中央線随筆傑作選 (中公文庫 な78-2)

  • 中央公論新社 (2024年9月19日発売)
3.75
  • (1)
  • (7)
  • (4)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 96
感想 : 13
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Amazon.co.jp ・本 (288ページ) / ISBN・EAN: 9784122075610

作品紹介・あらすじ

御茶ノ水、四谷、新宿、高円寺、阿佐ヶ谷、荻窪、三鷹、国立……。中央線の路線・駅を舞台に、選び抜かれた42編のエッセイ。車窓から人生の断面が浮かび上がる。好評『中央線小説傑作選』の姉妹編。

「江戸と武蔵野が混ざる」(ねじめ正一)「中央線」(赤瀬川原平)「黄金の中央沿線」(種村季弘)「わが街わが友」(唐十郎)「阿佐谷村の午後」(永島慎二)「一九八二年のタイム・スリップ」(友部正人)「御茶ノ水暮色」(出口裕弘)など、全43編。文庫オリジナル。

みんなの感想まとめ

中央線沿線をテーマにしたエッセイ集で、さまざまな作家による多彩な視点が楽しめる一冊です。古典的な作家から現代の著名人まで、42編のエッセイが収められており、各作品がそれぞれの時代や場所の魅力を伝えてい...

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 古くは与謝野晶子から最近ではねじめ正一、別役実らによる、中央線沿線にまつわる随筆、エッセイをまとめた一冊。玉石混交だが、都心と武蔵野を繋ぐ路線の魅力を十分に伝えていて、思わず荻窪あたりに住みたくなるほど。中央線沿線というテーマでこれだけのものを集めた編者はただものではなく(同じ編者による「中央線小説傑作選」もある)、なんだかあやしげなペンネームだが、名のある編集者と見た。

  •  同じ編者による『中央線小説傑作選』の姉妹編。

     以前別の本で読んだことのある向田邦子の『中野のライオン』。作者が二十代のころの話であるが、中野駅から高円寺寄りの下り電車の右側、木造アパートに30歳くらいのアンダーシャツ一枚の男が外を見ている、そしてその隣にたてがみの立派な雄のライオンが並んでいる、その光景を作者は確かに見たのだが、ライオンだと騒ぐ乗客は誰もいなかった、というもの。
     本書には、その続編とも言える『新宿のライオン』は収録されていないが、代わりにと言っては何だが、同じくライオンを見たという串田孫一の『電車から見えた』が収録されていて興味深い。

     中央線沿線のいろいろな場所の、時代も様々な作品が取り上げられていて、変化や土地ごとの特色などが分かり、それはそれで面白いのだが、印象がやや散漫になってしまった。

  • 戦前~戦後(S30年代ごろ)中心の中央線沿線に住んだ作家達の随筆集。ごく短いものからそれなりにまとまっているものまで。

  • ここ一年程だが、私自身中央線との距離感が縮まっていた。もとより友達に勧められ中野や高円寺などサブカルチャーを楽しむ程レベルだったが。

    中央線沿いには、形容しがたいがなんとも心地いい地元のような安心感がある。駅前広場やホームであったとしても、遠方から来て電車から降りるときに帰ってきたなと毎度思う。新宿からほんの数分、十数分の場所なのに暖かさ、馴染み深さを感じる。新宿や渋谷、池袋など大都市では肌感を感じにくいというか人と物の距離と無機質感を覚える。それに比べて中央線沿い(主に新宿より西)では人の温もりが、建物や空気、街に流れる時間などから、そこはかとなく感じることができる。

    ...長くなったがさまざまな文化の発祥地、元に発信地である中央線沿いの各地に興味が湧いた。なおこの本も阿佐ヶ谷の駅前の本屋にて購入し、帰りの電車で揺られながら読み始めたものだ。

    人それぞれの中央線。人生の一部始終。

    随筆だから、記憶の断片に各々触れていられるようでとても親しみやすい。

  • 通学で約10年間中央線を利用しているので、親近感もあり読みやすかった。
    当時の駅の様子と今の駅の様子はかなり違うかもしれないけれど、今中央線を利用している私にも共感できる部分が多くあって嬉しかった。
    高円寺、阿佐ヶ谷付近を走行中の車内から見る富士山とても綺麗なんだよなぁ。

  • 中央線は馴染みがあるので、気になり読んでみた。時代によって移ろう沿線の景色が見られて楽しかった。今行ってものんびりしていて良いなーと思っていたけど、どの時代にも「昔は良かった」みたいなことが書かれていて面白い。
    中野のライオンの話面白かった!

