ウナノハテノガタ (中公文庫 お100-1)

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  • 中央公論新社 (2022年11月22日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (272ページ) / ISBN・EAN: 9784122072794

作品紹介・あらすじ

「いいか、島でのこと、だれにも話してはいけない」

海の民の少年オトガイは、父から代々伝わる役目を引き継ぐ。
山の民の少女マダラコは、生贄の儀式から逃れて山を下りる。

死を知らぬ海の民イソベリ、死を弔う山の民ヤマノベ。
二つが出会い、すべてが始まる。これは、対立の運命を背負わされた海族と山族の神話を描く、原始の物語。

〈巻末座談会〉「八作家が語る、〈螺旋プロジェクト〉のいままで」を収録。

みんなの感想まとめ

原始の時代を舞台に、海の民と山の民の異なる死生観が交錯する物語が描かれています。主人公たちが直面する文化の違いや生贄の儀式からの逃避は、読者に緊張感と興奮をもたらします。特に、言葉や風習の異なる二つの...

感想・レビュー・書評

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  • 螺旋プロジェクト 原始編
    海族・イソベリ イクサから逃れてシオダマリで原始社会を形成し、死の概念を未だ持たない
    山族・ヤマノベ 戦闘的で犬を飼い、生贄の儀式を行い、死者を弔う
    相容れない二つの民族が、地震により、生贄から逃れた山族の女性が海族に紛れ込んでしまう。
    会うべきでない二つの民族。イソベリは傷ついたヤマノベを助けるが、共存するには風習習慣が違いすぎた。あるいは、もはや、性格の不一致としか。
    原始の雰囲気をだそうと、名称、会話、文章とても工夫されています。大変な時代を担当されたなあと思います。その表現から、なかなかストーリーが読み取れない。その為か、単純な原始社会の対立風になっていると思います。
    イソベリの死の秘密を守らなければならない“ハイタイステルベ”を引き継ぐ少年の葛藤は、良い感じだった。

  • これは1回読むだけじゃ理解できない。
    原始の時代がテーマだから言葉も馴染みがなく
    すんなり入ってこないところが最初は苦労する。

    これは書くのも大変だっただろうな〜と思ってしまう。

  • 「螺旋」プロジェクトの2冊目。一気に古代に飛んでみた。年跨ぎで読んで今年の1冊目。

    山の民(ヤマノベ)のマダラコが生贄の儀式から逃れて山を下り、海の民(イソベリ)の集落に辿り着くところから始まる物語。

    カタカナで聞きなれない単語が多い文章は読みづらかったが、これは最初のほうの話を読むうちに慣れた。
    寧ろ付かず離れずのところでそれらしい言葉を作り出す苦労が思われる。この時代を担当するのは大変ね。

    言葉も食べるものも風習も異なる二つの民。異文化が衝突するところで何か起こるというスリリングな設定に思えたが、面白くなる前に終わってしまったという感はあり。
    ただ、だからと言って面白くなかったわけではなく、この見知らぬ想像上の種族の思わぬ特徴や属性だったり、小さな衝突がどう転がっていくのかなど、作者が作ったワールドに結構興を惹かれながら読み進めることは出来た。

    『死を知らぬ海の民、死を弔う山の民』という二つの死生観やウェレカセリの壁画の意味(オトガイとマダラコがこれを読み解き辿っていく場面には興奮した)など、これらを突き詰めていけるともっとこの物語に対する理解(本当の面白さ)が深まったのではないかと思うのだが、私の頭では難しかったのだった。

  • 大森兄弟の作品。
    実の兄弟による小説家コンビとのことだが、今回の『螺旋』プロジェクトで目にするまで作者さんの事は知らなかった。
    『螺旋』の全ての始まり、原始を担当する。

