52ヘルツのクジラたち (中公文庫 ま 55-1)

著者 :
  • 中央公論新社
4.24
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本棚登録 : 17951
感想 : 1356
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  • Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122073708

作品紹介・あらすじ

2021年本屋大賞第1位。待望の文庫化。

52ヘルツのクジラとは、他のクジラが聞き取れない高い周波数で鳴く世界で一匹だけのクジラ。何も届かない、何も届けられない。そ
のためこの世で一番孤独だと言われている。
自分の人生を家族に搾取されてきた女性・貴瑚と、母に虐待され「ムシ」と呼ばれる少年。孤独ゆえ愛を欲し、裏切られてきた彼らが出会い、新たな魂の物語が生まれる――。
〈解説〉内田剛

感想・レビュー・書評

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  • 町田そのこ『52ヘルツのクジラたち』中公文庫。

    初読み作家。評判が良いので、文庫化を待ちわびていた。その割りには読み始めるのが遅かったのは、積ん読本が大量にあったのでと少し言い訳しておこう。

    2021年本屋大賞第1位作品。中公文庫にしては珍しく、本の内容を紹介する可愛らしいクジラの栞が挟まっていた。

    ネグレクト、ヤング・ケアラー、トランスジェンダーといった現代の病巣を背景に裏切られ続けた主人公が自分と同じ境遇の少年と出会い、友達たちの助けを借りながら、再生していくという物語である。

    出会いと別れ、裏切り、信頼が描かれ、人の温もりが心にゆっくりと染み渡るような小説であった。未来を予感させるような清々しい風を感じる結末は、如何にも小説という感じだ。

    しかし、現実は甘くはない。生きることが孤独なのは当たり前のことだ。


    キリスト教系の幼稚園に通っていた自分は自分が相手に優しく接すれば、相手も自分に優しくしてくれるものだと信じていた。自分が相手を裏切らず、信頼すれば、相手もまた同じように接してくれるはずと思っていた。

    ところが、そんなことは理想に過ぎないということが、何度も裏切られながら歳を重ねてから、解るようになった。裏切られて傷付くよりも、頼れるのは自分だけと思いながら、孤独に生きた方が楽だと思う。


    タイトルにある『52ヘルツのクジラ』とは普通のクジラよりも高い周波数の音で鳴くが故に他のクジラにはその鳴き声を気付いてもらえない世界で1頭の孤独なクジラのことらしい。

    主人公は、キナコという渾名を持つ貴瑚という女性。幼い頃から母親の虐待を受けて来たキナコは母親に義父の介護を任され、貴重な人生を搾取されていた。たまたま再会した美晴はキナコの様子がおかしいことに気付き、知人のアンさんとキナコを救おうとする。

    そんな母親と家の呪縛から解き放たれたキナコは、かつて祖母が暮らしていた九州の古い家で一人暮らしを始める。そこで出会った母親に異常な虐待をされ、『ムシ』と呼ばれる13歳の少年。裏切られ続けたキナコとムシは美晴や村中の助けを借り、互いに慰め合いながら、人間らしく生きる道を模索していく。


    特に田舎では部外者には興味津々で、部外者と積極的に関わろうとするが、結局は昔からその土地で暮らす知人との繋がりが強く、部外者など直ぐに蔑ろにするものだ。自分がその土地の人間を友達だと思いながら関わっていても、相手は同じようには思っておらず、いずれ裏切られることになる。

    会社も同じだ。皆でベクトルを合わせて頑張ろうなどという話をよく聞くが、そんなのは綺麗ごとに過ぎない。大概の社員は如何にして同僚に嫌な仕事を割り振って、自分は楽をするかしか考えていない。それどころか、如何にして同僚や部下の手柄を自分のものにするかを考える奴等の集まりだ。そんな状況の中、会社のためにと必死に働いたところで、歳を取ればリストラの対象になり、簡単に捨てられるだけだ。

