愛について語るときに我々の語ること THE COMPLETE WORKS OF RAYMOND CARVER〈2〉
- 中央公論新社 (1990年8月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (329ページ)
- / ISBN・EAN: 9784124029321
作品紹介・あらすじ
奇妙にずれたタイトルと謎めいた結末暗示的なまでに簡潔な文体が描き出す普通の人々の癒しがたい暗闇…。転換期の新鮮にして大胆な短篇集。
感想・レビュー・書評
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なにかが駄目になってしまう話がこれでもかこれでもかと続く。どれもやりきれなくて、読んでいて苦しく、そこにある絶望感はリアルで生々しかった。それなのに解題では「奇妙」「シュールレアリスティック」と形容されている作品がある。どの話もシュールだなんてちっとも感じなかったのに。カーヴァーに首根っこをつかまれていたのかもしれない。
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暴力や不倫などアメリカ社会の負の部分をするどく抉っている。
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1年ほど前に買って長らく積みっぱなしにしていた。春樹氏の某マラソンエッセイはこちらのタイトルを捩ったものである。翻訳が村上春樹だからか、村上春樹の小説を読んでいるような錯覚に陥った。非常にシンプルな文体で読みやすくさくさくっと読了。「ダンスしないか?」が一番好きかな。他にもカーヴァー読んでみようかな。2011/559
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「足もとに流れる深い川」「出かけるって女たちに言ってくるよ」の不気味さがクセになる。
「デニムのあとで」「菓子袋」の中高年ならではせつなさもいい。
「愛について語るときに我々の語ること」の必死さ真摯さにも揺さぶられる。 -
愛してやまないレイモンドカーバー「愛について語るときに我々の語ること」。目で追った文字を感覚が呑み込むと、ふるふると心の琴線が音を立てて揺れた。勿論、答えなんて載っていないけれど。そこには、千絵が本当に欲しかったものがあった。
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2011/06/16 読了
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「ダンスしないか?」の静かな興奮、「出かけるって女たちに言ってくるよ」のそこそこの生活に潜む恐怖、「デニムのあとで」の若さへの妬み。
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ずっと以前に、レイモンド・カーヴァーの何かを読んだことがあったと思うのだが、何を読んだのかすら覚えていないのだから、その時は然程感動しなかったんだと思う。
それでも何となくまたカーヴァーを買ってみた。
さて、今回はというと、やっぱり特別にものすごい衝撃を受ける(たとえばエリクソンの『黒い時計の旅』を読んだ時とか、ファウルズの『魔術師』を読んだ時とかのような)というのではなかった。
この前読んだ『and Other Stories -とっておきのアメリカ小説12篇-』と割と同じような感覚。どちらも短編集でアメリカ小説というのもあるかも知れない。でもまぁ、同じようだとは言え、私はカーヴァーのこちらの短編集の方が良かった。(もちろんいくつもの作品があるので好きなものとそうでないものというのはあるけれど)
中でも私は『出かけるって女たちに言ってくるよ』『デニムのあとで』『足もとに流れる深い川』『私の父が死んだ三番目の原因』『静けさ』が好きだ。
あー、レイモンド・カーヴァーってこういう感じなんだ、というのはよく掴めた。他のも読んでみてもいいなという気にもなった。
ブラックな感じがいい。絶望+救いのない感じ、さらにそれを投げ出しっ放しな感じ、またそのままの終わり方。私は嫌いじゃない。
私は気持ちの波が激しいので、こういうのがいい時もあればほっこり温かい救いと希望のある物語が読みたい時もある。
だからカーヴァーのこの作品が好きな人もいればそうでない人もいると思う。 -
アメリカの作家の短編集。
「風呂」は「ささやかだけれど、役に立つこと」という違うタイトルになったバージョンもあり(この本には未収)、こちらはショートバージョン。読み比べると面白い。