    読み始めて直ぐ、その設定に取り込まれた。
    どこか辿々しい語り口、固有名詞ではなくブンブン等の形容を用いた呼び名…。
    それらは全て、人間がこの世の主導権を握っていると勘違いする前、もっと大自然や生きとし生けるものを敬っていた時代設定だからこその、作者の仕掛けた技法だ。
    現代と共通の固有名詞が生まれる以前の原始が舞台なので、作者は創意工夫を凝らしたんだろうな。

    そしてなんとなく、
    ハイタイステルベ=廃体捨てる部(←語り部、物部などの「べ」と同じ使い方なのかな)
    ウナノハテノガタ=海の果ての方(潟?)
    なのかなーと思いながら読んでいた。

    ウナ、オオキボシ等の耳慣れない呼び名について何の説明もないまま、当たり前のように物語が展開してゆくが、それらが何を指しているのかは前後の文から直ぐ分かる。
    作者の用意した世界に段々と慣れてきた頃、ウェレカセリの名前が登場してハッとした。
    伊坂幸太郎の小説では、ウェレカセリとは人工知能の名前だった。
    原始のウェレカセリは言ってたじゃないか、「その時にはもう別のジダイにいるのっ。」。
    改めて、螺旋プロジェクトとして繋がっている事にワクワクした。

    イソベリ、ヤマノベ其々の特長や生き方がうまく描かれていた。
    争いの切っ掛けもこの時代ならではの事で、違和感なく受け入れられた。
    螺旋プロジェクトという大きな歴史の流れの始まりの物語だと思うと、良く出来てるなーという感じた。

    【追記】
    文庫の巻末、「螺旋プロジェクトが誕生するまで」の座談会がとても楽しい。

    【追追記】
    2022.12.14
    他の螺旋プロジェクト作品を読み進める内に、
    「ウナノハテノガタ」の良さが分かってきた。
    ☆3→☆4へ変更

  • 螺旋プロジェクト原始編!
    伊坂幸太郎のシーソーモンスターを読もうとしたら、螺旋プロジェクトのことを知り先にこっちを読み始めた!
    死にがいを求めて生きているのは読了してた、、

    原始時代が舞台ということで、神話的な要素をはらむ中々現代に馴染みのない抽象的な内容が多くあって読むのが難しい想像力を働かせる所が多々ある。

    ウナノハテノガタという単語やオトガイなどの人名、ウナクジラ等世界に入っていくのが難しい。

    しかし螺旋プロジェクトのルールである、海族、山族といった二項対立を意識しながら進めると何とか不思議な原始の世界観を味わうことができた。

    繰り返し読んで味が出てくる作品だと思う。

  • 螺旋プロジェクト 4作品目
    初の大森兄弟さんの作品

    最初はハイタイステルベ、オオキボシ、ウナなどなど。色んな言葉が出てきて戸惑いながら読んでました。読み進めていくと、だんだんと慣れて原始時代に入っていけた感じです。
    言葉や食べ物ももちろん違う、人が亡くなるということ、亡くなった後の対応、イソベリとヤマノベで違う。現代は文化の違いとして認識できるが、他の者を見たことない側から見ると、きっと恐怖に感じるんだろう。今の時代にも自分とは異なるものを排除しようとすることはなくならない。でも、中にはヤキマやマダラコのようなお互いを知ろうとする柔軟なものもいる。
    最初は原始時代の物語に不安があったけど、楽しく読み終えました。

    次は未来へ

  • 螺旋プロジェクト(私の)6作目
    今回の時代は古代
    他の時代の話から想像できなかったこの時代の話。それもそのはずで、(日本の)古代が舞台の小説って読んだことないし
    5作目から大分間が開いたけど、また一気に螺旋シリーズに引っ張られてきた
    全8作品のうち、前回購入時に出ていなかった「コイコワレ」もアマプラしました!これで全作揃う

  • 伊坂幸太郎の螺旋プロジェクトの時間軸的には一番最初の物語!

    時代は原始の時代で場所は日本列島の何処か?

