死の虫 ツツガムシ病との闘い (中公文庫 こ36-3)

  • 中央公論新社 (2024年12月23日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (320ページ) / ISBN・EAN: 9784122075894

作品紹介・あらすじ

【序章】聖徳太子の国書に書かれた「つつがなきや」

赤虫、島虫、毛谷/聖徳太子の国書と唱歌「故郷」



【第1章】明治時代――新潟県、秋田県の謎の熱病

死の匂い/助べえ虫、エロダニ/虫掘り医者/虫送り/毛谷明神、毛蝨大明神、島虫神社/恙虫病とつつがなきや/米百俵の長岡藩とツツガムシ病/西洋人医師の現地調査と洪水熱/病原体は悪い空気?/陸軍への陳情/北里柴三郎の参上/コッホの4原則とは/日本沙蝨病研究所/毛蝨大明神、ケダニ地蔵、ケダニのお堂コ/「まなぐ凧」と菅江真澄の記録/人体実験/寝台車の連結/虫医者/野ネズミの耳の中に/思わぬ微生物の発見/4つの研究拠点



【第2章】大正時代――謎の熱病は山形県にも

新開病/北里柴三郎と福沢諭吉と大隈重信/病河原/毛谷医者と毛谷地蔵と松例祭/ケダニ退散調伏祈願/銀時計組/台湾でも/日記に決意表明/防虫白衣/「黒髪と 共に浮世の 欲を断ち」/ヴァルシャウ早きか、病原体早きか/顕微鏡で見えるか、見えないか/病理解剖への住民感情/原虫となす所のものは……/冬の有毒地にて/発疹チフスの猛威/新たな病原微生物の発見/ツツガムシの生活史/ツツガムシの新種発見/秋田での出会い/病原体はリケッチアか?/『蛍草』



【第3章】昭和時代〈戦前〉――病原体は新発見の微生物

ウサギによる累代培養とサル問題/研究室内での感染と殉職/学名命名騒動/殉職の悪夢が再び/恙虫病研究所、虫除不動尊/ワクチンの構想/精神科に協力を求める/秋田でのワクチン接種/熱帯衛生必携



【第4章】昭和時代〈戦後〉――治療薬の発見と日本各地の有毒地

新たな有毒地/インパール作戦とツツガムシ病/富士山麓でのツツガムシ病/学名命名論争の決着/治療薬、遂に発見さる/餌は蚊の卵/人知を超えた受精の方法/八丈デング/八丈島の居酒屋で/土佐のほっぱん/七島熱と二十日熱/全国調査の開始/赤い苔/ツツガムシ、〝息に感ず〟/沙蝨/鬼彈/古典型ツツガムシと新型ツツガムシ/カトー型、ギリアム型、カープ型/日本全国で感染例の報告



【第5章】平成時代――科学と感染症

早期診断法の確立/有毒の家系と無毒の家系/学名の変更/感染症法の制定の中で/アカツツガムシは棲息していた /ダニ媒介の新たなウイルスの脅威



【第6章】令和時代――ツツガムシ病と新型コロナウイルス感染症の共通点

パンデミック/アマビエ、黄ぶな……疫病退散祈願の依り代/コロナワクチン登場と押し寄せる波/コロナ収束も願った「善願の虫送り」/世界初のSFTS治療薬/間に合わなかったツツガムシ病の診断



【終章】「つつがなき」「つつがなく」は変わらず

ダーク・ツーリズムとホープ・ツーリズム

みんなの感想まとめ

本作は、ツツガムシ病の病原体特定と治療法確立の過程を描いた医療ノンフィクションであり、明治から令和にかけての医学者たちの苦闘が詳細に語られています。著者は、古来から不明だったこの病の正体に迫り、研究者...

感想・レビュー・書評

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  • 小林照幸『死の虫 ツツガムシ病との闘い』中公文庫。

    『死の貝 日本住血吸虫症との闘い』が面白かったので、本作も読んでみることにした。

    聖徳太子の国書に書かれた『つつがなきや』に由来すると言われるツツガムシ病。自分が小学生の頃、野原や河原などではツツガムシが衣服に付くことに気を付けるよう注意され、恐怖に震えた記憶がある。本作はツツガムシ病の病原体の特定と治療方法の確立までを描いたノンフィクションである。

    柳の下にいつも泥鰌はいないの例え通り、『死の貝 日本住血吸虫症との闘い』のような面白さは無かった。


    明治時代から新潟、秋田、山形で謎の熱病と騒がれていたツツガムシ病は多くの研究者の努力により、昭和になって初めて、その病原体の正体が明らかにされる。その後、治療薬が発見され、治療方法が確立される。


    2019年の終わりに中国の武漢で出現した新型コロナウイルスは瞬く間に世界規模で広がり、未だに治療薬が作られておらず、対抗する術は対処療法と効果の怪しいワクチンくらいしか無い。ツツガムシ病も病原体を特定し、治療薬が発見されるまで長い年月を要したことを考えれば、新型コロナウイルスの治療薬が作らるまでにはまだまだ時間が必要なのかも知れない。

    本体価格900円
    ★★★

  • 本編は300頁に満たない作品だがそれ故に濃縮された濃さと面白さがある。
    謎の風土病の正体に迫る。これだけで興味を惹かれるのにそこから病原体の正体の究明、解決へと向かうのに明治、大正、昭和、しかも戦前から戦後まで駆け抜けるのだから医学者たちの執念には恐れ入る。今では正体が判明した病でも、当時では悪魔の振るう鎌のような恐ろしさがあった。読み応えがあって実に良い一冊である。

  • 古来から不知の病、原因不明だったツツガムシ病。ベルツ、北里柴三郎などの大御所も調査、研究する等医学者たちの試行錯誤、苦闘を描く医療ノンフィクション。
    アジアに広く分布するダニが媒介ししかも新潟、秋田など限られた地域でのみ毒性の強いリケッチアを保有するに至ったのか、自然界の謎である。
    現在は医学の進歩により治療できる病気であるが、発見、診断が遅れると命にかかわる病気であることに変わりはない。
    エボラ出血熱だったりコロナだったりヒトが生物である限り病との対決は終わらない。

  • 久米正雄 蛍草
    長与と緒方の学名争い(長与の剽窃に近い);緒方も執念深い
    ツツガムシのリケッチアはorientia属 発疹チフスはrickettsia属

  • 吉村昭さんが、よみがえりました。

  • 名誉欲はいまいちよくわからない。殉職が多いがあの時代結構人が簡単に死んでいたので今と同じ感覚ではなさそうなことには注意しないと。表紙怖い。

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著者プロフィール

昭和43(1968)年、長野市生まれ。ノンフィクション作家。明治薬科大学在学中の平成4(1992)年、『毒蛇』(TBSブリタニカ・文春文庫)で第1回開高健賞奨励賞を受賞。平成11(1999)年、『朱鷺の遺言』(中央公論社・中公文庫)で、第30回大宅壮一ノン

「2010年 『ひめゆり 沖縄からのメッセージ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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