    家庭も同じようなものだ。家族のためにと馬車馬のように働いて、子供が産まれ、ある程度手が離れてしまえば、亭主は用無しになる。ある日突然、妻は子供を連れて実家に帰り、三下り半を突き付けられ、養育費だ何だと金だけ奪われる。それを知った周囲の人間は他人の不幸は蜜の味とばかりに噂のネタにするのだ。

    人生なんて、現実にはそんなものだ。

    本体価格740円
    ★★★★★

    • mei2catさん
      始めてコメント致します。
      小説みたいにいくもんじゃないと分かっていても少しの希望を抱いてしまう。だけど傷つかないように、所詮は自分なんだと保...
      始めてコメント致します。
      小説みたいにいくもんじゃないと分かっていても少しの希望を抱いてしまう。だけど傷つかないように、所詮は自分なんだと保険をかけている。そんなふうに過ごしてきた私に、ズンとくる感想でした〜
      2023/08/02
    • ことぶきジローさん
      mei2catさん。コメントありがとう。
      私の感想でショックを受けたのであれば、ごめんなさい。長く生きていれば、人生の表も裏も、楽しみも苦...
      mei2catさん。コメントありがとう。
      私の感想でショックを受けたのであれば、ごめんなさい。長く生きていれば、人生の表も裏も、楽しみも苦しみも悲しみも沢山知ることになります。それを乗り越えてこそ、新しい未来が見えて来るのかと。
      2023/08/02
    • mei2catさん
      いえいえ。ショックというより共感に近いものを感じたのでした。言葉足らず失礼致しました。
      感想楽しみにしています!
      いえいえ。ショックというより共感に近いものを感じたのでした。言葉足らず失礼致しました。
      感想楽しみにしています!
      2023/08/02
  • 2021年本屋大賞受賞作。
    読もう読もうと思っていて、先延ばしになっていた作品で、文庫化されたので購入。
    本当に一気読みでした。導入からユーモアを忘れず、読者を置いて行かない本の作り。そして、何度も押し寄せる感情の波と涙。最高でした。

  • 届かないその声はなんのために、誰のために鳴き続けるのか・・・
    親からの愛情を知らない貴瑚とムシが紡ぐ愛の物語。
    読んでいる時は苦しくて、哀しくて、悔しくて、胸が苦しかったです。
    そんな中でも貴瑚はアンさん、ムシは貴瑚と出会います。
    自分の人生を変えるきっかけをくれる人に出会えるなんて早々ありませんが、
    ちょっとしたことでも人から受ける影響・与える影響は大小関係なくその人の世界を広げ、新しい自分にも出会えるように思います。
    終盤はボロボロ泣きながら読んで、前半とはまた違う意味で胸がいっぱいでした。
    人の心を殺すの人だけれど、人の心を救うのもまた人なんだなと、
    貴瑚と愛、二人を取り巻く周りの人たちを見て感じました。
    誰かに自分の声を受け入れてもらえたとき、受け入れてくれた人のことを大切にしなくちゃいけない。
    そしていつか自分も誰かの声を受け入れてあげられる人になれるように。
    どうか貴瑚と愛がこの先の人生からは幸せに過ごせますように・・・!!

  • 声ならぬSOSを挙げている人は確かにいると思う。悲劇的結末に至る前にどうして周りの人達は気付いてあげられなかったのか?公的機関はどうしていたのか?メディアや世間は好き勝手なことを論(あげつら)うけど、他ならぬ本人たちは、下手な同情はもっと酷いことを連れてくることを知っているから、正しい方向に行けない。

    声ならぬSOS=52ヘルツの鳴き声を聴くことのできたのは、他ならぬ過去に52ヘルツの鳴き声をあげていた者だった。その声に気がつく場面は、冒頭近くにひとつあるのだけど、主人公・貴湖の鳴き声にある人が気がつく場面はない。そしてもう一つの決定的な鳴き声は、悲劇的結末に至る前に誰も気がついてあげられなかった。

