コイコワレ (中公文庫 い124-2)

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  • 中央公論新社 (2022年12月21日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (376ページ) / ISBN・EAN: 9784122072923

作品紹介・あらすじ

大戦末期。東京から宮城の田舎へ集団疎開した浜野清子は、そこで那須野リツと出会った。対立する「海」と「山」の呪縛か、無意識に忌み嫌い合うふたりの少女。だが、戦争という巨大で最悪の対立世界は、彼女たちから、大切な存在を奪ってゆく……。宿命に抗いはじめた少女たちが願う、美しき未来とは――。
特別書き下ろし短篇収録。〈解説〉瀧井朝世

みんなの感想まとめ

テーマは、戦時中の疎開を通じて出会った二人の少女の複雑な感情と成長です。浜野清子と那須野リツは、互いに異なる背景を持ちながらも、運命的に出会います。彼女たちは最初、無意識に忌み嫌い合い、対立する存在と...

感想・レビュー・書評

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  • 螺旋プロジェクト、昭和前期編。
    太平洋戦争末期、舞台は東京と仙台。
    蒼い目を持つ聡明な小学生、清子は、その目の為に周囲から奇異な者として扱われ悲しい思いをしてきた。空襲を避け、仙台の山村に疎開。そこで、犬の様な耳を持つ、寺の養い子リツと出会ってしまう。
    彼女らは、お互いの存在を認めた瞬間から憎悪か、それ以上の感情を持つ。二人は決して相入れないことを認識する。海族の清子、山族のリツ。今回は、お守りが螺旋アイテムとして描かれる。
    古代から近世の対立が大きめだったので、戦争の中の少女達と随分身近になった感じ。
    清子の母親の強い者は憎しみを相手ではなく、自分の憎しみと戦うという言葉に 二人の少女達はその相入れない関係を乗り越えようとしていく。
    プロジェクトの一冊とはいえ、独立した小説として期待して読むので、大変だなぁと思います。

  • 私にとっての螺旋プロジェクト第一弾最後の作品!!!

    長かった、実に長かった・・・

    伊坂幸太郎さんや朝井リョウさんの作品はサクッといけたのにその後少しテンポが悪くなり、今に至ります。(全部私の不徳の致すところです)

    第二弾もあるようですが、もちろん其方も読みたいと思います!!!

    実に、8巻は長かった!!!



    時代は大戦末期!
    東京から宮城の田舎へ疎開する事になった浜野清子は運命の相手、那須野りつと出会う・・・

    螺旋プロジェクト既読の人はわかると思いますが,この二人が今回の海と山!

    今回はこの二人が物語のダブル主人公!!
    そんで、螺旋プロジェクト屈指の対立度合い!!!

    偶々ですが、本作を螺旋プロジェクトの最後に読んで良かったと思えました!!!

  • 「螺旋」プロジェクトの6冊目。初読みの作者さん。今度は昭和初期、戦時中の児童疎開によって出会った二人の少女の物語。

    蒼い目の清子ととがった耳のリツ。血の呪縛の宿命に理由も知らず互いを嫌悪するふたりの対立と微妙な心の変化が描かれる。
    『螺旋プロジェクト』ではなく単品で読んだとしたらこの対立の背景が分かりにくい気がするが、訳もなくがっつり忌み嫌いあうふたりが螺旋のお守りをキーにして距離を縮めていく様にはこのプロジェクトの底流にあるものがしっかり描かれていたように思えた。
    素直な筋立てにはちょっと物足りないところもあったが、言いたいことが言えない戦時下の状況や、それでも自分を律して生きることの美しさや、敵対する相手であっても自分の気持ちをそのままぶつけることなく自制することの大事さなども描かれて、佳い話になったようにも思う。なんとなく青少年向けという感じだったけどね。

  • 「みんなで一斉に書きませんか?」
    伊坂幸太郎さんのひと言から始まった螺旋プロジェクトの第五弾。

    螺旋プロジェクトとは
    ◇「山族」と「海族」の対立を描く
    ◇共通のキャラクターを登場させる
    ◇共通シーンや象徴モチーフを出す
    という、共通ルールを決めて8人の作家さんにより書かれた原始から未来までの物語。