  • 荻窪の書店で購入。様々な人が住んでいて、人それぞれの生活がある。それはどこに住んでいる人も同じだけれども、中央線沿線に住む人の暮らしだけの本があるのはすごいことだ。それだけ「中央線」には人を惹きつける力があるのだな。

  • 昔からとかく多くの文豪が住んでいたり、
    作品の舞台となっているのが多いと思われる中央線沿線。
    それは今も変わらずに根付いている印象もあるので、
    この作品のタイトルを見だけで興味深く思えました。

    中でも高円寺といえばねじめ正一さんというほど有名で、
    他にも杉並区を拠点にしていた向田邦子さんもこの沿線沿いでした。
    この随筆集では古い年代の作家をはじめとして、
    中央線に乗っているかのように東京駅から高尾駅までの
    主要な駅を題材にしていたり、その街から見えるものだったりと
    多方面な方向から中央線を映し出し描かれていました。

    中央線はそれ程乗ったことはないですが、
    割と身近なな所にある路線なので、
    他の路線とは違った独特な風景と雰囲気があり、
    この随筆集から滲み出てくるような文化や日常が
    描かれていると思いました。

    印象的だった作品が串田孫一さんの「電車から見えた」の
    車窓から見た家からライオンの首を出していたとか、
    出久根達郎さんの「ムダを愛する町」のムダを粋とし、
    よしとして賞する人が高円寺には多いということ。

    久世光彦さんの「阿佐ヶ谷は怖くて美しかった」はタイトル通りの
    内容ですが、ひと昔の阿佐ヶ谷はこんな所だったのかと吃驚してしまうけれど魅力ある街であったのかと思わされました。
    怖いけれど何処か惹かれてしまう美しい街という印象とも思えました。

    別役実さんの「中央・総武線」は自殺者の多い線という切り口から、
    この地域の特徴を分析していった点がユニークでした。
    この界隈に住んでいるからこその切り口からの発想の意外性が面白かったです。

    山口瞳さんの「歩いて十五分」は街の事ではなく、
    自身が今まで歩いていた駅から徒歩十五分だったのが、
    歳を重ねたことで意外な発見があったというのが
    何ともおかしく今の自分にも当てはまりそうだと思って
    共感しました。

    中央線沿線の文化やその周辺の街での特色、
    そしてなんといってもその土地ならではの
    自然の美しさや楽しさなどが伝わってのんびりとした気持ちになりました。

    この他にも名立たる著名者の随筆が沢山掲載されていますが、
    かなり短編なので、もっとこの先が読んでみたいという作品も多くありました。
    随筆集は読んだことが無いので、
    こんな感じなのかなと思いますが、
    年代や作家さんの諸情報が読みながら
    すぐに分かるように近くに詳細が書かれていると
    良かったなと思いました。

  • 中央線の各駅を題材にしたエッセイが東京駅から八王子駅まで西に向かうように配置されたアンソロジーで(荻窪率高めです)、収録されている作品の年代も様々で色々な東京の風景を楽しめるとても面白い1冊でした。

    武田百合子が吉行淳之介について書いた作品の次が吉行理恵の随筆だったりして収録作品の並べ方も良かった。

    巻末の解説に収録されている各作品の詳細が記されてはいるのだけど、本編の方でもタイトルと作者名と合わせて執筆された年が書かれていると良かったなと思う。随筆は特にその時代を書き残している要素が強いから年代がすぐに分かったほうが読みやすい。

    吉祥寺がほぼスルーだったんだけど、編者の好みですかね。

  • 萩原朔太郎の淀橋の向こうに二幸や三越のビルヂングが塁立し、空には青い広告風船が上って居る。何という悲しい景色だろう。というのが印象的。

全12件中 1 - 12件を表示

この本が好きな人におすすめの本

著者プロフィール

1967年、島根県出雲市生まれ。ライター・編集者。「不忍ブックストリート」前代表。「石巻まちの本棚」の運営にも携わる。著書『本好き女子のお悩み相談室』(ちくま文庫)、『蒐める人』(皓星社)、『古本マニア採集帖』(皓星社)、『「本」とともに地域で生きる』(大正大学出版会、11月刊行予定)、編著『中央線小説傑作選』『中央線随筆傑作選』(中公文庫)ほか。

「2024年 『書庫をあるく アーカイブの隠れた魅力』 で使われていた紹介文から引用しています。」

南陀楼綾繁の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×