    そもそも、その声の兆候すら気がつかない事が、私たちの周りには案外多い。言葉を交わしたことのある知り合いで、自死を選んだ者が今までの私の人生で4人もいて、そのいずれも兆候すら気がつかなかった。1人を除いて、いまだにその本当の理由はわからない。だから多くは後悔すらできない。ここの登場人物たちは、殆どすれ違っただけでその声を聞いた。凄いことだ。

    だから、やがてはその声を聞けるようになりたいなどと、不遜なことは思わない。ただ‥‥

    想像力が決定的に大切だと思う。

    だから義務的にでも流行小説(本屋大賞受賞作)の窓を一つは開けることにしている。


    この子はどうして、わたしのところに来たのだろう。だってこの間は、何度声をかけたって足を向けようとはしなかった。なのにどうしていま、このタイミングで?
    女の子が小首をかしげて、自分のお腹の辺りを撫でる。何か言うように唇が動くが、音は出ない。喋れないのだろうか。無意識に少女を観察していたわたしは、シャツの袖の奥をみて一瞬息を呑む。ちらりと、見慣れた色を見つけた気がした。
    「あ‥‥、その。だ、だいじょうぶ」
    さっきまでの暴力的な痛みは、ゆっくりと収束している。涙を拭って言うと、女の子は頷いた。耳は聞こえるらしい。
    「あの、ありがとう」(30p)

    • kuma0504さん
      見ました。
      一人だけ、人ならぬものが‥‥
      夏の怪奇現象?
      うーむ、さっぱりわかりません。
      見ました。
      一人だけ、人ならぬものが‥‥
      夏の怪奇現象?
      うーむ、さっぱりわかりません。
      2023/08/03
    • ますく555さん
      運営の方から返信を頂き、判明いたしましたm(__)m

      まず、Web版でkuma0504さんの本棚をみたときに、こちらで漫画などが表示さ...
      運営の方から返信を頂き、判明いたしましたm(__)m

      まず、Web版でkuma0504さんの本棚をみたときに、こちらで漫画などが表示されない件は、kuma0504さんのほうで本棚絞り込みが「ジャンル:本」になっているからでした。なので、私がWeb版でkuma0504さんの本棚を訪れたときは、「条件の指定」でジャンルを変更するとすべて見られるようになりました。これは訪問した時にその都度、変更するやり方です。

      つぎに、フォローボタンが表示されない件ですが、kuma0504さんが本棚設定で「フォロー不許可」設定をされているため、表示がされないようになっているとのことでした。

      不具合ではありませんでした! なんだか干渉してしまったみたいですみません。
      2023/08/04
    • kuma0504さん
      ますく555さん、こんにちは♪

      なんかすみませんでした。
      そんなはずはない、だって設定でそんな欄はないし、そんな事をやった覚えない、それに...
      ますく555さん、こんにちは♪

      なんかすみませんでした。
      そんなはずはない、だって設定でそんな欄はないし、そんな事をやった覚えない、それに雑誌も漫画もずっと「いいね」もらい続けているし、それに最近もフォローされ続けているし‥‥あ、いやもしかして‥‥と思い、WEB版をいろいろ探したら、WEB版本棚設定でそうなっていました!!!
      ありがとうございました。

      もうずっと、アプリしか見ていないので、WEB版は別設定になるとは想像もしていませんでした!

      だとすると、雑誌・漫画はいつも本よりも「いいね」少ないのは、マイナー部門だからかなぁと思っていたけど、それはみんなの目にする機会を少しだけ奪っていた可能性が出てきました。わざわざ調べていただきありがとうございました♪
      2023/08/04
  • 文庫本でたら読もうと決めていた本。
    発売日に購入し、数週間積読本として自宅にあり。

    主人公の過去が語られているところなど、辛すぎる。
    最悪の親、介護、虐待。


    人生は自分の為にある、誰かに費やす事で自分の人生も消化されていく、もっと自分を大事に。
    のようなアンさんの言葉は刺さった。
    アンさん側からの視点での内容も読みたかったなあ。

    それにしても、これは辛すぎる。

    人の事を支配するような独裁感、ほんと嫌いだ。
    職場でもマウント取る人とか、周りの人が誰なのかによって態度変える人とか、ほんと意味がわからん。どーでも良いから、関わりたくない。
    と、あの男の場面でイライラが!!

