- Amazon.co.jp ・本 (333ページ)
- / ISBN・EAN: 9784122071827
作品紹介・あらすじ
さあ、最上の案内人とともに美と幻想のラビリンスへ。
三島由紀夫、横溝正史、稲垣足穂、塚本邦雄、宮沢賢治……作家・長野まゆみが少女時代に心をふるわせた小説から随筆、詩歌まで全26作を精選。編者解説のほか全作品に編者コメントを付した、「耽美」「お耽美」の水脈をたどる贅沢な文庫オリジナル・アンソロジー。
【目次】
Ⅰ 小説・物語
孔雀●三島由紀夫
蔵の中●横溝正史
美少年●岡本かの子
狐(「みつ柏」より)●泉 鏡花
魔術師●谷崎潤一郎
昆虫図●久生十蘭
沼●福永武彦
青き菊の主題●塚本邦雄
夢十夜●夏目漱石
天体嗜好症●稲垣足穂
サラサーテの盤●内田百閒
青頭巾(『雨月物語』より)●上田秋成/円地文子訳
粉蝶(『聊斎志異』より)●蒲松齢/柴田天馬訳
Ⅱ 随 筆
断腸亭日乗(抄)●永井荷風
雲のいろいろ●幸田露伴
蝶(「虫の研究」より)●小泉八雲/平井呈一訳
Ⅲ 詩 歌
ひばりのす●木下夕爾
冬と銀河ステーシヨン●宮沢賢治
スパーク●田中恭吉
故田中恭吉氏の芸術に就いて●萩原朔太郎
春の朝●ロバート・ブラウニング/上田敏訳
硝子の夜の少年の散歩●北園克衛
短歌・俳句●北原白秋/葛原妙子/若山牧水/西東三鬼
編者解説●長野まゆみ
感想・レビュー・書評
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重度積読症さんのレビューから読みたくて。著者の作品はあまり知らないが収録作家達に惹かれた。既読の横溝正史や百閒・漱石の他三島由紀夫「孔雀」岡本かの子「美少年」塚本邦雄「青き菊の主題」『月に吠える』装画の田中恭吉「スパーク」が好み。
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「耽美」という言葉で、どういったことを思い浮かべるだろうか。妖しい美しさと言い換えても、何も説明したことにはならないし‥‥。
本書の編者、長野さんの作品を読んだことはないので、どういった作品を選ばれているのかなあとの関心から、本書を手に取った。
定番の鏡花、谷崎、百閒、足穂。何度読んでも、文章の魔力に引き込まれてしまう。谷崎の『魔術師』など、現実では侘しい見世物小屋が並んでいるに過ぎなくとも、その筆にかかると妖しくも絢爛たる景色が目に浮かんでくる。
初めて読んだ岡本かの子『美少年』。下町っ子の少年と山の手育ちの少女の、口には出せない思いや意識の擦れ違いの描写が細やかで、上手いなと思わされた。
三島の『孔雀』。作品によってはその用いられる語彙が鼻につく場合もあるのだが、孔雀に関する描写など実に美しく鮮やかで、やはり三島はスゴい。
露伴『雲のいろいろ』。雲についてのあれこれ。形状や見え方、詩や歌に取り上げられていることなど。蝶々雲、いのこ雲、みずまさ雲、とよはた雲、ほそまい雲、かさほこ雲。知らない名前ばかり。もはや現代の人間には書けない文章。
各作品に編者のコメントが付されていて、そういう見方もあるのかと、自分の感想と比べることができるのも楽しい。
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重度積読症さんこんにちは。
レビューに勝手にお名前あげてしまいました、すみません。
編者の作品をよく知らなくても、重度積読症さんのレビューで...重度積読症さんこんにちは。
レビューに勝手にお名前あげてしまいました、すみません。
編者の作品をよく知らなくても、重度積読症さんのレビューで手に取る機会ができてよかったです。
ありがとうございました!2022/03/05
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頭がごちゃごちゃするような物語がいっぱいだった!
特に、「孔雀」と「夢十夜」!すごかったー。自分も挑戦してオリジナルを書いてみたけど、届かなーい!ま、がんばろう。たくさん読んで、表現力+想像力をのばすぞー! -
表紙が表紙だからてっきり全編少年愛系かと思ったけどものや自然に対してだったり何でもあり。
少年登場率高いけど。さすが。短編物語だけでなく、随筆や詩なんかもあったりして楽しかった。著名人ばっかりだったのでつまらないわけがなく。 -
三島由紀夫「孔雀」が好き。かつて美少年だった男の孔雀への執着…すごい短編だ…
岡本かの子「美少年」も良い。野暮ったい少女と美少年の友情??みたいな微妙な関係。こういうの好き。 -
2023/8/21読了
夏目漱石「夢十夜」が一番好きだった
読み慣れない言葉が多くて難しかった -
あー面白かった。知っとるのも多かったが、とりあえず夢の中っぽい妖しいの読みたい人は手っ取り早く読める。青頭巾入ってるよ!!でも乱歩とか夢野久作は入ってない!!
わたしは随筆も詩歌も自分では進んで読まないから、新しい出会いもあったし、詩歌の編者のひとことがどれも面白い。若山牧水はお酒にまつわるへんな逸話はあるのかい。ない?ありそうなけどどうなの?
それから最後の「耽美ことはじめ」読んでて思ったけど、タルホなんかもそうやけど、文房具もものすごくときめくおとこのこアイテムなんやな…わたしは文房具も好きなことを少し前に自覚していろいろ集めだしたのやけど、長野まゆみをがつがつ読んでた10代の頃はそこが繋がってなかったな。だってあの頃はステッドラーとか知らんかった。ものを知っていて、それに対する何らかのイメージを持っていた方が本も楽しく読めることに気付いたのは20代の頃であるよ… -
割と知られた作品が多いので、実家のような安心感。適当に開いて読んでも金太郎飴のように耽美系です。
とは言え、一通り読んだ後で、いやいや谷崎の『魔術師』は耽美というよりパノラマ系だろとか、三島なら『孔雀』でなくて『憂国』がいいとか、はたまた横溝はいるのに夢野久作はいないのか?とかひとりごつ。
と、ここまで含めてがアンソロジーの楽しみ方かと。
本との出会いのきっかけになったのであれば、とても嬉しいです。
自分の感想には書きませんでしたが、朔太郎と田中...
本との出会いのきっかけになったのであれば、とても嬉しいです。
自分の感想には書きませんでしたが、朔太郎と田中恭吉との繋がりはしみじみしました。戦前は治療薬も無く、作家や画家も若くして亡くなられた方が多かったですね。
確かに朔太郎と田中恭吉の繋がりは奇跡的ですね。長野まゆみさんのコメントで知る事ができよかった...
確かに朔太郎と田中恭吉の繋がりは奇跡的ですね。長野まゆみさんのコメントで知る事ができよかったです。