    使っている言葉が不明→読むにつれて解ってくる感じ・・・


    死の概念を持たない海の民と、死を認識し生贄や葬いの文化のある山の民、二つの民族が出会い、一番最初の対立が生まれる物語


    個人的には原始の時代の物語を読むのは【萩原浩】さんの【二千七百の夏と冬】以来でした。


  • 螺旋プロジェクト、原始編。
    ややネタバレ含むので、注意。



    螺旋の意味を味わいたいので、時系列で進めちゃう算段。
    他のレビューにもあったけど、まだ世界観が浸透していないので、イソベリ(海)とヤマノベ(山)の二つの民がどう相容れないのか、言葉を辿るだけでは理解の難しい所もあった。

    生きること、死ぬこと。
    それらが信仰によって見えなくされている世界は、幸せなんだろうか、不幸なんだろうか。

    そんな世界にあって、見えること、知っていることの罪悪を、ハイタイステルベという職業として抱えてきた父カリガイの姿が、どんどん辛いものになってくる。
    守り続けた事実は、皆の救いでもあるから。

    そして、息子オトガイが「生を無駄にしないで欲しい」と願った気持ちも、間違いではない。
    父カリガイが残り、息子オトガイが往く。
    そんな結末が、少し寂しくもあった。

  • 8人の作家が共通ルールで「原始~未来」の物語を描くという「螺旋プロジェクト」の内の1冊。
    読むのは3冊目。

    「原始時代」を描いた小説を読むのは初めて。
    現代とは異なる“原始”という時代の独自の話し言葉や世界観に最初は若干戸惑いました。
    面白くなってきたのは言葉の意味が繋がり始めてから。
    本作では、螺旋プロジェクト共通ルールの「山族と海族(ヤマノベとイソベリ)の対立」と、海の民の少年・オトガイが父親から受け継ぐ役割が見もの。

    山の民のマダラコが怪我を負い、海の民に保護されるところから物語は大きく動き出します。
    海の民の少年・オトガイが父親から受け継ぐ役割が重かった。これはしんどい…。
    いったいどういう結末を迎えるのかと気になって中盤以降は一気読み!

    先に「シーソーモンスター」「蒼色の大地」を読んでいたので、繋がりを見つけて嬉しくなりました。
    巻末座談会「螺旋プロジェクト」も、8人の作家さんの裏話や作家情報が知れて面白かった。

  • 螺旋プロジェクトの中の1冊。

    原始時代となっているけれど私は縄文あたりをイメージして読んだ。
    初めは独特な言葉遣いに慣れず少し困惑したが
    不思議となんとなく意味が分かってくる。

    「死」の概念を持たずに生活しているイソベリと言う海の民たち。
    争うことをあまりしない民たちだったが
    ヤマノベと言う山の民たちと出会い
    争いの道具を作り始め
    少しずつ何かが変化していくイソベリ。

    読みにくかった!というレビューもチラホラ見るが
    私はこの独特な世界観好きだな。

  • 螺旋プロジェクトの第1弾。

    固有名がなじみのないカタカナで、また古代を表現するために知らない単語で表現しているので最初はメチャ苦戦しました。第2章が終わる頃には慣れましたけど、進んでは戻り、進んでは戻りを繰り返しました。

    死の概念がないイソベリと生贄という犠牲を払って生きるヤマノベ。現代の感覚ではどっちもどっちな感じがしますが、この物語を神話、と捉えると、まぁこういう世界観もアリかな、と思いました。

    ハイタイステルベの家系、カリガイ・オトガイはマダラコが言うように、イソベリの生贄として生きることを強いられていた。イソベリの掟のようなものを守るために。カリガイは辛かっただろうな、と思いました。マダラコもそれは同じことですが、マダラコはヤマノベで死を理解しているので、逃げ出せたんでしょう。

    ウナクジラはどういう役割で登場したのかな?たぶん、ハイタイステルベはイソベリを守るため、って言っていたけど、死を理解させることでイソベリの目の前で朽ち果てていったのかなぁ、と思いました。また、共通シーンの何かが壊れる、の何かはこのウナクジラなのかなって思います。ほかに該当するようなものなかったしな。