    山族、海族という独特で何だか難しいテーマを、それぞれの作家さんがどういう風に物語に落とし込んでいくのかが見どころ。こういうの楽しい〜♬

    螺旋プロジェクトの作品を読むのはこれで3作目だけど、読んだ3作の中では1番このテーマが自然に馴染んで描かれていた気がした。


    戦争により疎開してきた清子と、疎開先に住むリツはひと目合った瞬間から気配だけで、理由も分からずお互いを忌み嫌い合っていた。
    血が騒ぐというか、そこにはルーツの違いによる先祖からの深い因縁があった。
    世の中、相容れない相手とも関わっていかなければならない事もたくさんある。
    そりの合わない2人の少女が、自分自身の心と対峙し成長していく姿がとても良かった。
    好きにはなれなくても、相手を尊重する気持ちって大切だな〜と思わせてくれる話だった。

    清子がまだ6年生だというのに立派すぎたな〜。
    この時代と清子の境遇がそうさせたんだろうな。
    結末はなんとなく察しはついたけど、ショック
    戦争の残酷さと人の命の脆さを痛感しました。

    巻末の清子とリツの後日譚がとても好きだった〜
    この終わり方だからこそ良かった♡

    中央公倫新社さんのご厚意で読ませて頂きました♡
    とても良かったです!!
    ありがとうございました✌︎(๑˃̶͈̀◡︎˂̶͈́๑)✌︎


  • 始めの章のタイトルが読めなかった。
    二点しんにょうに、つくりは「后(こう)」なので、読み方はコウなのかな?とは思いつつ。
    邂逅(かいこう)という言葉がある。
    思いがけず巡り会うという意味らしい。
    では、この章のタイトルも「こう」と読み、「思いがけず巡り会う」海族の清子と山族のリツを表しているのかな。

    まだ不馴れな方言に少しだけ読みづらさを感じながら第一話を読み終えて、
    第二話のタイトル「恋う」で気が付く。
    珍しく目次を読み飛ばしてしまっていて気付かなかったが、
    「コイコワレ」は全ての章のタイトルが「コウ」なのだった。

    私にとって「コイコワレ」は螺旋プロジェクトの最後、8作目の作品だ。
    「戦時中の疎開先で出会う少女二人」という背景から想像していた設定よりも、
    もっとずっと強烈に互いを嫌悪する展開だった。
    ここまで敏感に互いを意識し、激しく嫌悪するのは、8作品中一番かもしれない。

    始めは次の展開が読めてしまって、どうかな?と思っていたが、そこは『螺旋プロジェクト』。
    物語が展開してゆくにつれ、大切な事が語られ、キーアイテムも登場し、他作品を思い起こされる部分もあり…結局は楽しく読めた。
    あっという間に読み終えてしまった。

    二人は小さな宮城の山村の、避けようもないくらいに狭い社会で出会ってしまった。
    東京から疎開してきた清子。
    でもその蒼い瞳のせいで、同級生たちからは米英人の血をひくものだといじめられてきた。
    心の拠り所は、母が彫ってくれたお守りだけ。
    一方、山村の寺に住むリツ。
    でもその大きな耳のせいで、地元の国民学校の生徒達から山犬とからかわれ孤立していた。
    優しくしてくれる寺の健次郎に幼い恋心を抱きながら、唯一頼れるのは山に住まう源助爺つぁまだけ。
    源助の片方の目は蒼い。

    読んでて息苦しくなってしまった。
    世界が狭いのだ。
    戦争という大きな対立が背景にありながらの、舞台は宮城県の山村。
    戦時中の日本、お上は絶対的。年功序列。
    学校教師も歩み寄ってくれるような存在ではなく、高圧的。
    貧しい山村にも容赦なく届く赤紙。
    疎開先の、狭い村社会の中の、ひとつの寺。
    その寺に、清子もリツも共に生活することになる。
    身近に身内もおらず、同級生からも孤立している2人が、お互いを嫌悪する。
    始めは理由も分からず嫌悪し合う二人だが、物語が進むにつれ、殺意を伴う激しい憎悪を意識するようになる。

