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Amazon.co.jp ・本 (440ページ) / ISBN・EAN: 9784122071605
作品紹介・あらすじ
第一次大戦の前線へ志願兵として送り込まれたフランス人の医学生バルダミュ。腐乱死体と汚泥にまみれた戦地で一切の希望を失い、アフリカの植民地、アメリカの工業地帯へと地獄めぐりの放浪へと旅立つ。二十世紀の呪詛を背負った作家セリーヌの、鮮烈な出発点。中上健次らによる座談会「根源での爆発、そして毒」を新たに収録。
みんなの感想まとめ
第一次世界大戦の地獄を背景に、主人公バルダミュが絶望の中で旅をする様子を描いた作品は、20世紀文学に革命をもたらしたと評価されています。医学生である彼が、戦場の惨状から逃れようとする姿は、深い悲しみと...
感想・レビュー・書評
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仏作家セリーヌの激烈な反ユダヤ評論、大手出版社が復刊に意欲 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News(2018年3月5日)
https://www.afpbb.com/articles/-/3166232?cx_amp=all&act=all
夜の果てへの旅(上)|文庫|中央公論新社
https://www.chuko.co.jp/bunko/2021/12/207160.html詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
以下、読み終わった感想ではなく、途中で読むのをやめた理由です。
『夜の果てへの旅』は村上龍の影響で10代の頃に読み、大好きだった思い出の一冊。新装版が出たので再読を試みた。しかし、とにかくビックリするほど入り込めず、毎夜20ページ読むのが精いっぱい。上巻半分と巻末の中上健次交えた鼎談を読んだところで他の本に移ることにしました。今回ダメだった理由としては
1)「凄かった」という記憶だけが長年の間に頭の中で肥大して期待しすぎた。
2)初読の時点で刊行から半世紀はたっていたので、古さのせいではないはず。ただ、近年の読書によって、同じグルーヴをもつ饒舌呪詛系である岸本佐知子さん訳のトム・ジョーンズとか、黒原敏行さん訳の『チェリー』とか、それこそ町田康や舞城王太郎とか、よりアクチュアルで愉しくノれる文章に甘やかされてしまったのかも。(長年改訳を続けられたという生田耕作さんの訳業には心から敬意を表しますし、当時はこの文体がキレッキレだったはず)
3)昔は白人で男性である主人公バルダミュに無邪気に自分を重ねていっしょにこの世を罵れたけど、実は私はバルダミュに悪態つかれる側、もっといえば、眼中にさえ入らない存在であることがわかってしまったこと。鼎談読んで、当時の受容のありさまがわかると、よけいに…。セリーヌが反ユダヤだったのは反資本主義の流れってのがわかり、そこはなるほどと思ったし、バルダミュの飄々とした反戦ぶりは今読んでも新鮮だけども。
『夜の果ての旅』は最後の10行ほどがほんとうに美しく、できれば今回も長い旅の果てにあの文章にたどりつきたかったけど、1日20ページしか読めないんじゃ何カ月かかるかわからんし、読めなくなっていた自分の感受性に対するショックというか失望が募るばかりで辛いので、この辺でいったんやめとくことにしました。ただ、10代の私が、この最後の10行みたいな景色を自分の目で見てみたい、これを読んだこの感じをこれから先もずっと追い求めて生きていきたい、と強く思ったあの体験、それは嘘じゃないし、人生の大切な瞬間ではあったことはたしか。
まあ、昔良かった本を再読しようとかはもうあまり考えず、虚心坦懐に新しい本に手を出せばいいのかな。 -
3.2
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「そうじゃないか、こんな世界にいるかぎり、いちばんいのは、そこから抜け出すことじゃないか?狂気だろうと、恐怖だろうと、かまっておれるか。」
「僕は現在まで自分の魂を守りつづけてきた」
時代とともに、そのマスなるものはかわりゆき、戦時中はすすんで死ににいくことを拒否すれば精神病者と認定される。愛国心という欺瞞とともに、それともわからずに生き、その流れにのれる人間たちがいつだって世界の主流なわけで、たとえば、セリーヌを読んで笑ってしまえるひとと、胸糞悪くなるひととで、なにが違うのだろうか。遺伝子レベルでのちがいなのか、もっと単純な好みの問題なのか、育ってきた環境にあるのか、知見の多寡であるのか。じぶんじしんをふりかえると、16,7歳あたりでもう厭世的というか、冷めた目で世界をひとを見ていたようにおもう。そのころからからっぽの、まったくのくそがきだった。遠くに引っ越すときに泣いてくれる友人にたいしてもそうだった「永遠の別れってわけじゃないのに、死ぬってわけでもないのになんで泣いているんだ??」。学校のイベントの出し物準備で恒例の揉め事にも「このひとたちはいったい何をしているんだ?(そんなことどーでもいいじゃん)」。自尊心の低かったわたしには、じぶんが欠陥人間に思えてならなかった。セリーヌは、"そんなことない"、なんて言わずに、"そんなもんでしょ" っていってくれる。もちろん、じぶんじしんの欠陥をも。たぶんわたしは、それを笑ってほしかったんだ。