    超越的な存在はウェレカセリ。途中でエビヌマに沈んだまま出てこなくなって亡くなったのか?っていう謎はあるでんすが。ウェレカセリの残したメッセージを、マダラコとオトガイが読み解くところは、面白かった。ウェレカセリは全部、知っていたんでしょうね。ウェレカセリの喋り方、おもしろい。

    最後、残っていたヤマノベたちもイソベリの舟に乗れたのか、その舟の穴は大丈夫だったのか、「ウナノハテノガタ」に向かって行けたのか、マダラコはイソベリたちとうまくやっていけるのか、ヤキノが新たな災いのもとにならないのか・・・。疑問がいっぱい残ったまま、希望のエンディングを迎えた。

    苦戦したけど面白かった。

    螺旋プロジェクトの第1弾として読みました。別の作品でマダラコとかオトガイとかまた出てきたらエエな、と思います。ウェレカセリはどこかで登場するみたいですね。楽しみです。

    引き続き螺旋プロジェクトを読んでいきます。

    • 傍らに珈琲を。さん
      bmi26さん、こんばんは!
      初めまして。

      遅い時間に失礼します。
      いいね、を有難う御座います。
      馴染みのないカタカナ、私も始めは苦戦しま...
      bmi26さん、こんばんは!
      初めまして。

      遅い時間に失礼します。
      いいね、を有難う御座います。
      馴染みのないカタカナ、私も始めは苦戦しました。
      それでも読み終えてみたら、大森兄弟さんの物語は素晴らしく、続く螺旋プロジェクトの他作品を読んでいる最中も「ウナノハテノガタ」を思い起こす事が多々あり、いつまでも印象深い作品でした。

      ウェレカセリやエビヌマやクジラは、後の作品にも繋がります。
      それに、螺旋年表の始まりの物語として、ウナノハテノガタから全てが始まったのだな~と、
      壮大な歴史絵巻を感慨深く振り返る瞬間が、きっとbmi26さんにも訪れることと思います。

      年が明けてからバタバタして読書の時間が取れずに、私もまだ全ての作品を読み終えずに居ますが、
      どの作品も素晴らしく、
      私個人としてはハズレ無しです。

      全ての作品を読み終えるのが楽しみでなりません。
      螺旋プロジェクトは第二弾も進行中のようですから、
      読書好きにはワクワクが止まりませんね♪
      2023/01/26
    • bmi26さん
      傍らに珈琲を。さん

      コメントをありがとうございます。

      螺旋プロジェクト、本当に素晴らしい取り組みですね。本好きにはたまりません。
      今は螺...
      傍らに珈琲を。さん

      コメントをありがとうございます。

      螺旋プロジェクト、本当に素晴らしい取り組みですね。本好きにはたまりません。
      今は螺旋プロジェクトの作品ばっかり読んでいます。それぐらい、ハマっています。
      引き続き、螺旋プロジェクトを楽しんでいきましょうね~
      2023/02/06
  • ずっと気になっていた螺旋プロジェクト、時系列で読んでみたいなーと思っていたので、もっとも古い時代を描いた本作が単行本化されたタイミングで手にとってみた。

    ほとんど海族の視点から物語がすすみ、おだやかだった彼らの暮らしに山族が接触したあたりから少しずつキナくささが増していく。

    終盤の壁画を読み解くあたりから皆で島に渡るまでの流れはとても面白かったと同時に、平和で穏やかにみえていた海族の皆が、死の概念がないが故に、危険に対して無頓着で実は体がボロボロだった、というのが明らかになる過程はちょっとしたディストピア小説のようでゾクゾクした。

    この後、どのように海族、山族の対立がさまざまな時代設定でさまざまな作家さんに描かれるのか、期待はますます膨らむ!

