百鬼園先生と私 (中公文庫)

  • 中央公論新社 (2024年7月22日発売)
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本 ・本 (304ページ) / ISBN・EAN: 9784122075344

作品紹介・あらすじ

私はその頃、百鬼園氏の家の書生であり、学生であり、執事であり、有力な家族の一員であった――自宅へ来る高利貸に応対し、漱石の軸を夫人に買い取ってもらうよう算段をし、佐藤春夫に短篇の紹介を頼む際に同行する。寝食を共にした書生が見た家庭での内田百閒。自宅と別宅の二重生活の様子が綴られる。

巻末に百閒の関連エッセイ・短篇を収録。



(目次より)



ドイツ語の歌/代返/内田先生の時間/ゾルフ大使/青春の日/一分停車/晩飯/撫箏の図に題す/卒業論文/腕時計/学期末試験





『冥途』縁起/砂利場の大将/二本のパイプ/退職金/軸





大検校の軒/小びとのおじさん



内田百閒作品

予科時代/ゾルフ大使/冥途/大尉殺し/山高帽子

感想・レビュー・書評

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  • 学生時代、内田百閒の自宅に書生として住み込んだ著者のエッセイ。

    百閒の奔放な行動に翻弄される著者。
    高利貸から逃れるためホテルに滞在する百閒と自宅の奥さんとの間を取り持つ献身ぶりに惹き込まれる。

    巻末に百閒の5短篇を収録。充実感を得られる。

  •  内田百閒の家で書生をしていた方による随筆集『一分停車』のなかから百閒に関する文章を抽出し、文中で触れられている事項にかかわる百閒の作品を併録した文庫本。大学の講義時間中は厳格な講師として、プライベートでは飄々とした師として、学生たちに接する百閒の姿が楽しく書かれている。「奥さん」として登場するのは最初の妻である堀野清子さんで、二人目の妻である佐藤こひさんは巧みに存在を消されている。意図的かどうかはわからないが、気の毒な感じがする。最後に収録された百閒作『山高帽子』は、岩波文庫の『冥途・旅順入城式』にも収録されている、大好きな大好きな作品なのだけれども、その原稿が雑誌に載るまでの紆余曲折を本書に収録されている『二本のパイプ』のようなかたちで他者の視点から聞かされた後に読むと、また格別。つくづく、何百回読み返しても新たな味を楽しめる、滅多にお目にかかれない極上の短編だなあ。ただただ脱帽。

  • 内田百閒の書生として
    同じ屋根の下で暮らしたことのある
    ドイツ語教師の回顧録。
    一部、仮名にして小説風のものも。
    そして、最後に話題に上がっている
    百閒先生の作品も掲載してある
    親切設計です( ^∀^)

    いや〜、一緒に暮らすのは
    やっぱり大変そうな御仁ですな。
    自分が朝起きるのが苦手だからと
    代わりに駅まで知人の見送りを頼んだり
    ヘタな琴を延々と聞かせたり
    借金取りから逃げている隠れ家へ
    生活費の受け渡しに通わせたり。
    でも、なんかやっぱり憎めないんだよな。

  • 内田百閒宅で書生をしていた著者のエッセイと文中に登場する百閒作品を収録した本。
    後半の百閒作品を読みながらその裏話的なエッセイを思い出し…と楽しめる作りでした。

  • 漱石の軸を売り、佐藤春夫に雑誌への紹介を頼む――寝食を共にし、錬金術のお供をした書生が見た家庭での内田百?閨B百?閧フ関連エッセイ・短篇を収録する。

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