犬の報酬 (中公文庫 と25-57)

  • 中央公論新社 (2022年1月20日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (512ページ) / ISBN・EAN: 9784122071681

作品紹介・あらすじ

――社内で自分を見る目が変わったと思う。陰口も耳に入ってきた。

「今時土下座なんかあり得ない」「典型的な社畜」「出世のためなら何でもやるのかよ」

そう、会社のためなら何でもやる。


大手メーカー・タチ自動車は自動運転実験中に衝突事故を起こす。警察は発表しなかったが、数日後、この事故の記事が東日新聞に掲載される。情報はどこから漏れたのか? 総務課係長の伊佐美を中心に「犯人探し」のチームが発足するが……。新聞記者、内部告発者、そして「社畜」。それぞれの正義が交錯する、圧巻の経済小説。

みんなの感想まとめ

テーマは、企業内の正義と個人の葛藤が交錯する中で、サラリーマンとしての生き方を問い直すことです。物語は、社内での陰口や評価の変化を通じて、主人公の伊佐美が直面する現実を描き出します。読み進めるうちに、...

感想・レビュー・書評

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  • 序盤、あまり面白くないかなあと思ったのが率直な感想だけど、読み進めるにつれてXが誰なのか気になって気になって一気読み!

    誰の正義が社会の正義なのか…
    伊佐美の気持ちはぶっちゃけわからないけど、家庭を守るサラリーマンの皆さんはこんな気持ちで働いてるのかなあとも思った。

  • 今でも基本、終身雇用の日本企業。
    勤めているその企業がろくでもない会社だと分かった時、貴方ならどうしますか?
    と問われているようでサラリーマンには刺さる作品。

    Xと違って、なんとか今の会社の歯車に噛み込んでるからやってけてるものの、この歯車1輪単身でポイッとされたら特別なスキルもないし、今さら他所でやってける自信はない。そんな人が多いのではないでしょうか?(まさに私がそうです)

    ましてや家庭を持てば尚更です。
    読者としてはタチ自動車(三菱がモチーフ?)の横暴ぶりに腹を立てるも、「じゃあもしお前がが伊佐美の立場だったらどうした?」と問われると…どうすんのかね?少なくともXになる自信はない。

    池井戸潤さん原作の映画「七つの会議」で野村萬斎さんが最後に言う言葉が脳裏を過りました。
    戦国時代から、我が身を犠牲にしてでも国(今でいう会社)を守るという思想は、もはや日本人のDNAに組み込まれているのではないか…という。
    他国と比べて平均賃金が頭打ちなのもそんな理由なのでしょうか。

    ただ兵は国を想えど、国は兵を護ってはくれぬぞ今の社会!

    文庫本の帯やブクログの作品紹介はちと誤解を与えるかもです。伊佐美は露骨な社畜とはちょっと違うかな、と思います。

  • 読み進めていくうちに、どんな結末を迎えるかが気になって、一気読みだった。

    が、もうちょっと先まで書いてほしかった。

    それぞれが自分のやるべき事を善悪をさておいて進めていく、不正を働いた過去の会社人達が読んだら共感できるかも。

    やはり自分は完全懲悪みたいな話が好きな、単純な人間だなと…

  • 自動運転の事故の隠蔽と内部告発者を探そうとする総務
    情報を書く記者との闘い

  • 私には複雑すぎて追いつけませんでした

  • 自分自身が何に重きを置くか。社会人にとって、間違いであってもなくてもそれを突き通すことが正義なのかなと思った。

  • 途中までええんやけど、なんか最後が盛り上がらん。堂場瞬一くんは多作で嬉しいんだけど、駄作が多いなあ。


  • 自動運転自動車の開発のため、実証実験をしている時に事故を起こすが、会社は隠蔽する。しかし、それに」納得しないXが新聞に情を鵜を漏らす。漏洩の犯人探しが時効の原因究明よろも優先して行われる。情報を隠す者、情報を明らかにするも者、漏えい者を探す者、息詰まるはずの展開に息詰まらなかったのは、誰に感情移入して良いかわからなかったからかもしれない。

  • もっと自動車業界の暗部を切り込むとか漏洩者の葛藤とかを書いてくれると面白かったのに。かなり淡白な内容で期待はずれ

  • 大手自動車メーカー・タチ自動車が自動運転車・ABオートの実証実験中に起こした衝突事故を巡る隠蔽。

    ネタ元・Xによる暴露。
    東日新聞記者・畠中によるスクープ。
    原因調査よりも内部告発者の犯人探しに躍起になるタチ自動車。
    犯人探しに奔走する・総務・伊佐美。