    「小国民」って嫌な言葉だ。
    清子やリツのような子供を表す言葉でもあるけれど、
    例えば「お国のために戦う兵隊さん達に、私のような小国民が出来ることと言えば…」のように、まるで自分を卑下するような意味でも使われる。
    小国民としての心構えを忘れず、お国のために尽くせる大人になるよう励む。
    嫌な時代だ。

    互いの憎悪がピークに達した時、とある事件が起きる。
    この事件により清子とリツの対立は決定的となるが、
    その後、清子の母親が疎開先にやって来て清子に話したこと、その話をリツも耳にしていたことで、
    最悪だった関係性に変化が生じる。
    清子とリツはそれぞれに慕う、母、源助からの言葉から考えを巡らせ、どうしょうもない自分の中の嫌悪の感情と向き合い、変わってゆこうとする。
    己の内側からの気付きもあり、少しずつ行動に移す。
    聡明な清子は考えを巡らせながら、
    不器用なリツは行動を起こしながら、
    自分達に出来ることを見つけ、変わってゆく。
    それはとても健気な努力だった。
    大人の我々でさえ、見習うべきところがありそうな。

    共通ルールである「お守り」の登場は勿論だが、
    ここでもラムネが登場する。
    「ラムネのガラス瓶」は「天使も怪物も眠る夜」の重要アイテムだ。
    リツが夢の中で、渦巻く濁流に巻かれながら過去未来を駆け巡るシーンがある。
    この先の未来で登場する「壁」や、原始の人々を目にするのだ。
    その夢の中で清子が呼ぶ「みやこさん」って、「シーソーモンスター」の「宮子」なんだろうか…。

    巻末の解説を読むと、特別収録である「九月、急行はつかり車内にて」は、乾ルカさんの他作品ともリンクしているようなので、気になった方はチェックです。

    『螺旋プロジェクト』読了。
    やはり達成感と、壮大な螺旋の歴史に触れた充足感がすごい。
    8作家さん其々が個性的で、渦巻いて繋がってゆく世界観が圧巻だった。
    いつか年表の時系列に読み直したいが、今回のように行ったり来たりしながら読んだからこその、別の楽しみ方を味わえたように思う。
    第二弾がとても楽しみ!


    【蛇足】
    「コイコワレ」の物語って、教員や親御さんも含めて、小中学校等での教材に向いてるかもと思えた。
    子供にとってのリアル社会って学校がほぼ全てで、逃げる場所もなく、そこで除け者にされた場合、世界は恐ろしく孤独だ。
    親に心配をかけたくなくて、口を閉じる子供も居るだろう。
    でも「コイコワレ」の清子には、子供の変化を敏感に察する母親がいた。
    リツには、打ち明けてみようと思える大人(源助)が居た。
    清子もリツもそこから考えて、変わろうとする。
    そしてその変化を少しずつでも受け入れてくれた級友が居た。
    互いに歩み寄れば、世界は好転の気配を見せる。
    大事なのはきっと、内側からの気付きと、様々な人間が居るとお互いが認め合うことだ。
    そして周りの大人がいつでも「子供が相談したいと思える大人」でいること。
    小さな世界の小さな変化が積み重なって、
    大きな世界も少しずつ変わっていくんじゃないだろうか。

    【追伸:全プレ届きました!】
    応募された皆さんのところにも、そろそろ届いているのでは?
    私事ながら今月の生まれでして、誕生日当日に届いたもんだから喜びもひとしお。
    それに思っていたよりもずっとしっかりしたトートバッグが届いてびっくりです。
    海と山の缶バッジも素敵で、クラフト・エヴィング商會のセンスが光っておりました♪
    使うのが楽しみ!う~ん、でも勿体無い!どうしよう…と、ニヤニヤしながら悶絶しております。
    ポストカードも素敵で、全巻読破したのだという喜びが再び押し寄せました。
    出版社の皆様、作家の皆様、関わられた全てのスタッフの皆様、本当に有難う御座いました。
    第二弾の螺旋プロジェクトも楽しみにしております。

  • 螺旋プロジェクト第二冊になります。
    戦時中の国家間の争いも、海族と山族野争いも同じく感情をコントロールしなくては、悲惨な出来事しかない。エゴイズムでの争いである。
    源爺の目の蒼さは海族だが、口減しに捨てられた山族の赤ん坊リツ救っている。戦時中での種族の争いを超えた平和が永遠のテーマの作品である。
    おおる。おおる。この泣き声は平和な未来の歓喜の産声なのか、争いが始まる憎しみの狼煙なのか!?