    悲しみ、イライラ、切なさなど、一冊で感情が色々揺れ動く感じで、一気読みではありました。
    うーん、、、ちょいと期待値上がりすぎてた状態で読んだから、今度再読してみよーと思います^^

  • これは素晴らしい☆☆☆☆☆
    出逢えて良かった!心に染みる作品でした
    表紙はよく見るととても可愛い
    そしてどなたかのレビュー読んで気付いたのですが、裏表紙にもお話が付いていました
    でも中身は重くてぎっしり詰まっていて、タイトルが本当に内容とマッチしています

    クジラの歌はコミュニケーションの手段と考えられていますが、でもその声が誰にも届かないとしたら?
    クジラの歌声は何とも切なくて、聞いているだけでやられちゃいます

    親は選べないんだよ
    当たり前の事なんだけど、それは生きていく上でとーっても大きな事じゃない?!
    ああ、これ以上語ったらまだ読んでいない人の作品のイメージを壊してしまいそう、やめておきます

    期待を込めて、休みの日に一気読みして正解の作品でした♪

    • ハッピーアワーをキメたK村さん
      harunorinさん、こんばんは♪

      そうでしょ、そうでしょう?(^O^)
      言われないとちょっと気付きにくいので、お役に立てて良かったです...
      harunorinさん、こんばんは♪

      そうでしょ、そうでしょう?(^O^)
      言われないとちょっと気付きにくいので、お役に立てて良かったです

      それで今ちょっと調べてみたら、文庫本『ケンタの憂い』は、単行本帯に収録されてた特典小説『ケンタの祈り』のその後の物語なんだそうです

      ビックリ!です
      単行本と文庫本の両方持っていないとわからない仕掛けだったんですね
      harunorinさんにコメント頂けなければ、知らないままでした
      こちらこそ、ありがとうございました♪
      2023/07/16
    • harunorinさん
      ハッピーアワーをキメたK村さん、こんにちは。そうなんですね!単行本と文庫本のコンプリート者のみ享受できる特典とは、力が入ってますねー

      同じ...
      ハッピーアワーをキメたK村さん、こんにちは。そうなんですね!単行本と文庫本のコンプリート者のみ享受できる特典とは、力が入ってますねー

      同じような話で、昨日中古店で入手した凪良ゆう先生の「滅びの前のシャングリラ」でも、メッセージを拝見して、何気なく帯を見たら、初回限定、スピンオフ短編付って書いてある!

      期待して中を見るもそれらしき章はなく(思わず表紙裏もチェック)、調べたところ別冊らしく、表題も「イスパハン」という気になる響き。やっぱり話題作は旬なうちに定価で買わないとですかね。ではまた
      2023/07/17
    • ハッピーアワーをキメたK村さん
      harunorinさん、今日もメチャクチャ熱いですねー
      (暑いじゃなくて熱い)

      『イスパハン』
      初回限定全12ページ、シュリンクがけされた...
      harunorinさん、今日もメチャクチャ熱いですねー
      (暑いじゃなくて熱い)

      『イスパハン』
      初回限定全12ページ、シュリンクがけされた特別付録ってヤツですね?!
      しかも凪良ゆうさんらしい素敵な表紙
      こんなのついていたら、きっとテンション上がってしまいますわ〜

      旬なうちに購入した人しか味わえない特典というのは、きっと多いのでしょうね
      購入したい本は沢山あるのですが

      因みに私の『52ヘルツのクジラたち』は町田そのこさんのサイン入りです
      ムフッ。。。(*'▽'*)

      それでは今週もお互い体調に気をつけて頑張りましょう♪
      寝落ちも程々に〜(*^^*)
      2023/07/17
  • 2021年本屋大賞第1位。

