこんなに読みやすかったかな、と思い思いしながら、読み進めていく。印象に残ったのは、飼い犬がいなくなり心配しながら探す一所懸命さを描いた「クマ」や「犬」、母の死を淡々と描き、悲しむでもなく新しい母を迎える「母の死と新しい母」。
ところが、『蜻蛉』になると、生きもの、動物に関する作品たちなのだが、『日曜日』収録作の表現とは雰囲気がだいぶ違って感じられる。家に入り込んだ家守を二度と入らないように、杉箸を使って殺してしまう「家守」。偶然投げた石が当たっていもりが死んでしまう「城の崎にて」、鶏を襲ったため殺されることになった野良猫のことを思う「濠端の住まい」など。
今は、ペットを除けば、住んでいる周辺に生きものを見ることは少なくなったため、生き物を殺したり、殺すところを見たりすることはほとんどない。しかし、これらの作品が書かれた当時は、生きものは生活にもっと近く、その生も死も直接的だったのだろう。
それにしても、志賀直哉家では、実にさまざまな生き物を飼っていたのだなあ。 -
志賀直哉の周りにはいつもいきものが溢れている。蟋蟀、蝗、蟷螂、蛇、鼠、雀、山鳩、百舌鳥、栗鼠、兎、猫、犬、熊たちをすぐに手懐けてしまう。といっても芸を仕込むわけでもなく、彼の周囲で自由に自然にさせているだけで、決して固執することもなく、去る者は追わず、いや去る生き物は追わずという感じだ。まるで手塚マンガに出てくるみたいな人だ。この本にたくさんの生き物が出てくる。印象的だったのは「堀端の住まい」だった。松江で暮らしていた頃、大家の飼う鶏が猫に殺された。大家は罠をしかけて猫を殺処分する話だ。志賀直哉は、その猫を救うべきがどうか逡巡するが、結局、気づいた時には処分されたあとだったという話。この話を読んだのは二度目だった。なのに僕はてっきり猫を逃してやるだろうという結末を描いていて了っていた。多分、経験されたことをそのまま書かれているんだと思うのだけれど、もしこれが創作だとしたら、やっぱり志賀直哉は小説の神様やなと、脈略は関係なく思った。
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志賀直哉著『日曜日/蜻蛉 生きものと子どもの小品集』(中公文庫)
2021.12.25初版発行
本書は『日曜日』(1948年5月、小学館刊)、『蜻蛉』(1948年3月、スバル出版社刊)を底本とし、合本したものである。重複する収録作品は『蜻蛉』から除いて掲載されている。
きちんと調べたわけではないが、一冊の文庫本で「清兵衛とひょうたん」「城の崎にて」「小僧の神様」の読めるものは、現状、中公文庫のこれしかない。全集でしか読めないような作品も収録されている。
志賀直哉の作品は裾野が広く、父子の不和を題材にしたいわゆる「和解三部作」から、浮気を題材にしたいわゆる「山科もの」まであるが、生きものや子どもの登場する作品も少なくない。
夏目漱石が志賀直哉を評して「俺も書けない」と言った話は有名だが、およそ小説を書こうと思って書いたように見えないところが志賀直哉の凄さなのだろう。「小説の神様」というフレーズが独り歩きしてしまい、敷居が高く感じられる志賀直哉だが、その単純な文章は子どもでもとっつきやすいように思われる。まず事物に対する徹底的な観察があり、そこから心境小説へ飛翔していく手腕は見事なものである。子どもの眼差しを持った稀有な作家であろう。
【目次】
日曜日
子どもの読者に
日曜日
清兵衛とひょうたん
ある朝
菜の花と小娘
クマ
ジイドと水戸黄門
池の縁
子供三題
犬
鬼
出来事
小僧の神様
雪の遠足
台風
母の死と新しい母
蜻蛉
序
蜻蛉
家守
城の崎にて
濠端の住まい
百舌
馬と木賊
虫と鳥
兎
玄人素人
巻末エッセイ 先生と生きもの 網野菊
解説 阿部公彦
初出一覧 -
サブタイトル通り、生きものと子どもを題材にした作品集。「菜の花と小娘」のような、童話のようなのに、それにしてはやや意地の悪い、でも、可愛らしい、といったショートストーリーや、自分の家の犬や虫たちについてあれこれ綴った雑記のようなものまで。志賀直哉は生きもの好きだったらしいが、いわゆる愛玩ではなく、観察対象だったのだろう。自分の飼い犬にその扱い⁈というようなエピソードも多いが、そこは現代のような動物愛護の精神が醸成されていない当時、みんなこんなものだったのかもしれない。
個人的には虫の描写はこわごわ読んだが、全編通して楽しめた。 -
"「年寄りのいいなりほうだいになるのが孝行なら、そんな孝行はまっぴらだ」"(p.36『ある朝』)
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志賀直哉は生きものや子どもを好んで書き、普遍的な名品を多く生んだ。これらの作品を集めた短篇集『日曜日』『蜻蛉』を合本とし二十四篇を収録。〈解説〉阿部公彦
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