滅びの前のシャングリラ (中公文庫 な 81-1)

著者 :
  • 中央公論新社
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感想 : 68
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  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122074712

作品紹介・あらすじ

「明日死ねたら楽なのにとずっと夢見ていた。なのに最期の最期になって、もう少し生きてみてもよかったと思っている」「一ヶ月後、小惑星が衝突し、地球は滅びる」。学校でいじめを受ける友樹、人を殺したヤクザの信士、恋人から逃げ出した静香。そして――荒廃していく世界の中で、人生をうまく生きられなかった人びとは、最期の時までをどう過ごすのか。滅びゆく運命の中で、幸せについて問う傑作。〈巻末対談〉新井素子×凪良ゆう

感想・レビュー・書評

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  • 一ヶ月後に地球が滅びてしまう世界での
    最期の一ヶ月を4人の視点から描いた作品。(巻末の掌編小説を含むと5人)
    精緻な心理描写に心動かされました。

  • ん~。
    いまひとつ、のめり込めなかったかな。
    確かに、小惑星接近につれて世界は荒れてゆくのだけど、なんというか、真実味に欠けて。
    そもそも本作は世界の荒廃の様子より、人の心の移り変わりに焦点を当てているのだから、私の方こそ読み方を誤ったのかもしれない。

    いや私は、人足るもの、迫り来る事態を目の当たりにして、もう少し愚かに取り乱すのではないかしら?と思ったのだ。
    でも読み終えた今になって少し思うのは、登場人物たちは皆、どこか人生に諦めていた人。
    そんな彼らであるからこそ、取り乱すなんてしなかったのかもしれないね。
    元から人生への期待値が薄かったんだもの。

    友樹、雪絵、信士、静香、路子たち登場人物は人生を上手く生きられずにいたけれど、荒廃してゆく社会を前に、自分の大切なものを守ろうと一筋の光を見つけ出してゆく。
    これが普通の世界なら、うっすらと射し始めた光に希望を感じてハッピーエンドなのだけど、
    この作品は違う。
    同日に滅びる運命にある人々の話なのだから。

    人は不思議な生き物だ。
    1ヶ月後、1週間後、いや明日滅びると分かっていても、瞬間瞬間に幸せを感じることができるのかもしれない。
    (現実ではないから本当のところは分からないが、多分、そうなのだろうと思いたい)

    中でも、静香さんは好きだったな。
    強くて優しくて、口ぶりが粗っぽくても温かい。
    だから「エルドラド」の章が一番好きだった。
    「間違わないやつなんていない。それを許しすぎても、許さなすぎても駄目になる。」
    ト書きにあった静香さんの心の声が印象的だった。
    この言葉は、生きている私達全てに当てはまると思えたからだ。

    本書には、単行本『滅びの前のシャングリラ』の初版限定特典付録だった「イスパパン」が収録されている。
    ラスト1行の雪絵の言葉が、計り知れない恐怖や全ての感情を越えた望みなのだと思うと、深い余韻がもたらされた。

  • 終わりを目前にすると、人は急に、今まで要らなかったものですら、何もかも惜しくなるのだから、わがままだけれど愛しい。
    私だったらどうしたいだろうか。

  • 1か月後に人類が滅亡する場合、最期に「何をしたい?」「誰といたい?」「何を食べたい?」というシンプルな質問について考えさせられる。
    安全な日本ですら、無秩序で荒廃した社会になってしまう描写がショックであった。窃盗、略奪、ひき逃げ、殺人など、多くの人々が秩序を無視して己の欲望のままに振る舞ってしまうのだろうか?

    一方で、家族をはじめ愛する人と一緒に、信頼できるコミュニティを守りながら、最後まで穏やかな日常を継続しようとする描写もあり、安心させられる。

    メインの登場人物たちは、「普通の人」としての幸せを感じながら生きることができず、これまで何度も辛い目に遭ってきたため、極限状態でも取り乱さず覚悟ができているように感じた。この人たちの心理描写が面白い。

    巻末の対談テーマも面白い。リミットが異なれば、人々の対応も違ってくるだろうと予想している。私としては、最後まで通勤し、給料をもらい、衣食住が確保され、「いまわのきわ」まで、淡々と平和な日常が続いて欲しいと願うばかりである。

  • 地球が一ヶ月後に滅びることが決まったら、自分はどうするだろうか。
    日本はどうなってしまうだろうか。
    人間はどんな気持ちでその日を迎えるだろうか。

    当たり前のように過ごす時間は辛いものなのに、生きていられる時間が残り少しだとわかると、幸せを感じるようになる。
    覚悟を決めて生きている人間の心理描写が秀逸で面白かったです。
    こんな状況なのに仕事をする。
    人間って自分を自分でいさせてくれるものに縋りながら生きているんだなぁ。

  • 地球が滅ぶまで1ヶ月、長くも短くもなく、難しい時間だと思う。自分の身にも置き換えてみると、何とかなるんじゃないかと普通に生きようともするかもしれない。作者もかなり悩んだと思うけど、いろんな人の描写が結構リアル。何人か変わっていく主人公は幸せな人生を生きて来れたとは言い難い人たちで、その分、終末に必死で生きようとする描写は力強い。物語としてそれぞれの話が紐付いていくのは単純に気持ちが良いし、最終章の締め方は嫌らしくなく感動出来た。挑戦作でもあるけど、充実していて面白かった。

  • 1ヶ月後に小惑星が衝突し、地球が滅亡する。
    経済は回らなくなり、倫理や秩序は崩壊し、世界が荒廃してくいく中、4人の視点から語られます。世界が一変したことで、それぞれが行動を起こし、日常を送っていただけではあり得なかった気持ちの変化が起こります。

    世界中が余命宣告を受けたとき、どうなるんだろうか。
    強奪や殺人が簡単に起こり、自ら命を絶つ者が増え、食べるものにも困り、力の強い者からの強奪に怯える中、死を待つことになるのだろうか、、、
    自分ならどうするかを考えさせられます。
    最期は一緒にいたい人といられたら幸せだなと思います。

    隕石落下の日があっさりしている印象で、できれば4人の視点から描かれればよかったなと思います。


  • 終末系小説。伊坂幸太郎の「終末のフール」を思い出しました。

  • すごい惹きつけられて読みたい読みたいってなるけど最後がいまいち?
    まぁでも、地球が後1ヶ月で滅びるなら、こんな悲惨に状況になりかねんよな、自分が後1ヶ月で死ぬならなにするかな、私はライブに行こうとかそんなマインドにはならんかもw

  • 凪良ゆう作品なので、
    文庫化されてやったー!と思い
    即読み始めた。

    今までの作品よりは、
    少し物足りなかったかなー。
    地球滅亡の最期どうなったかを
    もう少し描写してほしかった。

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著者プロフィール

1973年生まれ、京都市在住。2007年、BLジャンルの初著書が刊行され、デビュー。17年『神さまのビオトープ』を刊行し、高い支持を得る。19年『流浪の月』と『わたしの美しい庭』を刊行。20年『流浪の月』で「本屋大賞」を受賞する。同作は、22年に実写映画化された。20年『滅びの前のシャングリラ』で、2年連続「本屋大賞」ノミネート。22年『汝、星のごとく』で、第168回「直木賞」候補、「2022王様のブランチBOOK大賞」「キノベス!2023」第1位に選ばれ、話題を呼ぶ。翌年、同作の続編にあたる『星を編む』を刊行した。

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