「人生なんて、いんげん豆とかわりない」
「僕はまだ人間を知らなかったのだ。今後は連中の言うことなど、奴らの考えることなど、こんりんざい信用するもんか。どんなおりにも、恐ろしいのは人間、人間だけだ。」
「馬たちのほうがまだしも幸運だ。やつらもやっぱり、僕らと同じように、戦争を押し付けられるにしても、それに賛成することを、それを信じるふりをすることを求められたりしないだけでも。」
「ローラは、要するに、幸福と楽観のたわごとを並べ立てていただけのことだ、人生の恵まれた側に、特権と、健康と、安泰の側にいる、そしてまだまだ長生きできる見込みのある人間はすべてみなそうだが。」
「魂というものは、肉体がぴんぴんしているうちはその装飾にもなれば快楽にもなる、ところがいったん肉体が病気にかかるかそれとも情勢険悪となれば、魂は肉体からおさらばしたい気持ちにかられるものだ。世間の奴らは、二つの態度のうちそのときどき自分に都合のいいほうを身につける、それだけのことだ!」
「正気に思われるためには、思いっきり厚かましく出るにかぎるのだ。ずうずうしく出ればそれで十分、そうすれば、まず何ひとつ許されないことはない、まったくなにひとつ。たいていの人間はこっちの側につく、そして、気違いとそうでない者とを決めるのは、この大多数の人間だ。」
「どぶ池の底みたいな公認貧乏の中に閉じ込められて、この老朽労働者たちは永年の屈従生活の果てに魂にこびりついた糞を食らって生きているのだ。」
「すこしずつ、この屈辱の試練が続いているあいだに、もともと影の薄かった僕の自尊心はますますぼやけ、やがて僕を見放し、完全に、いわば正式に僕を見捨ててしまうのが感じられた。なんと言おうと、これはじつに楽しい心境だ。この出来事を経験してからというもの、僕はとほうもなく自由で身軽な人間に変わってしまった、もちろん、精神的にだ。人生で土壇場を切り抜けるのにいちばん必要なものは、たぶん臆病心だ。僕の場合はこの日以来、これ以外の武器を、つまりこれ以外の能力をほしいと思ったことはない。」
「軍人たると否たるとを問わず、男を相手に、一種の和平をに入れるために、どうせ長続きせぬことはわかっているが、ともかく貴重な休戦を手に入れるために必要なことは、要するに、いつの場合でも、自分をひけらかし、愚かしい自慢話にふける機会を連中に与えてやることだ。」
「おそろしい諦めにこの男は打ちひしがれていたのだ、軍隊にかぎらず、いたるところの不運な連中に共通した性格、つまり、生かすなり殺すなりどうなと勝手にしろといった境地。彼らは、しがない連中は、自分たちの一切の苦しみの理由を、めったに検索したりしない。お互い同士疎み合う、それだけで十分なのだ。」
「もうひとつ悪いことは、前日やったことを、明日も続ける力を、どうやって見つけだせばよいかわからないことだ。うんざりするほど昔からやり続けてきたことを、その愚かしい行動を続ける力をどこで見つけだすか、要するに、なんの成果もない数々の計画、重苦しい宿命からのがれるための試み、常に挫折に終わる試み、どれもこれも、運命は逃れがたいことを改めて確認させるだけの試み。結局、日増しに心もとなく
不愉快になってゆく明日への不安に圧しひしがれ、夜ごと夜ごと、部屋の床の上にぶっ倒れるだけが落ちだ。おまけに年齢というやつが、あの裏切り者がおどり出し、最悪のもので僕らを脅かしかねない。要するに、自分のうちに生命を踊らせる音楽が鳴りやんでしまったのだ。冷酷な真相につつまれたこの世の果てへ、青春は跡形もなく消え去ってしまったのだ。ところで、自分のうちに十分な熱狂がなくなれば、いったい、外へ飛び出したところで、どこへ行くあてがあるのか現実は、要するに、断末魔の連続だ。この世の現実は、死だ。どっち家に決めねばならない、命を絶つか、ごまかすか。」
「僕らは、もともと、すごく軽薄に生まれついているので、僕らに死を思いとどもらせるものといっては、気晴らしをおいてほかに考えられないのだ。僕もまた必死で映画にしがみつくのだった。」
「僕たちは、自分が所有しているものしか、本当に知ることはできないしらまた、所有しているものからしか、解放されることはできないのだ。僕の場合は、さんざん夢を抱き、失った結果、根性はすっかりひび割れ、寒々した隙間風にさらされ、醜くねじれてしまっていた。」
「彼らは、人間どもは、生を、夜を、昼を前方に押し出すことに余念なかった。そいつは、人生は、彼らの目からすべてを覆い隠してしまうのだ。自分自身の騒音の中でら何も聞こえないのだ。無関心なのだ。街が大きければ大きいほど、高ければ高いほど、彼らは無関心になる。」
「貧乏人のほうは満身創痍だ、貧乏はいってみれば巨人だ、そいつは世界の汚れをぬぐうのに僕らの面を雑巾がわりに使うのだ。汚れはいつまでもとれない。」
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40
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○上下巻(2冊):第一次世界大戦の地獄を描き、その文体によって20世紀文学に革命をもたらした小説。
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仏人医学生バルダミュは第一次大戦で絶望し、暗黒遍路の旅へ出る。「呪われた作家」の鮮烈なデビュー作。〈座談会〉中上健次他「根源での爆発、そして毒」
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