  • 山の民と海の民が交わった原始のお話。伊坂幸太郎さんの『シーソーモンスター』を読み、このプロジェクトを知り、時代順に読むことを決めた。
    本作品の後は、古代を描く澤田瞳子さんの『月人壮士』になる。
    8人の作家が共通のルールを決めて、原始から現代、未来へと連なる時代別に小説を書きあげた「螺旋プロジェクト」を見届けるつもり。
    読んだことのない作家の作品を読むきっかけを与えてくれるユニークな企画に感謝。

  • 螺旋シリーズ6冊目。
    原始編!

    ところどころ謎のワードが出てきて、おそらく海だな、おそらく太陽だなみたいなのがわかってきて楽しいが、それとは別に普通にネズミとかどんぐりとか、現代と同じ用語が出てくるので、どうせなら全部変えろよと思いながらもそれやったら単に全部新しい言語で書けという無茶振りになるし難しいな…

    海族には死と生の概念がなく、というか隠されていて、山族は死と生どころか武器などの文化もある。
    そして起きまくる地震のせいで彼らが出会い、そして破滅していく。

    まあ、海族はいつまでも死の島を隠せる気がしないし、山族は放っといても相打ちやいけにえで滅びそうだし、どっちにせよ滅んでたのではないかという気がする。

    武器を知った海族が狩りを楽しみまくるシーンがある意味一番怖かったかも知れない。頭に巨大な岩が落ちてきて半分潰れたような死体になっても、離れ島に置いておけば別の存在として復活すると思い込んでる海族。そして争いという概念がないが、弓で山族を攻撃するのは躊躇せず行う。
    でも、怪我をしたら痛いというのはあるわけだし、その痛みが度を超えると死ぬ、というのは気づかざるを得ないのでは… うーん。

    単語だけが違うのかと思いきや、主人公とその父親が長老的な存在に背中をさすられて黒い塊を吐き出すという謎の文化というか病気があった。しかも特別なのはそれだけ。アレはなんだったんだろう。役割のストレスによる病気なのか、誰にも言えない秘密を吐き出すメタファー的なものなのか。

    最終的には海族側についた山族の知恵で武器が作られ、戦争が起き、人が死にまくってるところに更に地震と津波が来て新天地に旅立つ…のか?
    なんかところどころ何が起きてるのかよくわからないイベントがちょいちょい起きてた。
    ただ、山族合流からの勢いがすごく、一気に読み終わってしまった。満足度は高い。

    巻末座談会として螺旋プロジェクトに関わった8人の作家の対談が載ってるが、ネタバレの予感しかしないので最後に読む。

  • 螺旋プロジェクト(私の中で)2冊目。

    まず、なんだかすごいものを読んだなぁという感想。
    記号のような言葉も、読み進めていくと文脈から意味を持つ単語に変わる過程が、言葉の生まれた過程そのもののようでまずそこに感動した。よく書いたなこれっていう。

    死について対照的なイソベリとヤマノベ。
    死の概念というのは隠されると、怪我を恐れない大胆な行動になるのか?本能は作用しないのか?とか人間の姿じゃなくなる(イソベリ魚になる)のは悲しくないのか?など、疑問は少々ありながらも、それを超える世界観。生々しいありありとした描写が良い。

    死(死後)について誰も分からないのは現代もこの時代も変わらないという人間のちっぽけさに反して、一歩前に進もうとしたオトガイのラストシーンが生を際立たせていた。「死にがいを求めて生きているの」に続いての2冊目だったので、より生と死について考えさせられた。

    他の螺旋プロジェクトも楽しみだ。
    どうでもいいけどハイタイステルベという単語が自分の中でしばらく流行語になる予感。

  • 螺旋プロジェクトの原始時代編。
    自分が読んだ順では、昭和後期~平成~近未来の2冊に次いで3冊目。前の2冊は今の自分のいる時代と地続きのお話として読める。でも他の物語を読み終えてみると(まだ全4冊だけだが)、伊坂さんが目指した、「火の鳥」のような時代を超えた一連の作品になっているのが分かる。「火の鳥」は何度も読んだなあ。クマソの話、不死になった宇宙飛行士の話、仏像彫りの話・・・

