小説の諸相 (中公文庫)

  • 中央公論新社
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  • 本 ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122075542

作品紹介・あらすじ

ストーリーとプロットの違いは? 平面的人物と立体的人物の役割とは? 小説の未来はどうなるのか? のちにイギリス文学界の長老となった著者が、小説をかたちづくる諸要素とその魅力を、独自の観点からユーモアたっぷりに語る。一九二七年の初刊以来、世界中の小説家・読者に読み継がれてきた、愉しい名講義にして小説論の古典。

【目次】
まえがき
1 序論
2 ストーリー
3 登場人物
4 登場人物(つづき)
5 プロット
6 幻想
7 予言
8 パターンとリズム
9 結び

訳者解題
人名・作品名索

感想・レビュー・書評

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  • 『E.M.フォースター著作集 8「小説の諸相」(E.M.フォースター 著 / 中野康司 訳)』 投票ページ | 復刊ドットコム
    https://www.fukkan.com/fk/VoteDetail?no=54871

    E.M.フォースターの”Aspects of the Novel”(小説の諸相) | 知鳥楽/ Chichoraku(2019年5月22日)
    https://shochian2.com/archives/33668

    フォースター『小説の諸相』 - 散歩者の日記(2016-02-07)
    https://snafkinne.hatenablog.com/entry/20160207

    小説の諸相 | みすず書房
    https://www.msz.co.jp/book/detail/04578/

    小説の諸相 E・M・フォースター(著/文) - 中央公論新社 | 版元ドットコム
    https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784122075542

  •  小説とは何だろうか。それを考えるために、著者は小説の主要な要素7つについて、具体の作品を例にしながら論じていく。その要素とは、ストーリー、登場人物、プロット、幻想、予言、パターンとリズム、以上の7つ。

    〇 ストーリー
      ストーリーとは、「時間の進行に従って事件や出来事を語ったもの」と定義されるが、それからどうなるんだろう、という好奇心を読者に起こさせる。
    〇 登場人物
      登場人物は、平面的人物と立体的人物に分けることができる。平面的人物は、ディケンズ作品に登場するような「あ、またあいつが出てきた」とすぐに分かるような類型的人物。これに対し、説得力をもって読者を驚かせることができるのが立体的人物。
    〇 プロット
      事件や出来事の因果関係に重点を置いたものがプロットで、「王様が死に、そして悲しみのために王妃が死んだ」がその例。

    というように、それぞれの要素について、実際の作品をベースにして具体的に説明がされており、また元々が大学の記念講座における講義であるので、とても読みやすい。著者の言わんとすることも良く理解できると思う。

     小説を読む楽しみ方を教えてくれる一冊。

  • 以下は生成AIでまとめました。

    ## 本書の核心的メッセージ

    フォースターは、小説における二つの基本的な勢力—「人間」と「人間以外の様々なものの群れ」—の調和を小説家の本質的な仕事として位置づけています。この視点は、単なる技法論を超えた、より深い小説理解の枠組みを提供しています。

    ## 作者の人間性と思想

    フォースターの思想の核心には「Only connect(つながりを求めよ)」という理念があります。これは:
    - 異なる文化や価値観の結びつき
    - 寛容の精神の重視
    - 愛の理想と現実的な実践の調和
    を示唆しています。

    キリスト教的な絶対的愛の理想よりも、実践可能な「寛容」を重視する現実的な姿勢は、フォースターの思想の特徴を示しています。

    ## 本書の構成と主な主張

    **7つの諸相による分析**
    - ストーリー:時間的進行による単純な物語
    - 登場人物:平面的人物と立体的人物の区別と役割
    - プロット:因果関係による物語の構築
    - 幻想:超現実的要素の導入
    - 予言:普遍的真理の表現
    - パターン:構成の美的側面
    - リズム:反復と変奏による統一性

    ## 引用された作品とその意義

    **主要な引用作品**
    - トルストイ『戦争と平和』:空間的構造の例として
    - ドストエフスキー作品:予言的要素の実践例として
    - アンドレ・ジッド『贋金つかい』:実験的手法の例として

    これらの引用は、小説の可能性と多様性を示す具体例として機能しています。

    ## 現代の小説論への影響

    フォースターの小説論は、以下の点で現代にも大きな影響を与えています:

    **理論的影響**
    - 実践的で理解しやすい分析枠組みの提供
    - 人間性と芸術性の調和の重視
    - 文学における「見えないもの」の価値の認識

    **現代的意義**
    - グローバル化時代における文化的対話の基礎
    - デジタル時代における人間性の探求の指針
    - 文学の社会的役割の再定義への示唆

    ## まとめ

    『小説の諸相』は、単なる小説技法書を超えて、人間理解と芸術表現の本質的な関係を探求した著作といえます。フォースターの提示した視点は、現代においても:

    - 文学における人間性の探求
    - 異文化間の対話と理解
    - 芸術表現の可能性の拡大

    という観点から重要な示唆を与え続けています。

    特に注目すべきは、フォースターが提唱した「寛容」の精神と「つながり」の重要性です。これらの概念は、現代のグローバル社会における文化的対話の基礎として、ますます重要性を増しています。

    また、本書の特徴的な点として:
    - 学問的形式主義への反発
    - 実践的で理解しやすい分析
    - 人間性と芸術性の調和の追求

    が挙げられます。これらの特徴は、現代の文学理論においても重要な示唆を与えています。

    フォースターの小説論は、技法論としてだけでなく、人間理解と芸術表現の本質的な関係を探求した著作として、現代においても重要な意義を持ち続けているといえます。

    引用:
    [1] 小説の諸相 - Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B0%8F%E8%AA%AC%E3%81%AE%E8%AB%B8%E7%9B%B8
    [2] 電マガ46号「E.M.フォースター雑感 (1)」 https://gssc.dld.nihon-u.ac.jp/e-magazine/046/rensai/rensai2.html


  • 当時の感じで小説とは? を語ったもの。
    当時から凄い作品は凄いというのが垣間見える。
    基本的な部分で小説とは? を語っている。
    読んでおくとこれはこれで一定の補助線になり読む面白さが増すかもしれない。

  • ストーリーとプロットの違いは? 平面的人物と立体的人物の役割とは? イギリス文学界の重鎮がユーモアたっぷりに語る愉しい名講義にして小説論の古典。

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