  • 伊坂幸太郎さんの螺旋プロジェクトの一部な大戦末期が舞台の

    こちらの物語コイコワレ

    文庫本です。

    企画を持ってきたのは伊坂さんで

    数名の作家さんの中の1人。乾ルカさん。

    数人の作家さんが同じテーマと違う時代の山の民族と海の民族の対立ということだったので

    てっきり

    人も自然界の自然の一部に過ぎないぜ!的にまとめられてると思っていた(予測)

    東京から疎開してきた子供達の中にいる蒼い目の少女

    VS

    山に捨てられた孤児の少女

    互いに忌み嫌う一目で憎しみあい

    殺意まで芽生える、その歴史たるは何なのか?

    その正体は?的に読んでいったんですが、

    そんなことは、いっさいなく過ぎていきました。

    少女たちが殺したいほどに憎しみ合う

    その時、その時で

    周りの大人たちが起こした行動にのみ救いがありました。

    この大人たちの行動が

    現代に成り立つだろうかと思ったこと。

    好きな相手には自然と思いやれるもの。

    嫌いな相手にこそ親切にしろと言って東京空襲で死んでいった清子の母親。

    子供にはそう言っていたけど

    清子の母親が相手にとった行動は親切よいうより

    敬意だったと思います。

    本当に憎い相手とは

    ずっと接してはいられないので

    一期一会のその時こそ背筋を伸ばし

    ゆっくりと敬意を表す。

    接客業の技にもありますよね。

    乱暴な相手にこそ

    わざと尊敬語をゆっくり話すと。

    相手にひれ伏すとは、また違うやり方。

    母親が娘に諭した

    その指導により

    清子の聡明さが山の捨て子な彼女の生命力も伸ばしたという

    そういう話でした。

    あんまりね

    没頭できるような話ではないんですよ。

    ずっと謎に憎しみ合うから共感できないし
    (虐められたとか好きな人を取られたとかでないから)

    一目惚れみたいに一目で憎しみ殺意を抱くって

    到底、納得できないでしょ。

    だから山と海の話が続くか思ったら

    そうもいかないし

    山の子供らや爺さん婆さんは

    おしん口調ですから読み辛いし。

    でも今一度、自分の胸に問いかける問題提起としては

    大事なことが書かれてありました。


  • 戦争の中での少女の精神的な成長が非常に丁寧、繊細に描かれている。
    海族と山族その対立の中で相手を思う心、与える心が厳しい現実の中で少女にのしかかる。
    その中でお互いに苦しい、嫌な相手のことも受け入れ飲み込みそれでもなお接する心。

    内容に入り込んでしまって最後には涙が止まらなかった。
    愛、優しさを受け取る側から与える側へ。何かを貰えるか、してもらえるからではなく単純に相手を思う心。それが子どもから大人になっていく、そんな気持ちがした。

  • 海と山で始まりやっぱり海と山で終わるんだ。何か経緯とか歴史が出るのかと身構えたが、それはもう理屈じゃない大昔からあるもの そういう事なんだって事。お互いが嫌悪感に気付きそこにいるのが分かる理解したって凄い でもあってもいい筈。どれもこれも不思議だけど、老木を見つけて掘るのと光のと邪念で割れるのと興味大、清子母が亡くなったのが残念 電車に乗らず命を守るリツと教師になって会いに行く清子 あー良い話だな ちゃんとしてるな 不思議だけで終わらせないなあーって乾ルカさんの守備範囲の広さ。順番付けれんけど、心音 花が咲くとき あの日に帰りたい メグル
    わたしの忘れ物 明日の僕に風が吹く 良い凄くいい みんな違うから、思えばてふてふ荘へようこそがスタートだったがよくも見つけて貰えた。