    ABオートの衝突事故の原因は?
    ネタ元・Xは?
    が、気になり、読み進めたが…

    被害者が亡くなったにもかかわらず、大事件にもならず…
    原因追求は…
    ネタ元は…
    で、いまいちモヤモヤ感…

    自動運転車が街中にあふれる将来を考えると…
    日本の自動車メーカーの将来も⁇

  • 自動運転をテーマに、大企業という組織を従業員と新聞記者という2人の目線で書かれている。
    自動運転で実際に起きそうな内容で、隠蔽、そして、企業の社会的な存在について伝えようとしている。
    終焉の最後の下りが若干無理強いに思えた。

  • 頁を繰る手が「停まらなかった」というよりも「停めることが出来なかった」と表現する方が妥当かもしれない。時間を設け易い休日に読んでいたということも手伝い、作中で展開する事態の行方が非常に気になり、時間を設けてドンドンと読み進めて素早く読了に至ってしまった。
    本作は立場が異なる2人の主要視点人物が設定され、適宜その視点人物が入れ替わりながら、作中の事案が次第に進展する。
    物語の冒頭は、“自動運転”という自動車に関する技術開発の試験が行われていて、その試験の中で不具合が起こるという辺りから起こる。
    そして第一の主要視点人物である伊佐美が登場する。伊佐美は自動車メーカーの<タチ自動車>の総務課に勤める社員で40歳だ。広報担当者として、5年程前に「リコール隠し」という問題の対応で力を尽くした経過も在るという人物で社内では評価も高い。この伊佐美に冒頭の、技術開発試験車輛の事故の情報が伝わる。
    そんな頃、違う場所に在る第二の主要視点人物が登場する。畠中である。全国紙<東日新聞>の社会部の遊軍記者で、次の異動では何処かのデスクに就任すると言われている40歳だ。簡単に何処の何者かは明かせないものの、有力な情報提供者が登場し、タチ自動車に関連する情報を得て“特ダネ”ということになる記事を発表することとなった。タチ自動車による“自動運転”の試験運転車輛が公道での試運転の際に事故を起こし、車輛に乗った社員が軽傷を負っただけであったにせよ、事故の事実を明らかにしなかったということを糾弾する内容の記事だった。
    <タチ自動車>では、“自動運転”という重要な技術開発に関連する事故という事案に関して、少し違う角度の問題が部内で取上げられていた。事故に関して、新聞社に情報を漏らした者が誰かということだ。その件に関して社長から直々の指示で対応チームが極秘に設けられた。伊佐美はそれに関わる羽目になる。
    他方、<東日新聞>の畠中は<タチ自動車>の事案を取り扱うキャップのような具合になり、何人かの後輩達を率いて取材を継続し、独自に得た有力な情報提供者とも接点を保ち続けていた。
    ということで展開する事案に関して、如何いうように展開するのかは、本作に関心を覚えた皆さんに各々読んで頂くべき筋合いであろう。
    本作では、狭い意味での業界自体の将来ということに留まらないような、国の産業界の未来を如何こうするような技術開発と、それを巡る一寸したトラブルに関連する報道というようなことが、如何いう波紋を拡げるかという些か「大きな設定」の物語になる。ここまで「大きな設定」となると、休日に愉しむ小説の作中世界の事案に留まってしまうのかもしれない。が、そこまで大袈裟なことでもない範囲であれば、“会社の利益”、“社会正義”、“自己実現”というような少し異なる要素がぶつかり合うというような事柄は「実は意外に多い?」というような気もする。
    「小説の作中世界の事案に留まってしまう」かのようでいて、「存外に身近に在る?」という雰囲気で展開する物語…一寸夢中になった…広く御薦めしたい!

  • 大手自動車メーカーの事故隠しを巡る虚々実々の攻防。新聞記者、内部告発者、そして「社畜」――それぞれの正義が交錯する傑作経済小説。〈解説〉坂口孝則

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著者プロフィール

堂場瞬一(どうば しゅんいち)
1963年茨城県生まれ。2000年、『8年』で第13回小説すばる新人賞受賞。警察小説、スポーツ小説など多彩なジャンルで意欲的に作品を発表し続けている。著書に「刑事・鳴沢了」「警視庁失踪課・高城賢吾」「警視庁追跡捜査係」「アナザーフェイス」「刑事の挑戦・一之瀬拓真」「捜査一課・澤村慶司」「ラストライン」「警視庁犯罪被害者支援課」などのシリーズ作品のほか、『八月からの手紙』『傷』『誤断』『黄金の時』『Killers』『社長室の冬』『バビロンの秘文字』(上・下)『犬の報酬』『絶望の歌を唄え』『砂の家』『ネタ元』『動乱の刑事』『宴の前』『帰還』『凍結捜査』『決断の刻』『チーム3』『空の声』『ダブル・トライ』など多数。

「2023年 『ラットトラップ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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