- 本 ・本 (264ページ)
- / ISBN・EAN: 9784122071964
作品紹介・あらすじ
吾輩はカロである――。「猫の話」「カロ三代」など梅崎家代々の飼い猫・カロと家族をめぐる騒動を描いた小説・随筆を中心に、全集未収録の「ウスバカ談義」、童話「大王猫の病気」などを併録した文庫オリジナル愛猫作品集。〈解説〉荻原魚雷
感想・レビュー・書評
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やっと平熱で猫について語ってくれる作品に出会った。
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1940年代後半から1960年代初頭にかけて書かれた猫に関する話を集めた短編集。「カロ」は登場する猫の名前。主人公は三代に渡って同じ名前の猫を飼っていた。タイトルを読むと内田百閒の「ノラや」のパロディかと思ってしまうが、この短編集には、それより前に書かれた作品が含まれている。
全体に流れるのはユーモラスな雰囲気だが、竹製のはえ叩きでカロを打擲する場面もあり、読者から非難の手紙が編集部に届いたそうだ。
そんなブラックな場面もあるが、それも著者の猫を溺愛する気持ちが高じたものと解釈できる。
主人公による打擲が身にしみ、おそるおそる食べ物を漁ろうとするカロの描写が秀逸。
「私の目の前では、黒豹か何かみたいに、肢を曲げ、背中を極度に低くして、すり足で歩く・・・私が猫叩きを摑むと、パッと電光のように走って逃げる」
目に浮かぶような場面描写に確かな観察眼と文筆家ならではの表現力を感じた。
最後に出てくる「大王猫の病気」では、大王として君臨する猫の体調の悪さに右往左往させられる家来やヤブ医者の猫の様子が擬人法でユーモラスに描かれ、落語を聞いているような愉快な気分になった。 -
摂南大学図書館OPACへ⇒
https://opac2.lib.setsunan.ac.jp/webopac/BB50284486 -
これは愛猫家には向かない本。短編2本ぐらい読んだけど、いや、ヒドイ。
百歩譲って、ネコが轢かれてペシャンコになっていくのを観察していたのはわかるけど、号泣はわからない。号泣するぐらいなら埋めてやるでしょ、心ある人なら。
続く家のネコをとことんいじめる話も、腹が立ってゲンナリ。小人閑居してってことわざがあるけれども、ヒマを持て余した物書き、ロクなことしないな。
本人はしつけとか言ってるけどただ単にネコを虐めたいだけのヤツ。自分より弱いものをいじめて悦にいってる話なんて不愉快でしかない。そりゃ、動物好きはお前の文章なんて二度と読まん、ってなるよな。と言う訳で読者から抗議の手紙をもらったという辺りは少しすっとしました。ダヨネ。
とはいえ少し前の犬・猫の飼い方はこんなんだったんだよな~とぼんやり思ったりしました。 -
吾輩はカロである――。「猫の話」「カロ三代」ほか飼い猫と家族とのドタバタを描いた小説・随筆を中心に編集した文庫オリジナル作品集。〈解説〉荻原魚雷
著者プロフィール
梅崎春生の作品