  • 【収録作品】コイコワレ/九月、急行はつかり車内にて-書き下ろし特別収録短篇-

    競作企画「螺旋プロジェクト」の昭和前期編。書き下ろし短篇が読みたくて再読。清子のその後と、リツとの後日譚。

  • 螺旋プロジェクト 7作品目
    乾ルカさん初作品

    山育ちのリツと東京から疎開してきた清子。
    2人の対立関係が明確でありながら、お互い嫌いあっている?など共通点もあり、読みやすくスイスイ読めました。
    嫌いな相手にこそ、より丁寧に接する という私達の普段の生活でも大切な事を改めて教えてもらった感じです。
    憎いという心を相手に向けるのではなく、自分を律して自分に勝つ。そんなすごいことが出来る人間に憧れます。
    私はやっぱり人の心の動きが分かりやすく書かれている作品が好きだなあ。

  • 面白そうな企画だなと思い8作品を時代順に読みました。
    細かくメモしながら読み進めましたが、思ったより伏線や回収などは無く企画としては微妙でしたね。
    8作品の中で「コイコワレ」が1番良かったです。

  • 螺旋プロジェクト第5弾。

    昭和初期の戦時下の物語。

    海族の個人と山族の個人がぶつかる話でした。螺旋プロジェクトのこの作品より前の時代を描いた作品はどちらかと言えば、一族としての海族vs山族であったり、血統としての海族vs山族であったりしていたので、これまでの時代の話とはちょっと違うな、と感じました。

    この作品での、海族は清子、山族はリツ。二人は敵意をお互いに抱いていてそれをストレートに表現する。これは大人じゃなくて、まだ少女だからかな?実際、清子のお母さんも、海族の身体的特徴があるけど、その山族に対する敵意をコントロールすることができていたので。

    この物語は渦巻模様の首飾りのお守りがとても重要なアイテムになっていました。この首飾りのお守りが、壊れるとき・・・。で、この首飾りが壊れてから、清子もリツの成長していく。二人とも強くなるんです。

    この物語での「超越した存在」源助爺さん。「ウナノハテノガタ」のウェレカセリと同じような風貌のイメージ。この源助爺さんが「超越した存在」になったと実感したことを語るところはビックリ。リツの存在がそうさせたんですね。

    清子のお母さんは、海族の一員として、誇り高い存在だと思いましたが、同時に山族の人たちと出会っても、その敵意をうまくコントロールして無益なムダな争いはしないようにしていたのも、凛としていてステキだな、と思いました。嫌いあっていても争わずにやり過ごすことが大切って。

    エンディングは個人的にはショッキングでした。同時に力強い希望も感じましたが。

    また、エピローグ的な書き下ろしの短編があって、本編のエンディングから15年ぐらい?経った後の話がありましたが、この書き下ろし短編が追加されたのも良かった。清子もリツも戦禍を生き抜いて良かったな、としみじみ思いました。

    物語の直接的なテーマではないと思いますが、戦争ではだれも幸せになれないな、と思いました。

    ラムネが出てきたり。螺旋プロジェクトの年表にあった「絵本」の元ネタっぽいものが出てきたり。また、ある天皇の名前が語られていたり。リツにクジラっていう生き物がいることを説明していたり。この作品でも螺旋プロジェクトのつながりを感じながら楽しむことが出来ました。

    悲しいエピソードもありましたが、楽しく読めました。面白かったです!

    引き続き、螺旋プロジェクトを読んでいきます。

  • 螺旋プロジェクト8作目
    東京から疎開した清子と田舎の寺に住むリツはひと目見る前から突き刺さるお互いの存在を感じた
    交わってはいけない海族と山族の邂逅は何をもたらすのか
    個人的に本作が一番テーマにドンピシャだった気がする
    足掛け3年かかって読破した

  • 面白かった。
    螺旋プロジェクトの内の1冊。読むのは本作で4冊目ですが、読めば読むほど繋がりが見えてきて面白くなってきました!