    さて、この「ウナノハテノガタ」。よく書けたなあ、が感想。背景設定、キャラクター、シナリオ、構成、演出、情景描写、言語(音)使い・・・どれも非常にレベルが高い。実写化、アニメ化には向かない描写が多いが、逆にこの時代っぽいリアリティを醸し出していると思う。大地震や津波を持ってくる辺り、日本という地域を意識させる演出にもなってる。
    毛皮も爪も無くバランスの悪い体を持つ人間は自然に対して本来ひ弱。ケガもすれば火傷もするし、それは簡単には治らない。でも、マンモスや大きな鳥を絶滅させるくらいの変な方向性の力も持ってる。やっぱりでも自然の力にはかなわない。したたかに生き残ってきているはいるけど。災害の後に生まれるのは、諦念なのか、希望なのか。

    文化や宗教。子孫たちがここシオダマリで住み続けられるようイソベリが作り出した物語、とウェレカセリは言った。始まりはちょっとした知恵や工夫の集合だったのだろうけど、情報を知る者の優位性が強化されるにつれ、知らざる者を支配するための、為政者のツールになっていったんだろうな。

  • Amazonの紹介より
    「いいか、島でのこと、だれにも話してはいけない」
    海の民の少年オトガイは、父から代々伝わる役目を引き継ぐ。山の民の少女マダラコは、生贄の儀式から逃れて山を下りる。死を知らぬ海の民イソベリ、死を弔う山の民ヤマノベ。
    二つが出会い、すべてが始まる。これは、対立の運命を背負わされた海族と山族の神話を描く、原始の物語。



    螺旋プロジェクトの原始時代編ということで、大半が原始時代ならではの独特な言葉の言い回しになっていて、多少難しい部分がありました。
    なかなか全部を理解しづらかったのですが、なんとなくこうなのだろうという表面的なことは理解できました。

    「山」と「海」との出会いをきっかけにわかってしまう「死」に対する恐怖や自覚が芽生えていく過程は読んでいて怖く感じました。

    他の種族と比較できない分、それが当たり前だと思ってしまう日常。「他者」が現れたことによる弊害、嫉妬、争い事などは、いつの時代も変わらないんだと感じてしまいました。

    また、それぞれの種族の死生観に対する考え方が、第三者から見ると、どちらも不気味に感じましたが、もしかしたら今も世界のどこかでは、そういった考え方を持っている種族がいるかもしれません。
    他の種族と暮らすことの難しさが、如実に現れていました。

    螺旋プロジェクトということで、他の作品とリンクする面白さもあって楽しめましたが、現代語ではなく、あえて原始時代っぽい表現や言葉でしたので、ちょっと消化不良な印象だなと思いました。

  • 原始時代のフィクション。こんな時代の物語は初めて読んだ。現代の言葉とは区別したかったんだろうと思うけど、とにかく読みにくい(^_^;)読むのにひどく時間がかかった。
    書く人も大変だったろうなと思う。
    最後の方は少しずつ面白いところがあるといえばある。
    螺旋プロジェクト!いざ次作へ

  • 原始における海と山の民族間の争い。
    ともに知らぬ掟がある同士の死生観をぶつけ合う。
    カタカナ、分からない言葉、分からない文化。
    分かり合う、譲り合うというのがいかに難しいか。それぞれの民族間の想いと葛藤を綴る、まるで現代に通じるかのよう。
    螺旋プロジェクト2作目、また繋がっていくことに楽しみを覚える。

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著者プロフィール

大森兄弟
兄は一九七五年、弟は七六年、ともに愛知県生まれ。二〇〇九年『犬はいつも足元にいて』で文藝賞を受賞し、兄弟ユニット作家としてデビュー。同作が芥川賞候補になる。著書に『まことの人々』『わたしは妊婦』がある。

「2022年 『ウナノハテノガタ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

大森兄弟の作品

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