『嵐が丘』
びっくりするほど読みやすい訳でした。すごく面白くて怖い。そして悲しすぎる。
登場人物たちが皆けっこう明け透けに話すのが異様だけど、これも全て家政婦ネリーの語りとなれば、その違和感はなくなる。
憎しみを原動力に生きるヒースクリフを不憫に思ったが、その復讐のあまりの過激さに、いったいそんなことをして何になるのかとだんだん虚しくなった。と、最後にヒースクリフ自身がその気力を失ってしまった時、ハッとして胸がえぐられる。
意味があるかないかなど関係なく、そうするしかない状態に陥ってしまうことが人間にはあるんだった。