    本作は昭和前期の戦時を描いた作品。
    高源寺で暮らす山の民のリツ。そこに東京から疎開してきた海の民の清子。
    出会う前、相手の存在を知る前から、お互い得体の知れないピリピリした嫌悪感を敏感に感じ取っていた2人。
    もうこの時点で何かが起きる気配がして期待感でドキドキ…。

    反発し合う孤独な2人に、ある日起きた決定的な出来事。その後、自分を律することで起きる周囲の変化や自身の気持ちの変化。
    まだ幼い二人の少女が自分と向き合い変わろうとする姿が印象的でした。
    清子のお母さんの言葉も深い。

    あっという間に物語に引き込まれ、ほぼ一気読み。
    作品を通して改めて「戦争」について考えさせられたし、大きな不安や奪われる日常、大切な人のことを想像した。
    分かりやすいハッピーエンドじゃないけど、きっとこの先も彼女たちの未来は続いていく…。
    そんなふうに思えるラストが結構好きでした。

  • 螺旋プロジェクトの中の1つ。以前、薬丸岳さんの物語を読んだ。東京から宮城の田舎へ集団疎開した清子は、そこでリツと出会う。お互いに一目会った時から嫌いあい、憎み合う関係だが、その感情を律しながら少しずつ距離をつめていく…
    話の展開が遅くて、最後のオチも予想できたものだったので少し飽きてしまった。

  • 螺旋プロジェクト、昭和編。
    戦時中、疎開地で出会った東京と田舎の少女が海族山族の嫌悪にもがきながら生きる物語。

    文章力、表現力がすごい。舞台は疎開地であって戦地は直接描かれないのに、時代の残酷さが実感をもって迫ってくる。
    その中にあって嫌い合う少女たちの心理描写が何よりお見事。そして、そういう子に遭ってしまったときに、どう向き合うべきかを教えてくれる。そこは昭和も現代も変わらない、今を生きる子にも大切な教訓と思えた。

    ひとつひとつの要素も効果的。母親、疎開地の少年、見守る老爺、御守りの力。ラストの余韻、幾重にも込められたタイトルの意味まで、全てがつながって血が通っている。すばらしかった!

    読み終えて、本を持つ手にまで熱が残るような一冊だったなあ…と、余韻を噛み締めながらふと思い出したのが、同時代に、同じように少女として生きていた「窓際のトットちゃん」。そして、「海のものと山のものをお弁当箱に入れること」と説いたトモエ学園の校長先生。
    争うことなく海山をひとつに収める人が…いた…!こんなところに!笑

    あと、表紙の美しさが印象的。読みながら何度も手を止めてめくり返してしまうくらい好きな絵でした。

  • ちょっとずつ、頑張って変わっていこうとする清子とリツに心打たれました。
    その関係性や関係性の変化は、理性ではなく本能によるものだから、さらに魅力を感じたのだと思います。

  • 螺旋プロジェクト(私の中で)6冊目。

    今まで読んだ中で一番海族と山族の対立に対する心の葛藤に焦点を当てた作品だと思う。先が気になり一気読みした。
    対立する2人の少女が、それぞれ互いへの憎悪に苦しみながらも、それを乗り越えて自分を律していく様がとても丁寧に描かれていて感動的だった。螺旋プロジェクトの設定に一番ガッツリと向き合っている小説ではないだろうか(これまで読んだ中では)。哀しさの中に力強さを感じる作品だった。
    乾ルカの他の著書も読んでみたくなった。

  • 螺旋シリーズ3冊目。
    また怪しいジジイ出てきた!

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著者プロフィール

乾ルカ
一九七〇年北海道生まれ。二〇〇六年、「夏光」でオール讀物新人賞を受賞。一〇年『あの日にかえりたい』で直木賞候補、『メグル』で大藪春彦賞候補。映像化された『てふてふ荘へようこそ』ほか、『向かい風で飛べ!』『龍神の子どもたち』など著書多数。8作家による競作プロジェクト「螺旋」では昭和前期を担当し『コイコワレ』を執筆。近著の青春群像劇『おまえなんかに会いたくない』『水底のスピカ』が話題となる。

「2022年 『コイコワレ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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