スミルノ博士の日記 (中公文庫)

  • 中央公論新社 (2024年7月22日発売)
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本 ・本 (320ページ) / ISBN・EAN: 9784122075436

作品紹介・あらすじ

天才法医学者ワルター・スミルノはある晩、女優アスタ・ドゥールの殺害事件に遭遇。容疑者として、かつての恋人スティナ・フェルセンが挙げられる。名探偵レオ・カリングの手を借り、不可解な謎に挑むのだが……。



本作はかつて小酒井不木訳で「新青年」に掲載されるや、江戸川乱歩・横溝正史ら戦前の日本人作家にも多大な影響を与えた。世界ミステリ史上にその名を刻む、探偵小説ファン必読の傑作本格推理長篇。



〈解説〉戸川安宣



【目次】



第1章 発端

第2章 糊づけにされたページ

第3章 警官第三一七号

第4章 偶然

第5章 尋問

第6章 「あなたの奥さんです」

第7章 犯行の時刻

第8章 三人目の客

第9章 新しい事実

第10章 レオ・カリング援助を求める

第11章 第二の銃弾

第12章 犯人の名

第13章 意外な展開

第14章 深夜の冒険

第15章 厚かましい侵入者

第16章 新しい証拠

第17章 手紙

第18章 犯人はだれか?

第19章 告白

第20章 レオ・カリングの付記



ドゥーセ今昔(宇野利泰)

感想・レビュー・書評

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  • 2025/3/27読了
    裏表紙の粗筋に「世界ミステリ史上に名を刻む傑作本格推理長篇」とか書かれたら読みたくなるではないか? 2024年に〈中公文庫〉から出ているが、底本は1963年で、訳文が60年以上前のものなのだが、古臭さは感じなかった。
    それで、ミステリとしてはどうかというと、途中でタネに勘付き、解決編で「あぁ、やっぱりね」という感じで、感動は減弱してしまったかも。発表当時の1917年では驚愕の展開だったのかもしれないが、そこから100年以上、我々読者もあの手この手で騙くらかされ続けてきたのでね。勿論、「つまらない」というのとはまた別問題で、某有名作品の某有名トリックの原型かは知らないが、これだけ昔の時点で基本アイデアが出ていた、ということが判るだけでも興味深かった。
    しかし、名探偵レオ・カリングの、物的証拠だけで真犯人を落とせないなら、弱点を攻撃しまくって音を上げさせようというやり方が、なかなか陰険で恐ろしい。

  •  今となってははるか昔のミステリを読み始めたころ、ミステリの紹介本ー特にトリックなどを説明するものーがあって、この本の一番肝のところを、スウェーデンの作家の作品であること(今のように北欧ミステリ隆盛の時代ではなく珍しかった)と共に知ったのだった。
     ただ、その頃は既に本書は新刊書店では手に入らなかったので、そんな本があるのだくらいで終わっていた。

     それか何と新刊で、しかも文庫本で出た!これは読むしかない。

     いろいろなミステリを読み慣れた今から見ると、作者のやろうとしたことは比較的早く分かるが、犯人候補が次々に変わって来るなど工夫があり、全体的には結構楽しく読めた。

     60年前の翻訳だが訳文の古さはほとんど感じられず、読みやすい。解説も、小酒井不木や乱歩などによって本作が紹介された経緯など、簡にして要を得た内容で、とても興味深い。

  • スウェーデンの作家、サムエル・アウグスト・ドゥーセの1917年の作品。私立探偵レオ・カリングシリーズの一作。

    死亡した細菌学の権威、スミルノ博士の手記を読み解く、というのがストーリーの根幹。
    意外な展開、というか出版された時期からして、ラストの展開の先行作品なのではないかと。クリスティより早いか。

    ただいかんせん、流石に古く。
    読みやすいのだけど、だから仕掛けもなんとなくわかってしまう。

    シリーズものとのことで、他の代表作も出版してほしい。

  • 日記をもとに事件を見ていく。
    最初からどこか違和感を持ちつつもどんどん晴れていく感覚があり、最後明かされたときにはスカッとした。
    途中から勘づいてしまうくらいにはありきたりな構成なのかもしれないがやはり最後には心がスッキリするため、ミステリーはやめられない。

  • 1917年、スウェーデンのドゥーセによるミステリー。探偵カリングとある事件の助手をしたスミルノ法医学博士。ある夜、仮面舞踏会の帰りに女優が射殺され、その嫌疑が元恋人にかけられたことにより、そのいきさつをスミルノ博士が日記にしたためる。感想としては、古典らしく、仮面舞踏会など馴染みのない設定もあり、なかなか没入しにくかった。あと、(個人的に苦手な)◯◯トリックであることを目にしてしまったせいもあるし、日記内のスミルノ博士が明らかにおかしいので、途中から興ざめしてしまった。ただ当時は斬新だったのかな?というのは想像できる。並べて語られるクリスティの「アクロイド殺し」(スミルノ博士より後らしい)は読んでみたいと思った。

  • 往来道書店で覆面状態のカバー付きで購入。韓国作品以外の海外作品は本当に久々で楽しかった!
    読み進める違和感から、犯人はもしや…?と思ったら当たり。
    いやな気持ちにさせつつもギリ脱線させない書き方がうまいなあと思った。

  • 主人公が悪役として見るとすごく良かった。偏屈で他人を下に見る言葉はすらすらと、そして頭が良い。職業医者。金のために婚約をするものの、既婚女性に横恋慕しその恋心は伝えて、あわよくば、を狙っている。とても変態な性格だと思っえいたら、最後に主人公は強迫的で変態な人物と探偵が語っていて、そうそうそう!と納得した。いままで頭のおかしい主人公の一人称だったから、一般的な思考の側に立つ人間のオチの語りがしっくりときた。面白い。

  • もしかしてそうかもと思ったけど女の人を出すとあっさり言っちゃうんだ。笑

  • 天才法医学者スミルノが名探偵レオ・カリングと遭遇した殺人事件、そして不可解な謎の真相は? 世界ミステリ史上に名を刻む傑作長篇。〈解説〉戸川安宣

  • 今となっては、大半のミステリ読者が読みもしないうちに、犯人の見当を付けてしまうだろう。それはまあ仕方のないことだが、だからといってつまらないわけではない。フーダニットの愛好家なら愉しい読書になると思う。しかし主人公の奇行というか、乱暴さには呆れる。こんなことをして当時は大丈夫だったんですかね?

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