冴子の東京物語 (中公文庫 ひ39-1)

  • 中央公論新社 (2022年6月22日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (272ページ) / ISBN・EAN: 9784122072220

作品紹介・あらすじ

北海道で暮らしていた長電話魔の著者は、「電話代をそっくり部屋代にすれば、東京のソコソコの部屋が借りられる」と気づいて東京に引っ越した。


将来を案ずる両親への葛藤、友人との尽きない話。

まさかの失敗談、女であるがゆえの微妙なモンダイ。

本を読んでひとり芝居し、旅先のハイキングコースで遭難の危機。

天井を帚で突き破って方違え……。


才気溢れる若き小説家が、愛と怒りと笑いを交えて綴る傑作エッセイ。待望の復刊!

〈解説〉青山美智子

みんなの感想まとめ

若き小説家の愛と怒り、そして笑いの日々を綴ったエッセイは、彼女の青春の中での葛藤や失敗談を通じて、読者に共感を呼び起こします。氷室さんの独特な視点と、当時の空気感が見事に表現されており、笑いあり、時に...

感想・レビュー・書評

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  • 帯文句「知も情も意地もある、若き小説家の愛と怒りと笑いの日々」とは言い得て妙、正にそのまんまの名エッセイであった。
    先に復刊したエッセイ「いっぱしの女」があまりにも面白く、今回もあのノリを求めて購入した。若気の至り、ここに極まれりとでも言いたくなるような氷室先生のやらかしエピソードがてんこ盛り。若かりし頃の長電話のとりとめのなさを思い出す。そのとりとめのなさに救われていたよなと懐かしくなる。
    名エピソード揃いだが、とりわけ「記憶」は秀逸。男性用かつらのネタから始まり、唐突に話は親との軋轢エピソードに飛ぶ。詳しくは省くが、なんとも苦い後悔の思い出に、ヅラ話が一体どう関係があるのか。思いがけないオチにドッと涙が溢れ、同時にその構成の見事さに「なんて作家だろう」と身震いした。
    アハハと笑いながらもその洞察力の鋭さに唸らされ、いくつもの「青春のリグレット」に己のほろ苦い思い出を重ねる。ほんのり感じる昭和という時代もまた懐かしく、今読むからこそ心に沁みまくるエッセイだなとしみじみ思う。
    そして、復刊のカバーを鮮やかに飾ってくれた今日マチ子さんのイラストが素晴らしく、これもまた本書を購入するきっかけの一つとなった。青山美智子さんの解説という名のファンレターにもグッとくる。

  • 最初に刊行されたのはまだ昭和時代だったので今ならありえないまさに昭和な話もありつつ、数十年経った今でも通じる話もあり懐かしさとエバーグリーンさが入り混じった気持ちで読み直しました。氷室冴子さんがご存命だったら今はどのようなエッセイを書くのかなぁなどとも思ったり。

  • 氷室さんが20代後半から30才になるにかけての時期にしたためた名エッセイ。当時の空気感、氷室さんの人柄、すべてがぎゅっと詰まっていた。基本的に笑いありでサクッと読めるけど、ところどころに見られる世間に対する痛烈な皮肉が効いている。この方が今の世の中を見たら何を書くんだろうと考えると、若くして亡くなってしまったことがほんとうに惜しい。

  • 202206/復刊再読。

  • 大好きなエッセイ。
    今読むと時代を感じる。黒電話の長電話の話。
    女一人旅でホテルがとりにくい。
    結婚の早さ。
    奈良の旅の話が好き。競馬場のバイトの話。
    引っ越しが多くて、相談されることも多くて。
    すごく生々しく、パワフルに生きている人だと感じる。素敵な人だったんだろうな。

