- 本 ・本 (392ページ)
- / ISBN・EAN: 9784122075429
作品紹介・あらすじ
この男、陰謀好きにつき――
フランス革命から帝政、さらに復古王政へ。この激動期に現れた「完全なマキアヴェリスト」ジョゼフ・フーシェ(一七五九―一八二〇)。ある時はギロチンよりも効率的な方法で反動者を殺戮し、ある時は秘密警察を駆使し、ナポレオンをも心理的に追いつめる。陰謀と変節と裏切りの限りを尽くして生き抜いた政治的人間の生態を浮き彫りにする本格評伝。
『マリー・アントワネット』と並ぶ著者の代表作。改訳版。
目次
第1章 売りだすまで 1759―1793年
第2章 「リヨンの虐殺者」 1793年
第3章 ロベスピエールとのたたかい 1794年
第4章 総裁政府と統領政府の大臣 1799―1802年
第5章 皇帝の大臣 1804―1811年
第6章 皇帝にたいするたたかい 1810年
第7章 気のすすまない間奏曲 1810―1815年
第8章 ナポレオンとの決戦 1815年 百日天下
第9章 失脚と最期 1815―1820年
感想・レビュー・書評
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「生まれながらの裏切り者」を深く洞察した伝記。
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総裁政府でも統領政府でも帝政でも王政でも、いったん政府が苦境に立って、適当な仲介者、調停者、整理者がいるとなると、この赤旗を持った男、最も信頼できない性格の持主ではあるが、最も信頼するにたる外交家ジョゼフ・フーシェに、いつでも人々の目が向くのである。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
常に勝者側に付く処世術で、粛清吹き荒れる革命期を凌ぎきったフーシェの伝記。それを成さしめたのはあらゆる情報を手元に集め、巧みに用いた警察力で、警察組織が近代国家の要件であることを思うと、こういう人物が現れたのはより象徴的に感じる。変節漢で虐殺者、陰謀家でありながら表向きは慇懃丁寧なフーシェが、じきに魅力的にさえ見えてくるのは、著者一流の人物描写ならでは。今回採用されたカバー表紙の華やかな肖像画は、暗いキャラクターも糊塗すれば奇麗に見える実例の様で面白い。激動の時代を生き延びる高位の人間は畢竟「卑劣」だという提示でもあり、無節操に対して誠実ですらあった人物像は、伝記の一つの到達点と感じた。
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陰謀と変節の限りを尽くして激動期のフランスを生き抜いたフーシェ。革命家への転身からナポレオンとの対決、その最期までを鮮烈に描いた本格評伝。改訳版。
著者プロフィール
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