    児童虐待やトランスジェンダーへの偏見といったとても重たいテーマが描かれているが、章ごとに衝撃的な出来事が次々に襲ってくる展開にぐんぐんと読まされた。
    悲しく辛い話ではあるが、悪意のある人たち以上に主人公の周りにいた救いとなる人たちの存在と、かつての自身の姿に重ね合わせた少年に対する主人公の強い気持ちで、あまり重苦しさを感じる暇を与えずきれいに収束していく構成が小説として見事。

    皆さんのレビューを読んでカバー裏にスペシャルショートストーリーがあることに気がつけた。『ああもう、と笑いがこみあげてくる』 気づけて良かった。これに触れられていた皆さん、ありがとう。

    • かりうささん
      突然のコメント失礼します。
      私が興味のある&最近読んだ本が人事課長さんの本棚にたくさん並んでいて驚きました。コメントも上手で、まだ読んでいな...
      突然のコメント失礼します。
      私が興味のある&最近読んだ本が人事課長さんの本棚にたくさん並んでいて驚きました。コメントも上手で、まだ読んでいない本でも手に取ってみたくなります。
      参考にさせていただきます、ありがとうございます^_^
      2023/09/25
    • ニセ人事課長さん
      かりうささん

      こんばんは。コメントありがとうございます。過分なお言葉に恐縮です。

      確かにたくさん被ってますね。通勤電車で読まれて...
      かりうささん

      こんばんは。コメントありがとうございます。過分なお言葉に恐縮です。

      確かにたくさん被ってますね。通勤電車で読まれているとのことも同じです。
      私、かりうささんをはじめとして皆さんのフォローを始めたのはここ1,2年ですが、お陰で今まで知らなかったりあまり気にしていなかった作者さんの本にも目が届くようになりました。
      お互いのレビューで読書の幅が広がると良いですね。

      これからも宜しくお願いします。
      2023/09/25
    • かりうささん
      ご返信ありがとうございます。
      そうですね、私の周りでは同じように本を読む人が少ないので、このアプリに出会えて良かったと思います。
      これからも...
      ご返信ありがとうございます。
      そうですね、私の周りでは同じように本を読む人が少ないので、このアプリに出会えて良かったと思います。
      これからもよろしくお願いします。
      2023/09/26
  • タイトルが秀逸!

    誰にも聞こえない声を発し、助けられた経験を持って
    新たに助けを差し伸べる
    まさに人間讃歌

    お涙頂戴なストーリーは苦手だが、前向きに生きようとする姿はぐっとくる ずるいです…

    他人を思いやり尽くすこと 人情 道徳
    当たり前のようだが、現代はそれも厳しい
    世の中なのだと感じます

  • 微かな声、心の叫び
    それを聴いて、気づいてあげられること。

    哀しく切なく、
    でも優しさと愛に満ちた作品でした。

  • 読んでいて頭に浮かんだのが、表題の静謐なイメージとは真逆とも言える「苛烈」という言葉。

    最近読んだ作品もシングルマザーの母親から主人公である娘が長い間冷酷な仕打ちを受ける関係性だったなと思いながら、出だしは特に心が寒々としたものでした。

    作品を通して感じたのは、一般的に良いとされている解決が、その人にとって本当に良いこととは限らない。そして、一件落着と思っても、人生は続き、また新たな問題が起きる。そんな展開が、登場人物の出会いと別れの中で繰り返される。

    ここまで作品世界に没入したのは久しぶりでした。

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著者プロフィール

町田そのこ
一九八〇年生まれ。福岡県在住。
「カメルーンの青い魚」で、第15回「女による女のためのR-18文学賞」大賞を受賞。二〇一七年に同作を含む『夜空に泳ぐチョコレートグラミー』でデビュー。他の著作に「コンビニ兄弟―テンダネス門司港こがね村店―」シリーズ(新潮社)、『うつくしが丘の不幸の家』(東京創元社)などがある。本作で二〇二一年本屋大賞を受賞。
近著に『星を掬う』(中央公論新社)、『宙ごはん』 (小学館)、『あなたはここにいなくとも』(新潮社)。

「2023年 『52ヘルツのクジラたち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

町田そのこの作品

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