  • 偉大なる少女小説家氷室冴子のエッセイ。30歳ごろに書かれたもので、結婚の話や友達の話などが書かれている。
    女友達と長電話してしまう話はとても面白く、うなづきながら笑いながら読んだ。ついつい、長話してしまうことあるよねっていう感じで。流石に冴子さんみたいに12時間話っぱということは経験していないけど。
    あとはラブホテルや男性向けサービスのあるサウナを誤解していた話が面白かった。特にサウナの話なんか抱腹絶倒もの。私も世間知らずだから冴子さんと同じ間違いをしてしまうかもと思いながら、ヒイヒイ笑った

  • 東京のことなんてほとんど出てこない。東京にいたときに書いたものだから、東京物語、とのおことわり。ただ、なかなかにパワフルで行動的で突発的。両親と喧嘩して実家を飛び出して、友人と三人で2年間共同生活。かとおぼえば、関西のとある劇団の役者に惚れた時、二十数年暮らしてきた北海道を一夜にして飛び立ち、家財道具と住民票を携えて大阪に引っ越し。一人暮らしを始めてからは、我慢出来ないことがあるたびに頻繁に引っ越し。「北斗の拳」にはまり、特に一子相伝に惹かれ。バイオリン、お事、横笛、日本画と挫折。日本画は岩絵具を溶きもしなかったの通信講座(楽器って通信講座でも演奏できるようになるものなんでしょうか)。かと思えば、「素敵な小説を読むと、読後の印象に残っているシーンや会話をアトランダムに組み立てて、即興でひとり芝居をやって楽しんでいた」ことがあったり(さすが小説家の構成力というべきか)。友人の「高校出て十年目の顔合わせでしょ。なんか、ヘンに感動した。昔、生きるとは何かッと眼血走らせてたけど、要するに、生きるって生活することだねえとか話してさ。十年経ってわかったことって、それくらいね。」ということばが響いてきたり。集英社文庫版を読了。

  • 電話代がかかり過ぎて、これなら東京に住んだ方が安い!と、東京にやってきた筆者の抱腹絶倒エピソード集。

    携帯が出てくる前の「イエ電」黄金時代。一人暮らし始めたて、自由に電話ができるようになった頃を思い出します。

    30数年ぶりに復刊。

    ダイヤル回し過ぎで指が痛い。
    とか、もはや何だかわからない概念ですね。

    速く回したい時とか、ダイヤルに圧かけて、確かに指が痛くなったりしたよね。

    ハンズフリーで話せる、ヘッドセットタイプの通話機も出たばかり。レシーバー型受話器の登場なんかもまだまだ新鮮な頃だった。コードレスですら新鮮だったし。

    旧文庫版の解説は夢枕獏が担当。こちらは同時代作家としての視点から。

    新文庫版の解説は青山美智子が担当。中学生時代に氷室冴子にファンレターを出したら、直筆で返信があったそうで、解説がそのお便りへのアンサーとなっている。ちょっと泣ける。

    こうやっていろいろ受け継がれていくわけですねえ。

  • 2022年6月27日購入。

  • 母娘草やいっぱしの女よりライトに読めるけど、やっぱり根底に怒りは潜ませている感じのエッセイ。それにしても、当時の人ってそんなに電話してたのね…まあ、LINEもメールすらもないと考えれば分かる気がするけど。

  • 長電話魔の著者が「電話代より家賃が安い!」と始めた東京暮らし。家族や友人の話、失敗談や女ならではのモンダイを綴る傑作エッセイ。〈解説〉青山美智子

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著者プロフィール

氷室冴子(ひむろ・さえこ)
1957年、北海道岩見沢市生まれ。 1977年、「さようならアルルカン」で第10回小説ジュニア青春小説新人賞佳作を受賞し、デビュー。集英社コバルト文庫で人気を博した『クララ白書』『ざ・ちぇんじ!』『なんて素敵にジャパネスク』『銀の海 金の大地』シリーズや、『レディ・アンをさがして』『いもうと物語』、1993年にスタジオジブリによってアニメ化された『海がきこえる』など多数の小説作品がある。ほか、エッセイに『冴子の東京物語』『冴子の母娘草』『ホンの幸せ』など。 2008年、逝去。

「2021年 『新版 いっぱしの女』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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